〜AI、コンピュータビジョン、ロボティクス:Artificial Intelligence からAugmented Intelligence へ〜
<第1イベント会場> 東京大学本郷キャンパス 工学部2号館213号講義室
【講演概要】
人工知能(AI)は1956年のダートマス会議を起源とする。主にダートマス会議参加者が主宰する少数の研究所において、現在のAIとコンピュータビジョン(CV)とロボティクスに関する研究が、一体化した形で行われた。各分野の研究者が実験装置を共有しながら、同一の方向性の研究をすすめ、同じ会議(IJCAI)で研究発表を行っていた。1980年代後半に入るとデカルト流の要素還元主義に基づき各分野が独立して研究されるようになった。1984年のロボット分野のICRA、1987年のCV分野のICCVが相次いでスタートした事実はこれの象徴である。近年さらに発表論文数の極端な増加などとも相まってさらなる分野の細分化が起こりつつある。さながらカンブリア爆発である。今後の各分野の健全な発展のためには、あるいはカンブリア紀的に言うならば当該分野の生き残りのためには、いまいちど原点に立ち戻り、アリストテレス流のホーリズム論に沿って全体システムとしての価値や全体システムの中での各要素の価値などの再評価が必要である。本講演では、この流れを概観しつつ、どういった目標のために今後研究を続けるのかといった分野の方向性について検討する。
【略歴】
東京大学名誉教授
マイクロソフトリサーチアジア首席研究員
1973年京都大学工学部機械工学科卒業、1978年東京大学大学院工学系研究科情報工学専攻博士課程修了 工学博士、1978年MIT人工知能研究所 博士研究員、1980年電子技術総合研究所 研究官/主任研究官(1982年~1983年)MIT人工知能研究所 博士研究員、1986年CMUロボティクス研究所 研究准教授/研究教授、1996年東京大学生産技術研究所 教授、2000年東京大学大学院情報学環 教授、2015年マイクロソフト リサーチアジア 首席研究員。コンピュータビジョン(明るさ解析、画像からの3Dモデル化)、ロボットビジョン(人まねロボット)、バイヨン寺院・九州装飾古墳など有形文化財や会津磐梯山踊り・台湾族舞踊のロボットによる再現など無形文化財の電子保存の研究に従事。IEEE-PAMI Distinguished Researcher Award、紫綬褒章、大川賞等受賞。