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セミナーの概要

近年、様々な技術進化に伴い、システム開発の現場が劇的に変化している。特にOSS(オープンソースソフトウェア)では、従来は第三者の目に触れることがなかった基盤ソフトウェアさえ、誰でも開発に参加できる。今回のセミナーでは、気鋭のITスペシャリストに、変化の流れを体験された方ならではのシステム開発の面白さについて講演いただく。NTTの藤田氏と富士通の亀澤氏には、Linux開発コミュニティのメンテナ(*)としての経験を基に、企業開発者が直面するコミュニティでの開発やその技術を紹介いただく。楽天の原氏には、OSSとして公開した分散ファイルシステムLeoFSの開発経験を基に、研究から生まれたアイデアをシステム化するまでの開発プロセスを紹介いただく。グリーの藤本氏には、急速に巨大化するシステムを前に、1人のエンジニアができるチャレンジや可能性について語っていただく。また、本セミナーでは、それぞれの技術開発の現状や面白さを具体的に紹介いただくだけでなく、参加者から積極的に質問を受け、IT開発者の可能性について一緒に議論を行う予定である。
*) メンテナ:特定機能の仕様責任者。

コーディネータ:杉田 由美子(株式会社日立製作所 横浜研究所 研究主幹 / The Linux Foundation テクニカルコンサルタント)

【プロフィール略歴】2000年からLinux強化オープン・プロジェクトに参加したのを機にLinux研究開発に従事。研究所内にLinux専門部署を立ち上げ、機能開発およびコミュニティ活動を推進。2010年からThe Linux Foundation のテクニカルコンサルタントを兼任。「詳解 Linuxカーネル」第2版/第3版(オライリー出版)の訳者。
プログラム
オープニング「夢を形に」 13:30-14:00
【講演概要】誰かが夢を見た。「もっと速く、もっと安全に、もっと便利に、やりたいこ とができる世の中を創りたい」。そして今、社会インフラを支えるシステムから個人が使うスマホまで、夢だった快適な環境が当たり前に存在する。このセミナーで は、この「夢を形にするシステム開発」の面白さや今後の可能性について、企業で働くスペシャリスト達が講演する。オープニングでは、その導入として、 システム開発の変化やOSSのコミュニティ開発の様子を簡単に紹介する。
杉田 由美子(株式会社日立製作所 横浜研究所 研究主幹 / The Linux Foundation テクニカルコンサルタント)
【プロフィール略歴】2000年からLinux強化オープン・プロジェクトに参加したのを機にLinux研究開発に従事。研究所内にLinux専門部署を立ち上げ、機能開発およびコミュニティ活動を推進。2010年からThe Linux Foundation のテクニカルコンサルタントを兼任。「詳解 Linuxカーネル」第2版/第3版(オライリー出版)の訳者。
セッション1 14:00-14:50
オープンソース開発者として企業で働くということ
【講演概要】趣味でオープンソースを開発するのではなく、自社システムで使われるオープンソースソフトウェア開発を仕事にするということについて、私の経験をお話させて頂きます。オープンソース開発なのに、開発する対象を選べず、納期があり、不具合時には時間を問わず呼び出される、そこにオープンソース開発の楽しさはあるのか?
講師:藤田 智成(日本電信電話株式会社 ソフトウェアイノベーションセンター 主任研究員)
【プロフィール略歴】NTT研究所にて、オペレーティングシステム技術の研究開発に従事、多くのオープンソースソフトウェアプロジェクトに関わる。2つのiSCSIターゲットソフトウェア、iSCSI Enterprise Target (IET)、tgtを実装、Linuxカーネルでストレージ関連機能、仮想環境用クラスタストレージSheepdog、OpenFlowコントローラRyuの開発に関わる。
セッション2 14:55-15:45
Linux Kernel 開発あれこれ
【講演概要】富士通に入社し、Linux に関わるようになって8年目となりました。周囲の方や会社のサポートもあり、Linuxコミュニティで主にメモリ管理を中心に開発してきました。"メモリ"のように、一見変化の無さそうな技術分野でも、次から次へと新機能が開発されていますし、さらにはハードウェアの進化が実装にも影響を与えています。今回のセッションでは、Linuxのコミュニティ開発に参加する中での印象的なエピソードや最近の傾向の紹介、新技術がもたらすであろう変化を中心に話をしたいと思います。
講師:亀澤 寛之 (富士通株式会社 プラットフォームソフトウェア事業本部Linux開発統括部)
【プロフィール略歴】大学時代はOSを研究。2004年から富士通のLinux開発統括部にてサポートと開発業務に従事。近年は主にLinux Kernelのメモリ管理周辺の開発に携わりメモリ資源管理機能の開発ではメンテナの一人として活動している。
休憩 15:45-16:05
セッション3 16:05-16:55
今そこにある「未来」 【講演資料】
【講演概要】ウェブ、ソーシャルメディアでは日々膨大なデータを扱ってます- その中でも近年爆発的に増加しているのは、非構造化データです。今後、それらデータを格納する特別なストレージシステムが必要になるだろう、という予測から約二年半前からクラウドストレージに関する研究開発を行っています。アーキテクチャ設計/内部設計、それら設計が正しいことを証明するために実装/試験を繰り返し行うことで一つのシステムを完成させました。その成果は、今夏OSSとして公開しております。種を見つけ、種を蒔き、育み、そしてリリースまでのプロセスを紹介いたします。
講師:原 陽亮(楽天株式会社 楽天技術研究所 チーフテクノロジスト)
【プロフィール略歴】2001年から2008年まで SIerにて、システム構築に従事。2009年 楽天株式会社入社、開発部にてアーキテクチャ改善部門に所属後、2010年 楽天技術研究所に異動し、クラウドストレージに関する研究開発に従事。2012年7月にその成果を LeoFS として公開中。
セッション4 17:00-18:00
An Engineer can change the world
 【講演資料】
【講演概要】ソフトウェア、そしてインターネット関連の技術が成熟していくに伴い、多くの(広義の)システムは大規模化し複雑化していき、1エンジニアが与えられる影響も相対的に低下していっているように感じられることも増えました。では、一人のエンジニアが世界に大きな影響を与えるようなソフトウェアを創ることはできないかというと決してそうではないはずで、まだまだ多くのチャレンジや可能性があると僕は信じているので、このセッションを通じて今だからこそ考えられるソフトウェアの可能性について考えてみたいと思います。
講師:藤本 真樹(グリー株式会社 開発本部 取締役 執行役員CTO 開発本部長)
【プロフィール略歴】2001年、上智大学文学部を卒業後、株式会社アストラザスタジオを経て、2003年2月有限会社テューンビズに入社。PHP等のオープンソースプロジェクトに参画しており、 オープンソースソフトウェアシステムのコンサルティング等を担当。2005年6月グリー株式会社 取締役に就任。
 
クロージング 18:00-18:15
中野 美由紀(東京大学 生産技術研究所 戦略情報融合国際研究センター 特任准教授 / 情報処理学会 セミナー推進委員会 委員長)
ビアバッシュ 18:30-20:00 ⇒ 変更18:20~19:30