4ZK-05
日本におけるコンピュータ導入期を支えた実務者像について
○根木颯也(工学院大),前山和喜(総研大),田中輝雄(工学院大)
本研究は,戦後日本におけるコンピュータ導入期の専門的な労働に焦点を当て,その担い手の特性と養成過程を考察する.コンピュータを利用するために従事する実務者は,当時の隣接技術分野に多く見られた工業技術者養成システムを経た人々ではなく,主に事務作業を担当していた一般労働者であった.また,女性が多く従事していたという特徴もあり,当時のジェンダー観の影響も見られる.さらに労働力不足への対応策として,障害者の積極的な養成も試みられた.そして1970年代以降には,高度な専門教育を受けたコンピュータの専門家も合流することになる.このような多様な実務者養成のダイナミズムによって情報処理産業が展開していく.