情報処理学会60年のあゆみ
第1編―学会60年のあゆみ
第1章 60年の軌跡

 

1.3 記念事業

本会ではこれまで1990年の創立30周年,2000年の創立40周年,2005年の創立45周年,そして2010年の創立50周年に記念事業を行ってきている.創立45周年までの記念事業については30年史ならびに50年史に詳述されていることから,ここでは2010年の創立50周年記念事業の概略と2020年の創立60周年記念事業の準備状況について述べる.

1.3.1 創立50周年記念事業

(1)記念全国大会の開催

第72回全国大会を記念全国大会と位置付け,2010年3月9日~11日に東京大学(本郷キャンパス)において開催した.「コンピュータの無い社会を想像出来ますか?」というテーマのもとで多くの魅力ある内容が企画され,7,150名の参加者と,1,388名のインターネット参加者を得て,過去最大規模の開催であった.

(2)刊行物のオンライン化(詳細は2.3.6項参照)

論文誌と研究会の活動について段階的にオンライン化・ペーパレス化を進め,2007年3月論文誌(ジャーナル)投稿・査読の完全電子化の実施,2008年4月論文誌の完全オンライン化移行(紙媒体の出版廃止),2008年9月発行後2年を超える刊行物(会誌,論文誌,研究報告)のオープンアクセス化,2009年4月研究会活動のオンライン化移行(紙媒体の出版廃止)が行われていたが,国立情報学研究所(NII)の協力を得て記念事業の1つとして2010年4月本会電子図書館「情報学広場」の運用を開始した.これにより論文誌と研究会刊行物のすべてを低価格で購読可能とする「総合デジタルライブラリ」の公開が実現した.

(3)会誌記念特集号の発行

記念特集「情報処理技術の未来地図」および特集「画像で綴るIPSJ全国大会50年」を掲載した.

(4)コンピュータ将棋とトッププロ棋士との記念対局の実施

2010年10月11日(月,祝日)に東京大学工学部新2号館において,本会将棋プロジェクト委員会で開発したコンピュータ将棋「あから2010」と清水市代女流王将(当時)の特別対局を実施し,熱戦の末,「あから2010」が勝利して大きな反響を得た.

(5)次世代情報処理ハンドブックの推進

オンラインで常に改訂が反映可能な次世代型の学術用語辞典を目指し,オントロジーに基づいて項目の内部を構造化するとともに項目どうしをフォーマルに関係付ける考え方で編纂し,記念式典の場(2010年11月18日)で途中成果を公開した.オントロジーの考え方は,情報システムと社会環境研究会による情報システム分野の用語解説「ISディジタル辞典」に引き継がれ,2012年4月に無料公開されている.

(6)記念論文の表彰

公募による投稿論文総数45編の上位13編,および論文誌9誌の採択論文95編より,特に推薦された5編の中から優秀な論文4編を選定し,記念式典において表彰した.

(7)記念出版「情報処理学会50年のあゆみ」の発行

30年史「30年のあゆみ」以降を中心に本会50年の活動の記録を編纂し,2010年11月「情報処理学会50年のあゆみ」として刊行した.本会にふさわしい発行形態であるオンライン出版を基本としてWebで公開するとともに,50周年記念式典の参加者には冊子体のものを配布した.

(8)記念式典の挙行

2010年11月18日に明治記念館において関係省庁・団体等のご来賓をはじめ学会歴代役員ほか302名の出席を得て開催した.

1.3.2 創立60周年記念事業

本会創立60周年記念事業として,2020年3月に記念全国大会の開催(2020年3月5日~7日,金沢工大)を予定していたが,新型コロナウイルス感染症の影響により現地開催を中止し,一般・学生セッションを中心にオンライン開催した.2020年度には以下の実施を予定し準備を進めている.

  • 記念会誌特集号「2050年の情報処理(2020年5月号)」発行
  • 記念論文
  • 記念出版「60年のあゆみ」の刊行
  • 記念出版「情報処理技術遺産とパイオニアたち」
  • 記念式典開催(2020年10月30日(金),明治記念館)の実開催は,新型コロナ感染拡大防止の為,取り止め,別の形態での開催を予定している.

« PrevNext »

 

目次に戻る

All Rights Reserved, Copyright (C) Information Processing Society of Japan