会誌「情報処理」Vol.63 No.11(Nov. 2022)「デジタルプラクティスコーナー」

Glossary─グロッサリ─

インクルーシブデザイン

人々の多様な身体および認知的能力,言語,文化,ジェンダー,年齢,そのほかの違いを考慮した製品またはサービスの設計方法論.

製品/サービス開発において従来は疎外されていた高齢者や障がい者に設計の上流工程から参加してもらい,専門家とともに製品/サービスを開発する参加型デザインプロセスなどの手法を含む.

エクストリームユーザ

ユーザ中心設計において製品やサービスの想定ユーザのうち,平均的ユーザから離れたユーザ層を指す.

エクストリームユーザは極端なこだわりや行動パターン,問題意識を持ち,また,極端な利用環境に置かれていることから,製品やサービス開発時の調査において平均的ユーザからは得難い観点や要望をエクストリームユーザから得ることができる.

情報保障

全ての利用者が同時に同質で同量の情報を得られるために行う行動のこと.

たとえば,聴覚に障がいがある人に対しては,手話通訳や要約筆記,パソコン文字通訳などが挙げられる.

人工内耳

音声を電気信号に変換し,直接聴神経を刺激して脳に音声を伝える装置.

手術により内耳に電極を,側頭骨に受信コイルをそれぞれ埋め込み,耳介には送信コイル付きマイクを装着して使用する.

マイクで拾われた音声は送信コイルから受信コイルに電気信号として伝わり,蝸牛内で電流が発生する.

発生した電流は蝸牛周辺の聴神経を刺激し,その刺激が大脳に伝わることで,利用者は音声を知覚する.

トポロジカルルートマップ

目的地までの,環境中の任意の地点とそのつながりをグラフ状に表現した地図のこと.

グラフ中のノードは案内に便利な場所,建物の入り口や部屋のドアの前,廊下の曲がり角などに配置する.

リンクはノードとノードをつなぐ通路を表現し,通路の幅や動く歩道かどうかなどの通路の属性も保持する.

LiDAR

離れた場所にある物体までの距離を,近赤外光や可視光,紫外線を使って対象物に光を照射し,その反射光を光センサでとらえ測定するセンシング技術のこと.最近は安価なLiDAR機器が増えてきている.

RGB-Dカメラ

カラー画像(RGB)だけでなく,対象までの距離(D)を取得できるセンサを持つカメラのこと.赤外線のパターンを照射し2つの赤外線カメラの視差を使って奥行きを推定する方式などがある.米Intel社が開発するRealSenseが有名.

SLAMアルゴリズム

LiDARやカメラ等の外界センサから取得した情報を利用して自己位置推定と環境地図作成を同時に行うアルゴリズムのこと.

たとえばLiDARから取得した情報を用いることで自動運転に使われるような精度の高い地図を作成することができる.

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