1G-02
日本におけるPCSの位置付け -コンピュータとは異なる情報処理機器として-
○前山和喜(総研大)
PCS(パンチ・カード・システム)とは,1920年代中ごろから使われていたパンチカードを用いた情報処理機器群(システム)である.PCSは,現在から見ればコンピュータの前身に当たる機械であると言えるが,歴史的文脈としては必ずしもその発展系がコンピュータであるとは言い難い.初期のコンピュータと同様の入出力機構を利用していたことや,普及期がコンピュータの黎明期と重なることもあり,日本のコンピュータに関する歴史記述の中にPCSとコンピュータの混用がしばしば見られる.本研究では,PCSの位置付けを歴史的発展の中に整理し直すことで,情報処理の歴史やコンピュータの発展史を見通しよくすることを目指す.