デジタルプラクティス Vol.11 No.2(Apr. 2020)

組織的なアジャイル開発活用の施策とその推進役の育成
─コニカミノルタの施策に基づいて考える─

藤井 拓1  中原 慶2

1(株)オージス総研  2コニカミノルタ(株) 

本稿では,まずアジャイル開発の狙いと日本のこれまでの状況について論じ,2016年以降に組織的なアジャイル開発活用の取り組みを行う事例が現れていることを説明する.次に,このような組織的なアジャイル開発活用の取り組みの施策の適用領域を提案し,実際にそのような取り組みを行っているコニカミノルタの施策と対比する.さらに,コニカミノルタの施策の実行過程を一般化したアジャイル開発活用推進のロードマップを提案する.また,アジャイル開発活用推進のロードマップを推進する中心的な役割を担うアジャイル開発推進役が備えるべきコンピテンシー,専門的な知識やスキルを明らかにし,エンタープライズアジャイル勉強会で行っているアジャイル開発推進役育成の取り組みを紹介する.

1.アジャイル開発の狙いと日本のこれまでの状況

アジャイル開発は,要求を開発の初期段階で確定せずにバックログ化して,優先度の高いバックログ項目から順番に2週間ほどの一定期間(反復)で動くソフトウェアとして実現していく,チームベースの開発手法である.ここで,バックログ化とは,開発してほしい要求を一意に優先順位付けした一覧にすることであり,その際にバックログ項目はユーザストーリーという要求表現形式で記述されることが多い.ユーザストーリーは,ソフトウェアにおいて実現してほしいことを1,2行で簡潔に表現した要求表現形式である.アジャイル開発では,開発依頼者は,開発途上でバックログ項目の優先順位付けやプロダクトの受け入れを行うなどを通じて,開発チームと継続的に連携する.このような開発手法は,動くソフトウェアで新たな価値(仮説)の妥当性を確認できる,という利点があり,開発初期に価値が不確実なプロダクトの開発に適している.

2001年にXP(eXtreme Programing)[1]やスクラム[2]などの主要なアジャイル開発の提案者たちが集まって共通の価値や原則を文書化したアジャイル開発宣言を発表して以降,欧米ではその活用が進んできた.その一方で,日本では2016年頃まで何度かアジャイル開発が注目を集めたことがあったが,クラウドサービスの開発やゲームの開発以外のITシステムの開発やプロダクト開発などにおけるアジャイル開発の継続的な活用や活用の拡大はあまり進まなかった.

筆者らは,2001年以降トレーニングで日本のさまざまな企業でアジャイル開発の活用を支援し,2014年以降エンタープライズアジャイル勉強会というコミュニティを結成して,日本でのアジャイル開発の活用に注力してきた.それらの経験を通じて,日本のさまざまな企業でのアジャイル開発の活用を阻害する初期の要因は,以下の2点だと考えている.

  • アジャイル開発とこれまで日本で主流だった従来の開発(ウォーターフォール型開発)の狙いが異なることが理解されていない
  • アジャイル開発の活用を阻むさまざまな障害が存在し,それらの障害を克服しない限り活用が進まないことが理解されていない

前者は,日本ではソフトウェア開発において「仕様どおりに早く,安く,品質がよい」ものを求められることが多く,それがアジャイル開発の狙いである「市場やニーズの不確実性に向き合い,価値あるものを早く提供する」というものとずれているということである.この狙いの違いにより,図1に示すアジャイル開発宣言[4]の4つ価値においても,左記のことがらと右記のことがらのどちらに価値を置くかが左右される.日本の企業は,従来どおり「仕様どおりに早く,安く,品質がよい」を狙っていたので,アジャイル開発宣言の左記のことがらに価値を置き,アジャイル開発を素直に活用することができなかったのである.

アジャイル開発宣言の4つの価値
図1 アジャイル開発宣言の4つの価値

一方で,アジャイル開発の活用を阻むさまざまな障害としては,図2の「うちでもアジャイル開発やってみました」アンチパターン[3]で示されるようなさまざまな障害に直面することが多かったことが挙げられる.このような障害の克服には,プロジェクト単位でのアジャイル開発の適用を超えた組織的な取り組みが必要だが,実際にそのような取り組みは少なかった.

「うちでもアジャイル開発やってみました」アンチパターン
図2 「うちでもアジャイル開発やってみました」アンチパターン

このような状況が2016年以降,少しずつ変わってきている.たとえば,エンタープライズアジャイル勉強会の発表や本稿誌においても金融[5],通信[6],製造業[7]を中心にして先に述べたアジャイル開発の狙いを素直に理解し,組織的な取り組みでアンチパターンを克服している事例が現れてきている.

本稿では,アジャイル開発活用の組織的取り組みの施策の適用領域を提案し,アジャイル開発活用の組織的取り組みを実行している,コニカミノルタの施策[8]と対比する.次に,コニカミノルタの施策を参考にして作成したアジャイル開発活用推進のロードマップを提案する.さらに,アジャイル開発活用に取り組む上で重要な役割を果たすアジャイル開発活用の推進役の育成の例として,エンタープライズアジャイル勉強会の取り組みを紹介する.

2.アジャイル開発活用への組織的取り組みの施策とその事例

2.1 アジャイル開発活用への組織的取り組みの施策の適用領域

筆者らは,アジャイル開発活用の組織的取り組みを進めている,コニカミノルタ[8]およびその他の会社の施策[5]を,表1のような6つの領域に整理した.

表1 アジャイル開発活用の組織的取り組みを行う施策の適用領域
アジャイル開発活用の組織的取り組みを行う施策の適用領域

この施策の適用領域の設定を考える際に,コッターが提案している企業変革のステップ[9]とSAFe(Scaled Agile Framework)[10]というアジャイル開発フレームワークの実装ロードマップを参考にした.

コッターが提案している企業変革のステップは,以下の8つのステップで構成されているが,その中の最初の5ステップを施策の適用領域の設定の参考にした.

  1. 危機意識を生み出せ
  2. 変革を進めるための連帯チームを結成する
  3. ビジョンと戦略を作る
  4. ビジョンを周知徹底する
  5. 従業員の自発を促す
  6. 短期的な成果を実現する
  7. 成果を活かしてさらに変革を進める
  8. 新しい方法を企業文化に定着させる

ここで最初の5ステップを選んだのは,これらのステップはビジネス上の成果の拡大に影響する他のビジネス要因によらず適用できるものだと考えたからである.そのようなビジネス上の成果の拡大に影響するほかのビジネス要因としては,開発を超えたビジネスの企画力が考えられる.そのような企画力は,アジャイル開発の狙いである「市場やニーズの不確実性に向き合い,価値あるものを早く提供する」の中で育成されるもの,言い換えれば失敗を通じて育成するのではないかと思われる.このような育成の施策としては過去の実績よりもアイディアの素晴らしさを評価し,迅速に承認するような企画承認プロセスが有効な可能性があるが,本稿の執筆時点ではまだ確信がなかったので領域として設定しなかった.

SAFeの実装ロードマップは,コッターの企業変革ステップのSAFeを用いた実装を提案しているが,その中で以下のようなアイディアが追加されている.

  • 1)企業において変革の対象とすべき業務バリューストリームや開発バリューストリームを選択する
  • 2)企業の変革を推進するリーダや開発に関与するさまざまな役割ごとのトレーニングを提供している
  • 3)アジャイル開発を実行しているチームに対するコーチングなどの支援を提供している

ここで,業務バリューストリームは,顧客の注文を受けてから価値を提供するための一連の業務の流れを表し,開発バリューストリームは,その業務バリューストリームで用いられるシステム等を作るための一連の業務を表す.SAFeの実装ロードマップでは,業務バリューストリームに注目することで変革の対象とすべき業務を選び,その業務バリューストリームを変革する上で効果の高い開発バリューストリームを選ぶことを推奨している.そのように変革対象の業務バリューストリームを設定することの利点として,その分野でアジャイル開発を活用する継続的なニーズを得ることが期待できることが挙げられる.

SAFeの実装ロードマップの3点のアイディアのうち,2),3)は前記の施策の適用領域のE),F)として取り入れた.1)については,日本の企業でトップダウン的にアジャイルの適用領域が決められることは少ないと考えて,前記の施策の適用領域に含めなかった.

次の節で表1のA)〜F)でコニカミノルタが各々どのような施策を実施しているかを紹介する.

2.2 コニカミノルタの取り組み

コニカミノルタは,これまで材料,画像,光学,微細加工などのコア技術を活用し,カメラ,フィルム,情報機器などの分野でビジネスを展開してきたが,分野を超えた大きな変革期に直面している.その変革を成し遂げる手段として,企画,開発,運用が連携した新たなサービス作りを実現しようとしている.しかし,このような新たなサービス作りを実現するためには組織が変わる必要があり,表2のような施策を実施している.

表2 コニカミノルタの主な施策
コニカミノルタの主な施策

これらのコニカミノルタの施策から分かることは以下のとおりである.

  • 表1の施策の適用領域A)~F)までが包括的に実行されている
  • コッターの企業変革のステップの「変革を進めるための連帯チーム」を実現する「全社横断的ワーキング」のような横の連帯や,組織階層のあらゆるレベルが参加するナレッジの共有や講演が行われている
  • 要求開発研修やアジャイルの基礎教育ワークショップのような教育インフラを提供するとともに,社内コーチによるプロジェクトの支援を行っている

これらの施策から,コッターの企業変革のステップは施策を立案する上で役立つことが分かる.しかし,それだけでは不十分であり,アジャイル開発の活用というコンテキストでは,SAFeの実装ロードマップに含まれているような教育インフラの整備やコーチによるプロジェクトの支援も必要であることが分かる.

コッターの企業変革のステップはトップダウンでの企業変革を行う場合のステップであるが,ボトムアップも含めた企業変革を進めるために役立つパターンとして,LynnらがFearless Change[11]というパターンを提案している.Fearless Changeのパターンの例としては以下のようなものがある.

  • 正式な推進担当者:推進を業務として担当する人を任命する
  • 勉強会:あるトピックについて継続的に探求したい同僚を集めたグループを作る
  • 経営層の支持者:経営層がイノベーションと組織の目標が整合するように支援する
  • アーリーアダプタ:新しいアイディアのオピニオンリーダーになり得る人の支援を得る
  • みんなを巻き込む:組織のより広範な人がイノベーションを支えたり,貢献できたりする
  • 著名人を招く:新しいアイディアに関する著名人を招いて,新しいアイディアについて語ってもらう

コニカミノルタの具体的な施策には,表2の施策に加えて,このようなFearless Changeのパターンに対応するものが多く含まれる.たとえば,コニカミノルタの具体的な施策を立案し,推進したのは,これらのパターンの中で「正式な推進担当者」に位置づけられる人であった.このような役割を果たす人を本稿では,「アジャイル開発活用の推進役」と呼ぶ.また,アジャイル開発活用の推進役の役割は必ずしも1人で担う必要がなく,複数人からなるチームでもよいと考えられる.

3.アジャイル開発活用推進のロードマップ

前章で紹介したコニカミノルタの施策は,「うちでもアジャイル開発やってみました」アンチパターンを克服するものになっているが,施策を考える際に克服の処方箋(解決策集)が先にあったわけではない.アジャイル開発活用の推進役が自らアジャイル開発を理解し,その活用の障害に対する解決策を考案した結果としてアンチパターンを克服する施策に至ったと考えられる.

実際に,施策をアジャイル開発活用の推進役が開発し,実行したステップは以下のようなものであった.

  • A)社内課題収集および世の中の調査
  • B)自社の展開に合ったメソッド構築
  • C)研修作成と試行
  • D)人事施策として全社展開
  • E)各事業部門のトップへ説明行脚

これらはアジャイル開発の理解,メソッドの構築と研修の開発,メソッドの展開という流れで推進されていると考えられる.A)のステップを「初期学習段階」,B),C)のステップを「実証段階」,D),E)を「展開段階」と呼び,各段階で行うことを一般化すると図3のようになる.

アジャイル開発活用推進のロードマップ
図3 アジャイル開発活用推進のロードマップ

図3中の各段階の活動は以下のとおりである.

  • 初期学習段階:アジャイル開発(スクラム)をプロセスとマインドセットの両面で理解する.さらにプロダクトの価値とその価値に付随する仮説を検証するための要求(プロダクトバックログ項目)の定義過程等を理解する
  • 実証段階:アジャイル開発を活用する組織に適したアジャイル開発の実行方法やメンバの育成方法を開発し,その有効性を複数の開発プロジェクトで検証する
  • 展開段階:検証されたアジャイル開発の実行方法に対する研修を開発し,その研修を軸にしてより広い組織でより多くの成果が出ると期待できる施策を立案し,その施策を実行し,施策の結果を評価し,振り返りにより施策の改善を行う

なお,アジャイル開発プロジェクトではスクラムのプロダクトオーナ(PO)やスクラムマスタ(SM)のような役割が設定されることが多く,これらの役割がアジャイル開発プロジェクトの成否に大きな影響を及ぼすと考えられる.ここでPOは,前述した要求をバックログ化し,バックログ項目の優先順位付けを行い,開発された動くソフトウェアを受け入れていく,役割である.また,SMは,開発チームに開発手法の適用方法を教えるとともに,開発を進める上での障害の解決を支援する,役割である.これらの役割が重要であるため,難易度が高いがPOやSMをどのように育成するか,という点も実証段階以降の大きな課題になる.

また,実証段階以降は,アジャイル開発のメリットを享受できそうなプロダクト開発のニーズを集める方法を考えていかねばならない.そのためには,企画部門や利用者部門などにアジャイル開発を使ってみたいと思ってもらえるようなプロモーション活動を行い,そこから出た開発ニーズとアジャイル開発の適合性を評価するなどの取り組みも必要になる.

さらに,開発を他社に委託している場合に現状の開発委託先のメンバがアジャイル開発が未経験であることが多い.そのため,実証段階以降に委託先の会社のメンバに教育を誰が行い,そのコストをどう負担するか,という点についても考える必要がある.

4.アジャイル開発活用の推進役の育成

今後,日本でアジャイル開発の活用をさらに広げるためには,前章で述べたようなロードマップを立案し,推進するアジャイル開発活用の推進役の育成が大きな課題になると考えられる.

第2章で論じた施策の立案と遂行および第3章で論じたアジャイル開発活用推進のロードマップの推進から考えると,アジャイル開発活用の推進役には以下のようなコンピテンシー,専門的な知識やスキルが必要だと考えられる.

  • A)アジャイル開発の知識とスキル
  • B)説明能力
  • C)障害の克服能力
  • D)活用戦略の構想支援能力
  • E)教育能力

これらのコンピテンシー,専門的な知識やスキルが必要な理由をまとめたものが表3である.

表3 コンピテンシー,知識やスキルが必要な理由
コンピテンシー,知識やスキルが必要な理由

次にアジャイル開発活用の推進役の育成の取り組みの例として,エンタープライズアジャイル勉強会の取り組みを紹介する.筆者も実行委員として関与しているエンタープライズアジャイル勉強会は,2014年に日本の企業での「エンタープライズアジャイル」の実現を阻む障害と解決策を共有することを目指して発足した.しかし,2016年頃にエンタープライズアジャイル勉強会はアジャイル開発活用の推進役の重要性を認識し,アジャイル開発活用の推進役の育成も含む支援を提供する方針に方向を変えた.

2016年以降,エンタープライズアジャイル勉強会では主として先に上げたA)とC)の分野を中心に表4に示されるような手段でアジャイル開発活用の推進役の育成の支援に取り組んできた.

表4 エンタープライズアジャイル勉強会が行っているアジャイル開発活用の推進役の育成の取り組み
エンタープライズアジャイル勉強会が行っているアジャイル開発活用の推進役の育成の取り組み

これらの取り組みの中でオンライン講座「アジャイル開発の基本」は,情報サービス産業協会と共同開発したものであり,オンラインの講義,ミニレポート,集合研修で構成される研修である.この研修の目的は,アジャイル開発活用の推進役が基本的な知識やマインドセットを学ぶことである.オンラインの講義は無料で視聴可能なので,アジャイル開発活用の推進役自身が視聴することに加えて,組織内でのアジャイル開発の教育に使うことが可能である.さらに,より実践的な知識を学ぶ手段として定例セミナを開催したり,定例セミナの内容をまとめた書籍を刊行したりしている.

Fearless Journey[12],[13]は,複数人で自分たちが直面している課題を抽出し,それをFearless Changeのパターンで解決できるのか検討をするというカードゲームである.このゲームにより,Fearless Changeのパターンをグループで能動的に学習することができる.このゲームは,2016年から合宿やワークショップで実施しているが,アジャイル開発活用の推進役に非常に好評である.

Open Space Technology(OST)[14],[15]は,参加者がその場で議論したいことを提案し,タイムテーブルに割り付けるという形式のカンファレンスである.OSTでは,通常のカンファレンスのように主催者がプログラムを事前に組み立てるのではなく,参加者が議論したいことに即したプログラムをその場で組み,それについて興味を持つ人たちが集まって議論する.このようなイベントを開催することで,アジャイル開発活用の推進役の初心者からベテランまでが各々の課題や解決策に議論し,相互に学ぶことができる.

エンタープライズアジャイル勉強会としては,アジャイル開発活用の推進役の初心者がオンライン講座,書籍,Fearless Journeyで基礎的な知識やスキル,コンピテンシーを育むことで初期学習段階から実証段階への移行を支援し,実証段階以降は毎月の技術講演や事例紹介,OSTで自らの課題の解決を支援することを狙っている.

5.今後の課題

今後検討すべき大きな課題として,以下のことが考えらえれる.

  • 本稿では,コニカミノルタの事例を挙げたが,さらにほかの事例も収集しながら,本稿で提案した施策の適用領域とロードマップに適合するかを調べる必要がある
  • 2.1節で紹介したSAFeの実装ロードマップでは,初期段階で「企業において変革の対象とすべき業務バリューストリームや開発バリューストリームを選択する」ことでアジャイル開発の活用を推進すべき分野を設定することが推奨されている.このようなアプローチが日本の企業でも有効であるかを調べていく必要がある
  • アジャイル開発活用の推進役の育成に向けて,エンタープライズアジャイル勉強会が提供している支援が有効であるかを検証していく必要がある

6.まとめ

本稿では,まずアジャイル開発の狙いと日本のこれまでの状況について言及した.そこでは,2016年以前は,アジャイル開発の狙いの理解や,アジャイル開発の活用に対するさまざまな障害の克服に組織的な取り組みが必要なことの理解が不十分だったことを述べた.2016年以降は,コニカミノルタを始めとして組織的なアジャイル開発活用の取り組みを行う事例が現れており,狙いや障害が克服されつつある.本稿では,このような組織的なアジャイル開発活用の取り組みの施策の適用領域を提案し,実際にコニカミノルタの施策がそれらの領域をカバーしていることを示した.次に,コニカミノルタの施策の実行過程を一般化したアジャイル開発活用推進のロードマップを提案した.また,アジャイル開発活用推進のロードマップを推進する上でのアジャイル開発推進役が備えるべきコンピテンシー,専門的な知識やスキルを明らかにした.さらに,アジャイル開発推進役育成の取り組みの1つの例として,エンタープライズアジャイル勉強会の取り組みを紹介した.

参考文献
  • 1)ケント・ベック他:エクストリームプログラミング,オーム社 (2015).
  • 2)ケン・シュエイバー他:アジャイルソフトウェア開発スクラム,ピアソンエデュケーション (2003).
  • 3)藤井 拓監修,エンタープライズアジャイル勉強会:改訂新版 エンタープライズアジャイルの可能性と実現への提言,インプレスR&D (2019).
  • 4)アジャイル開発宣言:https://agilemanifesto.org/iso/ja/manifesto.html
  • 5)大西 純:三菱UFJ銀行におけるアジャイルの取り組み〜これまで,今,これから〜 (2018) https://easg.smartcore.jp/C23/file_details/VkR4V1l3PT0=
  • 6)藤井彰人:通信事業者におけるLean & Agile適用事例─企業向けITとエンジニアの物心両面での改善のために─,デジタルプラクティス, Vol.7 No.3, pp.235-242 (2016).
  • 7)中原 慶:老舗メーカーに反復型開発を導入してみました (2017) https://easg.smartcore.jp/C23/file_details/VVRaU1pRPT0=
  • 8)中原 慶:老舗メーカーにアジャイル型要求開発を広めてみました (2019) https://www.slideshare.net/keinakahara3/20190131-requirement-aliance
  • 9)ジョン・P.・コッター:企業変革力,日経BP (2002).
  • 10)Knaster, R. 等:SAFe 4.5 のエッセンス―組織一丸となってリーン‐アジャイルにプロダクト開発を行うためのフレームワーク,エスアイビーアクセス (2020).
  • 11)Manns, M. L. 等:Fearless Change アジャイルに効く アイディアを組織に広めるための48のパターン,丸善出版 (2014).
  • 12)Fearless Journey web site:https://fearlessjourney.info/
  • 13)水野正隆:アイディアを組織に広げる方法をチームで考える―Fearless Journeyゲーム―エンタープライズアジャイル勉強会の場合,https://www.ogis-ri.co.jp/otc/hiroba/Report/easg-tutorial-2018/
  • 14)ハリソン・オーエン:オープン・スペース・テクノロジー─5人から1000人が輪になって考えるファシリテーション─,ヒューマンバリュー (2007).
  • 15)水野正隆:参加者がつくる対話の場 オープンスペーステクノロジー─2018年エンタープライズアジャイルの集いでのOST,https://www.ogis-ri.co.jp/otc/hiroba/Report/EnterpriseAgileGathering2018/ost.html
藤井 拓(非会員)fujii_taku@ogis-ri.co.jp

オージス総研技術部ビジネスイノベーションセンタに所属.1990年オージー情報システム総研(現オージス総研)に中途入社.ソフトウェア開発プロジェクトの測定,アジャイル開発を含む反復的な開発手法やモデリングの実践,研究,教育や普及に従事.認定スクラムマスター,SAFe Program Consultant 4,技術士(情報工学部門),博士(情報学).

中原 慶(非会員)kei.nakahara@konicaminolta.com

ソフトハウスを経て(株)豆蔵に転職.オブジェクト指向, UMLモデリングを中心とした教育,コンサルティングに従事.その後,(株)チェンジビジョンにてアジャイルプロジェクトマネジメントツール TRICHORDをはじめとしたツールを開発.並行して,自動車業界におけるシステム仕様記述手法の研究/展開やプロセス改善を実施.現在はコニカミノルタ(株)にてアジャイル型開発の社内コーチ,および全社展開を行いつつ,新規サービスの開発に従事している.CSM,CSPO,Scurm@Scale Practitionar,認定LeSS実践者,Management3.0認定ファシリテーター.

採録決定:2020年2月18日
編集担当:上條 浩一(日本アイ・ビー・エム(株))