イベント企画
高度IT資格制度「情報処理学会モデル」
9月5日(水) 15:30-17:30
第2イベント会場(西館 B1F マルチメディアホール)
【セッション概要】 情報処理学会では、高度な情報系人材の社会的地位の向上を図るとともに、ITに関連する様々な課題を包括的に解決するために、ITスキル標準や国際的な通用性も考慮して高度IT資格制度「情報処理学会モデル」を立案した。ISユーザー(企業、地方自治体、政府機関等)は高度な人材にシステム開発を委託したいとの強いニーズを持つが、ITベンダーが提示した人材を自ら評価できないという問題を抱えている。例えば、このような状況において、高度IT資格は人材の能力を可視化・証明するツールとして価値が高い。本シンポジウムでは、高度IT資格制度および情報系のプロフェッショナルコミュニティの構築を通じて社会的な貢献を最大化するための方策について議論する。
司会: 掛下 哲郎(佐賀大学大学院工学系研究科 知能情報システム学専攻 准教授)
【略歴】 九州大学情報工学科卒業。同博士後期課程修了。工学博士。現在、佐賀大学知能情報システム学科准教授。2001年度より学科の教育システムの構築を推進し、2003年度にJABEE認定を受けた。2008年度より高度IT資格制度およびIT専門職大学院等を対象とする認証評価機関の構築に取り組んでいる。データベースおよびソフトウェア工学を専門とする。情報処理学会、電子情報通信学会等会員。
15:30-15:50 講演-1 高度IT人材資格制度のビジョン [資料]
旭 寛治(日立製作所)
【講演概要】 情報システムは現代社会の基本的なインフラとなっており、それを支えるIT人材の責務は大きい。わが国にはおよそ100万人のIT人材がいるが、ITを活用した社会の高度化を妨げる様々な課題に包括的に取り組むためには、プロの専門家集団としての情報系プロフェッショナルコミュニティを形成する必要がある。コミュニティの構成員が自律的に質の向上を図ることによってITに対する社会の期待に応え、コミュニティとしても、高品質な情報サービスの提供、情報サービス産業の国際的競争力の向上、IT人材の社会的地位の向上等に取り組むことができる。情報処理学会では、高度なIT人材の能力を証明するとともに、プロフェッショナルコミュニティをリードする高度IT人材の可視化にも役立つ資格制度の構築を目指している。本資格制度は、企業、政府、大学、既存のプロフェッショナルコミュニティ等が連携した大規模なエコシステムの中核をなすものである。本講演では、国内外の動向を踏まえた高度IT資格制度の意義と、我々のビジョンについて述べる。
【略歴】 1971年(株)日立製作所入社。同社基本ソフトウェア本部長、ストレージソリューション本部長、(株)日立テクニカルコミュニケーションズ代表取締役等を歴任。情報処理学会関係では1999年理事、2005年副会長。ITプロフェッショナル委員長、高度IT人材資格検討WG座長として、高度IT資格制度の検討を推進。他にアクレディテーション委員会副委員長、コンピュータ博物館小委員会主査等。情報処理学会フェロー。
15:50-16:10 講演-2 高度IT資格の個人認証に関する情報処理学会モデル [資料]
芝田 晃(三菱電機株式会社インフォメーションシステム事業推進本部 技術企画部 主管技師長 主幹技師長)
【講演概要】 IT人材の可視化の手段としては、ITSSのレベル1~4に対応した情報処理技術者試験がある。しかし、高度IT人材に該当するITSSレベル4については、試験で評価される知識に加えて、実務での総合的な能力発揮や責務遂行の実績、および技術の発展や後進の育成等のプロフェッショナルとしての実績が要求される。情報処理学会では、情報処理技術者試験の合格を前提に、実務での実績やプロフェッショナル活動を評価してITSSレベル4の基準を満たす高度IT人材を認証する資格制度を設計した。この資格制度は、国際的にも通用するよう、IFIPのIP3のガイドラインにも準拠するようにした。本講演では、この資格制度の概要を説明する。
【略歴】 1978年3月東京大学情報工学修士課程修了。 同年4月三菱電機(株)入社。汎用計算機のOS開発に従事。2001年より情報処理学会コンピュータ博物館実行小委員会委員。平成16年度学会活動貢献賞受賞。2001年よりCMMIを用いたプロセス改善に従事。2005年CMMIリード・ アプレイザ、CMMI入門インストラクタ資格取得。2008年度より情報処理学会高度IT人材資格検討WGメンバ、2009年度より同学会高度IT人材資格制度設計WG座長。
16:10-16:30 講演-3 外部組織に対する高度IT資格認証業務の委任に関する情報処理学会モデル [資料]
掛下 哲郎(佐賀大学大学院工学系研究科 知能情報システム学専攻 准教授)
【講演概要】 我が国の情報系人材はIT提供側、IT利用側を合わせて103万人と推定されている。また、高度IT資格制度の対象となるITSSレベル4相当以上の情報系高度人材は約27万人である。このような規模の資格認証を実施するための協力体制を構築するためには、高度IT人材育成に関する各種の取り組みを連携させるエコシステムの枠組みが不可欠である。本講演では、高度IT資格の個人認証を目的とした企業の社内資格制度や既存の資格制度を対象とする認定モデルを提案する。大手企業等が本モデルに従って認定を取得することにより、高度IT資格の認証業務の一部を委任することができ、個別の資格制度の相互同等性および国際的通用性を第三者認定によって保証できる。また、大規模なエコシステムを効率的に構築できるため、情報系プロフェッショナルコミュニティを構築し、その中核メンバーを明確化する上でも合理的である。
【略歴】 九州大学情報工学科卒業。同博士後期課程修了。工学博士。現在、佐賀大学知能情報システム学科准教授。2001年度より学科の教育システムの構築を推進し、2003年度にJABEE認定を受けた。2008年度より高度IT資格制度およびIT専門職大学院等を対象とする認証評価機関の構築に取り組んでいる。データベースおよびソフトウェア工学を専門とする。情報処理学会、電子情報通信学会等会員。
16:30-17:30 パネル討論 情報系のプロフェッショナルコミュニティ構築に向けて
【討論概要】 情報系人材は情報基盤の構築・運営を通じて社会や組織の命を握っていると言っても過言ではない。そのため、情報系のプロフェッショナルコミュニティの構築が強く期待されている。情報分野では、情報処理学会の他に、経済産業省・IPA、総務省、日本経団連、JISA、JUAS、日本技術士会等が情報系の高度な人材を育成するために様々な取り組みを行っているが、上述した規模のプロフェッショナルコミュニティを構築するためには、関連組織が互いに連携した協力体制を構築することが不可欠である。そのような協力体制を構築するためには、国際的に通用する高度IT資格制度およびそれを運営するための様々な取り組み(各種試験制度、資格認定、CPD、プロフェッショナル貢献など)を含むエコシステムを関連組織と協力して構築・運営することが必要である。
本パネル討論では、以上の問題意識に基づいて、関係者が自らの取り組みや、取り組みを通じて得られた知見を持ち寄り、相互に連携・寄与できるような体制を構築するための方策について議論する。
司会: 旭 寛治(日立製作所)
【略歴】 1971年(株)日立製作所入社。同社基本ソフトウェア本部長、ストレージソリューション本部長、(株)日立テクニカルコミュニケーションズ代表取締役等を歴任。情報処理学会関係では1999年理事、2005年副会長。ITプロフェッショナル委員長、高度IT人材資格検討WG座長として、高度IT資格制度の検討を推進。他にアクレディテーション委員会副委員長、コンピュータ博物館小委員会主査等。情報処理学会フェロー。
パネリスト: 芝田 晃(三菱電機株式会社インフォメーションシステム事業推進本部 技術企画部 主管技師長 主幹技師長)
【略歴】 1978年3月東京大学情報工学修士課程修了。 同年4月三菱電機(株)入社。汎用計算機のOS開発に従事。2001年より情報処理学会コンピュータ博物館実行小委員会委員。平成16年度学会活動貢献賞受賞。2001年よりCMMIを用いたプロセス改善に従事。2005年CMMIリード・ アプレイザ、CMMI入門インストラクタ資格取得。2008年度より情報処理学会高度IT人材資格検討WGメンバ、2009年度より同学会高度IT人材資格制度設計WG座長。
パネリスト: 掛下 哲郎(佐賀大学大学院工学系研究科 知能情報システム学専攻 准教授)
【略歴】 九州大学情報工学科卒業。同博士後期課程修了。工学博士。現在、佐賀大学知能情報システム学科准教授。2001年度より学科の教育システムの構築を推進し、2003年度にJABEE認定を受けた。2008年度より高度IT資格制度およびIT専門職大学院等を対象とする認証評価機関の構築に取り組んでいる。データベースおよびソフトウェア工学を専門とする。情報処理学会、電子情報通信学会等会員。
パネリスト: 重木 昭信(日本電子計算株式会社 代表取締役社長) [資料]
【略歴】 1973年に日本電信電話公社に入社。通信機器と端末装置の開発や通信プロトコルの検討に従事。1985年のNTT発足以降は、コンピュータシステムの開発を担当。1988年からは大規模オンラインシステムのプロジェクト・マネージャーとして、3,000人を超える開発プロジェクトを率いた。大規模システムの開発管理手法として、時間分割と空間分割の管理手法の組み合わせを提唱して実践。2007年にNTTデータ代表取締役副社長、2009年同社顧問。2012年日本電子計算(株)代表取締役社長 プロジェクト・マネージメント学会会員で、2011年に学会賞を受賞。2008年から日本経済団体連合会 情報通信委員会 高度情報通信人材育成部会長として、ICT人材育成や大学教育改革にも取り組んでいる。
パネリスト: 川島 宏一(佐賀県統轄本部 特別顧問) [資料]
【略歴】 IT戦略本部電子政府タスクフォース、政府情報システム刷新有識者会議(内閣官房)、災害に強い電子自治体研究会(総務省)、IT融合フォーラム有識者会議(経産省)の構成員などとして、電子行政刷新に取組む。2011年まで佐賀県CIOとして取組んだ協働化テスト、イノベーション“さが”プロジェクトが国連公共サービス賞を日本初受賞(2010)。日経BP・ITガバナンスランキング都道府県部門第1位(2008)。CIO着任前は、世界銀行、国土交通省等で都市開発に携わる。社会工学博士、都市計画修士。専門は公共イノベーション。

パネリスト: 宮崎 裕充(日本IBMテクニカル・リーダーシップ,プロフェッション推進 アーキテクト・プロフェッション・リーダー)
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【略歴】 1978年、静岡大学院工学研究科修了。同年、日本アイビーエム株式会社に入社。以来、金融機関担当のSEとして活動し、2000年、OpenCA、Maser IT Architect取得。2006年、同、Distinguish IT Architect取得。2011年より、日本アイビーエムArchitect Profession Leaderとして、グローバルと協業し、社内高度IT資格制度運営を担当する。