デジタルプラクティス Vol.11 No.1(Jan. 2020)

巻頭言

デジタルプラクティス編集委員会委員長
細野 繁

実務の現場で生み出されているICTの創意工夫,利用法,教訓などの大半は,個人の内に蓄積されるか,当人の周囲だけで流通しているだけではないかとの課題意識から,知識や経験を社会全体に公開共有し再利用する手段や場を提供しようと,論文誌デジタルプラクティスを2010年に創刊しました.それ以来,年間4回の刊行を続け,ICTの実践における技術深化や発展を加速し,学術や標準化分野との連携を推進してきました.本特集号「DX時代のスキル標準と人材育成」は,早くも通刊41号を数えます.これまでの特集を振り返ると,ビッグデータ,減災ICT,クラウド,サービスイノベーションなどICTの進化を特徴付けるトピックや社会動向を反映したテーマ(表1)でたくさんのプラクティスをお届けしてきました.この間,編集委員会では,編集担当を次の世代の研究者・技術者・実務者へバトンを渡しつつ,同時により良い提供の仕方を模索し,今では完全オンラインで本会会員外の方も閲覧できる形で提供させていただいております.

表1 デジタルプラクティス特集テーマ☆1
デジタルプラクティス特集テーマ

さて,発刊から10年を経た今年はさらなるチャレンジを進めています.今秋よりデジタルプラクティスを3つに再編いたします.デジタルプラクティスは,学術論文誌と同様の査読審査を設ける「論文誌トランザクション デジタルプラクティス」,情報処理学会会誌と連動して会誌(紙媒体)には概要を掲載し,論文全体を電子版として一般公開する「デジタルプラクティスコーナー」,そして内容の深さや高度さよりも速報性に主眼においた「DPレポート」として構成します☆2.令和の時代に相応しくICTと社会が調和する創意工夫や経験をより読者の皆様のご要望・ご期待に沿った形でお届けできるものと確信します.

今,私たちが向かっているSociety 5.0は,IoTで人とモノがつながり,さまざまな情報が連携して,新たな価値を生み出し,社会が求めるサービスを提供する世の中です.その実現には,AIの応用,AIと倫理,ドローンの活用,IoTシステム構築,自動走行,ロボット活用,システムズエンジニアリングなど新たな技術にかかわるプラクティスが求められています.また,情報システムの設計やセーフティ&セキュリティの確保など,ハードウェア・ソフトウェアの進化に伴い常にプラクティスを重ね続けることが求められています.プラクティスの必要性は一層高まっていると認識し,これからも編集委員一丸となり視野を広く感度を高くして,読者の皆様に,タイムリーに先進的な取り組みをお届けできるよう努めてまいります.皆様,これからの取り組みに,どうぞご期待ください.

 

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