情報処理学会ホームに戻る
最終更新日:2006年8月24日

第3回「情報システム構築アプローチ」

 

開催日時: 平成18年9月5日(火) 9:30-17:00
開催会場:東京電機大学 神田キャンパス7号館1F 丹羽ホール(東京都千代田区神田錦町2-2)

【セミナー概要】
ビジネスの迅速な変革を可能にするための情報システム構造改革(構築・変更/拡張・統合)の目標と方法について解説する.組織の問題を認識し,情報と情報技術を「変革のイネーブラー」とする解決の可能性を検討する(Feasibility Study)方法,ビジネス・アーキテクチャを概念データモデルに写し取り,アプリケーション・アーキテクチャを導出する方法の紹介がその中核である.

コーディネータ:手島 歩三((有)ビジネス情報システム・アーキテクト 代表取締役)
【略歴】1940年岡山県生まれ.1962年岡山大学理学部数学科卒業.同年日本レミントン・ユニバック(現日本ユニシス入社)製造業のSEサービス,生産管理パッケージ開発,システム構築方法論整備,情報システム・アーキテクチャ整備などに携わる.1995年有限会社ビジネス情報システム・アーキテクト設立,同社代表取締役.1998年よりMASPコンソーシアム(現NPO法人技術データ管理支援協会)設立に参画し,日本の製造業の長所を強化するために情報技術整備に携わる.著書:「気配り生産システム」日刊工業新聞社,1994(日本規格協会より1994年度標準化文献奨励賞を受賞),「ソフトウェアのダウンサイジング」共著,「情報システムのパラダイム・シフト」共著,「ERPとビジネス改革」共著,「成功に導くシステム統合の論点」共著など.所属団体:経営情報学会,情報処理学会,日本生産管理学会,スケジューリング学会.

【プログラム】

9:30-9:40
はじめに 「情報システム構築アプローチ」主旨
手島 歩三((有)ビジネス情報システム・アーキテクト 代表取締役)
9:40-11:05
セッション1 「フィージビリティ・スタディの方法「概念形成と問題解決」」
小池 俊弘((有)コラボ 代表取締役)
【講演資料(PDFファイル)】
【講演概要】
情報システム構築企画の前にビジネス改革課題を捉え,優先順位を定めることが肝要である.ビジネスにまつわる問題の大多数は曖昧であり,意味だけでなく優先度についても人によって見解が分かれる.情報システム構築に組織的に取り組むためには,人々が感知する諸問題を把握し,組織としての問題認識を高める必要がある.さらにその過程で真に解決すべき課題は何かを概念規定するとともに課題間の関係すなわち,問題の構造を明らかにする必要がある.その上で,問題解決の可能性を探り,解決可能な課題について短期間で達成する実行プロジェクトを連続的に発足させる手順計画(ビジネス改革プログラム)を策定することが極めて望ましい.このような問題解決企画(フィージビリティ・スタディ)が終わったとき,組織に関与する人々ははじめて問題を問題として認め,解決に取り組むことについて同意する.本セッションではこのフィージビリティ・スタディの方法と考え方を紹介する.
【略歴】1970年日本ユニバック(現日本ユニシス)入社.製造業等のSEサービス,データベース設計技術整備,システム構築方法論整備・普及などに従事.1990年頃より業務改革を含むシステムコンサルティングを担当.2002年退社独立.情報システム構築/再構築コンサルテーションに従事.著書に「ソフトウエアのダウンサイジング」(共著),「柔らか情報戦略」(共著).
11:20-12:45

セッション2 「情報システム統合の目標 −ビジネス・アーキテクチャ−」
手島 歩三((有)ビジネス情報システム・アーキテクト 代表取締役)

【講演資料(PDFファイル)】
【講演概要】
情報システム構造の正当性を情報システム内部で主張することはできない.外から見て良い構造であるためには情報システムの対象となる実世界すなわちビジネス・アーキテクチャを把握する必要がある.現時点ではビジネス・アーキテクチャとは何か社会一般に認知されている概念規定はない.また,どのようにしてそれを捉え,表現するか,表記法もない.しかし,経験的にビジネスの構成要素はレイヤー構造を持っている.データモデリングにあたってレイヤー構造を無視してフラットなモデルを描くと,かえって対象世界が複雑に見えてしまう.簡素で,的確にビジネス構造を捉えるデータモデルを描くためには,ビジネスのレイヤー構造を捉えることが極めて望ましい.本セッションでは藤本,武石らの先行研究がある製造ビジネスを例として,ビジネス・アーキテクチャのレイヤー構造と捉え方を紹介する.
【略歴】1940年岡山県生まれ.1962年岡山大学理学部数学科卒業.同年日本レミントン・ユニバック(現日本ユニシス入社)製造業のSEサービス,生産管理パッケージ開発,システム構築方法論整備,情報システム・アーキテクチャ整備などに携わる.1995年有限会社ビジネス情報システム・アーキテクト設立,同社代表取締役.1998年よりMASPコンソーシアム(現NPO法人技術データ管理支援協会)設立に参画し,日本の製造業の長所を強化するために情報技術整備に携わる.著書:「気配り生産システム」日刊工業新聞社,1994(日本規格協会より1994年度標準化文献奨励賞を受賞),「ソフトウェアのダウンサイジング」共著,「情報システムのパラダイム・シフト」共著,「ERPとビジネス改革」共著,「成功に導くシステム統合の論点」共著など.所属団体:経営情報学会,情報処理学会,日本生産管理学会,スケジューリング学会.
12:45-13:45
お昼休み
13:45-15:10
セッション3 「概念データモデル設計法」
原田 騎郎((株)オージス総研 シニアコンサルタント)
【講演資料(PDFファイル)】
【講演概要】
ビジネスに関与する人々(ステークホールダ)が持つ諸概念やビジネスの仕組みを,あるがままに捉える必要がある.このセッションでは,「概念データモデル」として写し取る方法について説明する.認知心理学で言う「概念モデル」ではない.DOAで言う「データモデル」でもない.「人々が持つ諸概念」を「データ」として写し取るデータモデル(概念データモデル)を記述する必要がある.ビジネスに関与する様々なステークホールダたちの視点でモデリングすることにより,「概念データモデル」にはビジネス・アーキテクチャが反映される.アーキテクチャの理解には,レイヤーを意識してモデリングする必要がある.本セッションではJSDの厳密性を若干崩し,「もの・こと分析」および「こと・もの分析」の組合せとして「概念データモデル」を設計する方法を紹介する.この概念データモデルによって組織構造を含む「ビジネス・アーキテクチャ」をかなりの程度まで把握できる.また,UMLによるモデリングとの考え方の差異や,使い分けについても補足する.
【略歴】1971年福岡県生まれ.1996年東京大学大学院工学系研究課卒業修士(工学).外資系消費財メーカー,独立コンサルタントを経て,2002年より現職.モデリング技術を活用した,主に製造業向けのシステムの企画,設計,構築に多数携わる.2005年より,NPO法人技術データ管理支援協会に参加.同協会運営委員.ITコーディネータ,情報処理技術者(監査,アナリスト,プロマネ).
15:25-16:50
セッション4 「アプリケーション・アーキテクチャ」
手島 歩三((有)ビジネス情報システム・アーキテクト 代表取締役)
 
【講演資料(PDFファイル)】
【講演概要】
情報システム構造をユーザ要求によって導くことは妥当でない.要求変化の都度情報システム構造が変わるのでは困る.ビジネスの対象世界の構造を概念データモデルの写し取り,ビジネス・アーキテクチャに沿って組織の統合分散とビジネス活動を支援できる基幹系アプリケーションを導出し,併せてアプリケーションのレイヤー構造を設定する必要がある.このようなビジネス・アーキテクチャを反映させてアプリケーション・アーキテクチャが設定されると,ビジネスの変化に速やかに対応して情報システム構成要素を変更できる.また,ビジネス・アーキテクチャに適合する情報技術体系(情報システム・アーキテクチャ)を設定して,適切な情報基盤構想を描くこともできる.本セッションでは概念データモデルからアプリケーション・アーキテクチャを導出する考え方と方法を紹介し,併せて情報基盤構想を導く考え方を紹介する.
【略歴】1940年岡山県生まれ.1962年岡山大学理学部数学科卒業.同年日本レミントン・ユニバック(現日本ユニシス入社)製造業のSEサービス,生産管理パッケージ開発,システム構築方法論整備,情報システム・アーキテクチャ整備などに携わる.1995年有限会社ビジネス情報システム・アーキテクト設立,同社代表取締役.1998年よりMASPコンソーシアム(現NPO法人技術データ管理支援協会)設立に参画し,日本の製造業の長所を強化するために情報技術整備に携わる.著書:「気配り生産システム」日刊工業新聞社,1994(日本規格協会より1994年度標準化文献奨励賞を受賞),「ソフトウェアのダウンサイジング」共著,「情報システムのパラダイム・シフト」共著,「ERPとビジネス改革」共著,「成功に導くシステム統合の論点」共著など.所属団体:経営情報学会,情報処理学会,日本生産管理学会,スケジューリング学会.
16:50-17:00
まとめ 「情報システム構築アプローチ」
手島 歩三((有)ビジネス情報システム・アーキテクト 代表取締役)