連続セミナー2013「ビッグデータの深化と真価 ~最新技術から活用事例まで~」
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第6回「クラウドソーシングとソーシャルメディア」 開催日:2013年12月16日(月)10:00-17:00
本 会 場 :化学会館7Fホール  受付開始:9:30~
遠隔会場:大阪大学中之島センター 3F 講義室301  受付開始:9:30~
第6回の概要
近年、コンピュータネットワークやその上で実現されたソーシャルメディアなどを利用した、群衆の力の利活用が大きな注目を集めています。本セミナーでは、不特定多数の群衆に仕事を委託する「クラウドソーシング」と、「ソーシャルメディア」を通じた群衆の力の活用という2つのアプローチを取り上げます。群衆の力の利用は、問題解決の一手法としてだけでなく、社会のあり方をも変えうるものとして近年大きな話題となっており、今後もビッグデータの活用はもちろんのこと、様々な分野において、群衆の力による問題解決の重要性が増大することが予想されています。本セミナーの講演では、群衆の力が持つ大きな潜在力、研究トピック、活用方法、また その実情等について最先端の情報をわかりやすく解説します。
コーディネータ:森嶋 厚行 (筑波大学 知的コミュニティ基盤研究センター 教授)
 【略歴】1998年筑波大学大学院工学研究科修了。博士(工学)。米国AT&T Labs-Research客員研究員などを経て、
現在、筑波大学知的コミュニティ基盤研究センター/図書館情報メディア系教授。 SIGMOD 2001 The Second Runner-up for the Best Paper Award。2003年度情報処理学会論文賞。 2008年度日本データベース学会上林奨励賞。データ統合、データ中心型クラウドソーシング等の研究に従事。
プログラム
OPENING 10:00-10:05
SESSION.1 10:05-10:50
クラウドソーシングでどこまで出来るか~アカデミアにおけるチャレンジの事例~
【講演概要】ネットワークなどを通じて群衆の力を利用するクラウドソーシングは大きな可能性を秘めており、アカデミアでも様々な研究が行われている。本講演では、大学が協力して運用を進めているクラウドソーシングプラットフォーム"Crowd4U"を活用したプロジェクト事例の紹介やそこで研究されているトピックの紹介などを通じ、クラウドソーシングの可能性について議論する。特に、人の知と計算機の計算能力を共に適切に活用するクラウドソーシングアプリケーション開発のためのプログラミング言語の研究、図書館分野や災害情報分野における応用への挑戦などについて紹介する。
講師:森嶋 厚行 (筑波大学 知的コミュニティ基盤研究センター 教授)
 【略歴】1998年筑波大学大学院工学研究科修了。博士(工学)。米国AT&T Labs-Research客員研究員などを経て、
現在、筑波大学知的コミュニティ基盤研究センター/図書館情報メディア系教授。 SIGMOD 2001 The Second Runner-up for the Best Paper Award。2003年度情報処理学会論文賞。 2008年度日本データベース学会上林奨励賞。データ統合、データ中心型クラウドソーシング等の研究に従事。
SESSION.2 11:00-11:50
クラウドソーシングサービスの実際と知見
【講演概要】ランサーズは、2008年12月にスタートした日本初のクラウドソーシングサービスです。サービス開始から5年、おかげ様でサービスは順調に成長し、今では、ランサーズ上で得た収入のみで生活していらっしゃるフリーランスの方もおられます。本講演では、これまでのサービス改善の背景や経緯、運営ルールのチューニング、実際のユーザ様(フリーランス、クライアント)の事例を中心に、クラウドソーシングサービスを展開する上で解決してきた様々な事象についてお話させて頂きます。また、東京大学と共同で進めている研究成果のサービスへの組み込み結果や、今後のアカデミアとの連携・期待することについても意見交換させて頂きます。
講師:木下 慶 (ランサーズ株式会社 システム開発部 マネージャー)
  【略歴】2010年 筑波大学大学院コンピュータサイエンス専攻修士課程修了。同年 株式会社NTTデータ入社、基盤システム事業本部にて、OSSとオフショアリソースを用いたシステム開発に従事。2012年 ランサーズ株式会社入社。同社運営のクラウドソーシングサービス「Lancers」の企画・開発を担当。
お昼休み 11:50-13:00
SESSION.3 13:00-13:50
クラウドソーシングで挑むビッグデータ解析
【講演概要】大量データの自動分析技術がビッグデータ解析の中核を担う技術であることは疑いようのない事実である。 しかし一方で、多様で非定型なデータのすべてを全自動的に分析することもまた現実的でなく、そこに人の手を介在することは不可避である。例えば、機械学習アルゴリズムの適用対象となるデータをいかに表現するか、アルゴリズムの各種パラメータのチューニングをいかに行うかなどは、使い手である人間の技能や労力に依存する部分が大きい。また近年、自然言語や画像・音声等メディアの認識技術は著しく発展しているものの、未だ完全な自動化には至っているとは言いがたい。 結局のところ、ビッグデータの解析において本質的なボトルネックとなりうるのは解析の主体である「人間」である。ビッグデータ解析におけるこの人的ボトルネックの解消のための極めて有望なアプローチのひとつとしてクラウドソーシングの考え方が注目されている。本講演ではクラウドソーシングによるビッグデータ解析へのアプローチを概観するとともに、クラウドソーシング自身の利便性向上のためにもデータ解析技術が大きな役割を果たすことを述べる。
講師:鹿島 久嗣 (東京大学 大学院情報理工学系研究科 数理情報学専攻 准教授)
 【略歴】1999年京都大学大学院工学研究科修士課程修了。2007年京都大学大学院情報学研究科博士課程修了。1999年から2009年までIBM 東京基礎研究所勤務。2009年より東京大学大学院情報理工学系研究科准教授。機械学習、データマイニングの研究に従事。博士(情報学)。2009年情報処理学会長尾真記念特別賞。2012年マイクロソフトリサーチ日本情報学研究賞。2013年船井情報科学振興財団船井学術賞等を受賞。
講師:小山 聡 (北海道大学 大学院情報科学研究科 複合情報学専攻 准教授)
 【略歴】1994年京都大学工学部数理工学科卒業、1996年同大学院工学研究科修士課程修了。日本電信電話株式会社、京都大学大学院情報学研究科博士後期課程、同大学院助教などを経て、2009年より北海道大学大学院情報科学研究科准教授。博士(情報学)。主な研究分野は機械学習、データマイニング、情報検索など。2005年度人工知能学会論文賞、2009年度日本データベース学会上林奨励賞受賞。
SESSION.4 14:00-14:50
クラウドソーシングのためのメカニズム設計 - 数百万の「人力」へのアクセスが拓く世界への入口 -
【講演概要】クラウドソーシングでは、インセンティブ、つまり、作業者をどう動機づけるかが重要な課題となる。不特定多数の作業者という性格上、依頼者が想定しなかった有能な作業者を見つけることが可能な反面、各作業者のスキルを見極めることが難しく、作業品質の管理がしばしば困難となる。現行では、作業依頼者は類似タスクに倣って報酬額設定する場合が多いが、より高品質な結果を得たいといった場合にどうすれば良いか、多くのサイトでは何の支援も与えていない。例えば、報酬額を上げれば良いと単純に考えるかもしれないが、報酬を高く設定しても必ずしも品質改善されないことが報告されている。よって、何らかの理論に基づいた議論が必要であり、インセンティブ設計に関する基礎理論であるメカニズムデザイン理論の適用が有望と考えられる。本講演では、メカニズムデザイン理論
を概説し、様々な場面における具体的な報酬設定法を紹介する。
講師:櫻井 祐子 (九州大学 大学院システム情報科学研究院 情報学部門 准教授)
  【略歴】1997年 名古屋大学大学院多元数理科学研究科修士課程修了。同年 日本電信電話株式会社に入社。2007年より 日本学術振興会特別研究員(RPD)。2009年よりヤフー株式会社。2010年より科学技術振興機構ERATO研究員。2011年より九州大学大学院システム情報科学研究院准教授。マルチエージェントシステム、情報経済学に関する研究に従事。博士(工学)。
SESSION.5 15:10-16:00
Welcome to the internet of customer~新しいカタチで顧客とつながる~
【講演概要】コンピューティングテクノロジーのもたらした大きな革命によって、消費者は変わりました。新しいソーシャルの時代に企業はどのように顧客と向き合っていかなければならないか、真のカスタマーカンパニーになるための方法を事例も交えてご紹介します。
講師:原田 豪(株式会社セールスフォース・ドットコム セールスエンジニアリング本部 テクニカルプロダクティビティ)
  【略歴】日本DEC(現HP)、アクセンチュアにおいて金融、サービス業を中心にITコンサルタントに従事。2004年中古車輸出商社の株式会社アガスタ(東証マザーズ)のCIOに就任。2010年、株式会社セールスフォース・ドットコム入社。製品・技術の営業支援及びビジョンの共有活動に従事、現在に至る。
SESSION.6 16:10-17:00
ソーシャルメディアデータ利活用の可能性
【講演概要】近年、様々な企業及び業種でビッグデータの積極的な活用が検討されており、日立製作所もそのお手伝いをさせて頂いている。その中で、ソーシャルメディアデータには、人々のマインドセット(思考や価値観等)が多分に含まれており、これを利活用したいという声も多くなってきた。特に、これまで企業が保有している業務データからは知りえなかった消費者のインサイトを補完できると期待されている。例えば、これまでのPOS(Point of Sales)データの分析からは、消費者の動向に対する「What」は把握できても、「Why」までは把握するのが困難であった。これに対して、ソーシャルメディアデータを活用し、消費者の意見を拾い上げる事で「Why」までも把握できる可能性があり、これを利用する事で企業が保有している業務データの活用可能性を高めることができると考えられる。そこで、本講演では、業務データ等との融合活用によるソーシャルメディアデータ活用ユースケースを紹介し、将来的なソーシャルメディアデータ利活用の可能性とその課題について議論する。
講師:廣井 和重 (株式会社日立製作所横浜研究所 組込みシステム研究センタ組込みソフトウェア研究部 ユニットリーダ主任研究員)
  【略歴】1994年、上智大学大学院理工学研究科機械工学専攻博士前期課程修了。同年(株)日立製作所に入社。同社システム開発研究所、Hitachi America, Ltd. Digital Media Systems Lab.、研究開発本部、中央研究所への所属を経て現在に至る。その間、映像、音声、テキスト、及び数値データの融合解析による動画及び情報のレコメンド技術に関する研究開発に従事。2013年より電気通信大学大学院情報システム学研究科情報ネットワークシステム学専攻博士後期課程に在学。映像情報メディア学会正会員。