システム監査人は，近年の組織におけるDX推進により，監査対象の情報システムが増加しており，人材不足が懸念されている．人材不足には，チェックリスト等を活用して効率化や即戦力化を行って対応しているが，監査経験が少ないと組織からの要求に十分に応じられない場合がある．監査経験を積むには，本来現場での指導が有効であるが，一度に多くの人材を育成するには限界がある．他分野では，人材育成で経験を積ませる際にケース・メソッドという手法を用いることがある．本論文では，監査経験を擬似的に積ませることを目指し，まずはケース・メソッドの研究を援用し，監査経験のためのケース・メソッド創出のための要件を抽出する．