規格賛助員数と口数について2010年以降の推移を表2.1に示す.規格賛助員数はゆるやかな減少傾向にあるが,準規格賛助員制度の導入の効果もあり,ほぼ一定の収入を得ている.表2.2に2019年4月現在の規格賛助員リストを示す.
10口を負担している賛助員企業から規格役員が推薦されている.「情報処理学会50年のあゆみ」を発行した2009年には,ソニー,東芝,NEC,NTT,日本IBM,日本オラクル,日本マイクロソフト,日立,富士通,三菱電機の10社が規格役員として参加していた.その後,ソニー,NEC,日本オラクル,日本IBM,東芝が規格役員会社を退いた.2019年6月現在の規格役員はNTT,日本マイクロソフト,日立,富士通,三菱電機の5社である.
情報規格調査会の委員会への参加者(委員,オブザーバ等を含む,また複数委員会での重複を含む)は,最近の10年では,わずかな減少傾向を示しているが,1,300人前後で推移している(表2.3参照).
情報規格調査会の委員長は,2010年に石崎俊から大蒔和仁に,2013年に伊藤智に交代した.
情報処理学会が情報技術分野での標準化活動を始めてからの事務局体制について2009年4月までの状況については「情報処理学会50年のあゆみ」の第2編,3.1節に紹介されているので,ここではそれ以降の状況について記述する.
2009年9月に規格部門の事務局責任者の役割を引き継いだ鈴木光義は,2010年10月には篠木裕二に引き継ぎ,さらに2019年7月からは出井敏夫がその役割を引き継いで,現在に至っている.
事務局の職員の数は2010年以降,JTC 1の活動が増加しているが,ほぼ8名の体制で運営を維持している.
サーバおよび情報システムの旧弊化による運用コスト増の問題を解決するとともに,セキュリティ強化,会員サービス強化,事務運営効率化を図るため,2012年に情報システムを刷新し,クラウド環境への移行を行った.また,会員向けマイページサービスを提供する新Webシステムを構築した.2018年にはドキュメント管理のISO eCommitteeシステムへの移行も完了し,情報システム運用のさらなる効率化を達成した.
経営の改革として,コスト削減だけでなく,短期集中セミナー等による収益向上施策,役割や権利の整理,専門委員会への一部権利の委譲による効率化などを実施した.
賛助員費の口数と,賛助員が得られるメリットの関係が不明確であったため,口数に応じて参加可能な委員会の数が増えるように設定を見直した.また,参加の障壁を下げるため,初年度半額制度や,小規模な企業が標準化活動に参加しやすくなるように,10万円で特定のプロジェクトの策定に参加できる準賛助員制度を設定し,参画企業を増やすことができた.
委員会に参加する形態として,委員のほかにエキスパート,オブザーバ,リエゾン,メールメンバが用いられてきたが,オブザーバと本質的に変わらないメールメンバを廃止した.また,委員会側からの要請により,特定のプロジェクトへのアドバイスをいただくために参画をお願いする形態として,アドバイザを新設した.
大学や企業などを定年退職し,所属する組織がない方でも,賛助員企業が有する委員参加枠の権利を委譲することで委員として活動が可能な制度を設けた.また,標準化功績賞を受賞された方は,個人であっても活動に参加可能とした.
国際会議派遣費の決定方法として,各専門委員会からの希望調査を集め,国費への申請,情報規格調査会からの補助,などを事務局で調整してきたが,専門委員会間の公平性を図り,派遣する人材の選出を専門委員会に委ねることとした.そのため,専門委員会の活動状況や賛助員の支援状況などを指標を用いて数値化し,専門委員会ごとに国際会議にメンバを派遣する予算の大枠を定め,派遣の費用を調整する方法を2015年以降改善を繰り返しながら構築した.
これまで機械振興会館の地下倉庫に,過去の紙のN-Document等を保存していたが,一部電子化を図り,倉庫の利用を撤廃した.
情報規格調査会では,1995年度に標準化功績賞(標準化顕功賞)・標準化貢献賞の2つの表彰制度を設けた.標準化功績賞は,長年にわたり情報規格調査会委員および所属委員会委員として,多大な功績があった方に贈呈(2008年度より,故人となった委員が標準化功績賞を受賞するにふさわしいとされる場合は,標準化功績賞に準ずる特別賞として標準化顕功賞を贈呈).また,標準化貢献賞は,最近の数年間において,所属委員会委員として,顕著な貢献のあった方に贈呈している.
さらに,2005年度には,国際のProject EditorまたはProject Co-Editorとして公式に登録され,国際規格発行に顕著な貢献があった者に贈呈する国際規格開発賞を設けた.
各賞の受賞者リストを表2.4に示す.
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