情報処理学会および電子情報通信学会情報・システムソサイエティ,ヒューマンコミュニケーショングループが共同開催する情報科学技術フォーラム(FIT: Forum on Information Technology)は,2002年に創設され今回が第12回となる日本の情報科学分野最大の学術大会である.査読採択論文は各分野の講演論文集に収録されている.
FIT2013では,本フォーラムで最も特徴となるFIT査読付き論文について,情報分野のより一層の活性化を目指すべく,前回と同様の「コンファレンスペーパー」としての査読に加えて,優秀な論文をFITとして情報処理学会または電子情報通信学会の論文誌へ推薦する「論文誌推薦制度」を継続した.査読はこれまでと同様,各分野に分野責任者を置き,各研究会から推薦された担当委員と協力して,それぞれの分野および研究会で独立に論文査読を行った.
以上の過程を踏まえて,6月10日に査読会議を開催し,採択論文の決定,船井ベストペーパー賞・FIT論文賞候補論文の決定,論文誌への推薦論文候補を決定し,それに引き続きプログラム編成会議でFIT2013プログラムを策定した.論文査読を行った各分野の投稿数,採択件数,採択率は次の通りである.
分野 | 投稿数 | 採択件数 | 採択率 | |
---|---|---|---|---|
A | モデル・アルゴリズム・プログラミング | 13 | 9 | 69.2% |
B | ソフトウェア | - | - | - |
C | ハードウェア・アーキテクチャ | 15 | 10 | 66.7% |
D | データベース | 9 | 3 | 33.3% |
E | 自然言語・音声・音楽 | 2 | 1 | 50.0% |
F | 人工知能・ゲーム | 12 | 5 | 41.7% |
G | 生体情報科学 | 3 | 1 | 33.3% |
H | 画像認識・メディア理解 | - | - | - |
I | グラフィクス・画像 | 13 | 3 | 23.1% |
J | ヒューマンコミュニケーション&インタラクション | 13 | 8 | 61.5% |
K | 教育工学・福祉工学・マルチメディア応用 | 20 | 7 | 35.0% |
L | ネットワーク・セキュリティ | 14 | 7 | 50.0% |
M | ユビキタス・モバイルコンピューティング | - | - | - |
N | 教育・人文科学 | 6 | 3 | 50.0% |
O | 情報システム | 32 | 19 | 59.4% |
合計 | 152 | 76 | 50.0% |
以下の5編は,FIT2013学術賞選定委員会が候補論文の中から所定の選定手続きを経て選んだ船井ベストペーパー賞3編・FIT論文賞2編である.
・RD-003 | 知名度の地理的広がりを考慮した実世界スポットの地域局所性推定 ◎田中 陽子・数原 良彦・佐藤 吉秀・戸田 浩之・鷲崎 誠司(日本電信電話) |
・RE-001 | 奏者の意図したテンポ変動の推定に基づく演奏録音の自動伸縮修正法 ◎小泉 悠馬・伊藤 克亘(法政大学) |
・RJ-004 | 回転運動する聴覚刺激が回転ベクション感覚に及ぼす影響 ○崔 正烈・柳生 寛幸・坂本 修一(東北大学)・岩谷 幸雄(東北学院大学)・鈴木 陽一(東北大学) |
・RC-008 | HPCクラウドにおける仮想計算機の割込み通知機構の改良 本庄 賢光(広島市立大学/インターネットイニシアティブ)・○窪田 昌史・北村 俊明(広島市立大学) |
・RF-004 | 地域制約の元での戦略的操作不可能なマッチングメカニズム ◎橋本 直幸・上田 俊・岩崎 敦(九州大学)・安田 洋祐(政策研究大学院大学)・横尾 真(九州大学) |
最後になったが,多忙の中,査読プロセスの運営および各賞の選考にご尽力頂いたFIT2013プログラム委員会およびFIT2013学術賞選定委員会の方々,限られた短期間で論文査読の責務を果たして頂いた査読者の方々に深く感謝する.
FIT2013プログラム委員会
FIT2013学術賞選定委員会
委員長 荒川 賢一