情報処理学会60年のあゆみ
第3編―情報技術の発展と展望
インタラクション

 

1.1 インタラクションの歴史

シンポジウム「インタラクション」は,1997年に「ヒューマンインタフェース研究会」(2007年度から「ヒューマンコンピュータインタラクション研究会」に名称変更)が主催して東京大学山上会館で開催した「インタラクション’97」をその起源とする.1研究会の主催ではあったが,情報処理学会の4研究会を含む6団体が協賛しており,企業からの参加者も多く,当初から「Cross Culturalなインタラクションの場(インタラクション’97のWebサイトから引用)」であった.

その後,現在に至るまで毎年開催され,インタラクション2020で24回目の開催となる.主催団体は徐々に増え,現在では「ヒューマンコンピュータインタラクション研究会(HCI)」,「グループウェアとネットワークサービス研究会(GN)」,「ユビキタスコンピューティングシステム研究会(UBI)」,「エンタテインメントコンピューティング研究会(EC)」,「デジタルコンテンツクリエーション研究会(DCC)」の5研究会が主催する一大シンポジウムとなっている.参加者数の増加(ここ数年は600~700人程度)にともない,会場は都内大学や日本科学未来館などを経て,最近は学術総合センター/一橋講堂に落ち着いている.

インタラクションの歴史を語るうえで多くの人が思い起こすのは,会期中に未曾有の激甚災害に見舞われたインタラクション2011であろう.迅速な避難誘導を行ってくださった会場(日本科学未来館)スタッフ,避難先の東京国際交流館,冷静に行動してくださった参加者,関係者各位には心より感謝を申し上げたい.

1.2 インタラクションの特徴

本シンポジウムは,ユーザインタフェース,CSCW,可視化,入出力デバイス,VR/拡張現実,ユビキタス/ウェアラブルコンピューティング,エンタテインメントデザイン,コンテンツ制作,ソフトウェア工学といった計算機科学だけではなく,認知科学,社会科学,文化人類学,メディア論,アート,デザインに関わる最新の技術・知見についても発表・議論することを歓迎している.

インタラクションの特徴は,何といっても一般講演セッションとインタラクティブ発表セッションの両方が行われる点である.一般講演セッションは,シングルセッションのため,数百人の来場者の前で登壇発表を行うことになる.厳正なる査読が行われるため,どの発表も非常にクオリティが高い.インタラクティブ発表セッションは,その名のとおり,発表者と来場者がインタラクティブに議論を行うための場である.ここ数年は,200件近くの実機デモやポスターが発表され,論文では得られない直接体験と熱い議論が行われる濃密な時間となっている.両セッションとも,優秀な発表は表彰の対象となる.

インタラクションは,これまでに,会期一部の一般公開,ACM国際会議との連携などに精力的に取り組んできた.これからもCross Culturalであり続けるために,様々なことに挑むシンポジウムであるようにしたい.

(宮田章裕)

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