デジタルプラクティス Vol.10 No.2(Apr. 2019)

世界100カ国以上で採用!全世界デジタル3D地図AW3D Ⓡ
─ビッグデータ・AIから生まれるバーチャル空間が社会を変える─

大竹 篤史1

1(株)NTTデータ 社会基盤ソリューション事業本部  ソーシャルイノベーション事業部 部長 

衛星画像を活用した3D地図AW3Dにより,3D地図の可能性が大きく拡がった.本稿ではその背景・利用技術・活用事例・今後の展望について述べる.

※本稿の著作権は著者に帰属します.

1.3D地図を取り巻く背景と課題

地震や津波,洪水などの防災対策や都市インフラ整備のために世界中で3D地図の需要が高まっている.3D地図とは,緯度・経度・高度の情報を組み合わせて,陸地の起伏を表現したものである(図1).陸地の起伏をわかりやすく,かつ,正確に可視化することで,防災に必要なシミュレーションや施設の建築計画をスムーズに進めることができる.そのため,インフラ整備や災害対応が十分ではない新興国を中心に3D地図の普及が望まれてきた.

3D地図で再現されたエベレスト
図1 3D地図で再現されたエベレスト

しかしこれまでは,多くの場合,航空機を使った調査を行う必要があり,航空写真と人手で計測したデータを基に3D地図を作成していた.そのため,多くのコストと期間がかかり,3D地図の作成対象は一部の地域に限定されてきた.

これまで全世界規模で整備された地図には,米国が2000年にスペースシャトルを用いて観測したデータによる90mおよび30m解像度の数値標高モデル(2003年に第1版公開☆1),米国と日本が共同で2000年から観測した衛星画像による30m解像度の数値標高モデル(2009年に第1版公開☆2)があるが,詳細な地図の整備には十分な解像度ではなかった.

そうした環境を一変させたのが人工衛星の観測技術とITの処理能力の大幅な向上である.本稿では,特に陸域観測技術衛星「だいち」と,筆者らがかかわってきた全世界デジタル3D地図「AW3D」を中心に,人工衛星と情報技術によって3D地図がどのように変化してきたのかを事例を交えつつ紹介する.本稿の構成は以下のとおりである.まず第2章にて人工衛星技術がどのように3D地図製作に貢献するのかを述べる.次に第3章にて全世界デジタル3D地図「AW3D」がどのような観測技術と情報処理に支えられているかを述べる.そして第4章では高精度な3D地図がどのように活用されているかを事例を元に示す.第5章にて本稿をまとめるとともに,3D地図の未来について展望を述べる.

2.3D地図を変えた人工衛星技術

私たち人間は左右それぞれの目から見える一点の画像の差(視差)によって高さや遠近感を感じている.同様に,特定の地点を複数方向から撮影する衛星画像を活用することで,当該地点の高さを算出することができ,そこに元々衛星が持っている緯度経度情報を足し合わせることで3D地図が出来上がる.高さ算出に必要となる角度は最低限2方向となるが,多くの角度から撮影することで,死角がなくなり,より現実世界を再現した3D地図を作ることができる.

JAXAの陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS:エイロス)は,世界でも珍しい光学センサ「パンクロマチック立体視センサ(PRISM)」が搭載されている(図2).PRISMは地形を全方面から撮影できるよう衛星の進行方向に対して前方視・直下視・後方視の3方向の画像を同時に取得することができる.「だいち」には2つの目=センサに加え,もう1つの目が加わっているため死角がなくなり,完全な3Dの作成を可能とした.高い山などを撮影する場合に,光学系が2つでは死角となる部分ができてしまうが,3つだとほぼすべての面を撮影することが可能となる.このように3Dの地形データを作るのにうってつけのセンサであるが,さらに驚くべきことには,「だいち」のセンサはこれを数メーターレベルの高精度で計測できるようになっている.この技術なくして高精度3D地図の実現はなかったであろう.この技術をさかのぼると,衛星をいかに制御して,きちんと位置を定めて撮影しているかというJAXAの技術がベースになっている.これにより,高精度の地形データを高頻度に取得することが可能となった.「だいち」のように3台もカメラ(センサ)を搭載した衛星は,世界でもほとんど打ち上げられていない.また,日本の衛星は姿勢や軌道のコントロールが正確であることも知られている.このようにJAXAを始めとする宇宙関連企業・組織が地道な衛星開発に心血を注ぐことによって築き上げられてきた高度な人工衛星技術によって3D地図は大きな進歩を遂げたといえる.

3方向を同時に撮影できる日本の人工衛星「だいち(ALOS)」のイメージ画像(提供:JAXA)
図2 3方向を同時に撮影できる日本の人工衛星「だいち(ALOS)」のイメージ画像(提供:JAXA)

3.AW3D:世界最高精度の全世界3D地図

3.1 AW3Dができるまで

2012年,国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)は「だいち」の衛星画像から作る3D地図の利用拡大を目指した官民連携事業を立ち上げた.そのパートナーとして一般財団法人リモート・センシング技術センター(RESTEC)およびNTTデータが選ばれた.RESTECは,人工衛星のデータ処理・解析を得意としており,一方でNTTデータは1999年より衛星ビジネスを開始し,過去にはフランス・米国商用衛星の日本国内総代理店になるなど,20年にわたり日本の顧客に向けた衛星画像サービスを提供していた.2007年3月29日にスタートしたJICA(Japan International Cooperation Agency/独立行政法人 国際協力機構)によるODA案件「NSDI(National Spatial Data Infrastructure/国土空間データ基盤整備事業)」では,インドネシアの国土空間データを集約する共有システムを成功させている.このRESTECとNTTデータの共同研究開発によって生み出された全自動・大量処理技術が,正確な地球の起伏を再現できる3D地図の作成に大きく貢献した.

プロジェクトでは,JAXA,RESTEC,NTTデータの3つの機関からそれぞれ3D地図の第一線の研究者や技術者が集まって進めることになり,2014年2月から2年間で見事全地球の3D地図を作成することを達成した.

「だいち」は2006年~2011年の約6年間かけて世界中の陸地を約300万枚にも及ぶ衛星画像として撮影し,その規模はおよそ地球の全陸域8個分,処理容量約3ペタバイトに及んだ.しかも衛星画像だけでは3D地図は作ることはできない.後述する「マルチビューステレオ処理」の他,さまざまな画像処理を行わなくては3D地図はできない.300万枚の衛星画像というのは当時では膨大な量で,「だいち」が運用されていた時期はビッグデータの解析も,全自動で3Dを表現するアルゴリズムもまだできていなかった.衛星が打ち上がった当時は1セットのデータ(2~3枚の衛星画像)を処理するのに丸1日かかっていたが,これを高速化すると同時に,できるだけ人手がかからないように自動化して,さらに加工プロセスの合間に品質チェックを入れて精度を保つなど,さまざまな研究が行われてきた.2013〜2014年頃になり,コンピュータの計算速度が速くなり,大量の画像処理を行うアルゴリズムの開発が進んできたこともあって,月15万枚の3D地図を作成可能とする高速画像処理システムを構築した(図3).

高速画像処理システムの流れ
図3 高速画像処理システムの流れ

筆者は,JAXAの人工衛星技術,RESTECのデータ解析技術,そしてNTTデータの画像処理と製品化技術.これらが結集したからこそ,これほど短期間に世界最高精度の3D地図が実現できたと考えている. 2016年3月末の全世界3D地図の整備完了を受けて,2016年4月から全世界の陸地の起伏を世界初となる5m解像度で表現したAW3Dとして提供を開始した.これは日本全国の基盤地図(国土地理院が作っている1/25000の地形図)と同様の精度が,全世界で活用可能になったことを意味している.

3.2 AW3Dを支える技術

AW3Dは「マルチビューステレオ処理」により生み出されている(図4).これは,複数視点からの画像を使用して3次元モデルを作成する技術だ.これまでは同じ場所を同時に衛星1基から撮影した画像から立体地図を作成していたが,現在では複数の衛星から撮影した画像を基に作成しているため,更に高精度の3D地図の作成が可能になっている.衛星は50センチのセンサしか搭載していなくても,合わせると解像度を上げられ,きれいな3D地図を再現できる.現在では最高で誤差約0.3メートル程度で作成できることが技術的に確認されている☆3
複数視点からの画像を使用して3次元モデルを作成するマルチビューステレオ処理
図4 複数視点からの画像を使用して3次元モデルを作成するマルチビューステレオ処理

開発環境としてはアメリカの民間衛星会社DigitalGlobe☆4が提供するクラウドプラットフォームで生産する仕組みを取り入れている.クラウド環境には100ペタバイトにもなるDigitalGlobeの衛星画像データが保存されており,NTTデータは,クラウド環境下で,必要なデータを活用して,3D地図を制作している.

3.3 AW3Dができること

日本では国土地理院が5~10m解像度の3D地図情報を持っているため,たとえば洪水等の自然災害時もあらかじめ作成されたハザードマップにより避難指示を出し,被害拡大を防ぐことができる.しかしアジア,アフリカなどの新興国では詳細な地図が整備されておらず,甚大な被害を受けている.世界中で日本に近い精度の3D地図情報が得られるようになるのは,画期的なことで,従来から大幅に精度が向上することで,国境を越えた大規模な自然災害の予測・対策,資源・環境・交通分野における世界規模の調査,シミュレーションなど,全世界エリアを対象とする需要に対応することが可能となった.

AW3Dは3D地図の実用性も高めた.コストは航空機や人手を介した3D地図と比較して約1/4以下,納期は従来の約1/4以下程度に効率化している.これまで3D地図の作成には航空機や人による測量が必要だったため,時間やコストが膨大にかかっていたが,人工衛星の登場で3D地図の作成法が大きく変わった.あらかじめ衛星を使って全球の陸地の起伏を計測しておけば,地球上のどこであっても3D地図を安く,かつ短時間で整備することができるようになったのである.

2015年5月からは「AW3D」の高精細版として,DigitalGlobe社の衛星画像を使った0.5m〜2m解像度のデータの提供も始めている.この衛星にカメラは1台しか設置していないが,鳥のように飛びながらカメラの向きを自在に動かすことができたり,複数のカメラを組み合わせたりと「だいち」とは違った利点がある.

50cm解像度の世界では,建物1棟1棟の違いはもとより,樹木1本1本の違いまで識別できるようになる(図5).そのため,5m解像度では適用が困難だったビジネス領域への応用も可能だ.たとえば,高層ビル群の中で携帯電話の電波がどのような状況になっているかを調査したり,都市や道路の景観をシミュレーションして出店計画を立案したり,空港周辺のビル群から空路障害を把握したりというものである.

建物や樹木の表現が可能となった3D地図
図5 建物や樹木の表現が可能となった3D地図

今後は日本国内や米国・インド全土をはじめとした,高精細版3D地図の整備にも取り組み,各種業務における基盤地図データ(ベースマップ)としてさまざまな用途に利用できる形を目指している.

4.全世界3D地図の活用事例

高精細全世界3D地図であるAW3Dは,2014年のサービス開始以降,世界100カ国・800プロジェクト以上で利用されてきた.ユーザは民間企業だけでなく,国の研究機関や国際機関など多岐に渡る.

海外では主にこれまで詳細な地図がなかった新興国のインフラ整備や災害対応(地域・道路・電力・資源開発計画,洪水・土砂災害・火山災害・気候変動・感染症対策)・鉱区探査・衛生分野における疫病の感染拡大対策等の効率化へ貢献した.国内では,通信(携帯電話)や電力(風力発電)分野等の高度化に活用されている.

4.1 災害対策での活用事例

2015年に大地震を経験したネパールでは,震災後の復興計画策定に3D地図を活用した.震災後,土砂災害発生の危険性が高まったことから,3D地図を用いて複数の地震被害エリアで,土砂災害ハザードマップを作成した(図6).

AW3Dを活用した「2015年ネパール大地震被害エリアの土砂災害ハザードマップ」
図6 AW3Dを活用した「2015年ネパール大地震被害エリアの土砂災害ハザードマップ」

また,地震多発国であるミャンマーでは,地震防災対策のために活断層分布の把握が重要だった.航空機などでは莫大な費用がかかるので3D地図を活用し,今までに見つかっていなかった新しい活断層の抽出に成功した(図7).このほかにも,ベトナムにおける幹線道路沿いの土砂災害対策,ホンジュラスにおける市街地区の地すべり災害対策,スリランカにおける災害発生後の復旧対応などがある.

衛星画像を活用した活断層分析図
図7 衛星画像を活用した活断層分析図

2014年10月29日にスリランカ国中央部で発生した大規模な地滑り災害では,復旧作業を担うことになったJICAのスリランカオフィスの関係者から,この地域の3D地図データが欲しいという依頼が入った.NTTデータが提供したデータをJICAの復旧支援チームが解析.被災前の地形データとヘリコプターから調査した土砂の堆積状況を比較して,被害の全容や地滑り発生のメカニズムの解明,2次災害の危険性などを分析した(図8).もし,AW3Dがなかったら,災害前の詳細な地図がないため,メカニズムの解明などにはかなりの時間がかかったと想定される.このケースではユーザであるJICA側でデータの解析をされているが,AW3Dがデータの提供から解析,さらにその先までの事業をサポートするケースもある.

災害前後を比較して被害全容と二次災害の危険性を分析
図8 災害前後を比較して被害全容と二次災害の危険性を分析

また,国境を超えるような広範囲の利用にも効果を発揮する.国をまたがるような広域災害などでは,航空機を飛ばしたくても,領空問題が立ちふさがり,そもそも飛ばせないことがある.いくつか具体例を挙げると,ベトナムでは山岳域の国道沿いにおける土砂崩れの危険性を評価.地形から1000以上の危険個所が特定された.また,地震多発国のミャンマーでは広域活断層調査に利用し,今まで見つかっていなかった新しい活断層を発見.インドネシアのスメル火山では,地形から火砕流シミュレーションにより,その流下範囲・時刻の予測が可能となった.いずれも従来の調査方法ではとてもコストが見合わず実現できなかった事例である.意外なところでは,疫病対策にも活用された.ナイジェリア,パキスタン,アフガニスタンが常在国とされるポリオウィルスの感染ルートを明らかにするため,AW3Dを活用した下水流路の調査が行われ,その結果,今まで考えられていたよりも面積にして5倍の範囲に下水が流れ込むことが分かり,感染リスクはより高いことが判明.この解析結果を基に,WHOが現地の下水採取地点を選定するのにも役立った.

4.2 資源利用での活用事例

資源鉱山の開発を支援する豪Geoimage社は,世界各地で資源候補地を見つけるためにAW3Dを活用した.アンデス山脈のような急峻な高地では調査が困難を極めるが,初期段階のプランニング(有望地域の選定)などで大幅に時間を節約できたと聞いている(図9).

資源候補地の選定
図9 資源候補地の選定

タンザニアでは,地下水の調査が行われた.アフリカ諸国で喫緊の課題といえば,安定・安全な水供給だが,広大な大地から井戸掘削ポイントを決定するのは非常に困難だ.そこで3D地図を使うと,微細な地下水地形特徴(線状地形:リニアメント)が抽出できる.AW3Dは従来の3D地図の解像度では抽出できなかった数十メートルのスケールで特徴が抽出できたため,ピンポイントな調査が可能となり,村落の給水優先性から地上探査側線を設定し,最も効率的な試掘計画を策定することも可能となった.

4.3 まちづくりでの活用事例

高精度3D地図による途上国支援への貢献事例もある.AW3Dは,衛星を活用しているために日本にいながら海外エリアの測量ができるという安全性,撮影制限が無いという確実性などから,ODAプロジェクトにかかわっている建設コンサルタント,航空測量会社に数多く利用されている.建設コンサルタントは,従来2Dの衛星画像を現地調査前の予察や現況把握等で用いていたが,現在は精度が向上したAW3Dを設計フェーズも含めより幅広い用途で利用されている.たとえばインフラ・都市開発分野では縦横断面の把握や土地造成時の土量計算といった高い精度が求められる概略設計フェーズにおいてもAW3Dを利用している.また,建物戸数や容積率・建蔽率の算出,更には床面積・居住人口の推定といった2Dの衛星画像のみでは適用が難しかった業務においてもAW3Dの建物3Dデータを利用している(図10).更に航空測量会社にも工期短縮,広域整備性,安全性,死角の少ない完全性という観点から,地形図作成業務において3D地図が利用されている.

3D地図から容積率の算出(ヤンゴン)
図10 3D地図から容積率の算出(ヤンゴン)

都市部での活用も進んでいる.アフリカの都市を手掛けた際には,衛星画像から地図を起こすのに通常1年くらいかかるところを約1.5カ月で完成させた.米国の主要都市で行った無線のシミュレーション実証実験では,電波の見通し解析のため,樹木の抽出や煙突の忠実な再現等を行っている.

店舗新規計画の事例では,AW3Dの活用によって,店舗を建てた際の交通量・集客のシミュレーションをはじめ,景観の変化や周辺建物に対する日照時間の変化,さらには地域状況の把握などが可能になり,計画立案に向けた調査・分析工数の大幅な削減を実現した.また,AW3Dを使った店舗計画のビジュアル化により,地域住民との合意形成も図りやすくなるといった効果ももたらされる(図11).

AW3Dを活用して大規模店舗開発の景観を再現
図11 AW3Dを活用して大規模店舗開発の景観を再現

その他南米企業における資源鉱山開発の効率化,風力発電地点調査の効率化などが挙げられる.

5.全世界3D地図が目指す未来

本稿では,AW3Dを中心に,衛星技術と情報技術の結晶ともいえる全世界3D地図について紹介した.全世界3D地図はその制作・運用においては多くの技術的チャレンジを含む困難なプロジェクトであるが,その技術がもたらす社会的インパクトはきわめて大きい.筆者らがかかわってきたAW3Dは,そうした取り組みが国内外に広く評価され,2015年の第2回宇宙開発利用大賞・内閣総理大臣賞(内閣府主催)をはじめ,2017年1月 日本経済新聞社主催の2016年日経優秀製品・サービス賞 「優秀賞 日経産業新聞賞」,2018年6月一般社団法人情報サービス産業協会主催「JISA Awards2018」最高賞「Winner」を受賞している.海外では,2017年8月Geospatial Media and Communications主催「Asia Geospatial Excellence Award 2017」を受賞.これは,衛星画像を活用した世界最高精度の全世界3D地図の技術イノベーションにより,アジア太平洋地域の災害対策やインフラ整備など数多くのプロジェクトを通じて,同地域の経済・社会へ大きく貢献したことが評価されたものである.

私たちの事業は単に衛星データや地図の提供を行うのではなく,そこにどうやって付加価値をつけていくか,どうやって社会に対して価値を出していくか,という点を重視している.世界最高精度の3D地図を用途別・ユーザ別に最も適した状態で提供していけるようなプラットフォームを整えることがこれからの課題の1つである.

これまでは見通し,電波,洪水等のシミュレーションを行うアプリケーションに3D地図を組み込んできたが,今後はナショナルセキュリティ,無線,防災・環境分野に力を入れていく.テロ対策や平和利用など,我が国の安全保障に利することについて貢献していきたいと考えている.また,ドローンの運航管理のシミュレーションや,市街地に近接する空港の飛行計画のシミュレーションへの適用に取り組んでおり,送電線や鉄塔など障害物がどのように分布しているかを確認してより安全な飛行計画がたてられるようになっている.

宇宙を通じて地球のあらゆる情報がデジタル化され,そのビッグデータをIoTやAIといったIT技術により処理することで,限りなくリアルに近いバーチャルな空間が生まれる.そうした環境を作り出し,世界中であらゆるシミュレーションを可能することが,AW3Dの次なる目標である.

※「AW3D」は,(株)NTTデータと一般財団法人リモート・センシング技術センターの登録商標です.

大竹 篤史(非会員)aw3d@kits.nttdata.co.jp

(株)NTTデータ勤務. AW3Dソリューションの新規企画, 営業に従事.

採録決定:2019年1月21日
編集担当:濱崎 雅弘(産業技術総合研究所)

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