抄録
CO-008
統合リスクマネジメント支援システム「KADAN®」を活用した緊急支援機能に基づく状況認識の統一の検討
小阪尚子・小山 晃・爰川知宏(NTT)・秋冨慎司(防衛医大)
2011年3月11日に東日本大震災が発生し、死者・行方不明者が 18,440人にも達した。内外のあらゆる混乱が同時に起こる状況に加えて、県では広範囲に及ぶ被災地に対して対応できる人員も物資も不足していた。著者等はこれまでに超急性期から亜急性期の9日間の被災地県庁における医療班支援業務について、緊急支援機能(ESF: Emergency Support Function)に基づき振り返り(AAR: After Action Review)を行い、本来行うべき業務と実態とのギャップを明らかにした。このように事後のAARにより今後の改善へ生かすことは重要であり、更には事後だけではなく危機対応中にも得られた知見を生かしていく仕組みがあれば、より効果的な対応を支援できると考える。本稿では、統合リスクマネジメント支援システム「KADAN®」を用いた危機対応マネジメントにおいて、ESFに基づき関係者間の状況認識の統一を図り、効率的・効果的な意思決定を支援する仕組みについて検討して報告する。