会誌「情報処理」Vol.64 No.8(Aug. 2023)「デジタルプラクティスコーナー」

Glossary─グロッサリ─

DX(Digital Transformation)

企業が外部エコシステム(顧客,市場)の劇的な変化に対応しつつ,内部エコシステム(組織,文化,従業員)の変革を牽引しながら,第3のプラットフォーム(クラウド,モビリティ,ビッグデータ/アナリティクス,ソーシャル技術)を利用して,新しい製品やサービス,新しいビジネスモデルを通して,ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し,競争上の優位性を確立すること.
出典:「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」6(令和2年7月17日閣議決定)

RX(Research Transformation)

デジタルテクノロジーを主なドライバとする研究開発システムの変革および研究開発活動のオペレーティングシステムのトランスフォーム.
出典:CRDS-FY2020-RR-06 The Beyond Disciplines Collection リサーチトランスフォーメーション(RX)ポスト/withコロナ時代,これからの研究開発の姿へ向けて

XR(Cross reality, Extended reality)

VR(Virtual Reality:仮想現実)・AR(Augmented Reality:拡張現実)・MR(Mixed Reality:複合現実)・SR(Substitutional Reality:代替現実)など,現実世界と仮想世界を融合して,新しい体験を作り出す技術の総称.
出典:XR(クロスリアリティ)とは?VR・AR・MRなどの違い・活用事例など
https://www.dhw.ac.jp/faculty/media/cross_reality/)(2023年4月4日)

デジタル治療薬

エビデンスに基づく治療介入を提供するデジタルヘルスツールの一種であり,医学的な障害や疾患を予防,管理,または治療するための高品質なソフトウェアプログラム.

デジタルヘルス

人工知能,機械学習,仮想現実(VR),ビッグデータ解析,スマートフォン,ウェアラブルデバイス,オンライン診療など各種デジタル技術を活用することで個人の健康維持・管理,病気の予防,診断,治療の効果を向上させる取り組み.

空間光変調器

ホログラフィー(ホログラフィ)表示や光計測等で利用される2次元画像の表示装置を空間光変調器という.通常のディスプレイと同じく画素が2次元的に配置された表示面を持ち,光の振幅や位相を2次元的に変調できるため,光の波面を制御できる.現状では,光の変調に液晶を用いるものとMEMSミラーを用いるものが存在する.画素ピッチは10μm以下のものが多い.

ライトフィールドディスプレイ

ディスプレイ上の各点から射出される向きに応じて異なる色と明るさを再現できるディスプレイ.実物を見ているかのような立体感のある映像となる.

インコヒーレント光源

コヒーレント光源とは,単一の波長で位相がそろった光(レーザー光がよく知られる)を発する光源.これに対し,インコヒーレント光源とは,自然光を反射している物体であり,人工光源としては電球,蛍光灯,LEDなどが該当する.

パッシブ光学素子

光の制御を行う光学素子で,電力を供給する必要のないもの.たとえば招待論文『タッチレス空中インタフェースとしての3Dディスプレイの利用』のビームスプリッター,再帰反射素子はその例で,前者は入力された光を複数に分岐させ,後者は入射した光を入射方向に逆転させて返す.

位相差フィルム

通過する光の位相差を調整する機能を持つフィルム.液晶ディスプレイには不可欠の部材で,画面の明るさや視野角を向上させるために開発され,使用されている.

画角

画面サイズを目から見た角度で表したもの.視野角と呼ばれることもある.特に,ヘッドマウントディスプレイヤスマートグラスでは,画面の大きさを表すために,実際の画面サイズよりも画角が用いられる.

虚像

レンズによる結像で,物体をレンズの焦点よりレンズ側に置くと,レンズの奥側に像が見える.しかし,像が存在しているように見えるレンズ奥側の位置には実際には光線による像形成がなされていないため,虚像と呼ばれる.虚像は,物体より大きく,拡大像となる.

ホログラム光学素子

ホログラムは,物体から発せられる波面を記録し再生することができる.光学素子を通過した波面をホログラムに記録すると,ホログラムは光学素子を通過後の波面を再生する.この場合,ホログラムは光学素子と同じ機能を持ち,これをホログラム光学素子という.ホログラムフィルムは薄いので,薄型の光学素子が実現できる.ただし,記録に用いたレーザー光と同じ波長の光に対してのみ機能する.

メタサーフェイス

光の波長以下の周期構造により,透過光や反射光の振幅,位相,偏光,軌道角運動量を制御する光学素子である.周期構造の厚さは波長以下にでき,半導体リソグラフィー技術で作製される.

ホログラフィー/ホログラフィ

物体にレーザー光を照射した際の反射光である物体波と参照光の干渉で生じる干渉縞をフィルムに記録し,現像したフィルムに参照光を照射すると物体波が再生される.このような波面の記録・再生技術をホログラフィー(ホログラフィ)という.物体波が再生されるため,実際に物体が存在しなくても,そこに物体があるように見えるため,立体表示が実現できる.

液晶素子

透明電極の間に多数の液晶分子を並べて,透明電極間に電圧を印加すると液晶分子が回転する.液晶分子の回転により,液晶分子を透過する光の偏光が回転する.このことを用いて,液晶素子は光の振幅や位相を変調する.

位相型ホログラム

従来のフィルムに記録したホログラムは,光の透過率分布を持つため,光の強度を2次元的に変調する.これに対して,光の位相を2次元的に変調するのが位相型ホログラムである.光の波面の形状は主に位相で決まるので,位相変調のみでも波面を制御できる.位相変調は光の強度が減少しないため,位相型ホログラムでは明るい再生像が得られる.

レーザーバックライト

薄型な液晶ディスプレイでは,光源として液晶ディスプレイの背面に薄型のバックライトを用いる.空間光変調器を用いた表示装置の薄型化のためには,レーザー光を発するレーザーバックライトが必要になる.レーザーバックライトについては,実現方法も含めて,研究開発が行われている段階にある.

高次回折

回折格子などの周期的な構造を光が通過すると,光の回折現象により,異なる角度へ光パターンが繰り返し発生する.直進方向への回折をゼロ次回折という.その周囲に±1次,±2次,……の回折光が発生し,これを高次回折という.

人間拡張技術

テクノロジーを用いて,人間が元来持つ能力を高める,あるいは,元来持っていない能力を実現する技術をいう.たとえば,人間の筋力を高めるパワードスーツなどが挙げられる.

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