抄録
J-017
楽曲の演奏熟達度と熟達過程における演奏・視行動の関係分析
長井貴也・中平勝子・北島宗雄(長岡技科大)
本稿では,成人を対象としたピアノ学習または指導支援に向けた,視聴覚―運動協調系の可視化による楽曲の演奏熟達度の指標化を行う.ピアノ演奏獲得技能過程では,ピアノ演奏は,視覚・聴覚・運動(演奏)の3 機能が協調して働くことで実現する行為として表現可能で,非協調状態は,通常,演奏時の打鍵ミスの増加や演奏の長時間化として表出する.演奏の状態を知覚―認知のレベルまで深化させる形で理解することで,学習者の意欲や指導者の適切なアドバイス呈示に繋がると考えられる.本稿は,そのために必要な演奏熟達度の指標化を行うため,読譜視行動における停留・情報獲得の時系列変化と演奏における打鍵・時間遷移の関連付けを行う.