デジタルプラクティス Vol.10 No.1(Jan. 2019)

Glossary─グロッサリ─

標準の種類

デジュール標準/公的規格(de jure standards)

公的な標準化組織によって開発・発行された標準を指す.国際的な公的標準化組織としては,ISO(国際標準化機構),IEC(国際電気標準会議),ITU(国際電気通信連合)の三機関が代表的なものである.(伊藤 智)

フォーラム・コンソーシアム標準

関心のある企業等が集まって,開発した標準を指す.オープンな手続きで進めるフォーラムやメンバ内に閉じて進めるコンソーシアムの形態がある.(伊藤 智)

デファクト標準/業界標準(de facto standards)

個別企業等の仕様が,市場競争の結果として支配的となった標準を指す.事実上の標準.(伊藤 智)

ISO(International Organization for Standardization)

国際標準化機構のこと.電気・電子および電気通信以外のあらゆる分野の国際規格の作成を行う国際標準化機関で,各国の代表的標準化機関から構成されている(日本規格協会Webサイトを参考に作成).(伊藤 智)

IEC (International Electrotechnical Commission)

国際電気標準会議のこと.電気および電子技術分野の国際規格の作成を行う国際標準化機関で,各国の代表的標準化機関から構成されている(日本規格協会Webサイトを参考に作成).(伊藤 智)

ITU(International Telecommunication Union)

国際連合の専門機関の1つであり,電気通信に関する各国政府間の調整,サービスの普及,開発途上国の支援,技術・サービスの標準化の推進を行っている組織である(情報通信技術委員会の標準化教育テキストを参考に作成).(櫻井義人,伊藤 智)

ITU-T(ITU Telecommunication Standardization Sector)

ITUの1つの部門である.産官ともに検討できる場を提供し,特に発展途上国において,技術によらずサービスにアクセスできる環境を作るため,公開,および利用者側ニーズを基本にして,相互運用が可能で,公平な国際標準の開発と使用を推進する(情報通信委員会の標準化教育テキストを参考に作成).(櫻井義人,伊藤 智)

ISO/IEC JTC 1

情報技術 (IT) 分野の標準化を推進するために,ISOとIECの第一合同技術委員会 (Joint Technical Committee 1)として1987年に設立された組織のこと.(伊藤 智)

TC/Technical Committee,SC/Subcommittee

ISOおよびIECにおいて,国際標準の開発を行う分野ごとの委員会のこと.階層としてTC(技術専門委員会)の方が上位にあり,複数のSC(専門分科会)を内包することがある.ITUにおいては,TCに相当する研究委員会をSG(Study Group)と称する.(櫻井義人,伊藤 智)

WG/Working Group

ISOおよびIECにおいて実際の規格を開発する最小単位の組織であり,TCの下またはSCの下に設置される.WGでは,国の代表としてではなく,その分野のエキスパートとしての参加が基本となる.ITU-Tでは相当する組織をWP(Working Party)と称する.(櫻井義人,伊藤 智)

SG/Study Group

ISO,IECおよびJTC 1では,規格開発の前段階として,TCやSCの下に設置される調査研究を行う組織であり,具体的な標準化は行わない.ITU-Tでは,具体的な標準化活動を行う研究委員会として位置づけられており,ISO,IECにおけるTCやSCに相当する.(櫻井義人,伊藤 智)

FG/Focus Group

ITU-Tにおいて,当該分野の標準化状況を調査し,ギャップ領域を検討する組織であり,ISO,IECおよびJTC 1のSGに相当する.(櫻井義人)

JWG/Joint Working Group

複数の組織が共同で設置して規格開発を行う組織である.同一の標準化団体内で形成される場合もあれば,異なる標準化団体間で形成される場合もある.(伊藤 智)

JSC国内専門委員会

ISO/IEC JTC 1のSCに対応する国内の委員会を専門委員会と呼び,JSCという表記を使う場合がある.(伊藤 智)

総会/Plenary

ISO,IECおよびJTC 1においてTCおよびSCレベルの全体会議を指す.ITUではSGレベルの全体会議を指す.(櫻井義人,伊藤 智)

議長/Chairperson,Chairman

ISO,IECおよびJTC 1におけるTCやSC,ITUではSGの会議をリードする役職者を指す.国際会議の議長であることから国際議長という言い方をすることもある.(櫻井義人,伊藤 智)

コンビナー,コンビーナ/Convener,Convenor

ISO,IECおよびJTC 1におけるWG, SG等,小規模のグループの会議をリードする役職者を指す.ITUでは同様の役職者をラポータ(Rapporteur)と呼ぶ.(伊藤 智)

プロジェクト/Project(Project Editor/Co-Editor)

ISO,IECおよびJTC 1では,一つひとつの規格開発をプロジェクトという名称で呼ぶ.Project EditorはJTC 1において規格文書の編集を担う人を指し,複数の人が担う場合はCo-Editorと呼ぶ.ただし,ISO,IECではProject Leaderという役職名を使っている.(伊藤 智)

作業項目/Work Item

ITUでは,開発する国際標準を規格(Standard)とは呼ばず,勧告(Recommendation)と呼んでおり,一つひとつの勧告作成を作業項目という名称で呼ぶ.勧告の編集を担う人は,1人でも複数人でも単にEditorと呼ぶ.(櫻井義人)

NB/National Body

デジュール標準の場への国として参加資格を有する者を指す.ISO,IECおよびJTC 1への日本のNBはJISC(日本工業標準調査会)である.なお,IECの場合はNational BodyではなくNC/National Committeeという名称を用いる.(伊藤 智)

メンバ国,セクターメンバ

ITUでは,国としての参加主体をメンバ国(Member State)と呼び,企業や大学からの参加主体をセクターメンバ(Sector Member)と呼ぶ.役職者の選挙等の投票権はメンバ国のみが有する.(櫻井義人)

ドラフティングコミッティ/起草委員会/drafting committee

ISO,IECおよびJTC 1のTCやSCにおいてresolutionの案を作成するために結成される委員会である.(伊藤 智)

IS/International Standards

ISO,IEC およびJTC 1では,準拠すべき国際規格を分類上ISとしている.(伊藤 智)

TS/Technical Specification

ISO,IECおよびJTC 1において,ISのように準拠が求められることのない,標準仕様書.(伊藤 智)

TR/Technical Report

ISO,IECおよびJTC 1において,仕様に限らず,標準化の推進に役立つと考えられる技術報告書.(伊藤 智)

NWIP/New Work Item Proposal

ISO,IECおよびJTC 1において,新しい規格開発を開始する際に提出が求められる提案.(伊藤 智)

WD/Working Draft

ISO,IECおよびJTC 1のWG等で作成された規格の草案.(伊藤 智)

CD/Community Draft

ISO,IECおよびJTC 1のSCおよびTCにおいて作成された規格の草案.(伊藤 智)

DIS/Draft International Standards

ISO,IECおよびJTC 1において,作成された国際規格の草案.(伊藤 智)

FDIS/Final Draft International Standards

ISO,IECおよびJTC 1において,作成された国際規格の最終段階の草案.(伊藤 智)

SR/Systematic Review

国際規格として発行後,改訂が必要か,廃止が必要か,そのまま維持か,など5年ごとに見直しを行うプロセス.(伊藤 智)

Directives

ISO,IECおよびJTC 1における規格開発の手順やルールを定めた指針.ISO/IEC Directivesとして統一された共通のルールと,標準化団体ごとの差異を記述したSupplementから構成される.(伊藤 智)

電話/遠隔会議・遠隔参加

会議の開催形態として,会議場に直接参加する方法(F2F会議)に対して,物理的な会議室を使わずに電話や会議ツール等を用いて会議を開催することを電話会議または遠隔会議と呼ぶ.また,直接集まるF2F会議と電話/遠隔会議を併用する場合,F2F会議への遠隔参加と呼ぶ.(伊藤 智)

W3C

Webの可能性を最大限に導き出すべく,Web発明者であるTim Berners-Leeにより1994年に設立された国際的標準化団体.会員企業,専任スタッフおよび一般技術者が共同でWeb標準策定に取り組んでいる.(芦村和幸)

 

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