情報処理学会 第87回全国大会

2F-02
写真内の特定の要素部分を加工することで撮影地の推測難易度を上げることは可能か?
○今田 寛,大坐畠智,山本 嶺(電通大)
SNSへの投稿からSNSアカウントを使用する個人や住所を割り出す「特定」と呼ばれる行為が問題となっている。投稿に添付される写真には、投稿者が共有したい物や出来事だけでなく、その背景にも様々なものが写り込む。特に、街の風景には、建物、看板、道路、川など、撮影地の推測に十分な特徴が含まれていることがしばしばある。仮に屋内であったとしても、窓の外の風景が写り込むことも考えられる。瞳に写り込んだ景色から自宅を特定された事例も報告されている。また近年では機械学習技術が発達し、大量の写真データを学習した機械学習モデルにより、風景写真からのおおよその撮影地の推測も可能となっている。プライバシーの観点では、写真の投稿によって表に出る情報を投稿者本人がコントロールできることが理想だが、写真からわかる情報を確実にコントロールする方法は確立されておらず、写真内に写り込んだ思わぬ物から撮影地が推測されてしまう現状では、コントロールは非常に困難な状況であると考えられる。機械学習モデルが写真の撮影地推定にどのような特徴を用いているかについては調査が少なく、また、どのような加工を施せば撮影地の推測難易度を上げることができるかについては十分な調査が行われていない。写真の撮影地の推測を可能にする要素や、写真の撮影地の推測を困難にする加工方法について知ることは、写真の撮影地推測の難易度コントロールに活用できる可能性が考えられ、プライバシー保護に役立つと考えられる。本研究では、写真内のどのような要素が撮影地の推測を可能にしているか、それらの要素部分を加工することにより撮影地の推測が困難になるかを調査する。