情報処理学会60年のあゆみ
第3編―情報技術の発展と展望
[gr]研究グループ

 

1. 研究グループについて

研究グループとは,研究会と異なり,ある特定分野の研究開発を短期間集中的に行ったり,新しい研究分野となる萌芽的な研究を行ったりするなど,研究会より自由で機動性に富んだ研究活動を促進するための組織である.多くの研究グループが新しい研究分野における研究会設立への道筋として活動しており,他方で新しい研究分野の在り方,あるいは学会活動の在り方を模索するための機動的組織としての研究グループも活動している.

また,現在領域制度をとっている研究会・研究グループの所属に対し,より学際的な分野での研究活動や横断的な情報交換の場としての研究グループの存在価値についてもさまざまな議論がなされた.たとえば,オープンサイエンスに代表される研究分野は,その適用範囲の広さと,異なる適用先どうしの相互作用による価値向上を考えることから,研究会のように特定研究領域に閉じ込める運用は本質的になじまないと考えられる.

そこで,このような活動を支えるため,2019年度より,特定領域に所属しないで活動する,調査研究運営委員会直属の研究グループを設置できるよう規定を改定した.このことにより,新しい研究活動の形式を体現する,まさに研究グループが目的としている「機動的組織」としての新しい在りようを示すとともに,今後の研究グループの在り方に新たな視点を提供することが期待される.

2. 研究グループの変遷

2009年度には,IE領域に2研究グループ,FR領域(現MI領域)に1研究グループ,調査研究運営委員会配下に1研究グループの4研究グループが存在した.このうち,IE領域所属の放送コンピューティング研究グループ(BCC)はデジタルコンテンツクリエーション研究会(DCC,2012年度新設)に,情報セキュリティ心理学とトラスト研究会はセキュリティ心理学とトラスト研究会(SPT,2011)に,調査研究運営委員会配下の教育学習支援情報システム研究グループ(CMS)はMI領域の教育学習支援情報システム研究会(CLE,2010)にそれぞれ引き継がれた.また,MI領域所属のネットワーク生態学研究グループ(NE)は現在も継続して研究グループ活動を行っている.

その後,2010年度IE領域にコンシューマ・デバイス&システム研究グループ=現コンシューマ・デバイス&システム研究会(CDS,2011),2012年度MI領域に会員の力を社会につなげる研究グループ(SSR),2015年度MI領域に情報処理に関する法的問題研究グループ(LIP)およびアクセシビリティ研究グループ=現アクセシビリティ研究会(AAC,2016),2018年度MI領域にビッグデータ解析のビジネス実務利活用研究グループ(PBD)がそれぞれ設立された.そして,新しい組織規程に基づき,2019年度にオープンサイエンスと研究データマネジメント研究グループ(RDM)が調査研究運営委員会直属として設立され,現在に至っている.

(倉本 到)

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