イベント企画
トップコンファレンス6-1 コンピュータグラフィックス
2023/9/8 9:30-12:00
第4イベント会場

座長:岡部 誠(静岡⼤学)

9:30-9:50 講演(1) 【タイトル邦題】 互換内在三角形分割
高山 健志(サイバーエージェント AI Lab リサーチサイエンティスト)
【原発表の書誌情報】 Kenshi Takayama. 2022. Compatible intrinsic triangulations. ACM Trans. Graph. 41, 4, Article 57 (July 2022), 12 pages. https://doi.org/10.1145/3528223.3530175
【概要】 二つのサーフェスメッシュの間の同相写像を構築する新しい手法として、内在三角形分割と呼ばれる近年注目されている技術を応用したものを提案する。本アルゴリズムは経験則に基づくもので理論的な保証は無いが、多数の形状ペアに対して実験し、高い割合で写像の構築および歪みの最小化に成功することを確認した。
【略歴】 2007年 東京大学理学部情報科学科卒業
2009年 東京大学大学院情報理工学系研究科修士課程修了(コンピュータ科学専攻)
2012年 東京大学大学院情報理工学系研究科博士課程修了(コンピュータ科学専攻) 博士(情報理工学)
2012年 ETHチューリッヒ 博士研究員
2014年 国立情報学研究所助教
2022年 株式会社サイバーエージェント勤務 現在に至る
9:50-10:10 講演(2) 【タイトル邦題】 節目を持つ木材の手続き型3次元テクスチャ
Maria Larsson(東京大学 情報理工学系研究科創造情報学専攻五十嵐研究室 特任助教)
【原発表の書誌情報】 Larsson, M., Ijiri, T., Yoshida, H., Huber, J., Fredriksson, M., Broman, O., Igarashi, T.: Procedural texturing of solid wood with knots. ACM Trans. Graph. 41, 4, Article 45, 10 pages (July 2022).
【概要】 この抄録は,SIGGRAPH 2022 で発表された論文 [1] の解説を行うものである.本研究では,内部構造を考慮しながら木材の 3 次元テクスチャを生成できる手続き型の手法を提案する.提案手法は,樹木形状に関する情報が入力されると,樹木の成長を表すスカラー場を構築し,これを年輪構造に変換する.このスカラー場の計算において,我々は,まず幹や各枝について独立してスカラー場を構築し,続いて複数のスカラー場を Smooth Minimum 処理により滑らかに統合する.特に本研究では,節目の周辺に現れる多様なゆがみを表現可能な Smooth Minimum 処理を拡張した手法を提案する.提案手法は GPU シェーダとして実装でき,ひとつの 3 次元画像当たりのデータサイズは約 600 KB,レンダリング時間は約 0.5 s である.提案手法の有効性を示すため,パイン材,スプルース材,合板など,節目を持つ多様な木材の 3 次元テクスチャを生成した例を紹介する.
【略歴】 I am a Project Assistant Professor in Igarashi lab, Department of Creative Informatics, supported by RIISE and ACT-X. My research focuses on geometry modeling, computational fabrication, and human–computer interaction. I was selected a WiGRAPH Rising Star in Computer Graphics in 2022, and I have presented technical papers at several international conferences including UIST and SIGGRAPH. I received a Ph.D. in Information Science and Technology from The University of Tokyo in 2023, advised by Professor Takeo Igarashi, an MEng in Architecture with a focus on Digital Fabrication from The University of Tokyo in 2014, and a BA in History of Art and Architecture from Harvard University in 2009. I also have several years of professional experience as an architect designer, working for Pool Architekten in Switzerland and the Digital Design Lab (DDL), Nikken Sekkei in Japan.
10:10-10:30 講演(3) 【タイトル邦題】 ストローク転写: アニメーション可能なストロークスタイルの例示ベース合成
藤堂 英樹(拓殖大学 )
【原発表の書誌情報】 Hideki Todo, Kunihiko Kobayashi, Jin Katsuragi, Haruna Shimotahira, Shizuo Kaji, and Yonghao Yue. 2022. Stroke Transfer: Example-based Synthesis of Animatable Stroke Styles. In ACM SIGGRAPH 2022 Conference Proceedings (SIGGRAPH '22). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, Article 54, 1–10. https://doi.org/10.1145/3528233.3530703
【概要】 本論文では,「ストローク転写」,3DCGのアニメーションシーン向けの例示ベースのストローク生成手法を提案する.アーティストが描いた事例からストローク属性,方向場を学習し,手描き特有のスタイルを反映しつつ時間的に安定でアーティファクトの少ない合成結果を実現する.
【略歴】 拓殖大学工学部情報工学科准教授.2013年東京大学大学院情報理工学系研究科博士後期課程修了.博士(情報理工学).株式会社オー・エル・エム・デジタル研究開発部門研究員,東京工科大学,中央学院大学,青山学院大学での専任教員を経て,2022年より現職.コンピュータグラフィックス,特に,非写実的レンダリング(NPR)の研究に従事.http://hideki-todo.com/cgu/index-j.html
10:30-10:50 講演(4) 【タイトル邦題】 引張り圧縮混合型シェル構造のインタラクティブな探索
三木 優彰(東京大学 総合文化研究科広域科学専攻広域システム科学系 助教)
【原発表の書誌情報】 Miki, M., and Mitchell, T. 2022. Interactive exploration of tension-compression mixed shells. ACM Transactions on Graphics (TOG), 41(6).
【概要】 シェル構造の形状設計においては純圧縮が理想とされている。しかし、純圧縮の仮定により、形状は大きな制約を受けてしまう。意匠設計者の志向するダイナミックで軽やかな造形を実現するためには引張りと圧縮の混在を許す必要があると考えられる。引張り圧縮混合型の形状決定は、双曲型境界値問題となり解くことが一般に困難となる。これは自由に問題を設定すると高い確率で問題が解を与えないためである。しかし解を与える問題自体は存在する。提案手法はおそらく解を与えないと思われる問題を解こうと四苦八苦する代わりに、問題が解を与えるような係数の組み合わせを探すParameter Identification Problemとして解くというものである。論文中では提案手法を用いても解なしとなってしまう可能性を完全には排除できないため、解なしの判定としてリカバリー・テストの提案にまで踏み込んだ。
【略歴】 2012年に東京大学建築学専攻より博士号を取得。その後五十嵐デザインインターフェースプロジェクト(JST)等でポスドクとして研究を継続。この間英国Bath大学に2か月、スイスETH Zurichに1か月滞在。2015年SiggraphでNURBSと応力関数を用いた建築シェル構造の形状決定に関する論文を発表。2015-2020の4年半米国最大の建築設計事務所SOMにアーキテクトとして勤務。この間、エンジニアリング・パートナーのBill Bakerらとのディスカッションを通じて引張り圧縮混合型の着想を得る。帰国後2020年5月より東京大学総合文化研究科広域科学専攻広域システム科学系・助教。2022年でSiggraph Asiaで引張り圧縮混合型の形状決定に関する論文を発表。
10:50-11:10 講演(5) 【タイトル邦題】 二次元ウェーブレット行列を用いた定数時間中央値フィルタ
諸戸 雄治(東京大学 大学院 情報理工学系研究科 創造情報学専攻 グラフィックスと工学研究室(梅谷研究室) 博士課程学生)
【原発表の書誌情報】 Moroto, Yuji, and Nobuyuki Umetani. "Constant Time Median Filter using 2D Wavelet Matrix." ACM Transactions on Graphics (TOG) 41.6 (2022): 1-10.
【概要】 中央値フィルタはノイズ除去処理をはじめ現代でも広く使用されている古典的フィルタであるが、カーネル半径が大きい場合や高深度画像へ適用は困難であった。本研究ではウェーブレット行列を応用し、1, 2桁の高速化を達成した。
【略歴】 2021年東京大学大学院情報理工学研究科修士課程卒。2023年現在、同研究科博士課程に在籍。博士三年。画像フィルターの計算量改善や高速な実装に関する研究に従事。ACM国際大学対抗プログラミングコンテスト(ACM-ICPC) 2018 にて World Finals出場。情報処理学会CS領域奨励賞2023年度候補。ACM SIGGRAPHのSIGGRAPH Asia 2022にてBest Technical Paper Awardを受賞。