連続セミナー2013「ビッグデータの深化と真価 ~最新技術から活用事例まで~」
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第2回「G空間情報処理におけるビッグデータとその応用」開催日:2013年7月30日(火)10:00-17:20
本 会 場 :化学会館7Fホール  受付開始:9:30~
遠隔会場:立命館大阪梅田キャンパス 5F 多目的室  受付開始:9:30~
第2回の概要
G空間(地理空間・位置)情報技術は、暮らしやすい社会を実現すると同時に、様々なビジネスの効率化や高度化をもたらす技術として期待されています。さらに近年ではスマートホンを通じて大量の個人の位置情報が利用できるようになり、ビッグデータとしての利活用も進みつつあります。また、自治体等が有するG空間情報もオープンデータ化されることが期待され、より多くのG空間情報が扱える状況が進んでいます。今回は、G空間情報におけるビッグデータ処理やその応用を行っている識者から、実経験に基づく情報提供をお願いしています。G空間情報の利活用のためのいろいろなヒントが得られるセミナーです。
コーディネータ:河口 信夫 (NPO法人位置情報サービス研究機構 代表理事 / 名古屋大学 教授)
  【略歴】1995年名古屋大学大学院工学研究科情報工学専攻博士後期課程満了。名古屋大学助手、准教授を経て2009年より同大教授。ユビキタスコミュニケーション、スマートルーム、位置情報システムに関する研究に従事。2012年9月には、特定非営利活動法人位置情報サービス研究機構(Lisra)を設立。同代表理事に就任。博士(工学)。
プログラム
SESSION.1 10:00-11:10
国内最大級 位置情報データベースの最新活用事例~位置登録データベースを活用した最先端の観光分析~
【講演概要】当社では、CSR(社会貢献)活動の一環として、当社のサービス利用者より明示的に利用許諾を受けた累計約18億回(2013年3月末時点)の位置情報を、個人を特定できないよう非識別化処理を施した上で、統計学的及び空間情報工学的に解析する「おでかけ研究所」活動を行っております。中でも、とりわけ観光振興や地域活性化に向けた取り組みに力を入れており、昨年度は国内十数の自治体及び地方公共団体に観光動態調査レポートの無償提供を行いました。本講演では、そうした観光分野を中心とした自治体向け分析事例から知りえた位置情報の活用可能性について、ご紹介したいと思います。
講師:大西 一聡(株式会社コロプラ コロプラおでかけ研究所 上席研究員)
  【略歴】2004年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修了。専門は原子核理論物理学。博士(理学)。京都大学基礎物理学研究所非常勤講師等を経て、2012年株式会社コロプラ入社。コロプラおでかけ研究所にて位置情報の価値を最大限引き出すべく日々研究に没頭している。
SESSION.2 11:20-12:30
位置情報サービスにおけるパーソナル情報の扱い
【講演概要】スマートフォンを使って、店頭に行った経験はフィーチャーフォンの2.8倍で、店頭での商品購入経験は、3.4倍という調査結果(スマートフォン利用実態調査2011)にもあるように、位置情報を利用したサービスの普及は目覚ましいものがあります。一方で、2012年は『プライバシー・イヤー』と言われるように、EUデータ保護指令の改正案の発表を始め、各国の法制度に変化がみられる年でした。今後、行政部門や民間部門のID連携によるサービス展開などの研究も進んでいる中で、サービスの高度化を阻害しない形で、如何にパーソナル情報を取り扱っていくかがポイントになってくると思われます。本講演では、位置情報サービスにおけるパーソナル情報の取り組みの中で考えられている枠組み(トラストフレームワークなど)や、欧米の制度等の動きから事業展開する上で考慮すべきポイントなどについて紹介します。
講師:坂下 哲也(一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC) 電子情報利活用研究部 部長)
 【略歴】データベースエンジンやOSに係るシステム化計画の立案、要求定義の作成、基本設計等上流工程の業務に従事した後、2002年度より財団法人データベース振興センターにて、「gコンテンツ流通基盤整備」等の実施責任者を務める。2008年4月、財団法人日本情報処理開発協会(当時、現JIPDEC) 電子情報利活用推進センター副センター長に就任。2013年4月より現職。IT戦略本部電子行政オープンデータ実務者会議データワーキンググループ構成員、ISO IEC JTC1 SC27/WG5エキスパート。
お昼休み 12:30-13:30
SESSION.3 13:30-14:40
G空間情報の超個人特化技術とその応用
【講演概要】近年のスマートフォンの普及と発展にともない、多種のセンサを装備しインターネットへの常時接続可能な機器を多くの人々が携帯し日常生活を送っている。我々は数年前より可能な限りこれらすべてのセンサのログを24時間365日継続的に収集し、集合知としてではなく個人に限って分析することによって個人行動の近未来予測の実現を目標に研究開発をしている。まずは収集と蓄積の基盤環境をAndroid端末アプリケーションとCloudStack/Hadoop上に整備した。そしてライフログセンシングと呼ぶ常時観測の結果、得られたデータから個人行動を認識し、その行動パターンの抽出から着手した。しかし、人の生活行動は微視的にも巨視的にも常に変化しているため、日々継続的に得られたライフログデータをソフトウェアにより可能な限り自動的に分析管理することで、これらの変化に追従できる超個人特化技術に発展させている。本セミナーではG空間情報としてGPS、無線基地局電波、加速度計・ジャイロ、気圧計等のセンシングデータ分析手法と、その応用として能動的移動支援システムと屋内空間での移動認識やナビゲーションを例にとり解説する。
講師:西尾 信彦 (立命館大学 情報理工学部 教授)
  【略歴】1986年東京大学工学部計数工学科卒業、1988年同大学院理学系研究科情報科学専攻修士課程修了、同博士課程単位取得退学後、1992年より(有)アクセス研究開発室、1993年より慶應義塾大学に勤務。政策・メディア研究科助教授を経て、2003年より立命館大学に勤務。現在、情報理工学部教授。博士(政策・メディア)。2000∼2004年JSTさきがけ研究21「協調と制御」領域研究者。2007∼2008年Google Inc. Visiting Scientist。専門はユビキタスコンピューティングとセンシングネットワーク。
SESSION.4 14:50-16:00
「混雑統計Ⓡ」~人の流れデータ~位置情報分析の取り組み
【講演概要】モバイル端末で提供するサービスを通じて、企業には、様々な利用履歴が蓄積されていますが、地図やナビゲーションなどのサービスで蓄積される位置情報をマーケティングや調査に活用する動きが出てきました。ゼンリンデータコムでは、許諾を得た上で取得した位置情報を統計化、自宅/勤務地やよく行く街・駅、旅行履歴などを推定し、個人特定できないよう“人の流れ”を指数化し提供する「混雑統計」サービスを展開しています。本講演では、「位置情報」をテーマにビッグデータを活用した新サービスと取組事例、また、今後の可能性などについて解説します。
講師:足立 龍太郎(株式会社ゼンリンデータコム ネットサービス本部 営業戦略室 マネージャー)
  【略歴】出版社、ポータルサイトを経て2010年にゼンリンデータコムへ。地図・ナビゲーションのアプリで蓄積された位置情報を活用し、「リアル世界のGoogle Analytics」を作れないかと、行動分析事業を立ち上げる。現在、位置情報を分析し、官公庁・企業・生活者の意思決定を支援するマーケティング・サービス「混雑統計Ⓡ」の責任者を務める。“移動の履歴”というリアルな行動属性に基づいたターゲティング広告の実現を推進中。
SESSION.5 16:10-17:20
位置情報サービスにおけるクラウドソーシングの利用
【講演概要】ボランティアユーザによって情報収集を行うクラウドソーシングが 位置情報サービスにおいて有効であることを、180万人以上が利用している、位置情報サービス(Lockyプロジェクト)での成功例を通じて紹介する。さらにNPO法人位置情報サービス研究機構(Lisra)の活動として、現在構築している屋内位置情報システムについて解説する。
講師:河口 信夫 (NPO法人位置情報サービス研究機構 代表理事 / 名古屋大学 教授)
  【略歴】1995年名古屋大学大学院工学研究科情報工学専攻博士後期課程満了。名古屋大学助手、准教授を経て2009年より同大教授。ユビキタスコミュニケーション、スマートルーム、位置情報システムに関する研究に従事。2012年9月には、特定非営利活動法人位置情報サービス研究機構(Lisra)を設立。同代表理事に就任。博士(工学)。