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最終更新日:2004年11月25日

意見概要

 
  1. 情報通信の高度化、サービス経済化の進展等に伴う産業構造の変化への適合として、JABEEでは「情報および情報関連分野」を設けているが、国の日本標準産業分類(統計調査)、学科系統分類は旧態依然たるもので産業の実態を表しておらず改善が求められる。

  2. 情報分野でJABEE認定を普及させるには、JABEE認定プログラムの修了者に対しては、技術士の1次試験免除と同様に、IT関連資格取得への優遇措置を講ずることが有効である。

  3. 産業界は専門職としてスキル、ビジネス教育も求めているが、大学は知識重視の教育をしている。JABEE分野要件に、「(5)上記を産業界で実践的に活用するためのビジネススキル」を追加すべきである。

  4. JABEE認定プログラム修了生は、最低限の技術知識「ITSSレベル0、基本1、基本2、Jpn1」を満足させるべきである。

  5. 伝統校がJABEE認定を受けないのでは産業界におけるJABEEの意義は浸透しない。産業界は、優秀な学生へのインセンティブとして、情報サービス産業協会では大幅な初任給格差(+30〜50%)をつける用意がある。
    JABEEとしては、伝統校は先生の独立性が高く、JABEE認定へのまとまりに時間がかかるだけと思っている。国立大学の独立法人化で、多くの大学の中期目標にJABEE認定取得が入っている。

  6. アメリカの最大の産業は大学である。インターンとしてアメリカの大学院生を受け入れているが、何でもやれる。日本の大学卒の10年選手並みにできる。教育内容が充実している。大学経営力の問題である。中国でも教育内容が充実している。高度技術者教育の改善は急務である。
     資格は専門分野にいろいろあるが、国際的な資格の多くは、国際的同等性がアクレディテーションされた教育が前提となる趨勢にある。伝統校は大学院への進学率が高いが、JABEEは修士認定に向けての検討を行っており、伝統校の修士課程は学部教育を必然的に含めての対象となる。産業界と協力して改善を求めて行く。

  7. 文部科学省と経済産業省の関係につき質問があり、経産省の大学連携推進課は文科省と緊密な連絡を取りながら政策を遂行している。文科省は立場上広く高等教育に配慮せねばならないが、経済産業省は重点指向ができる特徴もある。

  8. 情報システムの教科書作成はベンダー中心だがユーザーの意見を入れないと良いものができない。情報処理技術者の能力が上がらないのは、わが国の特殊事情としてユーザーの子会社ベンダーが多いことや、情報技術の進歩が早く、技術者の能力に関係なく成果が上がるように見えたりすることもある。複雑な産業界の技術者のために、情報サービス産業協会ではカレッジを作った。大学教授を業界のレベルアップに活用したいが情報技術者自身が極めて日常業務に忙しい。例えれば、「ノコギリの歯が立っていないので切れないが、歯を目立てする暇が無い」と云った状態だ。

  9. 毎日新聞が「理系白書」を76回にわたって連載したが、JABEEが取り上げられていない。新聞社にアプローチをして情報提供する等、JABEEの普及啓発活動の強化が必要である。
以上