6J-06
疎行列の実部・虚部の分離と棄却による COCG 法の高速化
○山内和希,桝井晃基,伊野文彦(阪大)
IC 前処理付き COCG 法は複素対称線形方程式の解法であり,高周波電磁場解析に有用である.しかし,解析対象が大規模になるにつれ,収束性が悪化し,前処理行列などのメモリ使用量が増大してしまう.後者の課題に対しては,前処理行列の非ゼロ要素を棄却することにより改善できるが,前者の課題は悪化する.
本研究ではこれら二つの課題を改善する手法を提案する.提案手法は,行列要素の実部と虚部の絶対値の大きさの偏りに着目し,非ゼロ要素の実部と虚部を二つの行列に分離し,それらの要素を独立に棄却する.数値実験の結果,提案手法は既存手法と比べて,最大で 1.94 倍の高速化を達成した.