情報処理学会60年のあゆみ
第1編―学会60年のあゆみ
第2章 学会活動10年間のあゆみ

本章では,創立50周年を迎えた2010年度以降現在(2020年3月末時点)に至る10年間の情報処理学会(以下,本会と記す)の運営や事業活動の成果を示す.

2.7 会誌刊行

2.7.1 会誌構成とコンテンツ

会誌構成は,この10年間一貫して会誌編集委員会によって行われてきた.編集委員会の下には分野に分かれた専門委員会(WG)が置かれ,その主査のもとに記事の企画や編集管理が行われてきた.また新WGの編成も行い,2019年度からはデジタルプラクティスWGが加わった.

会誌編集の狙いは,本会の会員に役立つ専門性と商業誌に匹敵する「読みやすさ」を兼ね備えたものにすることである.情報技術に造詣が深い第一人者を編集長に迎え,一貫した理念のもとに腰を落ち着けて会誌編集を指導監督してもらうという編集長制度を引き続き行っている.また10年間で,副編集長制の導入を行い,複数の副編集長が,編集長をサポートする体制となっている.表2.7.1に歴代の編集長をはじめとする会誌編集の責任者(2010~2019)を示す.

表2.7.1 会誌編集責任者

会誌記事の構成は次々に新しい企画が盛り込まれ,表2.7.2「会誌『情報処理』の記事動向」に示すような変遷を遂げてきた.表中の数字は,年間の記事の総数を表している.

表2.7.2 会誌「情報処理」の記事の動向

特集では,適時性のある新しい企画が盛り込まれ,資料2.7.1「会誌特集一覧」に示すような変遷となっている.これから見るとおり,会誌特集は毎月1件,ときには2件も掲載されており,内容的にもページ数のうえでも会誌の中心を構成している.

特集では,初音ミクが表紙となった特集「CGMの現在と未来」が星雲賞を受賞し,非会員にも広く記事について知られることとなった(図2.7.1).

図2.7.1 初音ミクが表紙となった会誌

会誌を読みやすいものにするために,新しい連載を開始した.幅広い会員層に向けて漫画連載,女子部連載,人工知能学会とのコラボ企画などを行った.また現会員だけでなく,ジュニア会員増加のための試みとして,ジュニア会員向け連載「集まれ!ジュニア会員!!」,「先生,質問です!」を開始した.表2.7.3に,会誌連載タイトル一覧(2010~2019)を示す.

表2.7.3 会誌連載タイトル一覧

2.7.2 閲覧購読,広報宣伝

会誌「情報処理」は本会の顔として毎月着実に発行されてきた.そのページ数および発行部数の推移は表2.7.4「会誌のページ数・月間発行部数(2010~2019)」のとおりである.会誌の巻数は1月から12月の暦年単位でつけられているため,この表の年号は暦年である.読みやすさを優先しここ数年間は年間約1,200ページで安定している.年間発行部数は会員数減少の影響を受けて減少している.また10年間でWG新編成,副編集長制の導入,会誌発行の前倒し,サイズ変更,全面カラー化などを行った.会員向けのサービスとして,就職情報,インターンシップ情報,理事からのメッセージをメールニュースとして配信している.会員だけでなく,幅広い購読者の獲得のために,App Store(2019年11月まで),Fujisan,Kindleでの電子版販売(2019年7月から),LINEスタンプ販売,ビブリオ・トーク書籍販売,技術書典への出展などを行った.

表2.7.4 会誌のページ数・月間発行部数

[参考文献]

1)村山優子:IFIP―情報処理国際連合―近況報告,情報処理,Vol.56, No.3, pp.288–295(2015).
2)斎藤俊則:会議レポート IFIP WCCE2017から得られたもの―そしてWCEE2021 in Hiroshimaに向けて,情報処理,Vol.58, No.11, pp.1040–1041(2017).
3)旭 寛治:特別寄稿 CITP制度のIFIP IP3認定について,平成29年度CITPフォーラム/JUASアドバンスド研究会活動報告書,pp.1–4(2018).
4)村山優子:IFIP―情報処理国際連合―近況報告,情報処理,Vol.60, No.3, pp.255–263(2019).
5)岡部寿男,湊 真一:2019年 IPSJ/IEEE-CS Young Computer Researcher Award紹介,情報処理,Vol.60, No.10, pp.1002–1004(2019).
6)岡部寿男:2019年 IPSJ/ACM Award for Early Career Contributions to Global Research紹介,情報処理,Vol.60, No.10, pp.1005–1006(2019).
7)中村素典:国際会議SAINTの運営―SAINT2011の開催に向けて,情報処理,Vol.52, No.2, pp.225–230(2011).

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