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最終更新日:2007年1月5日

 ソフトウェアジャパン2007 ITフォーラムセッション

 
イノベーティブ社会基盤フォーラム
「イノベーションを育む環境をどう構築するか」
【本フォーラム参加希望者の方へ】
パネル討論のご案内:「無線LAN機能搭載のコンピュータをご持参ください」
本フォーラムのパネル討論では参加者とパネリストとのライブなコミュニケーションをとる手段として,チャットサービス(http://www.lingr.com)活用する予定です.参加者は自由に議論に対してコメントをしたり,質問をしたりすることで,リアルタイムに討論にご参加いただけます.私たちはこれを「エクストリームパネルディスカッション」と位置づけ,パネリストから聴衆に対して一方的になりがちな議論に双方向性を持たせ,イノベーティブな討論にしたいと考えております.ぜひ無線LAN機能搭載のコンピュータをご持参いただき(電源は提供いたしません),討論にご参加ください.
セッション概要
イノベーションは経済に活力をもたらす重要な要因として高い注目を集めてきた.また,グローバル化とBRICs諸国の台頭,我が国に於ける少子高齢化の進展による労働人口の減少といった環境の中で,イノベーションは,経済の活力を維持するための労働生産性を向上させるための道筋の一つとしても取り上げられることが多くなってきている.本フォーラムでは,研究者,大企業のマネージャ,ベンチャー企業の幹部など異なる環境でそれぞれ技術に携わる者が集まり,どうすればイノベーションを育むかについて議論を重ねてきた.本セッションではケース分析や実践を踏まえて,個人,組織,社会それぞれのレイヤについてイノベーションを育む環境をどうやって構築していけるかについて,議論を深めていく.

司会 神成 淳司(IAMAS講師,株式会社BA総研 COO)

【略歴】1971年生まれ.1996年慶応義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了.同年より,国際情報科学芸術アカデミー助手.2002年より同講師.現在に至る.この間,岐阜県情報技術顧問(2000年〜2005年),(財)ソフトピアジャパン主任研究員(2000年〜2005年),国際大学GLOCOMフェロー(2003年〜),京都大学大学院非常勤講師(2006年〜)等を兼務する.人工知能学会 社会におけるAI研究会主査,日本VR学会論文誌編集委員,情報社会のデザインシンポジウム2006実行委員長.Microsoft MVP AWARD受賞(2004, 2005, 2006).


プログラム  [会場 5F大ホール]
13:15-13:45

講演1 「PCの歴史にみるイノベーションの契機と経緯」 
楠 正憲 (マイクロソフト(株) 最高技術責任者補佐)

【講演概要】日本でイノベーションへの関心が高まっている背景として,少子高齢化の厳しい環境下で経済成長を遂げるためには生産性向上を実現する技術革新が不可欠と考えられていることと,コンピュータ産業における近年のイノベーションの多くが米国発であり,そのことが日本のコンピュータ産業の国際競争力を損ねているのではないかという問題認識がある.本講演ではマイコンの登場から昨今のWeb 2.0等に到るまで,PCの歴史に変化を齎したイノベーションを取り上げ,多様なアイデアから優れた先端技術を選抜し産業へと育て上げていくイノベーション・パイプラインや,様々なアイデアを自由に実現できるオープン・プラットフォームの重要性,そして新興企業がプラットフォームのオープン性を逆手にとって,競争の軸そのものを転換するような新しいパラダイムを確立していくダイナミズムを概観する.そして日本でコンピュータ業界の中でイノベーションを起こしていこうとした場合に,個々人として,企業として実践できること,社会や政府が実現すべき環境や克服すべき政策課題について検討する.
【略歴】1977年生まれ.2001年 神奈川大学経済学部卒業.1996年からITライター,コンサルタントなどとして活動.1998年 株式会社インターネット総合研究所 入社.通信事業者向けコンサルティング,インターネットエクスチェンジの運用監視,ECサイト,電子決済ASP等の設計構築などに従事する傍ら,Linuxディストリビューションの開発やモバイルコンテンツベンチャーの立ち上げに関与.2002年 マイクロソフト入社.Windows Server製品部Product Manager,政策企画本部 技術戦略部長などを経て2006年5月より現職.
13:45-14:15

講演2 「イノベーションを育むための5つの習慣」 
小野 和俊 ((株)アプレッソ 代表取締役副社長 CTO)

【講演概要】イノベーションを生み出すためには,イノベーションにつながるアイデアの発案,そのアイデアの具現化,具現化したアイデアの世の中に対する普及という3段階のステップを経る必要がある.イノベーション社会基盤フォーラムにおいて現在私たちが取り組んでいるのは,これらそれぞれのステップについて,どのような要素を満たしていくことでイノベーションを現実のものとしていけるのかを分析し,イノベーションを成功に導く条件を「イノベーション・テスト」として纏め上げる作業である.本セッションでは,このイノベーション・テストの内容を紹介するとともに,これまでにイノベーションを実現してきた組織や,今まさにイノベーションを実現しつつある組織においてそれらがどのように実践されているのかをケーススタディとして紹介していく.
略歴】1976年生まれ.慶應義塾大学環境情報学部卒業後,サン・マイクロシステムズ株式会社に入社.Sun Microsystems, Inc (US本社) での Java アプリケーション Tahoeの開発を経て,2000年より株式会社アプレッソ代表取締役に就任,データ連携ミドルウェア「DataSpider」を開発する.2002年にはDataSpider が SOFTIC ソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤーを受賞.2004年度未踏ソフトウェア創造事業 Galapagos プロジェクト共同開発者.
14:25-15:15

パネル討論 「イノベーションを育む環境をどう構築するか」  

司   会:神成 淳司(IAMAS講師,株式会社BA総研 COO)
写真,略歴は,司会を参照
パネリスト:小野 和俊((株)アプレッソ 代表取締役副社長CTO)
写真,略歴は,講演2 を参照
パネリスト:大向 一輝(国立情報学研究所 コンテンツ科学研究系 助手)
【略歴】1977年京都生まれ.2000年同志社大学工学部知識工学科卒業.2002年同大学院工学研究科知識工学専攻博士前期課程修了.2005年総合研究大学院大学複合科学研究科博士後期課程修了.博士(情報学).2005年4月より国立情報学研究所助手.2006年4月より総合研究大学院大学助手(併任).現在に至る.2003年度情報処理振興機構未踏ソフトウェア創造事業スーパークリエータ.セマンティックWeb,パーソナルネットワークを用いた知識共有の研究に従事.人工知能学会,電子情報通信学会各会員.
パネリスト:楠 正憲(マイクロソフト(株)最高技術責任者補佐)
写真,略歴は,講演1 を参照
パネリスト:許斐 俊充(日本ナショナルインスツルメンツ(株)戦略マーケティングマネージャ)
【略歴】1998年東京大学理学部物理学科卒.同年,日本ヒューレット・パッカード株式会社(現在のアジレント・テクノロジー社の前身部門)にR&Dハードウェアエンジニアとして入社し半導体計測器の開発に従事する.1999年,同社のHPコンサルティング事業部に異動,大手無線キャリアのインターネットインフラ構築プロジェクトにリーダとして従事.P2Pに関心を持ち,業界研究会等で講演を行う.2000年の夏,Jnutella.orgの立ち上げに参加.2003年カリフォルニア大学バークレー校ハース経営大学院を卒業し,現在ナショナルインスツルメンツ株式会社で戦略マーケティングマネージャとして従事.
パネリスト:中嶋 謙互(コミュニティーエンジン(株)代表取締役 CEO)
【略歴】1996年 Java Appletを使用した日本初のMMORPG "Lifestorm"を開発(日本システムサプライ).2001年 京都大学農学部農林経済学科卒業.2001年 MMOG開発用ミドルウェア VCEを発表(コミュニ ティーエンジン).2003 年稀億網絡軟件(北京)有限公司設立 法定代表者,董事長に就任.2004年 オンライン環境シミュレーター"gumonji"を発表.(コ ミュニティーエンジン)2004年〜2005年 情報処理推進機構の未踏ソフトウェア創造事業 にて「XM会議支援ソフトウェア」の開発が2年連続採択.2006年事業化予定.