イベント企画
トップコンファレンス3-2 ソフトウェア
2023/9/6 15:30-17:30
第5イベント会場

座長:田辺 良則(鶴見大学)

15:30-15:50 講演(1) 【タイトル邦題】 ラベル付き遷移系に基づくリフレクティブなシステムのスケーラブルなモデル検査に向けて
田原 康之(電気通信大学 大学院情報理工学研究科情報学専攻 准教授)
【原発表の書誌情報】 Tei, K., Tahara, Y., Ohsuga, A.: Towards Scalable Model Checking of Reflective Systems via Labeled Transition Systems, IEEE Transactions on Software Engineering (TSE), vol. 49, no. 3, pp. 1299-1322, (2023).
【概要】 リフレクションとは,システムが実行時に,自分自身の内部構造や動作に対し,アクセスや変更を行う機能である.これにより,要求や環境の急速に変化に対し,適切に対応することが可能となるが,一方で振舞いの正しさの保証が困難となる.本論文では,リフレクション機能を備えたシステムに対し,モデル検査ツール SPIN を用いて,振舞いの正しさを既存手法よりも効率的に自動検証する手法を提案する.
【略歴】 1991年東京大学大学院理学系研究科修士課程修了.博士(情報科学).(株)東芝,英国 City 大学 客員研究員,英国 Imperial College 客員研究員,国立情報学研究所 特任准教授などを経て,2008年より電気通信大学 准教授.エージェント技術,およびソフトウェア工学などの研究に従事.2016年度 日本ソフトウェア科学会解説論文賞,2022年度 情報処理学会卓越研究賞(SE 研究会)受賞.情報処理学会,電気学会,日本ソフトウェア科学会 各会員.
15:50-16:10 講演(2) 【タイトル邦題】 不吉な臭いを用いたバグ箇所検索
林 晋平(東京工業大学 情報理工学院 准教授)
【原発表の書誌情報】 Takahashi, A., Sae-Lim, N., Hayashi, S., Saeki, M.: An extensive study on smell-aware bug localization. Journal of Systems and Software 178, 110986 (2021). DOI: 10.1016/j.jss.2021.110986
【概要】 本論文では,バグレポート中の自然言語記述等からバグを含むモジュールを特定する情報検索型のバグ箇所検索において,ソースコード中の低品質箇所である不吉な臭いの情報を活用して精度を向上させる手法を提案する.また,臭いの情報の複数の定量化戦略を比較し,精度に貢献する特徴について分析する.
【略歴】 2008年東京工業大学大学院情報理工学研究科計算工学専攻博士後期課程修了.博士(工学).同専攻助教を経て,2018年より東京工業大学情報理工学院准教授.ソフトウェア進化やソフトウェア開発環境の研究に従事.
16:10-16:30 講演(3) 【タイトル邦題】 ケーパビリティを用いたオブジェクト再利用によるクラウドのメモリ密度向上
品川 高廣(東京大学 情報基盤センター 准教授)
【原発表の書誌情報】 Vasily A. Sartakov, Lluís Vilanova, Munir Geden, David Eyers, Takahiro Shinagawa, Peter Pietzuch. ORC: Increasing Cloud Memory Density via Object Reuse with Capabilities. In Proceedings of the 17th USENIX Symposium on Operating Systems Design and Implementation (OSDI 2023), Jul 2023.
【概要】 クラウド環境ではテナント間のメモリ重複が多いが、従来の重複排除は隔離が弱く、共有がページ単位だった。本研究では、ハードウェアによるメモリケーパビリティを活用して、小さなTCBによる強力な隔離とバイト粒度の効率の良いメモリ共有を両立する。
【略歴】 2003年東京大学大学院理学系研究科情報科学専攻博士課程修了.博士(理学).農工大助手,筑波大講師を経て,2011年から東京大学情報基盤センター准教授.2021年7月から2023年3月までインペリアル・カレッジ・ロンドン客員研究員.オペレーティング・システムや仮想化技術,セキュアコンピューティングなどのシステム・ソフトウェアに関する研究に従事.情報処理学会1999年度論文賞,2002年度山下記念研究賞,2020年度コンピュータサイエンス領域功績賞、及び令和2年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「科学技術賞」などを授賞.
16:30-16:50 講演(4) 【タイトル邦題】 イシューリンク手法に関する実証的研究
近藤 将成(九州大学 )
【原発表の書誌情報】 Masanari Kondo, Yutaro Kashiwa, Yasutaka Kamei, and Osamu Mizuno, “An Empirical Study of Issue-Link Algorithms: Which Issue-Link Algorithms Should We Use?,” Empirical Software Engineering, Vol 27, No.136, 2022.
【概要】 SZZは開発データに含まれるバグの分析に利用される手法だが,精度に問題がある.精度向上を目的としてイシューリンク手法(ILA)が提案されている.本研究では,既存のILAを包括的に評価し,SZZの精度向上に資するILAについて知見を示す.
【略歴】 京都工芸繊維大学大学院 工芸科学研究科設計工学専攻修了.博士(工学).カナダ・クイーンズ大学で1年間訪問研究員として研究に従事.令和3年度より九州大学大学院 システム情報科学研究院 助教.分野トップクラスの国際会議(ICSE等)や学術雑誌(EMSE等)で数多くの研究成果を発表.過去に情報処理学会 山下記念研究賞,ソフトウェアテスト技術振興協会 善吾賞などを受賞.ソフトウェアリポジトリマイニングを中心とした研究に従事.
16:50-17:10 講演(5) 【タイトル邦題】 モダンコードレビューにおけるSelf-Admitted Technical Debtの実証研究
柏 祐太郎(奈良先端科学技術大学院大学 )
【原発表の書誌情報】 Yutaro Kashiwa, Ryoma Nishikawa, Yasutaka Kamei, Masanari Kondo, Emad Shihab, Ryosuke Sato, Naoyasu Ubayashi: An empirical study on self-admitted technical debt in modern code review. Information and Software Technology. vol 146 (2022)
【概要】 実装したプログラムが最善の実装した方法でなく,今後変更・改善する必要があると旨を開発者がソースコード中に記載することが多い(Self-Admited Technical Debt).しかしながら,これらの実装はソースコードの検査を行うコードレビューでは受け入れられない可能性が高い.本研究では,Self-Admited Technical Debtの導入がコードレビューへ与える影響を実証的に検証している.
【略歴】 2015年和歌山大学大学院システム工学研究科博士前期課程修了.同年,日立製作所に入社,システムエンジニアとして勤務.2017年日本学術振興会特別研究員(DC1).2020年和歌山大学大学院システム工学研究科博士後期課程修了.博士(工学).同年,九州大学大学院システム情報科学研究院 特任助教.2022 年奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科 助教.同年,科学技術振興機構 さきがけ研究員(兼任).ソフトウェア品質やソフトウェア保守に関する研究に従事.過去に情報処理学会 論文賞や山下記念研究賞など各賞受賞.
17:10-17:30 講演(6) 【タイトル邦題】 制約付きディテクティングアレイ:組合せテストにおける故障特定のための数学的構造
土屋 達弘(大阪大学 大学院情報科学研究科情報システム工学専攻 教授)
【原発表の書誌情報】 Hao Jin, Ce Shi, Tatsuhiro Tsuchiya: Constrained detecting arrays: Mathematical structures for fault identification in combinatorial interaction testing. Information and Software Technology. vol 153 (2023)
【概要】 本論文では,制約付きディテクティングアレイという数学的構造を提案する.この構造を有するテストケース集合を用いることで,ソフトウェアの組合せテストにおいて,不具合の存在の検出だけでなく,その特定が可能となる.
【略歴】 1995年 大阪大学大学院基礎工学研究科博士前期課程修了.1998年同大学博士(工学).2012年より同大学大学院情報科学研究科教授.ディペンダブルシステム,モデル検査,ソフトウェアテスト等に関する研究に従事.