船井業績賞記念講演(無料公開)

9月8日(水)14:30-15:45[第1イベント会場(総合学習プラザ2F 工学部 大講義室)]

●[14:30-15:45] 「重力に抗して:タンジブルビット」

[講演概要]

MITメディアラボの「独創・協創・競創」の文化風土の中から生まれたのが、タンジブル・ビットです。デジタル情報に物理的な実体を与えることで、人々が生涯を通じ物質的な世界と関わりあうことで育んできた豊かな感覚と能力を活かし、人間、デジタル情報、そして物理世界をシームレスにつなぐインターフェイスを実現することが、タンジブル・ビットのゴールです。本講演では、ディジタル情報を直接的に実感・操作することを可能にするタンジブル・ビットのコンセプトと、タンジブルメディアグループがデザインした多様なインターフェイス、アプリケーション例をご紹介し、ユビキタス GUI を越える未来を提案いたします。さらに MIT をとリまく「競創」 の風土を生き抜くための哲学について、お話させていただきます。

参考ウェブサイト:http://tangible.media.mit.edu/
参考文献:電子情報通信学会誌 2009年5月号に寄稿した記事「米国 MIT の 独創・協創・競創の風土」
http://www.ieice.org/jpn/books/kaishikiji/2009/2009052.pdf

石井 裕(マサチューセッツ工科大学 メディアラボ教授/副所長)

1956年東京生まれ。1978年に北海道大学工学部卒業、1980年に同大学院情報 工学専攻修士課程修了、日本電信電話公社(現NTT)入社。
ヒューマンインターフェースとリモートコラボレーション技術の研究に従事。
1992年に北大から博士号取得。1994年にアトランタでヘッドハンティングされ、1995年秋にMITメディアラボ準教授に就任、直接操作・感知可能なタンジブルユーザインタフェースの研究をスタートする。
現在MITメディアラボ副所長、TTT(Things That Think)コンソシーム・コディレクター、タンジブルメディアグループ・ディレクター、工学博士。2001年にMITからテニュア(終身在職権)を授与され、2006年にACM SIGCHIよりCHI Academyを受賞。

特別基調講演(無料公開)

9月8日(水)16:00-17:00[第1イベント会場(総合学習プラザ2F工学部 大講義室)]

●[16:00-17:00] 「クラウドとクラウド・デバイス」

[講演概要]

2010年は、クラウドの本格的な受容へと向かう、大きな変化の年になろうとしています。内外のクラウド・プレーヤが、新しいサービスを続々と市場に投入するばかりではなく、多くのユーザ企業が、真剣に、クラウドの利用を考え始めています。
クラウドでの、サーバの大規模な集積に対応するように、クライアント側では、無数のクラウド・デバイスが、地上にあふれようとしています。iPhoneやAndroidといったクラウド・デバイスたちは、携帯電話の形をとっていますが、まったく新しい、パーソナル・メディアとして、グローバルな規模で、深い影響を世界に与えようとしています。
両者が開こうとしている未来について話したいと思います。

丸山 不二夫(早大)

東京大学教育学部卒。一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。
稚内北星学園短期大学教授。同短大の四年制大学移行に伴い、稚内北星学園大学学長を二期務める。
その後、早稲田大学情報生産システム研究科客員教授、
公立はこだて未来大学情報科学部特任教授。日本Javaユーザ会会長。
クラウド研究会代表。日本Androidの会会長。

サイバーワールドとリアルワールドとの接点−社会に“入り込む”デジタルメディアの展開−

9月7日(火)13:30-15:30[第1イベント会場(総合学習プラザ2F工学部 大講義室)]

[企画概要]

本企画では、発展が目覚しい様々なデジタルメディアに関する動向を探る。 昨今、特別な意識をすることなく、様々なデジタルメディアに接触する機会が増 え、またデジタルである特徴を活かした様々な取り組みもなされようとしている。 本企画では、文化的な資源をデジタル化することによって、社会の中で幅広く活 用しようという。ディジタルミュージアムに関する取り組みを取り上げる。 社会の中でのデジタルメディアの利用や、メディア文化に関する研究者を講演者 として招き、今後のビジネス・技術・研究に関して討論を行う。

全体司会:河野 義広(フリーランス)

2006年茨城大学大学院理工学研究科修士課程了,株式会社インテック・ネットコア入社.
2009年同大学院博士課程了,博士(工学).
2010年株式会社インテック・ネットコア退社.
分散仮想環境とその応用,eラーニングとTwitterの融合に関する研究に興味を持つ.電子情報通信学会,日本VR学会,ビジネスモデル学会各会員.サイバーワールド時限研究会幹事.

●[13:30-14:30] 講演(1)「複合現実型デジタルミュージアム」

[講演概要]

VRをはじめとする映像メディア技術の有力な応用先として、ミュージアムが考えられている。ミュージアムとは、展示物という「モノ」を媒介として、人類の知恵を後世に伝えていくための装置である。しかしながら、その「モノ」中心の体系からこぼれ落ちる要素、すなわち「コト」があるはずで、そこに映像メディア技術をはじめとする情報系技術の出番があるというわけである。本格的応用に向けてのハードルは必ずしも低いものではないが、技術の充実に助けられて、ここ数年、比較的大きな研究プロジェクトが組織され始めた。ミュージアムにおいて映像メディア技術に何ができるのか、本質的な革命的要素は何か、演者の関わる文科省デジタルミュージアムプロジェクトにおける実証実験での体験を中心に紹介する。

廣瀬 通孝(東大)

1954年鎌倉生まれ。1977年東京大学工学部産業機械工学科卒、1982年東京大学大学院博士課程修了、工学博士。
同大学工学部専任講師、1983年同助教授、1999年東京大学先端科学技術研究センター教授を経て、2006年より現職。
専門はシステム工学、ヒューマン・インタフェース、バーチャル・リアリティ。
情報化月間推進会議議長表彰、東京テクノフォーラム・ゴールドメダル賞、大川出版賞などを受賞。
主な著書に「バーチャル・リアリティ」(産業図書)、「空間型コンピュータ」、「ヒトと機械のあいだ」(岩波書店)など。

●[14:30-15:00] 講演(2)「デジタル展示ケースとデジタルジオラマ」

[講演概要]

我々は,「モノ」と「コト」を融合した展示を実現する複合現実型デジタル・ミュージアムを提案している.本研究では,博物館に展示されている物理的実体である「モノ」だけでなく,従来の展示では伝えることの難しい周辺環境や時代背景など背景情報としての「コト」を融合して,鑑賞者に直感的に伝達する展示手法として「デジタル展示ケース」と「デジタルジオラマ」の二手法を提案している.デジタル展示ケースでは,従来から存在する展示ケースに複合現実感技術を導入することで,同時代性や地理的広がり,時間的変化を伝える展示を実現した.またデジタルジオラマでは,展示物が本来置かれていた空間的・歴史的な情報を再現しつつ展示物と重畳することで,歴史的文脈を伝える展示を実現した.

谷川 智洋(東大)

1997 年東京大学工学部産業機械工学科卒業.
1999 年同大学大学院工学系研究科機械情報工学専攻修士課程修了.
2002 年同大学博士課程修了.同年通信・放送機構研究員.
2004 年組織変更により情報通信研究機構研究員.
2005 年東京大学先端科学技術研究センター講師.
2006 年同大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻講師,
現在に至る.
イメージ・ベースト・レンダリング,複合現実感技術に関する研究に従事.

●[15:00-15:30] 講演(3)「デジタルミュージアムをめぐるエコシステム」

[講演概要]

博物館にはデジタル化のニーズがあり,デジタルミュージアムのための要素技術を研究する技術者も魅力的なシーズを保有している.しかしそれらをマッチングさせてデジタルミュージアムを実現するには,まだ解決しなければならない課題も多い.
持続的なデジタルミュージアムを実現するためには,博物館の学芸員,技術開発を担う研究者,展示内容を作成するクリエイターが協調するだけでなく,デジタルミュージアムを核として様々なステークホルダが関与するビジネスモデルを確立させなければならない.本講演では,デジタルミュージアムをめぐる関係者の動向を整理し,デジタルミュージアムを成功させるためにはどのようなプレーヤが何をすべきかについて述べる.

飯尾 淳(三菱総研)

1994年東京大学大学院工学系研究科計数工学専攻修士課程修了.
同年,株式会社三菱総合研究所入社.現在,情報技術研究センター主任研究員.
2009年から東京農工大学国際センターの客員准教授を兼務.
画像処理,ユーザインタフェース,情報システムの最適化等の研究開発に従事.
電子情報通信学会,情報処理学会,ヒューマンインタフェース学会,各会員.
博士(工学),技術士(情報工学部門).

1+1>3を目指そう−次世代を担う若い情報・システム研究開発者とベテラン研究者の議論が新たな道を切り拓く−

9月7日(火)16:00-18:00[第1イベント会場(総合学習プラザ2F工学部 大講義室)]

[企画概要]

 情報・システム分野で斬新なアイデアを発表されている若手の研究・開発者の中から、FIT2009のヤングリサーチャー賞を受賞された2名の方をお迎えし、最近の研究開発成果と共に次の展開となる研究計画について発表頂きます。テーマ設定・アプローチ・成果出し・評価・応用展開などの講演に対し、フェロー団を中心として参加者(フロア)との意見交換を行います。これらを通じて、情報・システム分野における新たな道の開拓に向けた意識を参加者間で共有すると共に、講演者の今後の研究遂行にも寄与することを目指しています。FIT2006、FIT2008、FIT2009 においても若手研究者による講演、フェロー団との討論を実施し、大変好評でした。今回は、若手とベテランとの熱い議論を通じて、1+1>3、を目指したいと思います。皆様、奮ってご参加下さい。

司  会:金子 正秀(電通大)

1976年東京大学工学部電子工学科卒業。
1981年同大大学院博士課程修了。工学博士。
国際電信電話(株)研究所、東京大学工学部助教授を経て、1998年電気通信大学助教授。
現在、同大大学院情報理工学研究科教授。電子情報通信学会フェロー。
顔画像情報処理(顔特徴の抽出と解析、似顔絵の自動生成、類似顔検索、顔認識、表情認識)、ヒューマン・ロボット・コミュニケーション、視聴覚情報の統合に基づくアクティブインタラクションなどの研究に従事。

座  長:安達 淳(NII)

1981年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了.工学博士.
東京大学大型計算機センター助手,文部省学術情報センター研究開発部助教授,教授を経て現在国立情報学研究所教授.東京大学大学院情報理工学研究科教授を併任.
データベースシステム,情報検索等の開発研究に従事.電子情報通信学会,情報処理学会,IEEE,ACM 各会員.

●[16:00-17:00] 講演(1)「専用ハードウェアを用いた高効率科学計算システムの研究と展開」

[講演概要]

専用ハードウェアを用いた計算システムは,その高い性能と低い運用コストから,従来から多様な研究が試みられてきた.なかでもFPGAをはじめとするリコンフィギャラブルシステムは,任意の論理回路をデバイス上に構成することを可能にし,旧来のASIC製造前のプロトタイプ実装用途のみならず,様々なアプリケーション専用ハードウェアが開発されてきた.またその一方で,近年のCell/B.E.やGPUに関する開発環境の整備により,メディア処理専用のハードウェアを応用して構築する高性能計算システムの研究も盛んになっている.Supercomputer Top500ではこれらの専用HWを持つシステムが上位を賑わしている.大学の研究室においては,アイデアの実証や開発環境の抽象化など,多くの野心的なプロジェクトが進められている.本講演では,英国Imperial College Londonで開発中のFPGAクラスタCUBEプロジェクトを実例として紹介し,大学の研究室における研究実践の紹介を通して,ハードウェア,ミドルウェア開発の楽しさとその意義を解説する.

吉見 真聡(同志社大)

同志社大学理工学部助教.2004年慶応義塾大学理工学部卒業.
2006年同大学院修士課程修了.2009年同後期博士課程修了.博士(工学).
2006年より日本学術振興会特別研究員(DC1).
現在,リコンフィギャラブルシステム,高性能計算など,専用ハードウェアを用いた高効率計算の研究,および進化計算,知的システムに関する研究に従事.電子情報通信学会,情報処理学会,人工知能学会各会員.

●[17:00-18:00] 講演(2)「TVMLによる映像コンテンツ制作技術の研究とその応用」

[講演概要]

TVML(TV Program Making Language)は,テレビ番組を記述するためのスクリプト言語で,番組を構成するスタジオショット,タイトル,スーパー,動画再生,BGMなどの各要素に関する動作を記述することができる.TVMLで記述した番組台本をTVMLプレーヤと呼ぶソフトウェアに入力することで,CG(コンピューターグラフィックス)と音声合成を用いて,リアルタイムにテレビ番組が再生される.
講演者は,TVMLを用いて,一般のユーザでも簡単に映像コンテンツを制作でき,さらに,インターネットをインフラとしてコンテンツを扱うことのできる映像コンテンツ制作技術の研究に取り組んでいる.これまでに,インターネットを活用して複数のユーザが,CGスタジオ内のCGキャラクターやカメラ,スイッチャーを操作しながら,インタラクティブに一つの映像コンテンツを共同制作することができるシステムを開発した.
本講演では,上記の映像制作システムを紹介するとともに,TVMLの応用事例として手話を表現するCG映像生成技術について紹介する.

金子 浩之(NHK)

2002年,上智大学大学院理工学研究科修士課程修了.同年NHK入局.
仙台放送局を経て,2006年より放送技術研究所勤務.
現在,映像コンテンツ制作・配信技術の研究に従事.
電子情報通信学会,映像情報メディア学会各会員.

マルウェア対策の実態−Gumblarの事例に見る最新対策技術−

9月8日(水)10:00-12:30[第1イベント会場(総合学習プラザ2F工学部 大講義室)]

[企画概要]

2009年から、Gumblarに代表される、ホームページ誘導型マルウェアが台頭してきている。本セッションでは、これまでのマルウェアの変遷について概観した後、Gumblarによる感染活動の状況、Gumblar感染被害とその対応、ホームページ誘導型マルウェア被害を低減するための取り組みについて報告する。

 
全体司会:寺田 真敏(日立)

1986年千葉大学大学院工学研究科写真工学専攻修士課程終了.
同年(株)日立製作所入社.博士(工学).現在,システム開発研究所にてネットワークセキュリティの研究に従事.
2004年からHitachi Incident Response Team チーフコーディネーションデザイナー,
2004年4月からJPCERTコーディネーションセンター専門委員,
2004年4月から2007年まで中央大学研究開発機構客員研究員,
2004年8月から情報処理推進機構セキュリティセンター研究員.
2008年から中央大学大学院客員講師を兼務.

●[10:00-10:30] 講演(1)「マルウェアの変遷」

[講演概要]

マルウェアとは英語のMalicious(悪意のある)とSoftwareを組み合わせた混成語であり,ユーザの望まない不正な動作を行うプログラムの総称である.マルウェアには数十年に渡る変遷の歴史があり,1970年代初頭に出現した自己増殖機能を持った“ワーム”を皮切りに,プログラムやファイルに寄生する“ウイルス”,有用なプログラムやファイルを装った“トロイの木馬”,指令者からの遠隔操作によって多岐に渡る活動を行う“ボット”などを経て,2009年に台頭するWeb媒介型攻撃Gumblarの出現へと繋がっている.本講演では,これらマルウェアの数十年に渡る変遷を年代ごとに概観し,Gumblar出現の背景に迫る.

井上 大介(NICT)

2003年横浜国立大学大学院工学研究科博士課程後期修了.
2003年通信総合研究所(現 情報通信研究機構)に入所.
新世代モバイル研究開発プロジェクトでのセキュリティ研究を経て,2006年よりインシデント分析センターnicterの研究開発に従事.
2010年6月より同機構 総合企画部勤務.
2002年 暗号と情報セキュリティシンポジウム論文賞,2009年 科学技術分野の文部科学大臣表彰(科学技術賞)等を受賞.博士(工学).

●[10:30-11:00] 講演(2)「Gumblarによる感染活動の状況」

[講演概要]

2009年複数回にわたって大規模な被害を出したGumblarについて、実際に対応にあたった立場からその活動状況や被害内容、マルウェア解析により得られた構造上の特徴について示します。この問題はWebの改ざんで有名になりましたが、実際には盗まれたIDとパスワードが循環するエコシステムを構成しています。この流れを断ち切るための、各関連団体における対策活動についてもご紹介します。

齋藤 衛(インターネットイニシアティブ )

1993年中央大学大学院 理工学研究科 管理工学専攻修了。
1995年IIJ入社。法人向けセキュリティサービス開発等に従事の後、2001年よりIIJグループの緊急対応チームIIJ-SECTの代表として活動し、CSIRTの国際団体であるFIRSTに加盟。国内においてはTelecom-ISAC Japan等複数のセキュリティ関連団体の運営委員を務める。

●[11:00-11:30] 講演(3)「Gumblar感染被害とその対応」

[講演概要]

昨年末から大手企業のWebサイト改ざんがニュースで話題となり、一般にも広く知られるようになったGumblar(ガンブラー)攻撃ですが、その実態について解説いたします。
また、Gumblar攻撃への効果的な対策についてご紹介していきます。

飯田 朝洋(トレンドマイクロ)

2000年4月 IT企業入社 大手企業のUnixサーバの運用・保守業務およびWeb, メールサーバ構築業務を担当
2004年1月 トレンドマイクロ入社  企業向け有償サポート(プレミアムサポートセンター)のテクニカルアカウントマネージャとしてウイルス感染被害発生時のインデント・オペレーションを担当
2007年1月 Threat Monitoring Centerへ異動  Senior Threat Research Engineerとして不正プログラムの収集・傾向分析を専門に担当
2009年7月現職(Threat Monitoring Center 課長)に就任

●[11:30-12:00] 講演(4)「Web誘導型マルウェア被害を低減するための取り組み」

[講演概要]

昨今のマルウェア感染の手口は巧妙化されてきている.特にWeb誘導型で感染するマルウェアの脅威は拡大している.その脅威に対する感染の被害を低減するために、TelecomISAC-Japanが検討している取組についてご紹介する.

高橋 竜平(日本データ通信協会)

1996年日本電信電話(株)に入社.
現在,NTTコミュニケーションズにてセキュリティ対策案件を担当.
2009年から(財)日本データ通信協会 Telecom-ISAC JapanにてレピュテーションDB-WGの主査としても活動.

●[12:00-12:30] パネル討論「実施すべき対策のポイント」

[討論概要]

これまでのマルウェアの変遷、2009年から台頭してきたGumblarに代表される、ホームページ誘導型マルウェアによる感染活動の状況とその対応を踏まえ、一般利用者が実施すべき対策、サーバ管理者が実施すべき対策のポイントについて検討する。

討論司会:寺田 真敏(日立)

1986年千葉大学大学院工学研究科写真工学専攻修士課程終了.
同年(株)日立製作所入社.博士(工学).
現在,システム開発研究所にてネットワークセキュリティの研究に従事.
2004年からHitachi Incident Response Team チーフコーディネーションデザイナー,2004年4月からJPCERTコーディネーションセンター専門委員,2004年4月から2007年まで中央大学研究開発機構客員研究員,2004年8月から情報処理推進機構セキュリティセンター研究員.
2008年から中央大学大学院客員講師を兼務.

パネリスト:井上 大介(NICT)

2003年横浜国立大学大学院工学研究科博士課程後期修了.
2003年通信総合研究所(現 情報通信研究機構)に入所.
新世代モバイル研究開発プロジェクトでのセキュリティ研究を経て,2006年よりインシデント分析センターnicterの研究開発に従事.2010年6月より同機構 総合企画部勤務.2002年 暗号と情報セキュリティシンポジウム論文賞,2009年 科学技術分野の文部科学大臣表彰(科学技術賞)等を受賞.博士(工学).

パネリスト:齋藤 衛(インターネットイニシアティブ )

1993年中央大学大学院 理工学研究科 管理工学専攻修了。1995年IIJ入社。法人向けセキュリティサービス開発等に従事の後、2001年よりIIJグループの緊急対応チームIIJ-SECTの代表として活動し、CSIRTの国際団体であるFIRSTに加盟。国内においてはTelecom-ISAC Japan等複数のセキュリティ関連団体の運営委員を務める。

パネリスト:飯田 朝洋(トレンドマイクロ)

2000年4月 IT企業入社 大手企業のUnixサーバの運用・保守業務およびWeb, メールサーバ構築業務を担当
2004年1月 トレンドマイクロ入社  企業向け有償サポート(プレミアムサポートセンター)のテクニカルアカウントマネージャとしてウイルス感染被害発生時のインデント・オペレーションを担当
2007年1月 Threat Monitoring Centerへ異動  Senior Threat Research Engineerとして不正プログラムの収集・傾向分析を専門に担当
2009年7月現職(Threat Monitoring Center 課長)に就任

パネリスト:高橋 竜平(日本データ通信協会)

1996年日本電信電話(株)に入社.現在,NTTコミュニケーションズにてセキュリティ対策案件を担当.2009年から(財)日本データ通信協会 Telecom-ISAC JapanにてレピュテーションDB-WGの主査としても活動.

IPv6移行時におけるセキュリティ対策の展望−予測不能なサイバー攻撃に備えるためには−

9月9日(木)10:00-12:00[第1イベント会場(総合学習プラザ2F工学部 大講義室)]

[企画概要]

IPv4アドレスの枯渇が現実的な水準に進み、IPv6への移行は一部のGeeksだけでなく、一般企業・ユーザにおいても加速しています。一方で標準的なOSや電子機器にもIPv6が標準でサポートされるようになりました。そのためユーザは知らず知らずのうちにIPv6を使っているという状況になりつつあります。しかしIPv6におけるセキュリティ対策は十分ではないと言われています。 本パネル討論はIPv6導入に伴うリスクを広く認識してもらうことを主な目的とします。そのため官やアカデミックな立場での分析だけでなく、実際にIPv6の組み込み機器における実装を行ったり、IPv6に対応するソフトウエア開発やシステム構築を行う企業からのプラクティスについても取り上げます。さらにISPからのIPv6セキュリティ対策の事例についても共有します。パネル中にはTwitterにより聴講者からのコメント・質問も取り込むことを試みます。 パネルを通してエンジニアに有益な情報を与えると共に、産学共同でこの課題に立ち向かうアクティビティが生まれることを期待します。

●[10:00-12:00]パネル討論

[討論概要]

IPv6導入に伴うリスクを広く認識してもらうことを主な目的として議論することを目的としています。詳細な議論内容は後日決定します。

パネル(討論)司会:北口 善明(金沢大)

1997年新潟大学大学院自然科学研究科修了.同年株式会社インテックに入社し,ネットワークの運用管理やIPv6の研究開発に従事.2000年から2004年まで通信・放送機構(現 独立行政法人情報通信研究機構)研究員(兼任).2005年電気通信大学より博士号取得.2009年より金沢大学総合メディア基盤センター助教.博士(工学)

パネリスト:衛藤 将史(NICT)

2005年、情報通信研究機構入所。以来、ネットワーク運用管理技術、アプリケーショントレースバック技術、nicterプロジェクトなど、情報通信セキュリティ技術の研究開発に従事。nicterプロジェクトでは主にマクローミクロ相関分析技術、スペクトラム解析を応用したマルウェアの類似性検証手法の研究開発に取り組む。

パネリスト:高倉 弘喜(名大)

1990年九州大学工学部情報工学科卒業,1992年同大学院工学研究科情報工学専攻修士課程修了,1995年京都大学工学研究科情報工学専攻博士課程修了,1995年イリノイ州立大学アーバナシャンペーン校計算機学科訪問研究員,1995年奈良先端科学技術大学院大学助手,1997年京都大学講師,2000年京都大学助教授,2010年名古屋大学教授,現在に至る.ゼロデイ攻撃等の未知の不正プログラムを抽出する研究、次世代ネットワークにおけるセキュリティ対策の研究に従事.

パネリスト:鈴木 伸介(アラクサラネットワークス)

1997年東京大学工学系研究科修士課程修了。同年(株)日立製作所入社。同社システム開発研究所・中央研究所にて、IPv6関連の研究開発に従事。2005年アラクサラネットワークス(株)出向。同社にてルータ・スイッチ関連の技術マーケティングに従事。
KAME Projectコアメンバー(2000-2006年)。JGN-II特別研究員(2006-2008年)。WIDE Projectメンバー。

パネリスト:松崎 吉伸(インターネットイニシアティブ)

1998年 IIJ入社、2000年 同社バックボーン運用に参加。以降、あれこれ楽しそうなことを見つけては頑張る日々。NSP-SEC-JP Moderator、APNIC IPv6 Technical SIG chair、The Asia Pacific OperatorS Forum co-chair、JPCERT/CC専門委員

IPv4アドレス在庫枯渇カウントダウン−その現状と対処方策−

9月9日(木)13:30-16:30[第1イベント会場(総合学習プラザ2F工学部 大講義室)]

[企画概要]

IPv4アドレス枯渇の枯渇日まであと一年を切っており,対策の検討,対処の実施が急務である.この枯渇の状況と対処の国内・国外動向について,枯渇対応に第一線で取り組んでいるJPNICによる講演,ネットワーク構築者,コンテンツ事業者,キャンパスネットワーク構築・運用者による対応の紹介を実施する.また,セッション参加者が,今後不可避であるIPv4アドレス在庫枯渇に対して各自での対応ができるよう,パネル討論による対処方策の議論を実施する.

全体司会:藤崎 智宏(NTT)

日本電信電話株式会社 情報流通プラットフォーム研究所
慶応大学大学院 メディアデザイン研究科 後期博士課程
1990年 日本電信電話株式会社 ソフトウェア研究所 入所
1997年ころより,IPv6関連技術の研究に従事
現在,IPv6/IPv4共存ネットワーク安定利用技術の研究に従事.
(財)日本インターネット協会 IPv6ディプロイメント委員会 議長
日本オープンポリシーフォーラム ポリシーワーキンググループ 議長

●[13:30-14:20] 講演(1)「IPv4アドレス在庫枯渇 - その問題点と対応の概況」

[講演概要]

パネルディスカッションに対する基礎知識の整理のために、2012年と言われているIPv4アドレスの在庫枯渇に関して、在庫枯渇自体の問題点,対応状況の現況などを概括する。

 
前村 昌紀(日本ネットワークインフォメーションセンター)

1994年国内大手ISPの事業立ち上げにネットワーク技術者として参画。以降ネットワーク設計と対外接続部運用・技術渉外に従事。
2000年外資通信事業者に移り、国内IP技術,アジア地域IP製品管理,研究開発に従事。
この間、JANOG(日本ネットワークオペレーターズグループ)立ち上げ,JPNIC(社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)におけるIPアドレス管理の方針策定など、インターネット運営に関する活動に関与し、2007年役員を務めていたJPNICの事務局に、専従のIP事業部長として着任。2009年インターネット推進部長。

APNIC(Asia Pacific Network Information Centre)理事会議長,国際大学GLOCOM客員研究員,麗澤大学経済学部経営学科非常勤講師。

●[14:20-14:50] 講演(2)「ISP,IXP, キャリア等,事業者の枯渇対応」

[講演概要]

近年のインターネット環境にはいくつかの大きな環境変化がある。国際的には、IPv4アドレスの枯渇に伴う環境変化がある。
また、コンテンツを持つ事業者の成長や情報家電などが現実になってきている。
一方、国内特有の環境変化としては、2011年度に NTT-NGN という大きな IPv6ネットワークが準備される。
これらの環境変化に向けて、各プレーヤーはどのようなことを考えるべきかを俯瞰して議論したい。

中川 あきら(日本インターネットエクスチェンジ)

東京通信ネットワーク(TTNet)にてフレームリレー・ATM・インターネットバックボーン設計/大規模改修などを実施。
パワードコムにてインターネット 3社統合(AS統合)・経営企画等。
KDDI にて au の国際ローミング開発・IPv4枯渇 / IPv6 対応等を担当。
日本インターネットエクスチェンジ株式会社 (JPIX)にて、新規事業企画 (現職)
社外においては、JPNIC Policy-WG、IPv6普及高度推進協議会 家庭用ルータSWG、日本インターネット協会 IPv6-DC などで活動中。

●[14:50-15:20] 講演(3)「コンテンツプロバイダの枯渇対応」

[講演概要]

IPv4アドレス枯渇が囁かれてから2年が経過しているが、インターネット通信事業界とソーシャルメディアを中心とするインターネットコンテンツ業界との危機感には未だに隔たりがある。その問題と原因を明らかにすると同時に、コンテンツプロバイダの枯渇対応の実情を示し、IPv6対応の必然性、そして今後の課題と方針について発表する。

伊勢 幸一(ライブドア)

1962年生まれ。1986年室蘭工業大学工学部卒業。2005年に(株)スクウェア・エニックスを退職し株式会社ライブドアへ入社。2008年、技術研究室を設立し、2008年10月情報環境技術研究室室長に就任。以後、新世代ネットワークアーキテクチャやオーバーレイネットワーク技術の研究業務を統括。

●[15:20-15:50] 講演(4)「キャンパスネットワークの枯渇対応」

[講演概要]

IPv6対応が叫ばれて久しく、多くの大学等においてキャンパスネットワークの仕様にIPv6対応という項目が入ったシステム更新を2回程度は経験しているはずである。しかし、実際に外部ネットワークとIPv6接続を実施している組織は一部であり、さらに学内どこからでもIPv6 が利用可能な大学は稀である。その原因のひとつとして、セキュリティ上の要請からIPv4において複雑なアクセス制限を実現している一方、それと同様の構成をIPv6で実現することが技術的に困難である点が挙げられる。本講演では、キャンパスネットワークにおけるIPv6対応状況と問題点について実例を交えて述べる。

相原 玲二(広島大)

広島大学情報メディア教育研究センター長・教授.
1986年広島大学大学院工学研究科博士課程後期修了.(工学博士)
同大工学部助手,同大集積化システム研究センター助教授などを経て2009年より現職.
マルチプロセッサシステム,インターネット,ネットワークアーキテクチャ,動画像伝送システムなどの研究に従事.
キャンパスネットワークの構築・運用などの業務に従事.

●[16:00-16:30] パネル討論「IPv4アドレス在庫枯渇対応の処方箋」

[討論概要]

このセッションで発表した登壇者全員で、目前に迫ったIPv4アドレス在庫枯渇に関して討議する。
インターネットは「ネットワークのネットワーク」であり、ユーザ,学術ネットワーク,商用接続事業者,オンラインサービスやコンテンツ提供を実現するサーバ・データセンターなどが相互に接続されて構成されている。IPv4アドレスの在庫枯渇は、IPv6への移行,NATやトランスレータの導入などいくつかの対応策があるが、ここで難しいのは、自分が管理するネットワークに属している利用者が接続する対地は世界各地に散らばっており、それら対地がそれぞれの対応策を実施していることである。
このパネルディスカッションでは、接続事業者,コンテンツ事業者,キャンパスネットワークそれぞれの立場からIPv4アドレス在庫枯渇における問題を語っていただき、インターネット全体として好ましい対策のあり方を探りたい。

 
討論司会:前村 昌紀(日本ネットワークインフォメーションセンター)

1994年国内大手ISPの事業立ち上げにネットワーク技術者として参画。以降ネットワーク設計と対外接続部運用・技術渉外に従事。
2000年外資通信事業者に移り、国内IP技術,アジア地域IP製品管理,研究開発に従事。
この間、JANOG(日本ネットワークオペレーターズグループ)立ち上げ,JPNIC(社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター)におけるIPアドレス管理の方針策定など、インターネット運営に関する活動に関与し、2007年役員を務めていたJPNICの事務局に、専従のIP事業部長として着任。2009年インターネット推進部長。

APNIC(Asia Pacific Network Information Centre)理事会議長,国際大学GLOCOM客員研究員,麗澤大学経済学部経営学科非常勤講師。

パネリスト:中川 あきら(日本インターネットエクスチェンジ)

東京通信ネットワーク(TTNet)にてフレームリレー・ATM・インターネットバックボーン設計/大規模改修などを実施。
パワードコムにてインターネット 3社統合(AS統合)・経営企画等。
KDDI にて au の国際ローミング開発・IPv4枯渇 / IPv6 対応等を担当。
日本インターネットエクスチェンジ株式会社 (JPIX)にて、新規事業企画 (現職)
社外においては、JPNIC Policy-WG、IPv6普及高度推進協議会 家庭用ルータSWG、日本インターネット協会 IPv6-DC などで活動中。

パネリスト:伊勢 幸一(ライブドア)

1962年生まれ。1986年室蘭工業大学工学部卒業。2005年に(株)スクウェア・エニックスを退職し株式会社ライブドアへ入社。2008年、技術研究室を設立し、2008年10月情報環境技術研究室室長に就任。以後、新世代ネットワークアーキテクチャやオーバーレイネットワーク技術の研究業務を統括。

パネリスト:相原 玲二(広島大)

広島大学情報メディア教育研究センター長・教授.
1986年広島大学大学院工学研究科博士課程後期修了.(工学博士)
同大工学部助手,同大集積化システム研究センター助教授などを経て2009年より現職.
マルチプロセッサシステム,インターネット,ネットワークアーキテクチャ,動画像伝送システムなどの研究に従事.
キャンパスネットワークの構築・運用などの業務に従事.

第14回パターン認識・メディア理解アルゴリズムコンテスト

9月7日(火)13:30-16:30[第2イベント会場(西講義棟2F工学部 第1講義室)]

[企画概要]

本イベント企画では,「ターゲットをロックオンせよ! 移動物体の追跡 」と題した第14回パターン認識・メディア理解アルゴリズムコンテストの入賞者の発表,表彰式,および受賞者自身によるアルゴリズム発表を行う.本コンテストは,パターン認識・メディア理解(PRMU)研究専門委員会が,当該研究分野における若手研究者の育成と研究会活動の活性化を目的として,1997年度より秋の大会併催事業として実施している.本事業は,若手研究者およびこれから研究者を目指す学生(主に,高専,学部・大学院生)を主たる対象に,具体的な課題を解決することの楽しさを通して研究の面白さを体験してもらうことを目指している.募集にあたってはコンテストのホームページ(http://www.murase.m.is.nagoya-u.ac.jp/alcon2010/)でサンプルプログラム・画像データを公開してアルゴリズムを実装したプログラムの提出を求め,このプログラムの処理結果や計算時間等を参考に,審査委員会でアルゴリズムの新規性や性能を審査し,優秀なプログラムを選定している.応募対象者が若手研究者や学生であることから,アルゴリズムの完璧さや実装の工夫よりも,若手研究者や学生ならではの素朴なアイデアを積極的に評価する方針を採っている.

司  会:出口 大輔(名大)

2001年名古屋大学工学部電気電子情報工学科卒.2006年同大大学院博士後期課程修了.2004年〜2006年まで日本学術振興会特別研究員.2006年名古屋大学大学院工学研究科研究員,2008年より同大助教.現在に至る.博士(情報科学).主に画像処理・パターン認識技術の開発とそのITSおよび医用応用に関する研究に従事.

●[13:30-13:35] 開会挨拶
美濃 導彦(京大)

京都大学工学部助手,京都大学工学部附属高度情報開発実験施設助教授を経て,京都大学学術情報メディアセンター教授.昭和62年〜63年マサチューセッツ州立大学客員研究員.平成18年4月より平成22年3月まで同センター長.平成20年10月より京都大学総長室副室長を兼任.画像処理,人工知能,知的コミュニケーション関係の研究に従事.工学博士.IEEE,ACM,情報処理学会,電子情報通信学会,画像電子学会,日本ロボット学会,日本バーチャルリアリティ学会各会員.

●[13:35-13:45] 課題概要説明,審査結果発表
●[13:45-13:50] 入賞者表彰
●[13:50-15:20] 入賞者によるアルゴリズム紹介
●[15:30-16:30] 講演(1)「時空間MRFモデルによるトラッキング−ITSへの応用−」

[講演概要]

道路交通の円滑化を目的として、信号制御やカーナビを通した情報提供が既に行われている。近年では、事故回避を目的として、ドライバーへの情報提供や警告を行う路車協調型の安全運転支援システムが実用化されようとしている。これらのサービスのためには、道路上の車や歩行者をのセンシングとそれに基づく状況判断が不可欠であり、画像トラッキング技術はその要である。また、車載センサーによる歩行者検知技術においても、画像認識技術への期待が高い。本講演では、講演者が開発してきた画像トラッキング技術と、そのITS(高度交通システム)への応用例について紹介しながら、ITSにおける画像センシングの役割について考える。

上條 俊介(東大)

1992年3月 東京大学大学院理学系研究科修士課程・物理学専攻終了
1992年4月 富士通株式会社入社、組込み用プロセッサの開発に従事
1998年4月〜2001年3月 東京大学大学院光学系研究科博士課程・情報工学専攻 博士(工学)
2001年4月 東京大学生産技術研究所着任、現在准教授

ポスト情報爆発へ向けて−Beyond Webの展望−

9月8日(水)10:00-12:30[第2イベント会場(西講義棟2F工学部 第1講義室)]

[企画概要]

Webは,その出現から約20年を経たいま,ネットワーク社会を支える情報基盤として多大な役割を果たしている.世界規模でのコミュニケーションや,「情報爆発」と称される膨大な情報の処理や活用が求められる状況は,Webなくしてはあり得なかった.しかし,今日のWebは,動画等の多様なメディアの配信や,Web上で展開される社会的インタラクションなど,多方面への拡大を続けている.また,モバイル・ユビキタス環境における利用やセンサ情報との統合など,実世界におけるユーザの行動等との連携も進んでいる.本企画では,このような現状を踏まえ,講演およびパネル討論により,今後のWebの展開を占う.

 
全体司会・討論司会:山名 早人(早大)

平成元〜5年早大情報科学研究教育センター助手.平成5〜12年電子技術総合研究所.平成8〜9年通産省機械情報産業局電子機器課課付.平成12年理工学部助教授.平成17年理工学術院教授, 平成17年国立情報学研究所客員教授,現在に至る.情報検索,検索エンジン信頼性解析,計算機アーキテクチャ等の研究に従事.平成22年よりDBS研究会主査.

●[10:00-11:00] 講演(1)「インターネットサービス企業における情報爆発とその先」

[講演概要]

インターネットはますます拡大し,多様化するとともに巨大化している.
その中でインターネットサービス企業の提供するサービス規模も拡大してきており,ユーザー数,利用率,トランザクションは日々増加し,様々な履歴やログ情報も爆発している.しかし,これら爆発するデータの活用が,サービスの利便性向上や新しいエクスペリエンスの提案に役立っていることも確かである.本講演では,インターネットにおける主要な技術的課題について触れながら,インターネットサービス企業がこの情報爆発に対してどのような対応を行っているのかについてを解説し,今後の方向性について考察する.

森 正弥(楽天)

1998 慶應慶応義塾大学・経済学部卒.アクセンチュア株式会社を経て,2006 楽天株式会社入社.現在,同社 執行役員 兼 楽天技術研究所長として,研究開発組織のマネジメントに従事.情報処理学会 DBS研究会 運営委員.電子情報通信学会 データ工学研究専門委員会 専門委員.IPA Ruby 標準化WG 委員.Rubyアソシエーション 運営委員.著作に「クラウド大全」(日経BP社、共著),「ウェブ大変化 パワーシフトの始まり」(近代セールス社)がある.

●[11:00-12:30] パネル討論「Beyond Webの展望」

[討論概要]

Webは,その出現から約20年を経て,世界規模でのコミュニケーションや,「情報爆発」と称される膨大な情報の処理や活用が求められる状況を創り出した.そして,ありとあらゆる情報を簡単に入手できるようになった.「情報爆発時代」にいる我々は,5年後,10年後を見据え今何をすべきか,本パネルでは「Beyond Web」をテーマに,まず4人のパネラーに,それぞれの立場から講演をしていただく.具体的には,ビジネスにおける様々な履歴・ログデータの活用,急速にその重要性が増しているソーシャルメディアの活用,さらには,情報爆発時代が可能とした音声情報検索,ウェアラブルコンピューティングといった新しい情報活用の視点から「Beyond Web」を考える.「情報爆発からの恩恵を最大化することができるのか」「Webを超える新しい情報活用とは何か」「今はじめなければならない研究は何か」等々,様々な角度からの議論を会場の皆様と共に進めていく.

討論司会:山名 早人(早大)

平成元〜5年早大情報科学研究教育センター助手.平成5〜12年電子技術総合研究所.平成8〜9年通産省機械情報産業局電子機器課課付.平成12年理工学部助教授.平成17年理工学術院教授, 平成17年国立情報学研究所客員教授,現在に至る.情報検索,検索エンジン信頼性解析,計算機アーキテクチャ等の研究に従事.平成22年よりDBS研究会主査.

パネリスト:森 正弥(楽天)

1998 慶應慶応義塾大学・経済学部卒.アクセンチュア株式会社を経て,2006 楽天株式会社入社.現在,同社 執行役員 兼 楽天技術研究所長として,研究開発組織のマネジメントに従事.情報処理学会 DBS研究会 運営委員.電子情報通信学会 データ工学研究専門委員会 専門委員.IPA Ruby 標準化WG 委員.Rubyアソシエーション 運営委員.著作に「クラウド大全」(日経BP社、共著),「ウェブ大変化 パワーシフトの始まり」(近代セールス社)がある.

パネリスト:後藤 真孝(産総研)

1998年早稲田大学大学院理工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。同年、電子技術総合研究所に入所し、2001年に改組された産業技術総合研究所において、現在、情報技術研究部門メディアインタラクション研究グループ長。統計数理研究所 客員教授、筑波大学大学院 准教授(連携大学院)、IPA未踏ユースPMを兼任。ドコモ・モバイル・サイエンス賞 基礎科学部門 優秀賞、科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞、情報処理学会 長尾真記念特別賞等、25件受賞。

パネリスト:寺田 努(神戸大)

1997年大阪大学工学部卒業.1999年同大学院工学研究科博士前期課程修了.2000年同大学院工学研究科博士後期課程退学.同年より大阪大学サイバーメディアセンター助手.2005年より同講師.2007年神戸大学大学院工学研究科准教授.現在に至る.2004年より特定非営利活動法人ウェアラブルコンピュータ研究開発機構理事,2005年には同機構事務局長を兼務.2004年には英国ランカスター大学客員研究員を兼務.博士(工学).アクティブデータベース,ウェアラブルコンピューティング,ユビキタスコンピューティングの研究に従事.

パネリスト:土方 嘉徳(阪大)

1996年大阪大学大学院基礎工学研究科物理系専攻修士課程修了.同年,日本アイ・ビ−・エム(株)東京基礎研究所 入社.2002年より,大阪大学大学院基礎工学研究科システム創成専攻,特別研究員,助手,講師を経て,現在准教授.知的Webシステム,パーソナライゼーション,テキストマイニングなどの研究に従事.博士(工学).インタラクション2005ベストペーパー賞,ACM IUI Best Paper Awardなどを受賞.

仮想社会と電子書籍−紙の本はなくなるか?−

9月8日(水)16:00-18:00[第2イベント会場(西講義棟2F工学部 第1講義室)]

[企画概要]

ここ数年書籍の電子化/コンテンツ化についての話題が絶えない.Google社のサービスであるブック検索とその権利問題,あるいは国立国会図書館所蔵資料のデジタルアーカイブ整備など話題はつきない.この企画では書籍の電子化やそれを前提としたサービスなどに関連する最新動向を各分野の一線でご活躍の方々にお話しいただき,ネットワーク時代の書籍や図書館のあり方について議論する場を提供する.

全体司会:全 へい東(千葉大)

平成元年慶応大学大学院理工学研究科修了。同年より東京大学生産技術研究所・助手。平成5年東京商船大学(現東京海洋大学)助教授。平成13年千葉大学教授。画像処理,コンピュータビジョンなどの研究に従事。工学博士。

●[16:00-16:30] 講演(1)「情報技術の宝庫:電子図書館」

[講演概要]

 情報技術の発展によって非常に多くのものがバーチャル・スペース、情報空間の世界に移りつつある。電子図書館もその1つであるが、理想の電子図書館を建設しようとすると様々な情報技術の開発が必要である。書物のスキャナー、あらゆる文字の判別と高精度のOCR、ページレイアウトの判断、表題、目次、見出し、本文、図、表、写真、奥付けなどの自動認識、書誌情報の自動付与、主題分析、分類、抄録等の自動作成、本文テキストの構造化と高度な検索、書誌検索から目次検索、事実検索へ、また大量の電子図書のデータベース化と長期保存技術、Webサイト情報に対する同種の技術の開発、世界中の電子図書館を高速通信網で一体化する技術などがある。こういった問題について論じる。

長尾 真(国立国会図書館)

1959年京都大学工学部卒業. 1966年工学博士. 1973年京都大学教授. 1997年京都大学総長. 2004年独立行政法人情報通信研究機構理事長. 2007年国立国会図書館長(現在に至る). 京都大学名誉教授. 1997年紫綬褒章. 2005年日本国際賞, フランス共和国レジオンドヌール勲章シュバリエ章. 2008年文化功労者.

●[16:30-17:00] 講演(2)「『連想×書棚』で知識の扉を開く」

[講演概要]

本年6月、8年ぶりにリニューアルしたWebcatPlusは、図書館、新刊書店、古書店、電子書籍ライブラリなどから書籍に関わる情報を広く収集して、それらを本・作品・人物を軸として読み解くための情報サービスである。自分のお気に入りを「連想×書棚」に立てると、それをカギに関連する本を連想検索で収集することができる。自分の興味を核として、確かな知を得るためのサービスを目指している。このサービスを紹介しながら、連想の情報学の可能性について論じる。

高野 明彦(NII)

国立情報学研究所連想情報学研究開発センター長・教授。1980年東大数学科卒。日立製作所に20年勤務の後、2001年より現職。理学博士。専門は、関数プログラミング、プログラム変換、連想の情報学。研究成果のGETAを活用して、Webcat Plus、新書マップ、文化遺産オンライン、想-IMAGINE Book Searchなど「連想する情報サービス」の構築に情熱を燃やしている。NPO連想出版理事長。

●[17:00-17:30] 講演(3)「Googleのデジタル書籍に関する取り組み」

[講演概要]

Googleの書籍電子化の取り組みであるGoogleブックスは、現在全世界で、出版社から提供された200万タイトル、パブリックドメイン200万タイトルを含む1200万タイトルのデジタル化を完了している。これまでは、書籍のコンテンツがインターネット上のコンテンツと同様に検索を通じて読者に「発見」される仕組みとして利用されてきたが、2010年夏からは電子書籍プラットフォームとしての機能である「Googleエディション」の提供を予定している。Googleブックスの最新状況とそれを支えるクラウド・コンピューティングとの関わりについてご紹介したい。

佐藤 陽一(グーグル)

早稲田大学第一文学部卒。東洋経済新報社を経て、1998年から2006年までマイクロソフトでマイクロソフトプレス(マイクロソフト公式解説書)の出版事業の日本担当マネージャー。2006年にGoogle入社。主にGoogle ブックスに関する出版社・図書館とのパートナーシップ構築を担当。

●[17:30-18:00] 講演(4)「インターネット環境下における情報鎖国の可能性」

[講演概要]

現在われわれは、計算機とネットワークの技術的進歩を前提として、文明、文化、学術、学術出版の実践において大きな変化の局面に遭遇している。電子ジャーナル、電子ブック、「紙の本」という現象的話題はさておき、知的活動、知的生活そのものがデジタル化されつつ事態をわれわれは目撃しつつある。これらの情報流通の基盤は本質的にライフスタイルを変えつつあるといってよい。その変化はさらに、知識と知的活動とは何かという根本的反省を促すと同時に卑近には国(日本)という単位の無意味化をもたらしつつあると理解するのが普通である。しかし、国内的な情報流通の産業構造はインターネットと携帯電話網に支えられたテクノロジーとビジネスによって大きく変化しつつあり、そこではグローバル化が進行しつつあるようにも見えるが、同時に規制と推進の名のもとに国の役割、国際関係の重要性も顕在化しつつある。このような問題の複雑な構造について、「本」という観点から検討する。

土屋 俊(千葉大)

1975年東京大学教養学部卒、1980年同大学院人文科学研究科哲学専攻博士課程単位取得退学、1980年日本学術振興会奨励研究員、1982年千葉大学助教授文学部、1994年同教授、1996年総合情報処理センター長、1998年から2002年まで、2005年から2007年まで同附属図書館長、2009年総合メディア基盤センター長。哲学、論理学、認知科学などについて研究、教育してきた。

サービスコンピューティングへのアプローチ

9月7日(火)13:30-15:30[第3イベント会場(西講義棟3F工学部 第3講義室)]

[企画概要]

サービスを単位としてインターネット上にソフトウェアを構築し利用するサービスコンピューティングは,エージェント,ソフトウェア工学,サービス科学など既存の複数の技術に跨る横断的な学際分野である.本企画では,各技術の視点からサービスコンピューティングへのアプローチについて講演を行うことで,サービスコンピューティングというビジョンが投げかける新たなチャレンジ,そして横断的な技術分野の面白さを感じ取ってもらう.さらに,パネル討論では,各技術の関係を整理することで,近年注目を集めているクラウドコンピューティングやサービス科学への貢献や位置づけの違いも明らかにしながら,サービスコンピューティングという分野の役割,向かう方向について議論する.

●[13:30-13:55] 講演(1)「ソーシャルeサイエンスのためのサービスコンピューティング」

[講演概要]

サービス科学を方法論として突き詰めると「ソーシャルeサイエンス」という概念に到達する。ソーシャルeサイエンスとはeサイエンスの社会化、すなわち社会の日常的な営みと融合した時空間的に大きな仮説検証サイクルによる知識創造である。これを普及させることは、科学的根拠に基づく社会(evidence-based society)を構築する、つまり社会的な意思決定を経験や勘や多数決ではなく科学的根拠に帰着させる世の中にするということである。ソーシャルeサイエンスにおける情報技術への主な要請は、
・実用上の利便性と研究上の有用性を同時に高めるようなデータの構造化と相互連携
・社会的に共有された目的(価値)に基づくサービス(社会の機能)の設計
であり、これらはサービスコンピューティングとの親和性が高いと考えられる。本講演ではソーシャルeサイエンスの研究事例の紹介を交じえながらこれらの要請について考察する。

橋田 浩一(産総研)

1981年東京大学理学部情報科学科卒業。1986年同大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士。1986 年電子技術総合研究所入所。1988年から1992年まで(財)新世代コンピュータ技術開発機構に出向。2001年から産業技術総合研究所。情報処理学会山下記念研究賞、日本認知科学会優秀論文賞、情報処理学会情報規格開発賞等を受賞。専門は自然言語処理、人工知能、認知科学。日本認知科学会会長、言語処理学会会長。

●[13:55-14:20] 講演(2)「サービス/クラウドコンピューティングへの誘い:技術動向と課題」

[講演概要]

クラウドコンピューティングやSaaS(Software as a Service)が国内でも普及しつつあるが,多くの課題がある.サービス/クラウドコンピューティングに関する国際会議では研究成果が活発に議論されているが,国内からの参加者が極めて少なく,国内と世界の研究にギャップも見られる.また,現場ではクラウド間連携や既存システムとクラウドとの連携などの課題が提起されている.ここでは,国際会議における研究動向も含め,サービス/クラウドコンピューティングの技術動向,研究と実践の両面における課題,今後の方向を紹介する.あわせて,本分野の研究へ参画して頂くためのアプローチを紹介する.

青山 幹雄(南山大)

1980年〜1995年富士通にて分散ソフトウェアの開発と管理に従事.1995年〜2001年新潟工科大学教授.2001年より現職.ソフトウェア工学,サービス指向アーキテクチャ(SOA),クラウドサービスなどの研究に従事.サービスコンピューティングに関する国際会議では,これまで,ICSOC, ICWS, CLOUDなどのプログラム委員を務める.第2回ICSOCプログラム委員長.

●[14:20-14:45] 講演(3)「マルチエージェントシステムからのサービスコンピューティングへのアプローチ」

[講演概要]

サービスコンピューティングの特徴の一つは,複数の原子サービスを組み合わせて複合サービスを構築することで,利用者の多様な要求を満たす点にある.一方,マルチエージェントシステム研究では,複数の意思決定主体(エージェント)の協調・交渉といった問題を扱ってきており,両技術は親和性が非常に高いと言える.本講演では,エージェントアプローチによるサービスコンピューティング解決の一事例として,複合サービス合成問題の制約充足問題として定式化し,解決する研究を紹介する.つぎに,個々の原子サービスが複数のステークホルダーによって提供されている場合に生じる,提携安定性や収益配分の問題をエージェント技術の視点から議論する.

松原 繁夫(京大)

1992年京都大学大学院工学研究科精密工学専攻修士課程修了.同年NTTに入社.2007年より,京都大学大学院情報学研究科社会情報学専攻准教授.情報経済学に興味を持つ.博士(情報学).2002年度人工知能学会論文賞,2003度情報処理学会研究開発奨励賞,2005年度日本ソフトウェア科学会論文賞受賞.人工知能学会,日本ソフトウェア科学会,情報処理学会会員.

●[14:45-15:10] 講演(4)「言語グリッドに見るサービスコンピューティングの課題」

[講演概要]

言語グリッドとは,世界中の言語資源(辞書や翻訳ソフト等)をサービスコンピューティングを用いてインターネット上で共有し,連携させる多言語サービス基盤である.現在,120組織が参加し,16種類約80個の原子サービスが共有されている.本講演では,この言語グリッド上の事例を用いて,サービス合成やQoS,ポリシー制御などのサービスコンピューティング分野の中心的な課題を説明し,現在取り組んでいる研究について紹介するとともに,今後の方向性やコミュニティが発展するために必要な枠組みについて考察する.

村上 陽平(NICT)

2003年京都大学大学院社会情報学専攻修士課程修了.2006年同大学院社会情報学専攻博士課程修了.博士(情報学).現在,(独)情報通信研究機構研究員.電子情報通信学会サービスコンピューティング時限研究専門委員会委員長を務める.世界中の言語資源をインターネット上でサービスとして共有する言語グリッドプロジェクトに従事.

●[15:10-15:30]パネル討論

[討論概要]


サービスを単位としてインターネット上にソフトウェアを構築し利用するサービスコンピューティングは,エージェント,ソフトウェア工学,サービス科学など既存の複数の技術に跨る横断的な学際分野である.本パネルでは,近年注目を集めているクラウドコンピューティングやサービス科学への貢献や位置づけの違いも明らかにしながら,サービスコンピューティングという分野の役割,向かう方向について議論する.

討論司会:石川 冬樹(NII)

2007年東京大学大学院情報理工学研究科博士課程修了.博士(情報理工学).2007年より国立情報学研究所助教,総合研究大学院大学複合科学研究科助教兼任.現在に至る.サービスコンピューティング,ソフトウェア工学の研究に従事.電子情報通信学会 情報・システムソサイエティ サービスコンピューティング時限専門研究委員会 副委員長.

パネリスト:橋田 浩一(産総研)

1981年東京大学理学部情報科学科卒業。1986年同大学院理学系研究科博士課程修了。理学博士。1986 年電子技術総合研究所入所。1988年から1992年まで(財)新世代コンピュータ技術開発機構に出向。2001年から産業技術総合研究所。情報処理学会山下記念研究賞、日本認知科学会優秀論文賞、情報処理学会情報規格開発賞等を受賞。専門は自然言語処理、人工知能、認知科学。日本認知科学会会長、言語処理学会会長。

パネリスト:青山 幹雄(南山大)

1980年〜1995年富士通にて分散ソフトウェアの開発と管理に従事.1995年〜2001年新潟工科大学教授.2001年より現職.ソフトウェア工学,サービス指向アーキテクチャ(SOA),クラウドサービスなどの研究に従事.サービスコンピューティングに関する国際会議では,これまで,ICSOC, ICWS, CLOUDなどのプログラム委員を務める.第2回ICSOCプログラム委員長.

パネリスト:松原 繁夫(京大)

1992年京都大学大学院工学研究科精密工学専攻修士課程修了.同年NTTに入社.2007年より,京都大学大学院情報学研究科社会情報学専攻准教授.情報経済学に興味を持つ.博士(情報学).2002年度人工知能学会論文賞,2003度情報処理学会研究開発奨励賞,2005年度日本ソフトウェア科学会論文賞受賞.人工知能学会,日本ソフトウェア科学会,情報処理学会会員.

パネリスト:村上 陽平(NICT)

2003年京都大学大学院社会情報学専攻修士課程修了.2006年同大学院社会情報学専攻博士課程修了.博士(情報学).現在,(独)情報通信研究機構研究員.電子情報通信学会サービスコンピューティング時限研究専門委員会委員長を務める.世界中の言語資源をインターネット上でサービスとして共有する言語グリッドプロジェクトに従事.

学際テーマの研究推進にむけて−学際テーマを研究することの楽しさと難しさ−

9月7日(火)16:00-18:00[第3イベント会場(西講義棟3F工学部 第3講義室)]

[企画概要]

情報セキュリティ研究は,情報システムが適用される社会システムにおいて,安全・安心で信頼ある環境を推進することを目的とした研究領域である.このために,技術のみならず,社会学,経済学,心理学などの領域との学際的な研究が必要とされている.SPT研究グループは前述した研究を推進しているが,研究者はしばしば他領域の研究作法との違いなどを認識することになる.しかしながら,学際領域の研究の推進が,我が国の情報処理研究に多大な貢献をすることは明白で,課題を共有,解決し今後の研究推進を図ることは有意義である.本パネルでは,留学生,社会人を含む学生パネリストを予定し,実際の研究の概要を発表するとともに,研究の楽しさ,難しさを討論することをもって,聴衆に対し新たに学際領域への興味・意欲を喚起し,よって研究を推進することとしたい.

全体司会:小松 文子(情報処理推進機構)

日本女子大学卒。NECにて、汎用コンピュータのOS開発、情報ネットワークプロトコルの国際標準化活動、情報セキュリティの研究開発、企業・政府のセキュリティ関連システムへの技術支援に従事。専門は、PKI、アイデンティティ管理、プライバシー保護システム。2008年より(独)情報処理推進機構 IPA セキュリティセンター情報セキュリティ分析ラボラトリー ラボラトリー長。人間の行動科学の観点から情報セキュリティ対策推進を目的とした、研究を進めている。

パネリスト:西岡 大(岩手県大)

1984年生.2006年岩手県立大学ソフトウェア情報学部卒業.2008年同大学大学院ソフトウェア情報学研究科博士前期課程修了,2008年同大学大学院ソフトウェア情報学研究科博士後期課程入学,現在に至る.情報セキュリティに関する安心感の研究に従事.情報処理学会学生会員
ACM学生会員

パネリスト:高木 大資(東大)

1982年 香川県に生まれる
2008年 明治学院大学大学院心理学研究科修士課程修了
現在 東京大学大学院人文社会系研究科博士課程(心理学修士)・日本学術振興会特別研究員(DC2)
所属学会  日本社会心理学会
主な研究内容は、地域コミュニティ内におけるソーシャル・キャピタルと犯罪被害の関連について、郵送調査データなどを用いて明らかにすることである。とくに、近年では地理情報システム(GIS)と空間統計学の郵送調査データへの適用に関心があり、地域内の住民同士のダイナミクスが犯罪発生にどのような影響を与えるのかをより詳細に記述することを目指している。

パネリスト:ボンコット ジェンチャラッサクン(東大)

2006年 King Mongkut’s Institute of Technology Ladkrabang、情報工学 卒業。2006 - 2009年 Toyota Motor Asia Pacific Engineering and Manufacturing Co., Ltd.にてソフトウエアエンジニアとして従事。2010年 東京大学情報理工学系研究科電子情報学専攻 修士課程 入学 (松浦研究室)、2009年 東京大学情報理工学系研究科電子情報学専攻 研究生。現在、情報セキュリティの立場から地域間産業連関データと日本産業生産性データ(産業部門間データ)を分析して、情報セキュリティにおける相互依存性を実証することを目的とした研究を行っている。

パネリスト:高 鵬(九大)

1982年10月(中国)江蘇省連雲港市生、2005年6 月 (中国)南京工業大学電子通信工学部卒業、2005年7 月 (中国)江蘇自動化研究所 電子デバイス信頼性テストセンター エンジニアとして従事。2008年10月 九州大学大学院システム情報科学府 研究生、2009年4 月 九州大学大学院システム情報科学府 修士課程 情報学専攻 入学後、現在に至る。研究興味は、セキュリティインターネットプロトコル。

ScienceとEngineering をつなぐ『Art』を求めて−ERATO湊離散構造処理系プロジェクトシンポジウム−

9月8日(水)10:00-12:30[第3イベント会場(西講義棟3F工学部 第3講義室)]

[企画概要]

近年、論理や集合のような基本データ構造を効率よく処理する「BDD」「ZDD」と呼ばれるデータ構造とアルゴリズムが様々な分野で活用されている。このような技法をベースとして、種々の離散構造を統合的に演算処理する技法を体系化し、分野横断的かつ大規模な実問題を高速に処理する技術基盤を構築することを目標として、「ERATO湊離散構造処理系プロジェクト」が2009年10月にJSTにより採択された。本企画では、湊研究総括によるプロジェクト概要説明に続いて、プロジェクト関係者による研究紹介をポスターセッション形式で開催する。本シンポジウムにより、情報科学技術分野の多数の研究者に関心を持っていただき、離散構造処理系をベースとした分野横断的な研究者コミュニティの交流を深めたい。

●[10:00-10:30] 講演「ERATO湊離散構造処理系プロジェクト:概要紹介と最近の話題」

[講演概要]

計算機は,産業プロセスの最適化や解析,マーケティング,バイオインフォマティクスなど、様々な情報処理に活用されているが,近年の爆発的に増大している大規模データを処理するためには,計算機ハードウェアの高速化だけでなく,膨大な離散構造データを数学的に簡約化し効率よく計算する技術の重要性が高まっている.今年度より開始されたERATO湊離散構造処理系プロジェクトでは、基本的な離散構造である論理関数を処理するBDD(Binary Decision Diagram)と,その進化形であるZDD (Zero-Suppressed BDD)を基盤とした離散構造処理系の研究に取り組んでいる.
本講演では,BDDやZDDに代表されるアプローチに加え,今後想定される分野横断的かつ大規模な実問題を高速に処理するための技術基盤の構築を狙いとする本プロジェクトの概要を紹介し,関連する最近の話題について述べる. 講演資料はこちら

湊 真一(北大)

1988年京都大学工学部情報工学科卒業,1990年同大学大学院修士課程,1995年博士課程(社会人)修了.1990年日本電信電話(株)入社.NTT研究所にて大規模論理データ処理アルゴリズムの研究に従事.2004年より北海道大学 大学院情報科学研究科 准教授.2009年10月よりJST ERATO湊離散構造処理系プロジェクト研究総括(兼務).BDD(二分決定グラフ)を用いた離散構造の処理に興味を持つ.情報処理学会, 電子情報通信学会, 人工知能学会,IEEE各会員. 博士(工学).

津田 宏治(産総研)

1994年京都大学工学部情報工学科卒業.1996年同大学院工学研究科情報工学専攻修士課程修了.1998年同博士課程修了,電子技術総合研究所入所.2000年独GMD FIRST客員研究員.2003-2004独Max Planck研究所研究員.2006-2008同チームリーダー.現在、産業技術総合研究所生命情報工学研究センター機械学習研究班長、主任研究員.JST-ERATO湊離散構造処理系プロジェクトサブリーダー兼任.国立情報学研究所客員准教授(最先端研究開発プログラム).博士(工学).

鷲尾 隆(阪大)

1983年東北大学工学部原子核工学科卒業.1988年東北大学大学院原子核工学専攻博士課程修了.1988年〜1990年マセチューセッツ工科大学原1983年東北大学工学部原子核工学科卒業.1988年東北大学大学院原子核工学専攻博士課程修了.1988年〜1990年マセチューセッツ工科大学原子炉研究所客員研究員.1990 年(株)三菱総合研究所入社.1996 年退社,大阪大学産業科学研究所助教授(知能システム科学研究部門).2006 年大阪大学産業科学研究所教授(知能システム科学研究部門).現在に至る.原子力システムの異常診断手法に関する研究,定性推論に関する研究を経て,現在は知識発見,データマイニングの研究に従事.AAAI,IEEE Computer Society,人工知能学会,情報処理学会,電子情報通信学会,計測自動制御学会,各会員.工学博士.

●[10:30-12:30] ポスター討論:『Art』な人たちによる最新の研究紹介と自由討論

[討論概要]

ERATOポスドク研究員・共同研究者・連携研究者による最新の研究成果(10件程度)をポスターセッションにて発表する。まず各発表者より1人5分程度の研究紹介を行い、その後ポスターにて自由討論とする。シンポジウム来場者および発表者相互の活気ある自由討論により、それぞれの研究の発展を狙うとともに、離散構造処理系をベースとした分野横断的な研究者コミュニティの一層の強化を図る。

組合せパズルの数理とコンピュテーション

9月9日(木)10:00-12:30[第3イベント会場(西講義棟3F工学部 第3講義室)]

[企画概要]

迷路やクロスワード、数独など、パズルは人間の知性の結晶であるが、その背後にある理論は組合せ理論を基盤にした計算理論の範疇にある。近年、これらを含むパズルの計算量の研究が進み、更に計算の立場から、パズルの求解や生成の困難性が数理的に議論できるようになってきた。世界的にも数理、計算、さらにアートを融合したプロジェクトが注目を集めている。わが国でも例えば出力が任意の絵になるような迷路の生成、与えられた図形を組み上げる折り紙の自動生成などの困難に見える問題を解くアルゴリズムの開発も進み、計算理論のコミュニティーでも組合せパズルのプロジェクトが立ち上がっている。本企画では、これらの組合せパズルの最先端研究の一部をわかりやすく、実演を含めて紹介する。

全体司会:上原 隆平(北陸先端大)

1998年電気通信大学論文博士(理学).キヤノン(株)研究員,東京女子大学助手,駒澤大学講師,駒澤大学助教授を経て2004年より北陸先端科学技術大学院大学助教授(のち准教授).理論計算機科学,特にグラフアルゴリズム,計算量の理論,データ構造などの研究に従事.これらの応用としての「折り紙」に傾倒し,『幾何的な折りアルゴリズム』を翻訳.EATCS, ACM, IEEEの各会員.

●[10:00-10:25] 講演(1)「ハラリィの一般化三並べの世界」

[講演概要]

三並べという二人ゲームは、「三目並べ」や「まるばつ」等、地方によって呼び名は色々かもしれないが、誰しも一度は見たことがあるだろうし、子供のころに遊んだ記憶がある方も多いと思う。20世紀後半に活躍した数学者フランク・ハラリィはこれを一般化して、数学的にたいへん面白い問題を作り上げた。正方形のセルを辺と辺、頂点と頂点が合わさるようにいくつか繋げてできた図形(ポリオミノ)を「動物」と呼ぶ。先手と後手とが交互に碁盤目状の盤面のセルを一つずつ選んでいき、自分の選んだセルによって、事前に指定されている動物(ただし回転と裏返しも認める)を先に作った方を勝ちとするゲームである。両者が最前を尽くしたときに先手が勝つ様な動物のことを「勝ち型」、そうでないものを「負け型」と呼ぶ。本講演では、この問題に関する既存研究や未解決問題を紹介する。

伊藤 大雄(京大)

1985年京大・工・数理卒.1987年大学院修士課程了.1995年京都大学博士(工学)取得.
1987年から1996年までNTT研究所,1996年より2001年まで豊橋技術科学大学.
2001年より京都大学大学院情報学研究科通信情報システム専攻,助教授〜准教授.
グラフ・ネットワークアルゴリズム,組合せ問題,離散幾何学,組合せゲーム・パズルの研究に従事.
著書「パズル・ゲームで楽しむ数学」(森北出版),「ネットワーク設計理論(共著)」(岩波書店)等.電子情報通信学会,情報処理学会,日本OR学会,EATCS会員.

●[10:25-10:50] 講演(2)「数理ゲームの必勝法とイカサマの技」

[講演概要]

本発表では,数理ゲームとして3目並べ,山崩し,HEXといった,完全情報有限2人ゲームを取り上げ,その理論的性質と,必勝法の存在について概観する.
また,数理的な側面を離れ,ゲームのイカサマ技についても,簡単に紹介する.

松井 知己(中大)

1990年 東京理科大学 理工学部 経営工学科 助手
1992年 東京大学 工学部 計数工学科 講師
1996年 東京大学大学院 工学系研究科 計数工学専攻 助教授
2001年 東京大学大学院 情報理工学系研究科 数理情報学専攻 助教授
2006年 中央大学 理工学部 情報工学科 教授

●[11:10-11:35] 講演(3)「繰り返し模様とタイリング」

[講演概要]

タイリングは,基本図形に平行移動,回転,すべり鏡映などの単純な操作を繰り返し適用することにより,隙間なく重なりなく平面を埋め尽くすことを指す.タイリングは,たとえばエッシャーの絵画や正倉院裂などの織物に芸術的モチーフとして見られるだけでなく,壁紙やカーテン,着物のデザインなど,身のまわりに広く見受けられる.本講演では,デザイナーの知的支援を目標に,タイリング可能な基本図形を列挙する手法を,特に回転操作によるタイリングに注目して紹介する.

堀山 貴史(埼玉大)

1995年 京都大学工学部情報工学科卒業.1997年 同大学大学院工学研究科情報工学専攻修士課程修了.1999年 同大学大学院工学研究科数理工学専攻博士後期課程退学.同年 奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科助手.2002年 京都大学大学院情報学研究科助手.2007年 埼玉大学大学院理工学研究科准教授.現在に至る.博士(情報学).組合せ問題,オンラインアルゴリズム,計算幾何などの研究に従事.

●[11:35-12:00] 講演(4)「迷路の自動生成と確率的最適化」

[講演概要]

迷路は古くから存在するパズルであり,近年その自動生成に関する研究が進んでいる.プレイヤーにとって魅力的な迷路を作るために,解いた結果が絵画的であることが注目され,講演者のものも含めいくつかの厳密構成法が提案された.本講演ではさらにこれを発展させ,分岐の頻度や行き止まりまでの長さなど,迷路の面白さに影響するその他の特徴を制御しうる確率的構成法を提案する.

池田 心(北陸先端大)

1999東京大学理学部数学科卒業,2003東京工業大学総合理工学研究科博士課程修了,博士(工学).同年京都大学メディアセンター助手,2010北陸先端科学技術大学院大学准教授.進化計算,機械学習,エージェントシミュレーション,創発システム,囲碁プログラム,ゲーム情報学などの研究に従事.

●[12:00-12:25] 講演(5)「UNO は一人でも難しい」

[講演概要]

オセロやチェス,テトリスなどのゲームやパズルの研究は,古典的なゲーム理論と区別しアルゴリズム的組合せゲーム理論と呼ばれ,その目的はゲームの複雑さや必勝パターンなどを調べることにある.本講演では,世界的にもよく知られたカードゲームの一つである UNO を取り上げ,アルゴリズム的組合せゲーム理論の立場からの研究結果を説明する.具体的には,はじめに UNO を二通りにモデル化し.その上でそれらの計算の複雑さを明らかにする.その結果の一つとして,UNO は一人でプレイしても難しいことを紹介する.

宇野 裕之(大阪府大)

1987年 京都大学工学部数理工学科卒業.1989年 同工学研究科修士課程修了.1992年 同工学研究科博士課程退学.大阪府立大学総合科学部助手,カナダ国サイモンフレーザー大学応用科学部コンピュータ科学科客員研究員などを経て,現在大阪府立大学大理学系研究科准教授.主として離散構造とアルゴリズム,組合せ最適化,およびそれらの手法の現実問題への適用に関する研究に従事するとともに,ゲームやパズルに興味を持つ.工学博士(京都大学).編著書「離散数学のすすめ」(現代数学社,共編著).

見えてきた?ライフログ活用サービスのビジネス化とコア技術

9月9日(木)13:30-16:30[第3イベント会場(西講義棟3F工学部 第3講義室)]

[企画概要]

ライフログは、狭義には人間の言動をデジタルデータとして記録に残すことといえるが,最近は,パソコンの小型化や携帯電話機の高機能化,GPSによる位置情報取得の容易化などと相まって,人間の営みの記録をより高次元に集約することで,知的・創造的活動の強力なツールとして注目されつつある.本企画は,上記観点から,具体的なサービスの提供者,研究者の中から,ライフログの推進的役割を担っている方々を招き,注目すべき最新サービス・技術の現状と今後の行方について,ご講演いただくとともに、議論をする場を提供するものである.

全体司会:西 宏之(崇城大)

1979年 九州大学大学院修士課程了(電子工学).
同 日本電信電話公社(現NTT)入社.
音声対話システム,音声認識,ホームネットワーク,企業向け情報通信システムの研究開発に従事.
2002年より崇城大学工学部講師
2006年より同大情報学部情報学科教授.博士(工学).
電子情報通信学科、音響学会,情報処理学会,IEEE各会員.

●[13:35-14:00] 講演(1)「ソニーのライフログサービス Life-X(ライフ・エックス) のご紹介」

[講演概要]

ソニーマーケティング株式会社が2008年よりサービスを開始した「Life-X」についてご紹介致します。ソニーマーケティングはコンシューマーエレクトロニクス機器を販売する立場からライフログを捉え、サービスを提供して参りました。我々の視点から見たコンシューマーにとってのライフログの価値について経験と共にお伝えできれば幸いです。 講演資料はこちら

中村 馨(ソニーマーケティング)

1995年慶應義塾大学総合政策学部卒業.SI企業にてインターネット接続プロバイダやEコマースの構築等を手がける. 2004年より商社シリコンバレーオフィスに駐在員として勤務しベンチャービジネスディベロップメントに従事する.2007年シード・ベンチャーを経て2008年より現職.

●[14:00-14:25] 講演(2)「ドコモのエージェントサービス「iコンシェル」について」

[講演概要]

「iコンシェル」とは、ケータイがまるで執事やコンシェルジュのように消費者一人ひとりの生活エリアや趣味嗜好にあわせて、情報を適切なタイミング・方法でお届けするプラットフォームに近いサービスである。本講演では、「iコンシェル」サービスの概要と誕生の背景、パーソナライズ実現の仕組み、および今後のサービスの発展の方向について解説する。また、「iコンシェル」をプラットフォームとして活用した顧客囲い込みと販売促進具体的事例を紹介する。  講演資料はこちら

那須 寛(NTTドコモ)

1998年 外資系コンピュータ会社よりNTTドコモへ転職。その後、iモードサービス立上げ・iモードサービス開発業務・iモードシステム開発業務・iモード系設備計画業務に従事。2007年より現職、コンテンツベースのサービス企画業務を担当。

●[14:35-15:00] 講演(3)「ライフログ収集の観点からみた住宅の役割」

[講演概要]

日本版スマートグリッドの構築に向け、家庭内のエネルギー情報を収集し最適制御を行なうスマートハウスが再評価されている。同時に、収集した情報をライフログとして活用し、新たなビジネスを創出する動きも進んでいる。当社ではエネルギー情報に限らず、家電や設備機器から汎用的にデータを収集、制御する汎用的なホームゲートウェイや通信ミドルウェアの開発を進めてきた。本講演では昨年経済産業省「スマートハウス実証プロジェクト」で開発した「住宅API」という技術を中心に、家庭内の情報を活用した新サービスの可能性について紹介したい。 講演資料はこちら

吉田 博之(大和ハウス)

1988年熊本大学工学部生産機械工学科卒業、同年大和ハウス工業入社。工場にてFA導入業務に従事した後、本社デザイン室にて商品開発を担当。1994年総合技術研究所設立後スマートハウスの研究に着手。2002年D'sスマートハウス建設、2005年インテリジェンストイレ開発、2006年緊急地震速報活用・IT自動防災システム実証試験など、ITを活用した生活サービスの研究開発を担当

●[15:00-15:25] 講演(4)「ライフログのためのウェアラブルセンシング」

[講演概要]

ライフログは,人間のデータを蓄積すると同時に,いかにデータに有用なラベルを付与するかが重要になる.本講演では,装着型センサから得られた情報からいかに装着者の状況を認識するかについて述べる.また,ライフロギングを行うためにもっとも重要な要素の一つである,状況認識のための低消費電力化技術についても述べる. 講演資料はこちら

寺田 努(神戸大)

1997年大阪大学工学部卒業.1999年同大学院工学研究科博士前期課程修了.2000年同大学院工学研究科博士後期課程退学.同年より大阪大学サイバーメディアセンター助手.2005年より同講師.2007年神戸大学大学院工学研究科准教授.現在に至る.2004年より特定非営利活動法人ウェアラブルコンピュータ研究開発機構理事,2005年には同機構事務局長を兼務.2004年には英国ランカスター大学客員研究員を兼務.博士(工学).アクティブデータベース,ウェアラブルコンピューティング,ユビキタスコンピューティングの研究に従事.

●[15:25-15:50] 講演(5)「ライフログのための個人情報管理と法」

[講演概要]

携帯電話端末の普及や高度化にともなって,携帯端末は単なる情報発信機能から情報閲覧機能や生活を支援する高機能(電子決済や地図情報の提供等)まで持つようになってきた。しかし,そこから発信される購買情報やサイト閲覧情報,移動行動情報等は,ライフログ(Life Log:生活記録)として収集され,利用者には,属性情報に応じたコンテンツや広告の提供を受けるサービスに進展してきた。そして,これらの新たなサービスの提供は,通信の秘密,個人情報やプライバシーの保護といった法的側面で問題が指摘される。しかし,情報収集や情報活用等の法や取扱い方法を厳しく制限することは,新たなサービスの芽を摘むことになりかねない。
 そこで,こうした問題を配慮しつつ,利用者の視点で法や制度の問題を整理し具体的な方策を考えていかなければならない。 講演資料はこちら

松田 貴典(大阪成蹊大)

1968年同志社大学法学部卒.1998年大阪大学大学院国際公共政策研究科博士課程修了.博士(国際公共政策).技術士(情報工学部門).公認システム監査人他.日本ユニシス株式会社を経て,2003年大阪市立大学大学院創造都市研究科教授,現在大阪成蹊大学教授.専門は,知的財産権,ビジネス・セキュリティ,情報法,システム監査他.著書に「ビジネス情報の法とセキュリティ」他.2010年にISS誌「情報通信技術者のための知的財産権」でISS活動功労賞受賞.

●[16:00-16:25]パネル討論「ライフログビジネスのビジネスモデル」

[討論概要]

ライフログが収集できる環境は着々と整いつつあり、それを利用したサービスの可能性を探ることは意義深い。最近では、個人のライフログを利用した特定の個人向けサービスや、多人数のライフログを統計的に処理して利用するサービスなど、幾つかの方向性が出てきている。本パネルディスカッションでは、招待講演者の方々のお話をベースに、今後のライフログ活用サービスやビジネスの可能性について議論する。

討論司会:阿部 匡伸(岡山大)

1982 年早大理工,電気卒.1984 年同大大学院修士課程了.同年日本電信電話公社入社.
1987 年から1991 年まで,ATR 自動翻訳電話研究所出向.1989 年MIT 滞在研究員.
2007 年から2010 年6月まで、NTT サーバーソリューション研究所ヒューマンアプライアンスプロジェクトマネージャ.7月から岡山大学.工博.
現在,ライフログ処理技術,ライフログを用いたサービス,ホームネットワークの研究に従事.
日本音響学会,電子情報通信学会,IEEE,ACM 各会員.

パネリスト:中村 馨(ソニーマーケティング)

1995年慶應義塾大学総合政策学部卒業.SI企業にてインターネット接続プロバイダやEコマースの構築等を手がける. 2004年より商社シリコンバレーオフィスに駐在員として勤務しベンチャービジネスディベロップメントに従事する.2007年シード・ベンチャーを経て2008年より現職.

パネリスト:那須 寛(NTTドコモ)

1998年 外資系コンピュータ会社よりNTTドコモへ転職。その後、iモードサービス立上げ・iモードサービス開発業務・iモードシステム開発業務・iモード系設備計画業務に従事。2007年より現職、コンテンツベースのサービス企画業務を担当。

パネリスト:吉田 博之(大和ハウス)

1988年熊本大学工学部生産機械工学科卒業、同年大和ハウス工業入社。工場にてFA導入業務に従事した後、本社デザイン室にて商品開発を担当。1994年総合技術研究所設立後スマートハウスの研究に着手。2002年D'sスマートハウス建設、2005年インテリジェンストイレ開発、2006年緊急地震速報活用・IT自動防災システム実証試験など、ITを活用した生活サービスの研究開発を担当

パネリスト:寺田 努(神戸大)

1997年大阪大学工学部卒業.1999年同大学院工学研究科博士前期課程修了.2000年同大学院工学研究科博士後期課程退学.同年より大阪大学サイバーメディアセンター助手.2005年より同講師.2007年神戸大学大学院工学研究科准教授.現在に至る.2004年より特定非営利活動法人ウェアラブルコンピュータ研究開発機構理事,2005年には同機構事務局長を兼務.2004年には英国ランカスター大学客員研究員を兼務.博士(工学).アクティブデータベース,ウェアラブルコンピューティング,ユビキタスコンピューティングの研究に従事.

パネリスト:松田 貴典(大阪成蹊大)

1968年同志社大学法学部卒.1998年大阪大学大学院国際公共政策研究科博士課程修了.博士(国際公共政策).技術士(情報工学部門).公認システム監査人他.日本ユニシス株式会社を経て,2003年大阪市立大学大学院創造都市研究科教授,現在大阪成蹊大学教授.専門は,知的財産権,ビジネス・セキュリティ,情報法,システム監査他.著書に「ビジネス情報の法とセキュリティ」他.2010年にISS誌「情報通信技術者のための知的財産権」でISS活動功労賞受賞.