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最終更新日:2005年6月29日

第2回「組み込み用OSの基礎と応用

 

開催日時: 平成17年7月8日(金) 9:30-17:30
開催会場: 東京電機大学 神田キャンパス7号館1F 丹羽ホール(東京都千代田区神田錦町2-2)

コーディネータ:中本 幸一(兵庫県立大学)

【セミナー概要】
組込みシステムは自動車、携帯電話、情報家電を中心とした非PCのコンピューティングシステムの総称であり、日本の産業の大きな柱の一つである。その組込みシステムの基盤となるOSをはじめとするシステムソフトウェアは、リアルタイム、耐故障、省資源といった組込みシステム特有の機能を具備しつつ、PC系ソフトウェアの高生産性と高利便性が求められている。組み込みシステム向けシステムソフトウェアの最近動向とそれらとどう取り組んでいけばいいのかを知って頂くことを目的とする。

【プログラム】
セッション1  9:30-10:00 「イントロダクション-組み込みソフトウェアの特徴」
                 中本 幸一(兵庫県立大学)

【講演概要】組み込みシステムのソフトウェアは機器に組込まれ制御を行うという組み込みシステムの独特の側面と、ユーザの操作やインタネットへの接続というコンピュータソフトウェア技術が支配的な側面がある。本セッションでは第二回の導入として, 1)組み込みソフトウェアの特徴、特にPCやサーバのソフトウェアの差異、2)組み込みソフトウェアの展開、3)コンピュータソフトウェア技術と統合方式を紹介する。1)はリアルタイム機能とタスクの並行実行の必要性を述べる。2)ではスタンドアロンからネットワーク接続による影響、3)は組み込みソフトウェアとコンピュータソフトウェアを疎結合、あるいは密結合にする場合の方式を述べる。

セッション2 10:10-11:40 「リアルタイムOS技術の動向−TOPPERSプロジェクトを中心に−」
                 高田 広章(名古屋大学)

【講演概要】本講演では、まず、組込みシステム向けのリアルタイムOSの典型的な構造としてリアルタイムカーネル型と汎用OS型があることを述べ、組込みシステムの「専用化されたシステム」という特性に着目し、専用化されたシステムを構築するためのOS技術という観点から最近の技術動向を解説する。また、リアルタイムカーネルの標準仕様として広く使われているITRON仕様の概要を述べ、オープンソースのITRON仕様OSを開発しているTOPPERSプロジェクトについて紹介する。

                −昼食−

セッション3 12:40-14:10 「Linuxの適用事例」
                 菅井 尚人(三菱電機)

【講演概要】デジタル家電や携帯電話などの組込み分野においても、その高機能化に対応するために、S/WプラットフォームとしてLinuxの採用が本格化しています。Linuxを組込みの分野に適用する場合、起動時間の短縮、リアルタイム性の向上、フットプリントの削減などの技術的な課題を解決することが必要になります。
本セッションでは、これらの課題に対する解決策について説明するとともに、最近実用化されつつあるマルチコアプロセッサを利用した事例についても紹介します。

セッション4 14:20-15:50 「情報家電向けミドルウェア−Digital Living Network Alliance−」
                 山内 弘貴(松下電器産業)

【講演概要】DLNA(Digital Living Network Alliance)は「ホームネットワーク機器の接続性ガイドラインV1.0」を2004年6月に発表しました。このガイドラインはオープンな業界標準ネットワーク技術に基づき、デジタル家電、PC、モバイル機器間におけるデジタルコンテンツ(動画、静止画、音楽等)の相互接続性を提供します。
本セッションではDLNAの組織概要、ガイドライン策定プロセス、デバイスモデルおよびネットワークアーキテクチャ等のガイドライン内容を解説します。また、ガイドラインが採用する基本技術(UPnP、HTTPストリーミング等)も解説し、ネットワークミドルウエアの動作例を紹介します。

セッション5 16:00-17:30 「センサーネットワーク向けOS TinyOSの利用事例」
                 戸辺 義人(東京電機大学)

【講演概要】近距離無線通信とセンシングの機能を併せ持つノードにより構築されるユビキタスセンサーネットワークの研究開発が活発化しています。センサーネットワークノードには低消費電力という要件が課せられており、ハードウェアだけでなくソフトウェア全体も含めた工夫が求められています。
本セッションでは、超小型計算機としてのセンサーネットワークノード向け組込み機器基盤ソフトウェアという観点から 、 米国University of California,Barkeleyを中心に開発が進められているTinyOS とその応用事例を紹介します。