はじめに

情報システムは現代社会の基本的なインフラとなっており、それを支える情報技術者は高度の能力を有するプロフェッショナルであることが望まれます。ところが、我が国においては情報技術者のプロフェッションが確立しておらず、プロフェッショナルとしての能力を可視化する適当な手段もないのが実情です。そこで、本学会では「認定情報技術者制度」を創設しました。この制度は、高度の専門知識と豊富な業務実績を有する情報技術者に資格を付与することにより、その能力を可視化するとともに、資格を有する情報技術者からなるプロフェッショナルコミュニティを構築していくことを目的としています。

本学会では、ソフトウェア技術者を対象とする資格制度に関する国際標準との整合性も考慮して制度設計を行っており、我が国の情報産業におけるグローバル人材の育成や情報分野における我が国の資格制度の国際展開といった緊近の課題にも応えています。

資格制度の概要

「認定情報技術者制度」は、日本企業の間に広く普及しているITスキル標準を参照モデルとした制度です。ITスキル標準では情報技術者のレベルを7段階に分けて定義していますが、本制度はレベル4以上の上級技術者を対象としています。ITスキル標準で定められたスキル評価方法に基づき、所定のレベルに相当する能力を有すると判定された技術者を「認定情報技術者」として認証し、情報処理学会が認定証を発行します。

情報技術の分野は発展のスピードが特に速いため、情報技術者はつねに新しい知識やスキルを習得する努力を求められています。最近の国際標準でもCPD(継続研鑽、Continuing Professional Development)を前提とした資格更新制度が必須とされるようになってきています。本資格は有効期間を3年としており、更新に際しては所定のCPD実績が条件となります。

また、本資格制度自体も不断の改善を行うことにしており、例えばITスキル標準、共通キャリア・スキルフレームワーク、関連する国際標準等の改訂にも対応して制度を改善します。

資格制度の意義

情報システムベンダー、情報システムユーザー企業、政府・地方自治体等は、情報技術者の能力を評価するために、この資格を参照することができます。情報システムベンダーは、自社の人材の能力を客観的に証明する手段としてこの資格を活用できると同時に、社内で人材育成を進める際の目標として利用することができます。

そして、より重要なことは、情報技術者自身がプロフェッショナルとしての自覚のもとに能力の維持向上(CPD)に努めることや、高い能力を活かして産業界や社会に対して一層の貢献を行うことです。

これらの取り組みを支援するために、情報処理学会では情報系プロフェッショナルコミュニティを構築し、技術者同士の交流を通じて自律的な質の向上を図る活動や、社会提言、外部の審議会・委員会等への参画、情報分野における教育・人材育成活動などを含む様々なプロフェッショナル貢献活動を計画しています。

国際標準への適合

ソフトウェア技術者を対象とする資格制度に関する国際標準としては、ISO/IEC 24773(ソフトウェア技術者認証)およびISO/IEC 17024(適合性評価:要員の認証を実施する機関に対する一般的要求事項)があります。「認定情報技術者制度」はこれらの国際標準に準拠する制度設計としました。現在、ISO/IEC JTC1/SC7/WG20ではISO/IEC 24773の改訂が進みつつありますが、情報処理学会は同規格のエディタを出しており、改訂作業にも参画しています。

最近の国際標準では、ソフトウェア技術者を対象とした資格制度に対してCPDを前提とした資格更新制度が必須とされるようになってきています。現状では、これに対応できる情報分野の資格制度は極めて少数ですが、「認定情報技術者制度」は情報処理技術者試験(高度試験)や、情報システムベンダー等が実施している社内資格制度等と組み合わせることにより、国際標準の要求を満たすことができます。

IFIP(International Federation for Information Processing)はIP3(International Professional Practice Partnership)という資格認証のスキームを制定しています。IP3は各国の資格制度を、関連する国際標準に基づいて認定していますが、「認定情報技術者制度」はIP3の認定を受ける予定で準備を進めています。情報処理学会はIP3のボードメンバーとして、スキーム自体の検討にも参画しています。
 

社内資格制度の認定

多くの情報システムベンダー企業でITスキル標準をベースとした社内資格制度を運用しています。制度が適正に実施され、社内資格の水準が「認定情報技術者」と同等であると判断される場合には、情報処理学会がその社内資格制度を認定し、社内資格を有する技術者に「認定情報技術者」の認定証を発行します。 
「認定情報技術者制度」では、個々の技術者の資格審査を情報処理学会が直接行う方式(直接方式)と、上記のように企業の社内資格制度を認定する方式(間接方式)とを併用します。

情報処理技術者試験との関係

「認定情報技術者制度」は情報処理技術者試験を補完し、国際標準への準拠を推進する制度です。本制度では、情報処理技術者試験で確認された知識や技能を前提として、実際に業務や社会活動で活用する能力の評価を行います。また、CPDや資格更新制度を組み込むことで国際標準にも適合します。ITスキル標準のレベル1~3にはそれぞれ対応する情報処理技術者試験があり、試験に合格することによって、そのレベルに相当する能力があるとみなすことができます。レベル4においては、情報処理技術者試験(高度試験)に加え、業務実績の評価が必要です。レベル5以上については、対応する情報処理技術者試験は設定されておらず、専ら業務実績で評価することが必要です。

「認定情報技術者制度」では、レベル4以上のスキルを業務で発揮した実績、および、技術の継承や後進の育成などの社会貢献の実績を評価します。
 

制度の詳細

個人認証の申請

個人認証(直接方式)の申請案内と申請様式、個人認証申請サイトです。

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一般社団法人情報処理学会 研究部門
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