会誌「情報処理」Vol.64 No.11(Nov. 2023)「デジタルプラクティスコーナー」

保険金・給付金等の請求手続きのデジタル化
~1時間でお支払まで完了~

水野祐輝1  高橋幸太1  清水千翔1

1T&D情報システム(株) 

大同生命ではお客さまの機器(デバイス)からインターネットで保険金・給付金などの請求手続きが可能となる「つながる手続」を開発した.当システムは,保険金・給付金の手続きは1時間,解約の手続きは5分でお支払までを完了できるサービスであり,コロナ禍における非対面による手続き方法の確立と,請求件数増加に伴う本社・支社事務の負担を軽減することに成功した.サービス提供にあたり,お客さまがより使いやすいサービスとするため,積極的に外部ソリューションも活用.従来の紙手続きに代えて,お客さまの手続き後に不備が発生しづらい手続き画面の設計や,サービス利用時間の拡大を実現した.また,手続きデータは従来の本社システムへの連携・処理を可能とすることで,システム保守性の確保と開発全体のコストダウンも実現できた.本稿では「つながる手続」の開発過程と開発内容を紹介する.

※本稿は富士通ファミリ会 優秀論文です.
※本稿の著作権は著者に帰属します.

1.開発の背景・経緯

T&D情報システム(株)(以下,当社)は図1に示すとおり大同生命,太陽生命,T&Dフィナンシャル生命の生命保険会社3社を中核とするT&D保険グループのICT戦略を一手に担う会社である[1].その業務内容は,IT戦略の立案実行をはじめ,システム開発,システム基盤の構築,システム運用とITにかかわる全般にわたっている.

T&D保険グループ組織体制図
図1 T&D保険グループ組織体制図[2]

本稿で事例を紹介する大同生命は,中小企業経営者のニーズに対応した保険商品の提供・販売が中核事業であり,営業職員や保険代理店(以下,営業担当者)の対面による保険商品の販売を主軸としている(図2).

大同生命の営業体制図
図2 大同生命の営業体制図[3]

近年,生命保険業界はこれまでにない環境変化の渦中にあり,デジタル技術の進展,定期保険の税務取扱見直し,疾病予防や健康増進への関心の高まりなど,生命保険業界を取り巻く環境が大きく変わりつつあった.このようなビジネス環境の変化を背景に,大同生命では「お客さま接点」「内部処理」の一体的な改革を行い,お客さまへ簡単・便利・感動を提供するサービスを実現し,正確・迅速な事務を提供する体制を構築することを目的に,「契約事務整備計画」を2018年に策定した.

当社は2019年度から2021年度にかけ,「契約事務整備計画」の施策である「お客さま接点」の改革にあたり,保険金・給付金および解約の手続き(以下,請求手続き)ができる「つながる手続」を導入.お客さまが自身の都合に合わせて,自身の所有する端末(デバイス)にて請求手続きを可能とするシステムを,2022年2月よりサービスを開始した[4][5].本稿では,「つながる手続」の開発方針・内容と効果,および今後の展望について紹介する.

2.開発方針

大同生命では書類郵送による手続きのほかに,新契約のお申込やご契約の解約・保障内容の変更手続きにおいて,営業職員がタブレット型の端末を持参し,画面上でお客さまと一緒に手続きを実施する「端末手続」を導入していた.保険金・給付金の手続きにおいても,提出書類が多く傷病内容の記入なども多いため,営業職員が手続きをサポートする「端末手続」による機能の提供が考案された.しかし,営業職員とアポイントを取る手間や,平日の貴重な時間を拘束することによるお客さまの負担を踏まえ,お客さまの都合がよい時間にいつでも自身のデバイスから手続きができるように,インターネットによる手続き機能「つながる手続」をサービス提供することとした.

「つながる手続」の開発にあたり,まずは請求手続きにおける現状課題を洗い出し,課題を解決するためのシステム開発方針を以下のとおり整理した.

2.1 現状課題

(1)手続き早期化の実現

従来の紙手続きは郵送や書類記入を行うため,お客さまお申出からお支払完了までに時間が掛かりタイムリーに保険金・給付金などのお支払ができないことが課題となっていた.お客さまのお申出からお支払までに掛かる時間は保険金・給付金で約7日間,解約払戻金で約6日間である(図3).そのうち,当社への書類到着からお支払までの所要日数はそれぞれ,保険金・給付金が約2日,解約払戻金が約1日であった.このことから,支払に掛かる所要日数のうち大半が紙手続きに伴う郵送や書類記入に掛かっていることが分かる.そのため,タイムリーなお支払を実現するにあたり従来の紙による手続きではなくインターネットを使用した手続きの早期化が求められた.

お支払に占める郵送・書類記入の割合
図3 お支払に占める郵送・書類記入の割合
(2)分かりやすい手続きの実現

従来の紙手続きは必要書類の添付漏れ,記入内容の読み取り不可,誤記入により不備が多く,お客さまの手続きの負担となったり,お支払完了までに時間が掛かるという課題がある.特に保険金・給付金の手続きにおいては,医師の診断書をもとにお客さまが正しい傷病内容や手術内容を申告いただく必要がある.書類郵送による手続きにおいては,よくある傷病・手術例や請求書への具体的な記入方法の見本を書面にて分かりやすくお伝えするご案内書類および記入見本を請求書類一式と同封することでお伝えしてたが,医療知識のないお客さまには難易度が高く,手続き不備が発生する大きな要因となっていた.

お客さまのお支払に伴う不備はそれぞれ,保険金・給付金が3.3%,解約払戻金が1.7%であった.お支払に必要な書類の削減や分かりやすい請求書類への改定を行うことにより全体的な不備率は低下しているものの,不備が発生した際には追加で書類発送・返送が必要となるため,不備が発生していない手続きのと比べると支払に期間が掛かり,お客さまの負担となっている.そのため,分かりやすく,不備とならない手続き方法の実現が求められた.

(3)時間にとらわれない手続きの実現

従来の手続きは,お客さまよりコールセンタや営業職員へのお申出を行う必要があるため,平日の日中しか手続きできずお客さまの利便性が低いという課題があった.コールセンタへの電話でのお申出はコールセンタの開設時間である,平日の9:00~18:00に制限されている.また,営業職員に対するお申出についても原則平日のみのお申出となっており,お客さまの利便性を損ねているということが課題となっていた.そのため,夜間帯や休日でもお申出可能となる手続きの実現が求められた.

2.2 解決策を実現するためのシステム開発方針

ビジネスの変革へ対応するための現状における課題を踏まえ,システム開発方針について以下のとおり整理した.

(1)お客さま端末での手続き

お客さまが当社へお申出いただく時間や,書類郵送にかかる時間,手続き後に不備などがあり再度郵送の上,手続きいただく時間などを短縮するため,インターネット上で手続きを完了できる画面を開発する.なお,記入例により手続きにおける記載方法を詳細にご案内できる紙手続きとは異なる点を考慮し,手続き画面では正しい傷病・手術内容を漏れなく申告いただけるユーザインタフェースとする.

また,お客さまが画面から入力した情報は,本社へ即時にデータを連携し,既存の社内システムと連動可能とする機能も併せて開発する.

(2)本社事務の早期化

本社でかかる事務処理時間を短縮するため,従来本社にて実施していた提出書類のチェック作業を自動で実行するシステムを開発する.

(3)ペーパーレス化

さらなるコスト削減と郵送時間によるロスを無くすため,手続きをインターネット画面で可能とする開発に加え,お客さまが準備・提出する書類について,インターネット手続き画面より提出可能とする仕組みを開発する.

(4)手続き可能時間の拡大

サービス提供時間を土日平日問わず,25時まで拡大できる仕組みを開発する.

(5)書類の提出時のチェック

提出資料の不備を低減するため,画面上で必要書類をアナウンスし,お客さまの端末から必要書類を撮影またはアップロードすることで提出できるシステムを開発する.また,アップロードされた書類はピンボケチェックをかけることで,本社事務処理時の不備発生率を低減させる.

3.開発内容

3.1 インターネット上への手続き画面の提供

(1)ユーザインタフェース(UI)/ユーザエクスぺリエンス(UX)の検討

新契約手続きを始めとする対面での「端末手続き」は,営業担当者が主に操作することを前提に作られており,お客さまがシステムを操作する場合であっても,営業担当者が必ずフォローする形式としていた.しかし,「つながる手続」においては,お客さまが単独で手続きを行うことになるため,これまで以上にお客さま視点での画面レイアウトや操作感を重視する必要があった.

画面のデザイン作成にあたっては専門のUI/UXデザイン会社へ発注し,ユーザ部門・システム部門・デザイン会社の3者にて手続き画面のUI/UXについて集中的に検討を実施した.その結果,各画面における情報の表示順序や案内文言のルール化,視認性の高い画面レイアウトの作成,および各画面でのエラー時の振る舞いを統一することができた.

デザイン検討の過程において,スマートフォン・タブレット・PCのどのデバイスからも手続き可能となるようにレスポンシブWebデザインを採用し,お客さまが所持するデバイスに広く対応できるようにした.また,システム開発および今後の保守を効率的に行うため,共通的に利用するHTMLを作成し,CSSを使ってデバイスごとに最適なサイズで表示することで,開発資源のスリム化を図った(図4参照).

少ない資源で最適な画面デザインを提供
図4 少ない資源で最適な画面デザインを提供
(2)動作環境の選定

営業職員が利用するタブレット端末で提供している「端末手続」は,端末固定のOSとブラウザを通して稼動していたため,複数バージョンでの動作保証を行う必要がなかった.しかし,「つながる手続」ではOS/ブラウザのバージョンがお客さまのデバイスに依存するため,各々のバージョンでテストを実施し,動作保証を取る必要があった.さらに,手続きを実現するために導入する外部サービスの保証範囲も考慮する必要があった.

ユーザ部門と協議の上,OS・ブラウザシェアの情報を踏まえユーザ全体の80%以上が占有している範囲を「つながる手続」の動作環境とし,本番日以降も最新のシェア率をもとに四半期ごとに動作環境の見直しを実施するルールとした.また,開発時のテスト検証においては,「画面の表示・制御確認」と「業務仕様の確認」の2つにテストケースを大別し,前者はデバイス・OS・ブラウザの観点から動作保証範囲を網羅的に確認するケース,後者はデバイスを限定し業務仕様の充足を確認するケースとして各々にテストケースを作成・実施することで,効率的なテスト検証を実施した.

(3)画面制御による手続きのサポート

ユーザ部門やデザイン会社とも協議し,分かりやすく傷病内容・手術内容を申告いただけるように「つながる手続」では傷病名をプルダウンによる選択式で表示し,選択した傷病名に応じて選択できる手術名を画面上で動的に切り替えることで入力を進める方法を採用した.また,手術名を表示する際はデータベースより取得することで画面の改修なく常に最新の手術名などを選択いただける仕組みとした(図5).

傷病名・手術名称などの画面表示切替機能について
図5 傷病名・手術名称などの画面表示切替機能について

3.2 ピンボケチェック機能の導入

(1)導入検討

ピンボケチェック機能を内製するには,十分な開発期間,費用,専門技術を要する人員の確保が必要となることから,外部ITソリューションを利用することが望ましいと判断した.外部ITソリューションを活用することで,安価で迅速な開発だけでなく,新たなテクノロジーを活用した環境変化へのタイムリーな開発が可能となると考えた.

採用するピンボケチェック機能は,以下表1のとおり要件を満たすA社の外部ITソリューションを選定した.

表1 ピンボケチェックに関する要件と選定結果
ピンボケチェックに関する要件と選定結果
(2)開発内容

外部ITソリューションとの接続には,API基盤としてMicrosoft Azure(以下,Azure)上で提供されるサービス「Azure API Management」を導入することで,データ連携の容易性を確保することとした.また,外部ITサービスのみならず,社内システム向けのAPIも作成することで,既存の社内システム機能を活用した柔軟な開発を可能とした.全体の構成イメージを図6に示す.

API基盤を利用した連携概要
図6 API基盤を利用した連携概要

3.3 Javaバッチの導入

(1)導入検討

従来提供するインターネットシステムは,ホストシステムの夜間バッチが19時以降に順次処理されるため,サービス提供時間が19時までと限定されていた.そこで,インターネット画面から送信されたデータを一時的にデータベースへプールし,サービス提供時間にバッチ処理にて社内システムへ取り込むことで,サービス提供時間を土日平日問わず,25時まで拡大できる仕組みを検討することとした.

社内システム利用可能時間帯は可能な限り即時で処理し,夜間・休日は翌営業日に処理する方針とした.各時間帯でのデータの取り扱いは表2のとおりである.

表2 利用時間と処理方針
利用時間と処理方針
(2)開発内容

社内システムへの取り込みには,既存のオンラインでの登録処理機能を流用することで,新規登録機能の開発を削減できると考えた.そこで,バッチ処理にて蓄積されたデータをオンライン処理形式の電文に加工し,後続のプログラムに送信する通信ハンドラ機能の開発を行った.また,業務単位で通信ハンドラ機能をラッピングしてトランザクションの発行を制御するJavaプログラムを開発した(図7).

Javaバッチを利用したデータ連携の概要
図7 Javaバッチを利用したデータ連携の概要
(3)開発上の懸念事項への対応

当バッチ機能を提供するにあたって,エラー時のリカバリとキュー管理が懸念事項として挙げられた.バッチ処理にて非同期でオンライントランザクションを発行するため,早急にリカバリできるよう,エラーとなった案件の問題個所が容易に特定できる仕組みが必要であった.そこで,処理の状態を管理するためのテーブルを新設し,トランザクションの発行前後でステータスと処理結果を一元管理した.また,大量のデータを同時に実行すると,アプリケーションサーバにてキューの上限値を超過し,リクエストが破棄されることによる性能への可能性があった.そこで,1回バッチ処理で処理できる件数に上限を持たせ,かつトランザクションは1処理ずつを直列に実行することで,処理の集中時間を作らない設計とした.

3.4 マイナンバー提出機能の導入

2016年1月よりマイナンバー制度が開始され,生命保険会社では保険金などのお支払の際に税務署に提出する支払調書などに,保険契約者および保険金など受取人のマイナンバーを記載することが義務付けられており,大同生命でも保険の各種お支払の手続き時には,請求書類とは別にマイナンバーの提出を求めている.郵送による保険金・給付金手続きにおいてはマイナンバーもコピーの書類提出を求めていたが,「つながる手続」導入検討においてお客さまの利便性向上と社内ペーパーレス化を促進するため,インターネットによる手続きを可能とすることとした.マイナンバーの取り扱いはIT統制においては特にセキュリティを意識する必要があり,他社導入事例も踏まえて外部のITソリューションのマイナンバーデジタル取得・管理サービスを利用することとした.当サービスを活用し,「つながる手続」からQRコードを発行することでアプリへ誘導後,お客さまの保有するマイナンバーカードをスマートフォンにて読み取ることで,マイナンバー情報を収集する.収集したデータは,セキュリティの高い専用線を利用して伝送受信し,当社のデータベースへ登録するシステムを構築した(図8).

マイナンバーシステム概要
図8 マイナンバーシステム概要

4.開発効果

4.1 お客さまサービスの向上

(1)時間外手続き機能の提供

「つながる手続」の提供により,大同生命では請求手続きにおいて非対面による手続きの選択肢が新たに加わった.法人向けの生命保険を主に販売する大同生命において,日中の忙しい経営者の手間を取らせることなく自由な時間に手続きを済ませることができる点は,お客さまに大きなメリットとなる.また,営業日のコールセンタ稼働時間外となる平日夜間,および休日での請求手続きも可能となった.2022年3~8月に「つながる手続」を完了した約1万件の請求手続きのうち13%が平日夜間・土日祝日の手続きであり,多くの潜在的なお客さまニーズへ対応することができたといえる(図9参照).

手続き時間帯の分類
図9 手続き時間帯の分類
(2)手続きに必要な時間の短縮

これまでの書面による紙手続きでは,郵送による書類から本社での書類確認まで,解約手続きで約6日,給付金手続きで約7日の時間を要していた.

「つながる手続」の導入により,郵送・返送にかかる時間と本社での確認時間が大幅に短縮できたことにより,解約で最短で5分,保険金給付金でも最短1時間後にはお客さまの口座へ送金まで完了できるようになり,手続きに必要な時間を大幅に短縮することができた(図10).

手続き所要日数の短縮
図10 手続き所要日数の短縮

また,コロナ禍において非対面で迅速に資金ニーズにもお応えでき,お客さま・営業担当者双方においてもメリットのあるツールとなっている.

4.2 営業部門・本社部門における効果

従来では,お客さまの至急を要するお手続きの要望にお応えするには支社担当者が書類を持参して記入をいただき,持ち帰った請求書類を本社へ連絡の上,処理を急ぐという手段しかなく,営業担当者および本社部門においても負荷の高いものであった.

「つながる手続」の導入により,至急を要する場合もお客さま自身の端末から早々に手続きを完了させることができるようになった.このため,営業担当者は至急を要する手続きに充てて時間も営業活動に注力できるようになり,本社部門では至急処理に追われることなく計画的な業務遂行が可能となった.また,本社では上記以外にも書類確認時間の削減や,請求書類郵送費の削減といった効果を得ることができており,お客さま接点のみならず,従来からの事務の改革にもつながっている.

5.今後の展望

5.1 「つながる手続」の手続き率向上に向けた取り組み

「つながる手続」は大同生命のご契約に加入しているお客さまであれば誰でも利用可能である.しかし,大同生命のインターネットサービス会員でないお客さまは,コールセンタへお申出の上「つながる手続き」を利用いただく必要や,手続き利用時に本人確認書類の提出が必要となっており,より簡便にご利用いただくためにも大同生命のインターネットサービス会員となっていただくことが必要である.現在の会員登録率は契約者全体の約10%程度にとどまっている.新契約加入手続きにおける新規会員登録の推奨活動や,さらなるインターネットサービスの拡充・PR活動を通して,会員登録のメリットを分かりやすくお伝えすることで会員登録率の拡大を図っていく予定である.

5.2 「つながる手続」の対象業務拡大に向けた取り組み

今回開発した「つながる手続」は,保険金・給付金や解約手続きにおいて手続き手段の利便性向上を図ったものである.法人のお客さまの至急を要する資金ニーズへお応えするためには,保険契約を担保とした契約者への貸付金制度の利用時など,その他のお支払手続きにおけるデジタル化および手続き時間の短縮を今後も推進していく必要があり,プロジェクトの立上げを順次進めている状況である.これらのプロジェクトに対して,我々開発メンバは「つながる手続」における経験および習得したノウハウを積極的に展開していくことが求められている.

6.謝辞

本稿ではお客さまのデバイスを活用した保険金・給付金などのデジタル手続きを実現するためのシステム開発内容と,開発にあたって工夫した点を紹介した.今回の開発により,手続きにかかる時間を大幅に短縮し,保険金・給付金や解約払戻金を必要とするお客さまへ早期にお支払をすることが可能となり,開発当初の目標を達成することができた.

当プロジェクトはこれまでホスト開発を中心に実施してきたメンバが初めてWeb開発へ本格的に取り組んだ大型案件であった.開発途上ではシステム要件・開発機能の見直しなども多々発生したが,大同生命と当社の開発要員が一体となって最後まで開発を進めたことで,無事に本番リリースを迎えることができた.今年度も上述のとおり「つながる手続」を充実させるための対象業務拡大に向けたシステム開発を予定しており,お客さまへよりよいサービスを提供するため日々協力して検討を進めている.

最後に,本稿でのシステム開発を実現するにあたり多大なご支援・ご協力をいただいた外部ソリューションベンダの各社様,および関係者の皆様に心から感謝の意を表するとともに,本稿がユーザ企業,システム業界に携わる方々の参考となれば幸甚である.

参考文献
水野祐輝

水野祐輝(非会員)
mizuno.yuuki@daido-life.co.jp

T&D情報システム(株)収納システム課課長代理(2022年〜).2010年より生命保険の解約・名義変更等にかかわるシステム開発保守を経験(2010〜2018年).社内のプロジェクトチームへ配属された際に,執筆論文のテーマとした「つながる手続」の開発へ従事した(2019〜2021年).

高橋幸太

高橋幸太(非会員)
takahashi.kouta@daido-life.co.jp

T&D情報システム(株)次世代システム推進部課長代理(2023年~).2010年より大同生命からシステム関連会社であるT&D情報システムに出向し以降,企業保険,保険金支払システムの開発・保守を経験.保険金支払システムの担当として執筆論文のテーマとした「つながる手続」の開発へ従事した(2019〜2021年).

清水千翔(非会員)

採録決定:2023年6月13日
編集担当:斎藤彰宏(日本IBM)

会員登録・お問い合わせはこちら

会員種別ごとに入会方法やサービスが異なりますので、該当する会員項目を参照してください。