抄録
G-006
細胞内シグナル伝達系の制御ネットワークによる定式化とその安定な平衡点での緩和過程の網羅的解析
末吉智奈佐・仲  隆(九産大)
細胞内シグナル伝達系は,細胞内の生化学反応を制御し,その異常が細胞のがん化の原因であると考えられているため近年盛んに研究が進められている.本研究では,複数のフィードバック経路を含む細胞内シグナル伝達系を,酵素がその活性型と不活性型をミカエリス・メンテン型反応機構により循環するサイクル反応系をノード,その制御関係をアークとする制御ネットワークとして定式化した.各ノードは,酵素の最大活性化速度と最大不活性化速度の比とミカエリス定数をパラメータとして持つ.安定な平衡点における外乱への応答としての緩和過程を,ネットワークの制御構造とこれらのパラメータに関して網羅的に解析した.