(邦訳:コンピュータグラフィックスにおける凝集体生成の研究)
櫻井 快勢 大日本印刷(株) |
[背景]CGで自然さを表現するために非周期的な配置が有効
[問題]2D・3Dの任意形状と多様な要素での凝集体生成
[貢献]任意要素のテクスチャと3D凝集体の生成
[問題]2D・3Dの任意形状と多様な要素での凝集体生成
[貢献]任意要素のテクスチャと3D凝集体の生成
コンピュータグラフィックス(以後CG)の発展に伴い,求められる動画像の品質が高くなり,制作のための仕事量が増加している.この仕事量を減らすために,制作者を補助する仕組みが必要とされている.CGの制作では,大別して,コンピュータ内に形状などの環境を定義するモデリングと,それらを描画するレンダリングの工程がある.本研究では,モデリングの中でも,オブジェクトの表面を定義する形状モデリングに注目する.
CGでは,自然さの表現のために表現対象に非周期的な揺らぎを与えるが,任意形状の構成要素が多数集まることで形成される凝集体では,個々の位置と角度,領域の干渉を考慮する必要があり,計算が困難である.本研究では,これを解決するために,任意形状の構成要素を非周期的に配置するアルゴリズムを提案する.
まず,2次元の凝集体について考える.乱雑に置かれているおもちゃや革シボなどのテクスチャがこれに該当する.提案するアルゴリズムでは, ダートスローイング法によって任意形状の構成要素どうしを接触させないように配置する.このとき,計算時間を減らすために,未配置の領域にのみ,構成要素を配置する.この穴埋め的なアルゴリズムにより,高速に2次元の凝集体(図左)を形成できた.
次に,3次元について考える.2次元上ではどんなに工夫しても,3次元の構造を表現できない.3次元凝集体,たとえばおにぎりなど,には積み重なりがあり,この構造を有する凝集体の形成アルゴリズムが必要となる.本研究では,任意に指定した形状の3次元凝集体を構成することを目指した.まず,指定された形状の表面に,構成要素を必ず重なるように,かつ,一様に配置する.次にこの重なりを減らすように指定された形状の法線方向に構成要素を移動する.この手続きで,効率的に,積み重なりを有する3次元の凝集体を形成できた.また,この凝集体は,幾何形状を有するため,3次元プリンタによる出力(図中)が可能である.
最後に,多様な構成要素について考える.ここでは,繊維の凝集体に注目する.繊維の凝集体は,身の回りに多く存在し,モデリングの対象になりやすい.たとえば,衣類の毛玉やほこり,鳥の巣などである.このような多様な形状のモデリングには,プロシージャルモデリングによる自動生成が有効であると考えた.これを踏まえて,プロシージャルモデリングによる構成要素の形成と凝集体生成を組み合わせることに挑戦した.提案したアルゴリズムは,パラメータにより,多様な構成要素を生成し,それを距離場の勾配に沿って凝集させる.このアルゴリズムによって,多様な構成要素の疎な凝集体の形成(図右)が可能となった.
以上のアルゴリズムを提案し,制作者にインタビューを行い,有効であることが定性的に示された.これらのアルゴリズムによって,今後,制作者は手作業が減り,より創造的な活動に時間を使えるようになると考える.
CGでは,自然さの表現のために表現対象に非周期的な揺らぎを与えるが,任意形状の構成要素が多数集まることで形成される凝集体では,個々の位置と角度,領域の干渉を考慮する必要があり,計算が困難である.本研究では,これを解決するために,任意形状の構成要素を非周期的に配置するアルゴリズムを提案する.
まず,2次元の凝集体について考える.乱雑に置かれているおもちゃや革シボなどのテクスチャがこれに該当する.提案するアルゴリズムでは, ダートスローイング法によって任意形状の構成要素どうしを接触させないように配置する.このとき,計算時間を減らすために,未配置の領域にのみ,構成要素を配置する.この穴埋め的なアルゴリズムにより,高速に2次元の凝集体(図左)を形成できた.
次に,3次元について考える.2次元上ではどんなに工夫しても,3次元の構造を表現できない.3次元凝集体,たとえばおにぎりなど,には積み重なりがあり,この構造を有する凝集体の形成アルゴリズムが必要となる.本研究では,任意に指定した形状の3次元凝集体を構成することを目指した.まず,指定された形状の表面に,構成要素を必ず重なるように,かつ,一様に配置する.次にこの重なりを減らすように指定された形状の法線方向に構成要素を移動する.この手続きで,効率的に,積み重なりを有する3次元の凝集体を形成できた.また,この凝集体は,幾何形状を有するため,3次元プリンタによる出力(図中)が可能である.
最後に,多様な構成要素について考える.ここでは,繊維の凝集体に注目する.繊維の凝集体は,身の回りに多く存在し,モデリングの対象になりやすい.たとえば,衣類の毛玉やほこり,鳥の巣などである.このような多様な形状のモデリングには,プロシージャルモデリングによる自動生成が有効であると考えた.これを踏まえて,プロシージャルモデリングによる構成要素の形成と凝集体生成を組み合わせることに挑戦した.提案したアルゴリズムは,パラメータにより,多様な構成要素を生成し,それを距離場の勾配に沿って凝集させる.このアルゴリズムによって,多様な構成要素の疎な凝集体の形成(図右)が可能となった.
以上のアルゴリズムを提案し,制作者にインタビューを行い,有効であることが定性的に示された.これらのアルゴリズムによって,今後,制作者は手作業が減り,より創造的な活動に時間を使えるようになると考える.

(2013年6月10日受付)