連続セミナー2013「ビッグデータの深化と真価 ~最新技術から活用事例まで~」
ホーム > スケジュール > 第5回「産官学民融合で実現へ!スマートシティをデザインする」
第5回「産官学民融合で実現へ!スマートシティをデザインする」開催日:2013年11月14日(木)10:00-17:20
本 会 場 :化学会館7Fホール  受付開始:9:30~
遠隔会場:立命館大阪梅田キャンパス 5F 多目的室  受付開始:9:30~
第5回の概要
地球温暖化をはじめとする環境問題や少子高齢化等普遍的な都市問題への対応、ライフスタイルの変革を促すものとして期待される「スマートシティ」は、すでに実証実験が日本各地で動き始めています。エネルギー、交通、水、廃棄物処理等の都市インフラの分野で、ICT技術の適用により、要素間の連携や可視化、最適制御を目指すスマートシティは今後、実証実験から実装へ、更には市場化への道のりを進み始めなければサステナブルなものにはなりません。経済システムに乗せること、市民に受け入れられる方策を考慮する等により、サステナブルなスマートシティにしていく為に、新しい都市デザインが必要で、現在、種々の面でトライアルがなされ始めています。又、これからのスマートシティは、市民が率先して行動を起こしていくための、行政情報の公開、すなわちオープンデータ化による、イノベーションの波に乗ることも必要です。本セミナーでは、21世紀型都市のデザインを産官学民、各分野の第一線で活躍されている方々を講師に、明らかにして頂き、スマートシティを実現し、それを継続していく為の海外展開や国際標準化等、実践的な取り組みを中心に解説します。
コーディネータ:信時 正人 (横浜市 温暖化対策統括本部 環境未来都市推進担当理事)
 【略歴】1956年生まれ、和歌山県出身。東京大学工学部都市工学科卒。三菱商事株式会社、財団法人2005年日本国際博覧会協会(政府出展企画・催事室長等)、東京大学大学院新領域創成科学研究科特任教授を経て、2007年4月横浜市入庁。都市経営局都市経営戦略担当理事、温暖化対策統括本部長を経て、2012年4月より現職。2007年環境省「カーボン・オフセットのあり方検討会」委員等、私的にはアーバンデザインセンター横浜コーディネーターとしてエコ戦略を産官学民のグループで研究・提言。
プログラム
SESSION.1 10:00-10:15
産官学民の協働による未来都市のデザインを!
【講演概要】スマートグリッドの実証実験の進む横浜市等では、今後、如何に実社会に実装していくのかが、問われています。産官学民の緊密な協働がそのキーポイントとなるはずです。産業界は新規ビジネスの実験・汎用化を目指しての経済性、効率性を追求し、自治体は、最先端の技術を実装した都市としての価値高揚、海外にも通用するブランド化を目指します。学は、その先端性を企業とともに実際の都市において目に見える実現を図り、そして、実装化において、最終的な礎となる市民は新技術や新サービスへの十分な理解をし、経済性を認めて、購買行動に移る事が必要になってくるのです。これまでの社会は、国が方針を決め、それに自治体が従い、企業はその枠の中で活動し、市民も、その環境の中で生活をする、といった社会であったのではないでしょうか。しかし、これからは、その異なったセクターがそれぞれの役割を認識し、特徴を発揮してフラットにアライアンスをしていく時代です。21世紀の豊かさを求めて新技術を実装した未来の都市のデザインを論じます。
講師:信時 正人 (横浜市 温暖化対策統括本部 環境未来都市推進担当理事)
 【略歴】1956年生まれ、和歌山県出身。東京大学工学部都市工学科卒。三菱商事株式会社、財団法人2005年日本国際博覧会協会(政府出展企画・催事室長等)、東京大学大学院新領域創成科学研究科特任教授を経て、2007年4月横浜市入庁。都市経営局都市経営戦略担当理事、温暖化対策統括本部長を経て、2012年4月より現職。2007年環境省「カーボン・オフセットのあり方検討会」委員等、私的にはアーバンデザインセンター横浜コーディネーターとしてエコ戦略を産官学民のグループで研究・提言。
SESSION.2 10:15-11:00
横浜スマートシティプロジェクト、実証から実装へ
【講演概要】横浜スマートシティプロジェクトは2010年に経済産業省から「次世代エネルギー・社会システム実証地域」として選定された4つの地域における実証事業の一つで、国内最大の、また、世界最大級のスマートコミュニティプロジェクトです。将来の再生可能エネルギー発電の大量導入や電力制度改革を見込み、従来の発電所のように電力の供給者のみでコントロールするのではなく、住民や企業など地域のエネルギー需要者を巻き込んでエネルギー利用の最適化を実現することで、社会的コストの低いエネルギー利用を実現するものです。5年計画のうちの4年目にあたる今年度(2014年度)は、需要家側のエネルギーマネージメントシステムを地域全体で連携し、エネルギー供給の社会的コストの低減、効率向上を確認し、さらにエネルギー以外のその他の住民サービスとの連携や将来に向けたスマートコミュニティのあり方の確認をおこないます。本講演では、その、最新の状況をご紹介します。
講師:羽深 俊一 (株式会社東芝 コミュニティーソリューション社 コミュニティーソリューション事業部 主幹)
  【略歴】1988年早稲田大学卒業、株式会社東芝入社、電力系統監視制御システムの設計業務に従事。2010年スマートコミュニティ事業統括部横浜スマートシティプロジェクト(YSCP)プロジェクトリーダ。2011年スマートホーム推進部長。2012年スマートコミュニティ事業統括部スマートコミュニティ技術主幹。
SESSION.3 11:10-11:55
“Car and Cloud”による都市モビリティーの革新
【講演概要】最新のEVはクラウドと常時接続され、新鮮で膨大な外部情報を活用したり、ドライバー同士の走行情報を共有したりすることができる。このように、クラウドと常時接続されたクルマが大量に普及したら、どのような可能性が生まれるか。今日、大量の電子メールのトラフィック管理がクラウド上で行われているのと同様、クラウドは膨大な交通量も管理できるはずである。これによって移動時間は短縮され、所要時間まで正確に予測できる可能性がある。また、蓄電池としての能力も持つEVが、今後、大量普及すると、EVをコミュニティー電力の平準化や災害時の非常用電源として活用することが可能になる。クルマとクラウドの融合は、これまで個々に進化を続けてきた、道路、エネルギー、通信、の3大ネットワークを統合し、環境、渋滞、事故、エネルギーといった社会的課題をより高次の視点から解決に向かわせる原動力になると思われる。
講師:二見 徹 (日産自動車株式会社 電子技術開発本部 IT&ITS開発部 エキスパートリーダー)
  【略歴】1958年生まれ。東京大学工学部電子工学科卒業。1981年日産自動車入社、中央研究所配属。1987年電子設計部にて、エアバッグ、ナビゲーション、テレマティクス、IT開発を担当。2005年IT&ITS開発部にて、日産リーフ専用ICTシステム開発など担当。
お昼休み 11:55-12:55
SESSION.4 12:55-13:40
スマートシティの海外展開
【講演概要】北九州市では、2008年に環境モデル都市に選定され、その重点プロジェクトとして経済産業省の支援のもと、八幡東田地区で北九州スマートコミュニティ創造事業に取り組んできた。地域節電所を中心に、HEMS、BEMS、水素電力貯蔵システム等と連携したタウンマネジメントやダイナミックプライシングなどに特徴がある。この地区は日本で最初の本格的な溶鉱炉ができた場所であり、工場地域内の天然ガスコジェネレーションにより、工場には蒸気、まちには電力を供給し、工場とまちの共生が実現している。このモデルはいわゆる分散型エネルギーシステムとして、発展著しい途上国、新興国にも適用できるものと考える。現在、都市環境インフラのパッケージ輸出を目指す北九州市のアジア低炭素化センターでは、不安定で低品質な電力のために高付加価値産業の誘致に課題を抱えるインドネシア・スラバヤ市の国営工業団地へ、このモデルの海外展開を進めているところである。
講師:松岡 俊和 (北九州市 環境局長)
  【略歴】1981年3月 九州工業大学環境工学専攻修了、1981年4月 北九州市役所入職、1999年4月~2005年3月 環境局計画課長、2005年4月~2008年3月 産業学術振興局新産業・学術振興部 新産業部長、2008年4月~2009年3月 環境局環境首都担当部長、2009年4月~2013年3月 環境局環境モデル都市担当理事、※2011年4月~2013年3月 環境局環境未来都市担当理事(組織改正のため補職名変更)、2012年12月 2012年日本イノベーター大賞 優秀賞受賞、2013年4月~ 環境局長 。
SESSION.5 13:50-14:35
スマートシティ実現に向けた国際標準化への取り組み

【講演概要】日本発の提案により2012年に新設されたISO分科委員会(TC268 / SC1「スマートコミュニティインフラ」)について、構想段階から参画した一企業の視点でその背景と現状を説明します。ISO / TC268の下部組織であるSC1は、様々なタイプの都市に適用できる指標づくりを目的に設立されました。議長、幹事には日本の代表者が就任し、決議権を持つ14の参加国と、決議権はないが議論に加わることができるオブザーバー10カ国で構成されています。今後の活動計画としては、2013年の発行を目指し、テクニカルリポートの作成を進めています。参加各国の活動状況を収集、分析し、新たに制定する規格の方向性を示す原案をつくるのが目的です。TC268 / SC1で都市に関する指標の国際標準化を日本が主導的に進めることで、日本の優れた都市インフラが適切に評価され、世界の都市開発に貢献できる環境を整備していきたいと考えています。

講師:中西 敬一郎 (株式会社日立製作所 社会イノベーション・プロジェクト本部 スマートシティプロジェクト本部 担当本部長)
 【略歴】1982年、日立製作所に入社、中央研究所に配属。大型計算機実装系の開発に従事。2001年、研究部長。2003年、米国日立法人に出向。研究開発担当マネージャとして、無線研究拠点や大学との協創基盤の立ち上げを担当。2006年からは日立製作所技術戦略室にて、日立グループ横断の技術開発企画を担当。2012年より現職。スマートシティ事業の企画及び国際標準化を担当。
SESSION.6 14:45-15:30
環境不動産とビッグデータ
【講演概要】2006年にコフィ・アナン国連前事務総長が提唱した責任投資原則(PRI:Principles for Responsible Investment)に則って、国連環境計画 Finance Initiativeは、Innovative financing for sustainability と題した活動を展開してきた。その結果、社会的、環境的サステナビリティに配慮した不動産(=環境不動産)への投資が、機関投資家を中心に急速に促進されてきている。日本においても、近年、環境不動産への関心が高まり、様々な研究会が開始され、2013年2月には環境不動産普及促進機構が設立された。環境不動産が日本において普及していくためのキーポイントは、不動産の情報の開示と流通にあり、関係者の mindset と慣行の変革が求められている。本講演では、如何なる情報の開示が求められていくことになるのかを解説するとともに、そしてその背後には、どのようなビッグデータが扱われることになるのか、能動的エネルギーマネジメントを事例に取り上げ解説する。
講師:野城 智也 (東京大学 副学長、生産技術研究所 教授 / 一般社団法人 環境不動産普及促進機構 代表理事)
  【略歴】1980年 東京大学工学部建築学科卒業、1985年 東京大学大学院工学系研究科博士課程修了(工学博士)、1985年~1991年 建設省建築研究所 研究員、1991年~1998年 武蔵工業大学建築学科 助教授、1998年~1999年 東京大学大学院工学系研究科社会基盤工学専攻 助教授、1998年~2001年 東京大学生産技術研究所 助教授、2001年4月~ 同 教授、2009年4月~2012年3月 同 所長、2013年4月~ 東京大学 副学長。
SESSION.7 15:40-16:25
スマートシティ実現へのラストワンマイル、生活者への普及のために
【講演概要】産・官・学で幅広い関心が高まるスマートシティだが、生活者への浸透はまだまだ進んでいない。「なんとなく聞いたことがあるけど、自分の生活と関係あると感じない」という人が大半ではないだろうか。技術は日々進化し、技術的に実現できることは着実に広がっている。しかし、それが普及するかどうかの最終的なカギは生活者が握っている。その「ラストワンマイル」にリーチするためには何が必要だろうか。雑誌「ecomom(エコマム)」は、アンケート、調査などへの協力を条件に登録した4万人の意識の高いアクティブなママが読者として集い、編集部との双方向コミュニケーションを特徴とする。新しい住まいやモビリティのあり方についても読者、企業、行政と一体になって発信している。生活者視点が欠如しがちな「スマートシティ」「スマートコミュニティ」について、読者と双方向で議論するプロジェクトや調査も実施している。その結果から、生活者への普及に必要なことをお話しする。
講師:久川 桃子 (株式会社日経BP 日経エコロジー編集 ecomom(エコマム)編集長)
 【略歴】一橋大学卒業後、外資系金融機関を経て2002年日経BP社に入社。「日経ビジネス」記者として、医薬品業界、化学業界、百貨店業界、運輸業界などを幅広く取材。2008年4月より、家族と自然にやさしい暮らしを提案する雑誌・ウェブサイト「ecomom(エコマム)」のプロデューサーを務める。2013年4月より編集長。プライベートでは3人の小学生の母。野菜ソムリエの資格を持ち、食や農への関心も高い。
SESSION.8 16:35-17:20
オープンデータ思考による環境未来都市
【講演概要】欧米が先行して取り組みを始めているオープンデータ。 我が国でも電子政府オープンデータ推進のためのロードマップが発表されるなど、本格的に取り組みがはじまっている。また、都市レベルでもオープンデータに取り組むところは多い。公的機関が持つ膨大なデータはこれまで十分に活かされてこなかった。ある目的に対して作成されたデータであっても、これを社会に向けて積極的にシェアすることで、さまざまなデータが自由に組み合わされ、新たなサービスを創出し、それを稼働させていくためのエネルギーとしての価値を与えることができる。都市経営という観点において、公金を投じた公共事業によって市場経済を刺激するのではなく、データを投入することによって民間の活力に変えていく試み、それがオープンデータである。本講演では都市における実際のオープンデータの活用事例から、オープンデータによって示される環境未来都市の姿について検討する。
講師:小林 巌生 (有限会社スコレックス 代表取締役 / NPO法人リンクト・オープン・データ・イニシアティブ 副理事長)
【略歴】1977(昭和52)年、神奈川県生。デザイナー、ウェブアーキテクト、コンセプター。ウェブデザイナーとして大手企業や自治体等のウェブサイト構築プロジェクトに多数参加。また、地域情報化×ウェブをテーマに活動。オープンデータにも積極的に取り組んでおり、政府や自治体、公共機関のオープンデータ施策の支援も行っている。オープンデータ流通推進コンソーシアム委員、横浜オープンデータソリューション発展委員会理事。