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最終更新日:2005年4月4日

第3回「組み込み用LSI」

 

開催日時: 平成17年9月14日(水) 9:30-17:00
開催会場: 東京電機大学 神田キャンパス7号館1F 丹羽ホール(東京都千代田区神田錦町2-2)

コーディネータ:冨山 宏之(名古屋大学)

【セミナー概要】
4つの講演から構成される。組み込みシステム用のLSIにはコストや消費電力などに関する厳しい制約が課せられており、その中核的な役割を担う組み込みプロセッサには汎用プロセッサとは異なる技術が必要とされている。
最初の講演では組み込みプロセッサの技術動向を解説する。組み込みシステムの多機能化と半導体回路の高集積化に伴い、現在、組み込みLSIのマルチプロセッサ化が急速に進んでいる。2番目の講演では組み込み向けのマルチプロセッサ技術を解説する。組み込みLSIは、アプリケーション・ソフトウェアが効率良く実行されるように、アーキテクチャを最適に設計する必要がある。3番目の講演では組み込みLSIのハードウェア/ソフトウェア・コデザイン技術を解説する。運用時にLSIの論理を書き換える動的再構成技術は、将来のLSIを革新する可能性を有している。最後の講演では動的再構成技術を解説する。

【プログラム】
セッション1  9:30-11:00 「組み込みプロセッサの動向 - 高性能・低電力・大規模SoCに向けて-」
                 斎藤 靖彦(ルネサステクノロジ)

【講演概要】近年の半導体製造プロセス進化を背景として大規模システムのone chipへの集積が可能となり、様々な民生分野(携帯機器分野、自動車情報系分野、PC/AV分野など)で組み込みプロセッサがSoC(System On Chip)として実現されるようになってきました。このような大規模SoC開発の主な課題としては、(1) 高性能・多機能化、(2) 低電力化、 (3) 大規模システムの短期開発、の三つがあげられます。本講演では携帯電話分野のSoCであるSH-Mobileなどを紹介しながら、これら課題に向けた技術を解説します。

セッション2 11:10-12:40 「組み込み向けマルチプロセッサ技術」
                 枝廣 正人(日本電気)

【講演概要】組み込みプロセッサには、前講演であげられているような三つの課題があります。また今後多くの組み込み機器はネットワークに接続すると考えられますが、事前性能予測が困難で、不具合などが含まれる可能性もあるダウンロードアプリケーションによって機器がシステム障害を起こさないようにしていく必要もあります。
本講演では、これらの課題に対するマルチコア技術によるアプローチを紹介します。また、マルチコア向けのソフトウェア技術、開発環境、実行効率をあげるための取り組みについても紹介します。

                −昼食−

セッション3 13:40-15:10 「ハードウェア/ソフトウェア・コデザイン技術」
                 冨山 宏之(名古屋大学)

【講演概要】ハードウェア(LSI)設計とソフトウェア設計を協調させることにより、システム全体を最適に設計することを、ハードウェア/ソフトウェア・コデザイン(または協調設計)といいます。
本講演ではハードウェア/ソフトウェア・コデザイン技術の基礎と動向について解説します。具体的には、システム仕様記述、ハードウェアとソフトウェアの機能分割、コシミュレーション、動作合成、通信合成などについて幅広く説明します。また、組み込み用プロセッサのコデザイン技術についても解説します。

セッション4 15:30-17:00 「動的再構成技術」
                 天野 英晴(慶應義塾大学)

【講演概要】動的リコンフィギャラブルシステムは、多数の要素プロセッサのアレイ構造を持ち、様々な並列処理技術を用いて、画像処理、暗号化処理など、計算量の多い処理を高速に実行します。もっとも大きな特徴は、動作中に要素プロセッサの機能と接続パターンを変更することによって、同一の半導体面積を複数の目的に用いることができますことです。この機能により、高い面積利用効率を達成し、組み込み分野に広く用いられることが期待されます。代表的なシステムを紹介しながら、現状と課題を解説します。