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最終更新日:2004.06.23

連続セミナー2004 第1回「Webコントロール技術」

 

終了いたしました。
ありがとうございました。

開催日時: 平成16年6月22日(火) 9:35-17:05
開催会場: 工学院大学 新宿キャンパス3F 312教室(東京都新宿区西新宿1-24-2)

コーディネータ:梅村 恭司(豊橋技科大)

【セミナー概要】
「Webコントロール」とはなんぞやと思われる方も多いと思いますが、World Wide Webをそのままアクセスするのではなくて、Webのような、不特定多数の情報源を積極的に利用し、現在のWorld Wide Webの利用方法を変えていくための技術をこのように呼ぶことにしたいと思います。サーチエンジンが、Webから効率よく情報を選ぶという付加価値をつけ、Webにとってなくてはならないコンポーネントとなったのは万人の認めるところですが、付加価値は情報の選択に限定する必要はありません。本セミナーでは、Webの使い方を変えるような技術を紹介いたします。

【プログラム】
セッション1  9:35-10:35 「Web miningと大語彙大規模コーパスを対象とした統計分析相関分析」
                 梅村 恭司(豊橋技術科学大学)

【講演概要】データベースからのマイニングからテキストマイニングへ、そして、Webマイニングへと移行すると、対象となるデータの性質がコンピュータ処理の難しいものへと変化します。この様子を説明します。その後で、多くの問題のなからか、誤りを含むデータという問題をクローズアップします。データに誤りが多く含まれると、当然、情報の抽出が難しくなります。このとき、通常のデータマインイングで使用されている信頼度では、十分でないことを示し、その上で、いくつかの類似度の検討結果を報告します。さらに、その上で、その類似度を使用したマイニングも、大量の情報を対象に、実用的な速度で可能であることを説明します。

セッション2 10:45-12:00 「Web情報の地理情報へのマッピングと利用」
                 細川 宜秀(名古屋工業大学)

【講演概要】Webの発展・普及に伴って、人のWeb空間を活動の場とする機会が増大してきた。しかしながら、それでもなお、地理空間上での活動の割合に比べると微々たるものであるといえる。それゆえ、人のWeb空間における活動の機会を増大させる技術は、今後のWebの発展に大きく貢献するものと考えられる。一方、現在、Web空間に蓄積された文書データ群の約8割には地理情報が含まれていると言われている。Web空間と地理空間の対応をとる技術(Web情報の地理空間へのマッピング技術)の確立によって、人の活動におけるWeb利用の機会を増大させることが期待される。本稿では、そのような技術の1つとして位置づけられる、文書データに含まれる地名が指すランドマークとその緯度経度を自動算出するための手法について概説する。さらに、いくつかの具体的な利用方法を示す。

                −昼食−

セッション3 13:00-14:15 「Web情報の大規模事典としての利用」
                 藤井 敦(筑波大学)

【講演概要】Web情報の増加と多様化に伴って、辞書を引いたり、誰かに質問する代わりに、検索エンジンやポータルサイトで調べ物をする機会が増えてきた。すなわち、Webを百科事典として使うことが日常化している。既存の事典は編集者によって情報が統制され、見出し語について過不足ない情報を提供し、さらに見出し語どうしの関連性も分かりやすい。Webにも同様の統制(コントロール)を施せば、有用性がさらに高まる可能性がある。本講演ではテキスト情報を対象に、情報検索、知識工学、Webマイニング等の観点から、Webを事典的に利用する種々の技術について解説する。自然言語の質問文によってWebから回答を探し出す質問応答システムや、Webページの内容解析によって事典的なコンテンツを自動構築する研究事例について紹介する。

セッション4 14:25-15:40 「オントロジー情報を利用した子供のためのウェブ世界の再定義」
                 美馬 秀樹(東京大学)

【講演概要】子供にとって現状のWeb世界は、その量の問題と有害情報が氾濫している質の問題により、必ずしも便利で安全なものではなくなっています。本講演では、この問題に対し、オントロジー情報を利用し、検索に必要な知識をシステムにより適切に補うことで、言葉の知識のまだ不十分な子供たちに対しても高度な検索支援を行うサイバー教育環境の提供を目的とした研究開発について説明します。本研究開発では、小学校の教科書を始めとした小学生向けの知識を分析し、有用な知識を抽出することで知識基盤となるオントロジー情報を構築し、システムの知識ベースとして利用しています。検索時に、指定されたキーワード(用語)に関連する語をシステムが知識ベースから自動的に探し出し、検索クエリに適切に補うことで、より高度な検索クエリへの自動拡張を行います。このように、子供たちに対して、Web世界を適切な知識の眼鏡を通して見させることで、1)目的とする情報はより近くに、2)目的としない情報はより遠くに、のように自然と整備された一つのWeb世界の新しい見え方が再定義できるのではないかと考えています。

セッション5 15:50-17:05 「Webを超える相互情報共有世界の構築」
                 新谷 虎松(名古屋工業大学)

【講演概要】近年最も広く普及した情報共有システムはWWWである。WWWは「協力」することを前提とした情報共有システムであり、情報を提供する側がコストを払って情報を提供している。より高品質な情報を提供する仕組みを実現するためには、情報提供者にたいして、何らかのインセンティブの提示が必要となる。本セミナーでは情報提供を促進するためのインセンティブに基づく「競争」型の相互情報共有世界の構築に向けて、試作システムの実装技術とその応用を紹介する。さらに、知的(Wisdom)エージェントによるWisdom Webの実現に向けてWebの新たな利用技術への期待を試作デモに基づいて述べる。