イベント企画
安全保障と社会を守るサイバーワールド
9月13日(水) 9:30-12:00
第2イベント会場(2号館221号講義室)
【セッション概要】 2020年の東京オリンピックを控え、開催日が近づくにつれ、世界各国から観光客やオリンピックのための競技関係者などが来日することから、快適な街づくりとして都市計画が注目されています。それと同時に、日本の安心安全な社会を築くこと、治安維持は社会にとって大切なことでもあります。そのため社会を脅かす災害や危機などの脅威に対応する科学技術や仕組みが求められています。
 社会の安全のためにテロや犯罪に対応するための技術、インフラを守るための技術、サイバーテロなどを防ぐための人材や技術、災害時の自助・共助・公助の役割に応じた技術と手法、リスクコミュニケーションのための技術、鳥インフルエンザなどの検疫に関わる技術など、社会を守るべく安全保障として取り組むべき課題が挙げられています。一方で、危機対応のための体制整備や研究開発など、国を挙げて対策に乗り出していますが、さまざまな場面で対応するためには多くの課題があります。レジリエンスな社会を築くためにも、事前、事中、事後の情報の共有や管理も含め、安全保障の重要性が改めて大きくクローズアップされてきました。
 そこで、安全保障として社会を守るために、どのような取り組みが行われているのか?また、どのような危険に対して対策をする必要があるのか?などをサイバーワールドの視点から考えていきたいと思います。
9:30-9:40 講演(1)
岡田 忠(茨城大学 大学院理工学研究科情報・システム科学専攻 博士後期課程)
【概要】 我が国で行われる2019年G20、ラグビーW杯、2020年東京オリンピッックなど国際的なイベントなどが日本で開催される中、テロや犯罪の危険もある。また記録的な大雨による大規模な災害など日本全土で起きている。中長期的な視点もあるが、短期で考えなければいけないリスクがある。リスク研究としての視点も併せて安全保障としての社会に関わる課題などを説明する。
【略歴】 1971年、茨城県鹿嶋市生まれ。2012年茨城大学大学院 理工学研究科 情報・システム科学専攻 博士後期課程。情報保全、危機管理、災害リスク、リスクコミュニケーション研究、サイバーセキュリティ、GEOINT。パケット解析、Linuxを用いたシステムに関する評価、検証、システム構築。LinuxPCに関する評価、検証、システム構築及び推進、プロジェクトマネージメントなど従事。委員として、2006年から日本OSS推進フォーラム デスクトップ部会 メンバー。国際情報化協力センター(CICC)アジアOSS普及推進小委員会委員。電子情報通信学会第二種研究会サイバーワールド研究会専門委員。2014年デジタル・フォレンジック研究会 日本語処理解析性能評価分科会委員。サイバー防衛部会 課題検討整理分科会主査。いきいき茨城ゆめ国体・いきいき茨城ゆめ大会つくば市実行委員会 常任委員。
研究会・勉強会:デジタルフォレンジック研究会 、社会情報学勉強会 SocioInfo/安全保障勉強会 SecInfo主宰。OSS、情報セキュリティ、IT農業、スポーツIT、等。クライシスマネージャ(安全保障危機管理士)、第二種電気工事士など
所属学会:電子情報通信学会、情報処理学会、日本リスク研究学会、日本国際情報学会、戦略研究学会、IT農業プロジェクト
9:40-10:06 講演(2)
板橋 功(公益財団法人公共政策調査会 研究センター長)
【概要】 東京2020、前年のG20サミットなど、日本は国際的な重要イベントを控えています。そこで、最近の国際テロ情勢を踏まえつつ、我が国に対するテロの脅威、重要インフラやソフトターゲット、在外日本権益などにおけるセキュリティ、インテリジェンスを含めた我が国におけるテロ対策などについて考察することとします。
【略歴】 1959年栃木県生まれ。1987年慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程修了後、社会工学研究所に入所。1992年財団法人公共政策調調査会へ出向、分析主幹、研究室長を経て、2015年7月より研究センター長。1996年4月より国士舘大学政経学部非常勤講師、2005年2月より警察大学校専門講師、2013年3月より原子力規制委員会核セキュリティに関する検討会委員、2014年4月より東京工業大学非常勤講師、2016年4月より武蔵野大学客員教授。社会工学研究所入所後、一貫してテロリズム問題(国際テロ情勢、テロ対策)、組織犯罪、危機管理関係の研究に従事。これまでに、警察庁、外務省、内閣安全保障室(現内閣官房副長官補付室)、内閣情報調査室などの研究プロジェクトを担当、内閣官房、外務省、文部省(現文部科学省)、国土交通省、中小企業庁、シンクタンクなどのテロリズム、安全対策、危機管理関係の研究会の委員を務める。また、NHK、民放各局、新聞各紙などのメディアにおいて、テロ問題(国際テロ情勢やテロ対策)や危機管理に関する解説やコメントを行っている。
10:06-10:32 講演(3)
安部川 元伸(日本大学 危機管理学部 教授)
【概要】 アルカイダの全盛期からテロリストは暗号通信を行い、治安・情報機関によるテロ計画の探知と工作員の事前摘発を免れようとしてきた。特に、2013年に米国家安全保障局のエドワード・スノーデンが米国による通信傍受の全容を暴露したことで、テロリスト側も作戦を変更し、暗号による情報のやり取りをさらに重視するようになった。コンピュータやスマートフォンの急速な発達で、通信者のプライバシーが厳重に保護されるようになり、捜査機関が暗号通信を傍受してもその解読が不可能になっている。公共の安全を守る意味でも国際テロリズムの視点から考察する。  【イベント企画資料はこちら】
【略歴】 1952年神奈川県生まれ。1976年公安調査庁入庁後、国内、国際部門を担当し、1989年から本庁で国際渉外業務、国際テロ情報の収集・分析に当たる。国際調査企画官、公安調査管理官、東北公安調査局長などを歴任し、2013年退職。2015年から日本大学に奉職。総合科学研究所教授を経て2016年から現職。著作「国際テロリズム その戦術と実態から抑止まで」(原書房)ほか。
10:32-10:58 講演(4)
名和 利男(株式会社サイバーディフェンス研究所 専務理事/上級分析官)
【概要】 急速にサイバー脅威が深刻化しているが、一般のIT利用者にとっては、その脅威を理解するには、難解な概念や専門的用語を必要とするため、実感として感じにくいものとなっている。また、予防及び早期検知を実現するための「セキュリティ対策」の計画及び実装に加えて、万が一の被害発生のための「サイバー攻撃対処」の能力確保も必要なってきている。そこで、サイバー攻撃を仕掛ける側が、標的となる我々のどこに着目して攻撃を仕掛けてくるのか、或いは、どのように待ち受けているのかを事例及び図解を持って解説する。
【略歴】 1971年北海道生まれ。海上自衛隊において、護衛艦のCOC(戦闘情報中枢)の業務に従事した後、航空自衛隊において、信務暗号・通信業務/在日米空軍との連絡調整業務/防空指揮システム等のセキュリティ担当(プログラム幹部)業務に従事。その後、JPCERTコーディネーションセンター早期警戒グループのリーダを経て、サイバーディフェンス研究所に参加。 TOCOG(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会)、PwCサイバーサービス合同会社、Arbor Networks 等のアドバイザー、IDF(デジタル・フォレンジック研究会)やJILIS(情報法制度研究所)の理事等を兼務。
10:58-11:08 休憩
11:08-11:34 講演(5) 情報とCBRN
濱田 昌彦(株式会社重松製作所 営業本部 主任研究員)
【概要】 2020年オリパラに向けて、各種の準備が進む中で、セキュリティ分野、とりわけCBRNテロ対処の分野には多くの資源が割かれているとは言い難い。しかし、22年前の地下鉄サリン事件を経験した我が国として、これでよいのかという疑問は残る。米国東海岸の大都市では、この地下鉄サリン事件を受けて検知警報システムPROTECTを導入し、すでに十数年の運用実績がある。また、先般のブラジル・リオオリンピックにおいても、COP(認識共有)のためのシステムやスタンドオフセンサー等が駆使され、安全が確保されていた。さらに、サイバー攻撃により石油化学コンビナートや原発の制御システムが損害を受けることも懸念されている。これらの現状を概観し、実行可能な対応策を考察する。
【略歴】 1956年山口県生まれ。1980年陸上自衛隊入隊。化学科職種で約30年、化学兵器防護、放射線防護分野で活躍。この間、化学学校研究員、教官、教育部長、陸幕化学室長等を歴任。1999年から2002年まで、オランダ防衛駐在官兼OPCW日本代表団長代行。2013年に化学学校副校長を最後に退官。元陸将捕。退官後は、重松製作所主任研究員、またCBRN防護のアドバイザーとして講演、執筆活動も。2016年末、「最大の脅威CBRNに備えよ!東京オリンピックでテロを防ぐために」を出版。大規模イベントや北朝鮮関連でのCBRN事態に警鐘を鳴らす。
11:34-12:00 講演(6)
渡邉 哲也(経済評論家)
【略歴】 作家・経済評論家。1969年生まれ。日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務した後、独立。複数の企業運営などに携わる。大手掲示板での欧米経済、韓国経済などの評論が話題となり、2009年『本当にヤバイ!欧州経済』(彩図社)を出版、欧州危機を警告しベストセラーになる。内外の経済・政治情勢のリサーチや分析に定評があり、さまざまな政策立案の支援から、雑誌の企画・監修まで幅広く活動を行っている。