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最終更新日:2007年1月5日

 ソフトウェアジャパン2007 ITフォーラムセッション

 
ITアーキテクト/CIOフォーラム
「ITアーキテクトの仕事論」

セッション概要
昨今ITシステムはマルチベンダ化が進み,多種多様なハードウェア,ソフトウェアを組み合わせて開発することが通常となっている.また,ビジネス環境は多様な変化にスピーディに追随することが要求され,ITシステムは事務の効率化を図る道具から,企業にとってより戦略的かつ不可欠なコンピテンシーへと発展してきた.このような変化に富んだ状況においてビジネスとITを連携させ,きちんとした方針に従ってITシステムの全体最適設計を行うのがITアーキテクトである.しかしながら,ITアーキテクトという職種がクローズアップされ始めたのはここ数年のことであり,まだまだITアーキテクトの実態が広く認識されているとは言い難い.本セッションでは,ITアーキテクトが行うべき仕事と,その責務について多方面で活躍中のオピニオン・リーダー達を招き,それぞれのポジションから,さらには会場の声もまじえてディスカッションを行う.

司会 榊原 彰(日本アイ・ビー・エム(株)ディスティングイッシュト・エンジニア,エグゼクティブITアーキテクト)
【略歴】1986年に日本アイ・ビー・エムに入社以来,多数のプロジェクトに参画.現在は,開発方法論や開発支援ツールおよびアーキテクチャ設計技術などの開発,および社内外への展開を手掛けている.最近はソフトウェア開発・配置・運用の自動化,およびアーキテクチャの単純化に興味を持つ.情報処理学会,プロジェクトマネジメント学会,IEEE,ACMの各正会員.日科技連SPC研究委員会副委員長.ITスキル標準 プロフェッショナル・コミュニティITアーキテクト委員会主査.ソフトウェア・エンジニアリング・センター非機能要求記述部会主査.ソフトウェアテスト・シンポジウム(JaSST)ステアリング委員.World Wide Institute of Software Architectsメンバー.

プログラム  [会場2F福寿]
13:15-13:45

講演 「ITアーキテクトの仕事論」 
榊原 彰(日本アイ・ビー・エム(株)ディスティングイッシュト・エンジニア,エグゼクティブITアーキテクト)

【講演概要】経済産業省が2002年末にITスキル標準(以下,ITSS)をリリースして以来,ITスキルおよびITの職種そのものを体系的にとらえようとする動きは確実に活発になっていると言える.一方で,これらITプロフェッショナルの中で,現在のわが国のIT産業においてその職務を最もイメージしにくいものの1つが「ITアーキテクト」という職種であるとの指摘がある.ITアーキテクトとは,その名のとおりITアーキテクチャを作成する職種であるが,そもそもITアーキテクチャに関する理解がまだまだ浸透しているとは言い難く,結果としてこの職種自体をとらえにくいものとしていることは否めない.本講演は,パネル・ディスカッションのためのレベル・セッティングの場と位置づけ,ITアーキテクトが遂行する職務とはどのようなものであるか,ITアーキテクチャそのものの考え方を織り交ぜながら,その概要を解説する.
写真,略歴は司会 参照
13:45-15:15

パネル討論 「ITアーキテクトの責務」

【討論概要】 パネル・ディスカッションでは,講演の内容を踏まえた上で,更にITアーキテクトの職務の多様な側面に焦点を合わせ,ITアーキテクトの「責務」を明確にしていく.主に取り上げる内容は,以下の観点における「アーキテクチャ」構築や構築手法における責務である.
・ エンタープライズ系システムのアーキテクチャ構築
・ 組み込みシステムのアーキテクチャ構築
・ ソフトウェア・プロダクトラインにおけるアーキテクトの責務
・ アジャイル手法とアーキテクチャ構築
・ アーキテクチャ設計における品質技術,品質を考慮したアーキテクチャ
また,予定しているパネル・ディスカッションの進行は大きく以下の3つのパートである.
・ 各パネリストによるポジション・トーク
・ 個々のトピックにおけるディスカッション
・ 会場からの質問をもとにしたディスカッション
できる限り多くの時間を会場との対話に費やし,現実の問題を取り入れた,実践的な考え方を重視するパネル・ディスカッションとする予定である.
司   会:榊原 彰(日本アイ・ビー・エム(株)ディスティングイッシュト・エンジニア、エグゼクティブITアーキテクト)
写真,略歴は司会 参照
パネリスト:西 康晴(電気通信大学 電気通信学部システム工学科 講師)
【略歴】電気通信大学電気通信学部システム工学科講師.IPSJソフトウェアエンジニアリング教育委員会幹事.NPO法人ASTER(ソフトウェアテスト技術振興協会)理事長.NPO法人SESSAME(組込みソフトウェア管理者技術者育成研究会)副理事長.某社でソフトウェアテストに関するコンサルティング部門を立ち上げた後,電気通信大学にて研究や教育,コンサルティングを行う傍ら,ソフトウェアテストのエバンジェリストとして「現場に笑顔を」をキーワードに活動している.
パネリスト:萩原 正義(マイクロソフト(株) デベロッパー&プラットフォーム統括本部 ソフトウェア・アーキテクト)
【略歴】Software Architect.1993年マイクロソフト入社.北海道大学,早稲田大学非常勤講師..NET開発,アーキテクチャの調査研究と技術啓蒙に従事.アスペクト指向,フレームワーク実装技術,開発方法論,データ中心アプローチとオブジェクト指向分析/設計との融合,モデル駆動型アーキテクチャ,サービス指向アーキテクチャなどが現在の興味対象.趣味は,IT業界の著名人との雑談とウインタースポーツ.ソフトウェア技術の発展に貢献することが夢.
パネリスト:平鍋 健児((株)チェンジビジョン 代表取締役社長)
【略歴】株式会社チェンジビジョン代表取締役社長.株式会社永和システムマネジメント副社長.1989年東京大学工学部卒業後,3次元CAD,リアルタイムシステム,UMLエディタJUDEなどの開発を経て,オブジェクト指向技術,アジャイル型開発 の実践する「見える化」コンサルタント.オブジェクト倶楽部主宰,アジャイルプロセス協議会副会長,XPJUGアドバイザ リ,要求開発アライアンス理事.翻訳「XPエクストリームプログラミング導入編」,「リーンソフトウェア開発」,「アジャイルプロジェクトマネジメント」など多数.「ハート駆動型コミュニケーション」をモットーに,人に感動を与えられるコンサルタントを目指している.
パネリスト:二上 貴夫((株)東陽テクニカ ソフトウェア・システム研究部 部長)
【略歴】(株)東陽テクニカ ソフトウェア・システム研究部 部長.リアルタイム計測システムの開発から,組み込みソフトウェア開発の方法論を学び,応用のコンサルタントとして活動.情報処理学会ソフトウェア工学研究会,組み込みシステム研究会の
MDDチャレンジにて自律飛行船のシステムアーキテクチャ策定委員.
パネリスト:湯浦 克彦((株)日立コンサルティング テクニカルディレクター)
【略歴】(株)日立製作所において情報技術に関する研究開発およびコンサルティングに従事し,現職に至る.オブジェクト指向から内部統制まで幅広く専門としている.最近の著書に「ITコンサルタントのための会計知識」(共著),「ITガバナンスの構造」,「実践!! エンタープライズ・アーキテクチャ」,「XML技術とXBRL標準を用いたインターネット財務情報システム」など.ITスキル標準プロフェッショナル・コミュニティでは,ITアーキテクト委員に引き続きコンサルタント委員を勤める.