4ZK-03
分光計測による敦煌・莫高窟のテクスチャ生成と礼拝空間再現
○藤原智晴(関西大),川口拓哉(かたち),末森 薫(国立民族学博物館),安室喜弘(関西大)
中国甘粛省敦煌近郊にある莫高窟では,4世紀から1000年にわたり700以上の石窟が掘られ,その多くの壁面には坐仏が無数に並ぶ千仏が描かれた.千仏壁画は経年により変退色しており、また当時は蝋燭などの燃焼光を用いて洞窟を照らしていたと想定されるが、現状ではもともとの壁画が観る者に与えていた心理的作用を知る術はない。そこで,坐仏8体分の彩色を再現した壁画を制作し、その分光画像計測により変退色前の蝋燭光源下での見え方を再現する試みを進めてきた.本研究では,公開情報から現状の石窟の3次元モデルを作成し,現状のテクスチャと分光計測で得た再現壁画の反射特性とを対応付けることで石窟空間における千仏壁画の色彩を再現した.また,VR環境で蝋燭光源を持ってモデル内部を擬似的に観覧する空間を構築した.