情報処理学会ホームに戻る
最終更新日:2004.11.19

連続セミナー2004 第6回「ICタグ」

 

開催日時:平成16年12月17日(金) 9:30-17:00
開催会場: 東京電機大学 神田キャンパス7号館1F 丹羽ホール(東京都千代田区神田錦町2-2)

コーディネータ:増井 俊之(産総研)

【プログラム】

セッション1  9:30-11:00 「ICタグの最新動向」
                 佐藤 一郎 (国立情報学研究所)

【講演概要】ICタグは実世界と情報システムをつなぐリンクとなる。ここではICタグの動作原理、通信方式、周波数などの基本技術について平易に解説し、さらにISOをはじめとする標準化動向やUHF帯タグ、アクティブタグなどの最新技術動向について紹介する。また、ICタグは情報システムにも大きな影響を与える。そこでICタグの利用において情報システムに求められる機能やそのシステム構成について概観するとともに、物流・在庫管理などの既存応用を超えた新しい展開についても紹介していく。

セッション2 11:10-12:40 「RFIDタグを利用したユーザインタフェース」
                 椎尾 一郎(玉川大学)

【講演概要】非接触で情報を読み取ることの出来る無線タグ、RFIDタグは、バーコードに代わるデータキャリア技術として、物流や製造・販売などの現場で導入されつつある。特に、無電源で稼働するパッシブなRFIDタグは、メンテナンス不要で半永久的に使用できるので、日常生活のあらゆる場面に組み込むユビキタスコンピューティングにとって、理想的な情報デバイスといえる。実世界指向インタフェースやユビキタスコンピューティングなど、ポストGUIを目指した分野では、人や物に情報を貼付けたり、手触りのある物を使ったタンジブルなインタフェースや、人の状況(特に位置)を使ったコンテクストアウェアなインタフェースの研究がさかんである。その中では、人や物に情報を貼付け検出する手法として、RFIDタグを採用する研究が多い。本講演では、RFIDタグを利用した新しいユーザインタフェースの試みを紹介し、今後の可能性を示す。

               
−昼食−

セッション3 13:40-15:10 「ユビキタスIDセンターにおけるRFIDへの取り組み〜実証実験を中心に」
                 越塚 登(東京大学)

【講演概要】ユビキタスIDセンターでは、ユビキタスコンピューティング環境の実現を目標として、研究開発や標準化の活動を行なっている。RFIDはユビキタスコンピューティング環境を実現する上での鍵となる要素技術の一つであり、ユビキタスIDセンターでも、実世界と情報空間の仮想世界をつなぐ重要なデバイスとして位置付けて扱っている。本講演では、ユビキタスIDセンターの様々な活動の中でも、特にRFIDを利用した様々な実験的な応用事例、具体的には、食品や薬品の生産履歴情報を効率的に管理するためのトレーサビリティシステム応用や、場所依存性を活用した情報サービスなどについて紹介する。

セッション4 15:30-17:00 「半導体、アンテナ、実装技術を集結したミューチップ技術」
                 宇佐美 光雄(日立製作所)

【講演概要】「ミューチップ」は小さな無線ICタグチップですが、電池なしの無線機能を実現するため、アナログとデジタル回路をコンパクトにICチップに詰め込んでいます。電池なしで動作するICチップでは電源用の平滑コンデンサは必須です。従来例では500-600pFと大きな値でしたが、回路構成が簡潔なミューチップですと、100pFと小さな値とすることが可能となりました。また内部には電圧リミッタをもっていて、チップがリーダに近づいたとき、リーダからの過大電磁波エネルギによる微細CMOSトランジスタ破壊を防止します。そのため、CMOS技術の微細化とともに、超小型サイズであっても機能を追加できる余地が十分あり、インテリジェントデバイスとしてミューチップが進化していく可能性を秘めています。