イベント企画
特別講演〈船井業績賞受賞記念講演〉:ユビキタス・コンピューティングの未来

9月8日(木)13:00-14:30[第1イベント会場(5号館5階 5534教室)]

 
  坂村 健(東大)
1951年東京生まれ.東京大学大学院情報学環副学環長/教授.工学博士.
1984年から新しいコンピュータ体系TRONを構築.現在,TRONはユビキタス環境を実現する重要な組込OSとして世界でもっとも使われている.さらに,コンピュータを使った電気製品,家具,住宅,ビル,都市,ミュージアムなど広範なデザイン展開を行っている.2002年1月よりYRPユビキタス・ネットワーキング研究所長を兼任.
『ユビキタス,TRONに出会う』,『ユビキタス・コンピュータ革命』など著書多数.
 

[講演概要]
身のまわりのあらゆるモノにコンピュータが入り,それらがネットワークで相互接続され,協調しながら我々の生活をかげから支えてくれる.私が早くから提唱してきたこのようなユビキタスコンピューティング(どこでもコンピュータ)が現実のものとなってきた.
ユビキタス・コンピューティンが従来のモデルとの違うところは現実の人・物・空間の状況を常に意識している点である.在庫管理,物流,食品のトレーサビリティ,医薬品管理など応用分野は無限であり,われわれの生活のさまざまな場面を一変させる革新的な技術であるユビキタス・コンピューティングの未来についてお話する.

 

船井業績賞記念パネル討論:ユビキタス社会の担い手は何か?

9月8日(木)15:00-17:30[第1イベント会場(5号館5階 5534教室)]

 
 

[討論概要]
「ユビキタス社会」という概念が出されて久しい.このたびの坂村先生の受賞に当たり,今一度ユビキタス社会を支えるべき,(組み込み)ソフトウェアのあり方,ハードウェアのあり方,携帯端末等ハードウェアのあり方,高速ネットワークインフラのあり方,さらには産業界のあり方,という観点から各領域で精力的に活動されている方々をパネリストとしてお招きして議論する.
議論では技術的なブレークスルーが必要な項目,および制度的にブレークスルーが必要な項目について議論したい.
パネルの途中には随所で坂村先生からのコメントもお願いしたいと考えている.

 
  特別ゲスト:坂村 健(東大) 
1951年東京生まれ.東京大学大学院情報学環副学環長/教授.工学博士.
1984年から新しいコンピュータ体系TRONを構築.現在,TRONはユビキタス環境を実現する重要な組込OSとして世界でもっとも使われている.さらに,コンピュータを使った電気製品,家具,住宅,ビル,都市,ミュージアムなど広範なデザイン展開を行っている.2002年1月よりYRPユビキタス・ネットワーキング研究所長を兼任.
『ユビキタス,TRONに出会う』,『ユビキタス・コンピュータ革命』など著書多数.
 
 

司会:大蒔 和仁(産総研)
1979年3月東北大学大学院工学研究科博士課程修了.1979年4月通商産業省工業技術院電子技術総合研究所入所.1984年12月〜1985年12月スイス連邦工科大学(ETH)情報工学研究所客員研究員.1995年6月電子技術総合研究所企画室長.1997年5月同所情報アーキテクチャ部長.2001年4月独立行政法人産業技術総合研究所情報処理研究部門長.2003年4月同所研究コーディネータ(情報通信・エレクトロニクス担当)(現在に至る).1992年7月ISO/IEC JTC1 SC21 WG8 CCR LOTOS Project Editor(1995年12月まで).1995年5月日本ソフトウェア科学会理事(1999年5月まで).1998年4月情報処理学会理事(2000年4月まで).2003年7月情報処理学会情報規格調査会副会長.情報処理学会,日本ソフトウェア科学会,IEEE,ACM各会員.

 
 

パネリスト:関口 智嗣(産総研)
1982年東京大学理学部情報科学科卒業,1984年筑波大学大学院理工学研究科修了,同年工業技術院電子技術総合研究所入所.以来,データ駆動型スーパーコンピュータSIGMA-1の開発,ネットワーク数値ライブラリNinf,クラスタコンピューティング,グリッドコンピューティング等に関する研究に従事.2001年独立行政法人産業技術総合研究所に改組.2002年1月より同所グリッド研究センター長.市村賞,情報処理学会論文賞受賞.グリッド協議会会長.Global Grid Forum(GGF) External Advisory Committeeを始め国際会議委員委嘱多数.情報処理学会,日本応用数理学会,SIAM,IEEE,つくばサイエンスアカデミー各会員.

 
 

パネリスト:高田 広章(名大)
名古屋大学大学院情報科学研究科教授.東京大学助手,豊橋技術科学大学助教授などを経て,2003年4月より現職.組込みシステム開発技術の研究に従事.ITRON仕様の標準活動に参加し,μ ITRON4.0仕様などの取りまとめを行なう.
オープンソースのITRON仕様OSなどを開発するTOPPERSプロジェクトの会長をつとめる.

 
 

パネリスト:中野 博隆(阪大)
1972年東京大学工学部電気工学科卒業.1977年同大学大学院工学系研究科電子工学専門課程博士課程修了.
同年電電公社(現NTT)入社.電気通信研究所にて,キャプテン,VODなど画像・映像提供システム,マルチメディア通信システムの研究開発に従事.1999年NTT移動通信網株式会社(現NTTドコモ)マルチメディア研究所所長を経て,2004年4月より現職.

 
 

パネリスト:保科 剛(日本ユニシス)
1981年,日本ユニシス入社.数理計画・人工知能分野の研究,アプリケーション開発を担当.その後,オブジェクト指向開発環境「TIPPLER」トランザクショナルORB「SYSTEM ν」,システム開発技法「LUCINA」,ASP事業「asaban.com」を企画・開発.2002年,ビジネスアグリゲーション事業部長.2003年,アドバンストテクノロジ本部長.2004年4月,最高技術責任者(CTO)兼ビジネスイノベーション本部副本部長.2004年7月より最高技術責任者(CTO)兼先端技術企画部長.

 

異文化コラボレーションシンポジウム

9月7日(水)10:00-17:00[第1イベント会場(5号館5階 5534教室)]

 
 

[全体概要]
情報通信技術のめざましい進展により,言語や文化的差異を超えて人々の交流が急速に増大し,新たなコラボレーションと摩擦を同時に引き起こしている.例えば,海外におけるオフショア開発,国際共同プロジェクト数の増大など,事例には事欠かない.特にアジアワイドなコラボレーションは緊急の課題である.このような課題に対応するためには,様々な技術を有機的に結合した異文化間相互理解のための支援が必要である.そこで,今後の異文化コラボレーションのあり方とその支援技術の発展を考えるために,異文化コラボレーションの事例報告,研究報告およびオフショア開発に関するパネル討論を行い,研究者間の交流を図る場を提供する.具体的には,異文化コラボレーションの基盤技術の一つである機械翻訳技術から異文化コラボレーションへのアプローチの招待講演および,様々な領域で実際に行われている異文化コミュニケーションについての招待講演を企画する.さらに,オフショア開発の現場の方々を招いてパネル討論を行い,現在直面している現場での問題点および,どのような支援が必要か,それらの問題はコンピュータ技術でどのように解決できるかなどの討論を行う.

 
●午前の部・司会
 

宇津呂 武仁(京大)
1989年京都大学工学部電気工学第二学科卒業.1994年同大学大学院工学研究科博士課程電気工学第二専攻修了.京都大学博士(工学).
奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科助手,豊橋技術科学大学工学部情報工学系講師を経て,2003年より京都大学情報学研究科知能情報学専攻講師.
自然言語処理の研究に従事.

 
●午前の部・講演1:機械翻訳を用いた異文化コミュニケーションの実現[10:05 - 10:30]
 

吉野 孝(和歌山大)
1969年生.1992年鹿児島大学工学部電子工学科卒業.1994年同大学大学院工学研究科電気工学専攻修士課程修了.1995年鹿児島大学工学部電気電子工学科助手.1998年同大学工学部生体工学科助手.2001年より和歌山大学システム工学部デザイン情報学科助手.2004年より同大学助教授.博士(情報科学)東北大学.2001年本会DICOMO2001シンポジウムにおいてベストプレゼンテーション賞,2003年本会大会奨励賞をそれぞれ受賞.異文化コラボレーション,モバイルグループウェア,遠隔授業支援システム,衛星放送システムに関する研究に従事.ACM,IEEE,情報処理学会,電子情報通信学会各会員.

 

[講演概要]
インターネットの世界規模の普及と広帯域化により,異なる言語を用いる人々の間でのコラボレーションが可能となりつつある.このような世界規模の異文化間協調作業における参加者間のコミュニケーションには,通常は共通言語が使用される.一般に「異文化間のコミュニケーション」という場合には,暗黙的に共通言語を利用した異文化間のコミュニケーションを意味することが多い.しかし,共通言語を利用できない参加者にとっては,他の言語を用いる人とのコミュニケーションは非常に限定されたものになる.そこで,主となるコミュニケーションの手段をお互いの母国語とするが,テキストベースの機械翻訳を積極的に活用することによって,相互に理解可能な環境を提供する,多言語対応リアルタイム電子会議システムを開発し,実際に日本人と中国人の間のコミュニケーション実験を行った.本講演では,開発システムおよび日中間で実施した実験について述べる.

 
●午前の部・講演2:機械翻訳へのユーザの適応と書き換えへの教示効果[10:30 - 10:55]
 

山下 直美(NTT)
カナダ,オンタリオ州生まれ.1995年同志社高等学校卒業.1999年京都大学工学部情報学科卒業.2000年カリフォルニア大学アーバイン校訪問研究員.2001年京都大学情報学研究科数理工学(最適化研究室)修士課程修了.2001年NTT入社,コミュニケーション科学基礎研究所配属.コンピュータを介した対話(Computer-Mediated Communication)や,コンピュータ支援によるユーザの共同作業(Computer Supported Cooperative Work)に興味を持つ.

 

[講演概要]
近年,アジアを中心に,インターネット上で機械翻訳を用いて議論をするコミュニティを見かけるようになった.国際的な協調作業が年々増加する中,円滑なコミュニケーションを実現する機械翻訳の需要は今後も増加すると考えられる.
ところが,機械翻訳は本来,新聞記事のように文語体で記述された文書を翻訳するために開発されてきたツールである.このため,機械翻訳システムをコミュニケーションの用途として用いると様々な問題が浮上する.例えば,誤訳による相互理解の破綻や,誤訳を回避するためにユーザに多大な負荷がかかることなどが挙げられる.これらの問題を解決し,機械翻訳がユーザ間のインタラクションでうまく機能するためには,翻訳精度の向上のみならず,実際のコミュニケーションの特徴を考慮に入れた支援機能を組み込む必要がある.
本講演では,機械翻訳を用いて実際に行われたコミュニケーションを分析した結果を紹介し,機械翻訳を介した対話に必要と思われる支援方法について考察する.

 
●午前の部・講演3:機械翻訳可能性の自動評価と機械翻訳不適個所の推定[10:55 - 11:20]
 

内元 清貴(NICT)
1994年京都大学工学部電気工学第二学科卒業.1996年同大学院修士課程修了.博士(情報学).同年郵政省通信総合研究所入所.現在,独立行政法人情報通信研究機構主任研究員.自然言語処理の研究に従事.2000年言語処理大会年次大会優秀発表賞,2001年情報処理学会山下記念研究賞受賞.情報処理学会,言語処理学会,ACL,各会員.

 

[講演概要]
機械翻訳システムと入力文が与えられたときに,そのシステムによって入力文の機械翻訳がどの程度うまく行なえるかを自動評価する方法を紹介する.本手法では,システムには原言語と対象言語相互間の翻訳を行なえることが要求されるが,機械翻訳の自動評価に必要とされるような参照文は必要としない.この手法を原言語文の各部分に適用することにより,機械翻訳がうまくできない個所を自動推定することができる.このような機械翻訳に不向きな部分を被験者に提示し,原言語文を書き換えてもらったところ,翻訳システムによる翻訳文の質が向上することが分かった.近年,言い換え技術が盛んに研究され,フリーのソフトウェアも公開されている.このような言い換え技術を利用し,提案手法で機械翻訳可能性が高くなるような書き換え候補を自動で選択することにより,機械翻訳システムそのものに手を入れることなく,自動的に翻訳の質を向上させられるようになると期待される.

 
●午前の部・講演4:コミュニケーション支援のための言い換え技術の現状と今後[11:20 - 11:45]
 

乾 健太郎(奈良先端大)
1967年生.1995年東京工業大学大学院情報理工学研究科博士課程修了.同年より同研究科助手.1998年より九州工業大学情報工学部助教授.1998年〜2001年科学技術振興事業団さきがけ研究21研究員兼任.2001年より奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科助教授,現在にいたる.2004年文部科学省在外研究員として英国サセックス大に滞在.博士(工学).自然言語処理の研究に従事.情報処理学会,人工知能学会,ACL各会員.

 

[講演概要]
意味が近似的に等価な言語表現の異形を言い換えと言う.言い換え技術とは,所与の言語表現からその言い換えを生成する言い換え生成技術,および所与の言語表現対が言い換え関係にあるか否かを判定する言い換え認識技術の総称である.これらの技術は,機械翻訳の前編集や読解支援のための文章簡単化,質問応答や複数文書要約など,様々な応用に貢献する応用横断的なミドルウェア技術になると期待されており,近年研究者の関心を集めてきた.本講演では,こうした言い換え技術について,工学的研究を中心に近年の動向を紹介する.具体的には,コミュニケーション支援の観点から言い換え技術の応用可能性について論じた後,主として言い換え生成の研究を機械翻訳と対比させながら概観し,最後に言い換えに必要な言語資源に関する最新の研究動向を紹介する.

 
●午後の部・司会
 

石田 亨(京大)
1976年京都大学工学部情報工学科卒業.1978年同大学院修士課程修了.同年日本電信電話公社電気通信研究所入所.現在,京都大学大学院情報学研究科社会情報学専攻教授.上海交通大学客座教授.工学博士.IEEEフェロー.情報処理学会フェロー.人工知能,コミュニケーション,社会情報システムに興味を持つ.デジタルシティ、異文化コラボレーションなどのプロジェクトを主宰.

 
●午後の部・講演1:小・中学校での異文化コミュニケーション「Pangaeaプロジェクト」[13:05 - 13:35]
 

森 由美子(NPO法人パンゲア)
1985年Saint Mary's College, California卒業(幼児心理学・幼児教育学を専攻).モンテソリ教員の資格を持ち,アメリカで計5年幼稚園教師を務める.1986年スタンフォード大学研究員(Schizophrenia Biological Research Center)となる.1988年UCLA School of Educationにて国際比較教育を学ぶ.1991-1999年(株)トミーにて,幼児知育玩具の事業室長.2001年4月(株)CSKのCAMP(Children's Art Museum and Park)大川センター企画立案立ち上げ.現在,エグゼクティブ・プロデューサー.2002年MIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボ客員研究員となる.NPO法人パンゲアを設立(理事長).2004年文部科学省初等中等教育局国際教育課の「初等中等教育における国際教育推進検討会」委員.

 

[講演概要]
世界のこども達がネットを通して一緒に遊べるユニバーサルプレイグランドを.これが研究開発型NPO法人パンゲアのミッションである.そこで互いに「つながり」を感じられることができれば,異文化に対しての興味や関心もパーソナルなものとなり,それが如いてはひとりでも多くのこども達の笑顔につながる第一歩なのではと考えた.インターネットを用いることでいろいろな情報やデータを交換できる時代.しかし,言葉の壁は大きく立ちはだかる.アフリカ・ヨーロッパ・アジア・アメリカの様々な国から参加希望のメールが届く.アメリカから生まれたコンピュータとインターネットの使用言語はもちろん英語.こどもたちが「つながり」を感じるために,外国語でそれは可能なのか.全てのこどもが遊ぶプレイグラウンドに言葉で優劣はつけられない.そこから多言語コミュニケーションツール,Communicatorの開発が始まった.こども達が互いに創作物にコメントしたり,質問したりする.ということの想定から始まった.使用するのは絵文字とこども達が日常使用する定型文の組み合わせ.国境を越えたネットによるアンケート調査と海外拠点との連絡の中で見えてくる文化の差.絵文字にも文化により変換が必要である.「つながり」は,顔,声,動作とその相手に関する様々な情報が伴うことで増していく.パンゲアビデオレターをアフリカと始め,その中から見えてきた翻訳の必要性.主要言語はマンパワーでどうにかなるが,カンボジアのクメール語ではどうするのか.機械翻訳をこども達の持つ力を利用し,自らが理解するために努力をすることで,言葉の壁を越えるチャレンジが始まった.

 
●午後の部・講演2:海外との大学間遠隔講義における異文化コミュニケーション「Tideプロジェクト」[13:35 - 14:05]
 

美濃 導彦(京大)
1978年京都大学工学部情報工学科卒業.1983年同大大学院博士課程修了.同年工学部助手,1987年〜1988年マサチューセッツ州立大学客員研究員,1989年京都大学工学部附属高度情報開発実験施設助教授,1995年同教授,1997年京都大学総合情報メディアセンター教授を経て,2002年京都大学学術情報メディアセンター教授.画像処理,人工知能,知的コミュニケーション関係の研究に従事.工博,IEEE,ACM,情報処理学会,電子情報通信学会,画像電子学会,日本ロボット学会,日本バーチャルリアリティ学会各会員.

 

[講演概要]
京都大学とUCLAの間で6年間継続的に行ってきた実時間遠隔講義プロジェクトTIDEにおける学生間の異文化コミュニケーションについて述べる.大学の教室間を高速専用回線で接続し,実時間で双方の学生が同時に講義を受けられるシステムを利用して,さまざまな科目を試行してきた.教師は双方の大学でそれぞれ存在し,どちらか一方の教師が講義を行う.講義は英語で行っているが講義のレベルは日本の大学生にとってそれほど高いものではないので,学生の負担は双方とも同じ程度である.学生からのアンケート調査によれば,遠隔講義そのものに対する興味や講義に対する態度などで学生の態度に文化的な違いがみられる.講義の内容も人文系の講義の方が文化の違いが講義に現れて興味深いことが分かった.

 
●午後の部・講演3:職場での異文化間コミュニケーション[14:05 - 14:35]
 

西田 ひろ子(静岡県大)
静岡県生まれ.米国ミネソタ大学大学院コミュニケーション研究科博士課程修了.1979年Ph.D.(コミュニケーション学博士)取得.その後,東京大学大学院社会学研究科(社会心理学専攻)博士課程修了.1989年より静岡県立大学国際関係学部助教授,1991年同大学院国際関係学研究科助教授兼任.1995年より静岡県立大学国際関係学部教授,同大学院国際関係学研究科教授兼任.国際行動学会副会長,同学会『国際行動学研究』編集長.米国International Communication Association,及びNational Communication Association会員.主要著書に『異文化間コミュニケーション入門』(編著)創元社,2000年,『人間の行動原理に基づいた異文化間コミュニケーション』(単著)創元社,2000年,『マレーシア,フィリピン進出日系企業における異文化間コミュニケーション摩擦』(編著)多賀出版,2002年などがある.

 

[講演概要]
「交通機関や通信技術の飛躍的な発達によって,今や地球は一つの『地球村』になりつつある」というと,「いまや単一の普遍的な文明のなかで生きるための基盤ができつつある」と感じる人がいるかもしれない.しかし,現実には,部族や民族の対立あるいは宗教的な紛争の激化など,これまでよりさらに文化間の相違が浮き彫りになってきている.本講演では,「文化間の相違」により実際にどのような摩擦が生じているのか,海外進出日系企業で働く日本人と現地従業員を対象に実施した調査結果を基に,異文化間コミュニケーション摩擦について考察する.調査は,中国,マレーシア,フィリピンといったアジアに進出した日系企業と米国に進出した日系企業で働く日本人と現地従業員2,558名を対象に行われたものである.調査結果から,各国の現地従業員の特質及び日本人の特質が浮かび上がってきた.このような調査結果を基に,「なぜ異文化間コミュニケーション摩擦が生じるのか」について言及する.

 
●パネル討論:異文化コラボレーションの難しさとは?(オフショア開発)[15:00 - 17:00]
 

[討論概要]
情報通信技術のめざましい進展により,言語や文化的差異を超えて人々の交流が急速に増大し,新たなコラボレーションと摩擦を同時に引き起こしている.例えば, 海外におけるオフショア開発,国際共同プロジェクト数の増大など,事例には事欠かない.特にアジアワイドなコラボレーションは緊急の課題である.このような課題に対応するためには,様々な技術を有機的に結合した異文化間相互理解のための支援が必要である.
そこで,今後の異文化コラボレーションのあり方とその支援技術の発展を考えるために,オフショア開発の現場に詳しい方々を招いてパネル討論を行い,これまでの現場において発生した異文化間コラボレーションの問題点について,特に,日頃直面されている文化や言語の違いによる問題点などについて議論を行い,異文化コラボレーションの問題点を浮き彫りとすること狙っている.さらに,それらの問題はソフトウェア工学の観点から,あるいはコンピュータ技術でどのように解決できるか,これらの問題にどのようにアプローチできるかについての討論を行う.

 

 

司会:吉野 孝(和歌山大)
1969年生.1992年鹿児島大学工学部電子工学科卒業.1994年同大学大学院工学研究科電気工学専攻修士課程修了.1995年鹿児島大学工学部電気電子工学科助手.1998年同大学工学部生体工学科助手.2001年より和歌山大学システム工学部デザイン情報学科助手.2004年より同大学助教授.博士(情報科学)東北大学.2001年本会DICOMO2001シンポジウムにおいてベストプレゼンテーション賞,2003年本会大会奨励賞をそれぞれ受賞.異文化コラボレーション,モバイルグループウェア,遠隔授業支援システム,衛星放送システムに関する研究に従事.ACM,IEEE,情報処理学会,電子情報通信学会各会員.

 

 

パネリスト:青山 健(緑システム設計)
1981年,中国浙江大学Biomedical Instrument科入学.1988年,来日.1990年,京都大学情報工学科入学.1994年,同大学院情報工学専攻入学.1996年,NTTSOFT(株)入社.1998年,退社,独立.2000年,日本に帰化.
現在,東京と杭州(中国)に1ヶ所ずつ開発拠点を構え,オフショアを初め,システム開発に従事している.

 

 

パネリスト:落水 浩一郎(北陸先端大)
1946年生.1969年大阪大学基礎工学部卒.1974年同大学院基礎工学研究科博士課程修了.工学博士.静岡大学工学部講師,助教授,教授を経て,1992年より北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科教授.ソフトウェア工学,特に,オブジェクト指向開発方法論とその支援環境,分散共同開発のプロセスモデルと支援環境に興味を持つ.著書に「ソフトウェア工学実践の基礎」,「オブジェクトモデリング」等.IEEE,情報処理学会,日本ソフトウェア科学会、教育システム情報学会各会員.

 

 

パネリスト:ガドギル ニランジャン(マナスソリューションズ)
1968年インドのプネー町生まれ.1984年6月FERGUSSONカレッジ卒業.1992年6月プネー大学コンピューターエンジニアリング部卒業.1993年7月〜1995年4月国際基督教大学で日本語とマーケティングマネージメントを修得.1995年8月日本のWEBプロダクションハウスで技術担当として入社.1997年4年インドでマナス・ソリューションズ正式設立し,在籍中の会社からPLAYSTATIONゲーム開発の仕事受託.1997年〜2000年4月在籍中の会社の仕事を受託してインド側で開発行い,これらのプロジェクトマネージャを担当.2000年5月WEBコミュニティー中心としたベンチャー企業へ転職.マナス・ソリューションズが投資して,インド側でサイト開発作業の日本側担当として従事.2001年5月より,マナス・ジャパン有限会社(マナス・ソリューションズの子会社)を設立し,取締役社長に就任.インドと日本の間の“かけはし”となって,両国の関係を深めるように頑張っていきたい.

 

 

パネリスト:坂本 史郎(いいじゃんネット)
1986年早稲田大学理工学部卒業.1986年東レ(株)入社 ケブラー事業部.1995年バージニア大学経営学院修了.1995年東レ・デュポン(株)ケブラー事業部.2000年東レ(株)経営企画室.2000年(株)いいじゃんネット設立.代表取締役.
(株)いいじゃんネットは,携帯電話で社内データを安全に閲覧できるカチャットサーバーの開発を行い,セキュリティとモバイルをキーワードに販売を拡大している.

 

脳科学と情報科学はどう融合していくのか

9月8日(木)9:00-12:00[第1イベント会場(5号館5階 5534教室)]

 
 

[全体概要]
20世紀前半は物理学が主導した世紀といえたが,後半は生命科学と情報科学の時代となり,この勢いは21世紀にながれ込んだ.脳は生物の情報機能を担っているが,人間にあっては,記憶,言語,意識など,高次の精神機能がここに生じている.これに挑むには,情報科学の方法が必要である.一方,情報科学はコンピュータの発展とともに高度化したが,インターネットやマルチメディアを通じて新しい社会文明をもたらした.これにつれて,より直接的に人間に接する技術となり,いまや人間をも含めた情報システムが議論されなければならない.これには,人の脳に学ぶ情報技術が要求される.脳科学と情報の科学技術はどのように交流し,新しい融合分野を築いていくのか,未来に向けてその展望を行ってみたい.

 
 

司会:甘利 俊一(理化学研)
1963年東大院(博士)終了,九大助教授,東大助教授,教授を経て,現在同名誉教授.理化学研究所脳科学総合研究センターセンター長.数理工学と理論脳科学を専攻し,情報幾何学を脳に応用している.日本学士院賞,IEEE Piore 賞,C&C賞など受賞多数.国際神経回路学会会長,電子情報通信学会会長などを歴任.

 
●講演1:21世紀の脳科学[9:00 - 9:10]
 

甘利 俊一(理化学研)
1963年東大院(博士)終了,九大助教授,東大助教授,教授を経て,現在同名誉教授.理化学研究所脳科学総合研究センターセンター長.数理工学と理論脳科学を専攻し,情報幾何学を脳に応用している.日本学士院賞,IEEE Piore 賞,C&C賞など受賞多数.国際神経回路学会会長,電子情報通信学会会長などを歴任.

 

[講演概要]
脳は,ニューロンという生物学的な材料をもとにこれを結合して大規模なネットワークを形成し,この上に情報を表現し,また独自の並列アルゴリズムで情報を処理している.さらに学習と自己組織がこれに加わる.脳を解明するには,情報科学と生命科学の融合が必要である.21世紀の脳科学は,人間の解明を目指し,いろいろなレベルで情報科学と生命科学を融合させ,新しい学際科学を作っていくだろう.

 
●講演2:計算論的神経科学[9:10 - 9:45]
 

深井 朋樹(理化学研)
1985年早稲田大学大学院物理学及び応用物理学専攻において博士課程修了,理学博士号を取得.そのときの専門は素粒子モデルと場の理論.
タタ基礎科学研究所,東海大学工学部,玉川大学工学部などを経て,現在は理化学研究所脳科学総合センター脳回路機能理論チーム チームリーダ.計算論的神経科学研究グループ グループディレクターを兼務.

 

[講演概要]
感覚認知,記憶や学習,運動制御などの分野において,現在までにさまざまなタイプの工学的な神経回路モデルや,学習・計算理論が提案され,それなりに成功を納めてきた.しかしながら脳と同等あるいはそれ以上の情報処理能力をもつ脳型計算機を開発できたかと問われれば,それはまだ先のことであると答えざるを得ない.現状の脳の理解において著しく欠けているものに,ニューロン等の構成要素の研究と,もっとマクロな脳の領野ごとの計算機能を解明する研究の中間に位置する,局所神経回路の機能的理解がある.工学的計算理論が脳の情報処理の大筋をとらえていたとしても,実際の脳では,その計算理論を実装するブレインウェアが非常に優れているために,高い処理能力が創出されているように思える.そこで,複雑に張り巡らされた脳の神経回路に関して,近年の脳研究によって解明されたことや,そのような神経回路をモデル化することで明らかになってきたことなどを紹介しながら,脳科学と情報科学の融合に向けて,計算論的神経科学で何ができるかということを,考えてみたい.

 
●講演3:知識発達ロボティクスによる心と脳の理解に向けて[9:45 - 10:20]
 

浅田 稔(阪大)
1977年大阪大学基礎工学部制御工学科卒業.1982年大阪大学大学院基礎工学研究科後期課程修了.同年大阪大学基礎工学部助手.1989年大阪大学工学部助教授.1995年同教授.1997年大阪大学大学院工学研究科知能・機能創成工学専攻教授.工学博士(大阪大学)となり現在に至る.この間,1986年から1年間米国メリーランド大学客員研究員.知能ロボットの研究に従事.1989年情報処理学会研究賞,1992年 IEEE/RSJ IROS'92 Best Paper Award,1996年 日本ロボット学会論文賞,1998年 人工知能学会研究奨励賞,1999年 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門貢献賞,2001年 文部科学大臣賞・科学技術普及啓発功績者賞,2001年日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門賞:学術業績賞,2004年人工知能学会研究会優秀賞それぞれ受賞.博士(工学).
1990年代初頭からロボカップの活動を開始し,1996年秋,知能ロボットとシステムに関する国際会議で実行委員長を勤める傍ら,プレロボカップ96を開催し,実機デモとシミュレーションリーグの試合を実施.その後1997年人工知能国際会議で第1回ロボカップ国際大会を開催,阪大チームを優勝に導く.2002年福岡での第6回大会では,総括実行委員長をつとめ,世界30カ国から約200チーム,1000人の競技参加者,12万人の市民がロボカップを観戦した.日本ロボット学会(元理事),電子情報通信学会,情報処理学会,人工知能学会,日本機械学会(2003年4月からフェロー),計測自動制御学会,システム制御情報学会,日本赤ちゃん学会(理事),IEEE (fellow since 2005) R&A, CS, SMC societiesなどの会員.NPOロボカップ日本委員会理事,ロボカップ国際委員会プレジデント.

 

[講演概要]
ヒトの心と脳を理解する研究は,融合的な学問分野であり,生理学,神経科学を基盤とするミクロスコピックなアプローチ,心理学,社会学,認知科学を基盤とするマクロスコピックなアプローチに加え,ロボットなどの人工物の設計・作動による構成的アプローチが考えられる.構成的アプローチが,ヒトの心と脳の理解に,どのような貢献が可能であるか,いまだ手探り状態であるが,本講演では,その可能性について議論する.我々が推進している「認知発達ロボティクス」では,理解の対象となるヒトの発達モデルを人工物の中に埋め込み,環境のなかで作動させ,その挙動から,発達モデルの新たな理解を目指すものである.最初に発達の様相を構成的視点から眺め,認知発達ロボティクスの幾つかの具体例とそれぞれについての討論を通じて,認知発達ロボティクスの方向性を明らかにする.最後に,今後の課題を示してまとめる.

 
●講演4:脳科学,情報科学と物理学[10:20 - 10:55]
 

岡田 真人(東大)
1985年阪市大・理・物理卒.1987年阪大院・理・物理博士前記課程修了,同年三菱電機入社.1991年阪大院・基礎工・生物工学分野博士課程中退.同年阪大・基礎工助手.1996年科技団川人プロジェクト研究員.2001年理研副チームリーダー.2002〜2005年(独)科技機構さきがけ研究員,2004年東大院・新領域・教授.1993年度日本神経回路学会研究賞.1997年度(社)計測自動制御学会生体・生理工学部会 研究奨励賞受賞他受賞.

 

[講演概要]
物理学と脳科学,情報科学とのまじわりを語るとき,Hopfieldの名前を無視することはできない.彼の影響を受けた多くの物理学者は脳科学に参入し,現在その分野で確固たる地位を築いている.Hopfieldモデルは記憶や認知の素過程がアトラクターによって担われているという仮説を生み,その仮説は高次視覚野や記憶を司る海馬で実証されつつある.その一例として,側頭葉の顔反応細胞に関する知見を紹介する.もうひとつの流れは確率的情報処理への情報統計力学的アプローチである.ベイズ統計と統計力学の数理的な類似性に基づき,統計力学的手法が確率推論,機械学習に適応され,成功を収めている.Hopfieldモデルを出発点に情報統計力学が最も成功した誤り訂正符号と移動体通信技術であるCDMAを紹介する.これらの実例をもとに,未来に向けて物理学が脳科学と情報の科学技術の交流の要となりうるかを議論してみたい.

 
●講演5:人工知能と機械学習の立場から[10:55 - 11:30]
 

麻生 英樹(産総研)
1981年東京大学工学部計数工学科卒業.1983年同大学院工学系研究科情報工学専攻修士課程修了.同年通商産業省工業技術院電子技術総合研究所入所.1993年から1994年ドイツ国立情報処理研究センター客員研究員.2001年組織改編により独立行政法人産業技術総合研究所に転任.現在,独立行政法人産業技術総合研究所情報技術研究部門主任研究員.学習能力を持つ知的情報処理システムの研究に従事.電子情報通信学会,人工知能学会,日本神経回路学会,行動計量学会,各会員.

 

[講演概要]
本講演では,機械学習研究を通して,人間の情報処理と機械の情報処理の関係,脳科学と情報科学の交流について考察する.「学習」は,複雑で多様な環境で知的な情報処理を実現するためのプロセスであり,脳にとってもコンピュータにとっても本質的に重要である.機械学習の研究は動物や人間の学習,帰納的推論を模倣することから始まった.統計的な機械学習の研究では,その問題を,観測データと事前知識(ヒューリスティクス,バイアス)を用いた仮説探索として定式化した.統計的な学習の最大の成果のひとつである各種パターン認識技術は,ネットワーク上のデータ量の急激な増加にも支えられて成熟してきており,その先への展望が模索されている.一つの方向は,より人間の学習に近づけるという方向であり,もう一つの方向は,人間には扱えない大規模のデータから学習するという方向である.それぞれの方向において,脳科学と情報科学の相互交流がどのように進むのかを考えてみたい.

 
●パネル討論:脳科学と情報科学はどう融合していくのか[11:30 - 12:00]
 

[討論概要]
脳科学と情報科学の統合に向けて,何をなすべきかを論じたい.
特に,新しい情報科学としての数理脳科学が必要であることを論ずる.

 
 

司会:甘利 俊一(理化学研)
1963年東大院(博士)終了,九大助教授,東大助教授,教授を経て,現在同名誉教授.理化学研究所脳科学総合研究センターセンター長.数理工学と理論脳科学を専攻し,情報幾何学を脳に応用している.日本学士院賞,IEEE Piore 賞,C&C賞など受賞多数.国際神経回路学会会長,電子情報通信学会会長などを歴任.

 
 

パネリスト:浅田 稔(阪大)
1977年大阪大学基礎工学部制御工学科卒業.1982年大阪大学大学院基礎工学研究科後期課程修了.同年大阪大学基礎工学部助手.1989年大阪大学工学部助教授.1995年同教授.1997年大阪大学大学院工学研究科知能・機能創成工学専攻教授.工学博士(大阪大学)となり現在に至る.この間,1986年から1年間米国メリーランド大学客員研究員.知能ロボットの研究に従事.1989年情報処理学会研究賞,1992年 IEEE/RSJ IROS'92 Best Paper Award,1996年 日本ロボット学会論文賞,1998年 人工知能学会研究奨励賞,1999年 日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門貢献賞,2001年 文部科学大臣賞・科学技術普及啓発功績者賞,2001年日本機械学会ロボティクス・メカトロニクス部門賞:学術業績賞,2004年人工知能学会研究会優秀賞それぞれ受賞.博士(工学).
1990年代初頭からロボカップの活動を開始し,1996年秋,知能ロボットとシステムに関する国際会議で実行委員長を勤める傍ら,プレロボカップ96を開催し,実機デモとシミュレーションリーグの試合を実施.その後1997年人工知能国際会議で第1回ロボカップ国際大会を開催,阪大チームを優勝に導く.2002年福岡での第6回大会では,総括実行委員長をつとめ,世界30カ国から約200チーム,1000人の競技参加者,12万人の市民がロボカップを観戦した.日本ロボット学会(元理事),電子情報通信学会,情報処理学会,人工知能学会,日本機械学会(2003年4月からフェロー),計測自動制御学会,システム制御情報学会,日本赤ちゃん学会(理事),IEEE (fellow since 2005) R&A, CS, SMC societiesなどの会員.NPOロボカップ日本委員会理事,ロボカップ国際委員会プレジデント.

 
 

パネリスト:麻生 英樹(産総研)
1981年東京大学工学部計数工学科卒業.1983年同大学院工学系研究科情報工学専攻修士課程修了.同年通商産業省工業技術院電子技術総合研究所入所.1993年から1994年ドイツ国立情報処理研究センター客員研究員.2001年組織改編により独立行政法人産業技術総合研究所に転任.現在,独立行政法人産業技術総合研究所情報技術研究部門主任研究員.学習能力を持つ知的情報処理システムの研究に従事.電子情報通信学会,人工知能学会,日本神経回路学会,行動計量学会,各会員.

 
 

パネリスト:岡田 真人(東大)
1985年阪市大・理・物理卒.1987年阪大院・理・物理博士前記課程修了,同年三菱電機入社.1991年阪大院・基礎工・生物工学分野博士課程中退.同年阪大・基礎工助手.1996年科技団川人プロジェクト研究員.2001年理研副チームリーダー.2002〜2005年(独)科技機構さきがけ研究員,2004年東大院・新領域・教授.1993年度日本神経回路学会研究賞.1997年度(社)計測自動制御学会生体・生理工学部会 研究奨励賞受賞他受賞.

 
 

パネリスト:深井 朋樹(理化学研)
1985年早稲田大学大学院物理学及び応用物理学専攻において博士課程修了,理学博士号を取得.そのときの専門は素粒子モデルと場の理論.
タタ基礎科学研究所,東海大学工学部,玉川大学工学部などを経て,現在は理化学研究所脳科学総合センター脳回路機能理論チーム チームリーダ.計算論的神経科学研究グループ グループディレクターを兼務.

 

国家的課題としての情報セキュリティ人材育成

9月9日(金)9:00-16:00[第1イベント会場(5号館5階 5534教室)]

 
 

[全体概要]
情報セキュリティは自然科学分野のみならず社会科学としても重要な課題であり,かつ,研究成果の速やかなる社会への反映が求められている.このためには,技術の発展はもちろんのこと,それに携わる人材育成も急務であり,各地でさまざまな取り組みがなされている.本シンポジウムでは,我が国における情報セキュリティ分野の人材育成の現状と近未来もにらんだ対応を紹介し,進むべき道を探る.

 
 

司会:牧野 光則(中大)
1987年早稲田大・理工・電子通信卒.1992年早稲田大院修了,博士(工学).1991〜1992年早稲田大・助手,1992年〜中央大勤務.現在中央大学理工学部情報工学科教授.2003〜2004年イリノイ大学シカゴ校訪問研究員.コンピュータグラフィックス,可視化,非線形システム解析に関する研究に従事.中央大学21世紀COEプログラム「電子社会の信頼性と情報セキュリティ」事業推進担当者.現在,電子情報通信学会認定企画委員会幹事,日本技術者教育認定機構(JABEE)基準委員会幹事長.

 
●開会挨拶[9:00 - 9:15]
 

篠田 庄司(中大)
工学博士,IEEEフェロー,電子情報通信学会フェロー.現職:中央大学教授(理工学部電気電子情報通信工学科).
最終学歴:1973年3月,中央大学大学院理工学研究科電気工学専攻修了(工学博士).
研究活動:主に,フロー・テンションネットワーク,電気回路,セルラーモバイルコミュニケーションネットワーク,マルチホップ無線ネットワーク等に対するグラフ・ネットワーク理論的研究(論文多数)
学会等活動:現在,電子情報通信学会の理事・編集長,認定企画実施委員会(APC; Accreditation Policy Council)委員長ならびに「技術と歴史の研究会」委員長,日本技術者教育認定機構(JABEE)理事他.
著書:演習グラフ理論(共著,1983年,コロナ社),回路論入門(巻1,2:1996年,コロナ社),線形代数学(1997年,コロナ社)ほか数冊.
受賞:David Sarnoff RCA Scholarships受賞(1962,1963年度),中央大学総長賞(1964年),電子情報通信学会論文賞(1992,1997,1998年度),1995 IEEE International Conference on Neural Networks and Signal Processing からBest Paper Award (1996年),中央大学学術奨励賞(1997,1998,1999,2001,2002年),IEEE Third Millennium Medal(2000年),電子情報通信学会業績賞(2005年度).

 
●主題解説―情報セキュリティ人材育成は国家的課題[9:15 - 9:45]
 

辻井 重男(情報セキュリティ大)
1958年東京工業大学工学部電気工学コース卒業.情報セキュリティ大学院大学学長,中央大学研究開発機構教授,東京工業大学名誉教授.工学博士.電子情報通信学会会長,総務省電波監理審議会会長等歴任.現在,日本学術会議会員.電子情報通信学会論文賞,業績賞,功労賞等受賞.IEEE Fellow,第三千年紀記念賞受賞.総務省「電波の日」総務大臣表彰(2003年度).日本放送協会「第55回放送文化賞」(2003年度)受賞.著書「暗号−ポストモダンの情報セキュリティ」(講談社メチエ選書),「暗号と情報社会」(文藝春秋社),「電子社会のパラダイム」(新世社)等.

 

[講演概要]
本シンポジウムの主題である「国家的課題としての情報セキュリティ人材育成」の緊急性について解説する.
情報セキュリティは,技術,組織運営,法制度,情報倫理などを強く連結させる総合的対策であり,各企業や自治体などにおいて,技術面,制度面等を合わせて総合的に理解しつつ,経営的視点から情報セキュリティを総括できるCISO(Chief Information Security Officer)の育成が緊急の課題となっている.
また,アクティブシニアの2007年問題とCISO人材不足の連動的解決や,国際的に見て極端に遅れている女性の社会進出,特に情報分野における適応的活躍について述べる.

 
●パネル討論:情報セキュリティ人材育成の現場から[9:50 - 11:50]
 

[討論概要]
「e-Japan戦略」に伴い,ブロードバンド(高速大容量)通信や携帯電話など日本の情報通信インフラは急速な発展を遂げたが,一方でウィルス攻撃や情報流出など新たな社会問題も起きている.こうした問題を防ぐにはシステム上の安全対策がまず必要だが,背景には情報の持ち出しなど人的要素が大きく関係しているだけに,教育面からの解決手段も不可欠である.
本パネル討論会では,情報セキュリティ分野の教育に携わる第一線の学者をパネリストに迎え,日本が現在遭遇している問題点やその原因などを議論し,人材育成の観点からあるべき情報セキュリティ教育の姿を展望する.特に技術者教育だけでなく,CIO(情報統括責任者)やCISO(情報セキュリティ責任者)の育成など,経営者や管理職を対象にした情報セキュリティ教育のあり方などについても議論する.

 

 

司会:関口 和一(日本経済新聞社)
1982年一橋大学法学部卒,日本経済新聞社入社.1988年フルブライト研究員として米ハーバード大学に留学.1989年英文日経キャップ,1990〜1994年ワシントン支局特派員.電機担当キャップ,日経産業新聞「サイバースペース革命」企画キャップを経て,1996年より産業部編集委員.2000年から論説委員を兼ね,主に情報通信分野を担当.文化庁文化審議会(著作権)委員,早稲田大学,明治大学の非常勤講師を兼務.著書に「パソコン革命の旗手たち」(日本経済新聞社)など.

 

 

パネリスト:武田 圭史(カーネギーメロン大)
1992年防衛大学校理工学専攻卒業.2001年慶應義塾大学政策・メディア研究科後期博士課程修了.博士(政策・メディア).1992年 防衛庁航空自衛隊勤務.2002年アクセンチュア株式会社勤務.2004年カーネギーメロン大学情報ネットワーク研究所客員教員.2005年カーネギーメロン大学大学院情報セキュリティ研究科(日本校)教授.

 

 

パネリスト:土居 範久(中大)
1969年慶應義塾大学大学院博士課程単位取得退学.慶應義塾大学理工学部教授を経て,2003年より中央大学理工学部教授,慶應義塾大学名誉教授.工学博士.現在,文部科学省科学技術・学術審議会委員,総務省情報通信審議会委員,科学技術振興機構(JST)社会技術研究開発センターミッションプログラムII「高度情報社会の脆弱性の解明と解決」研究統括,特定非営利活動法人日本セキュリティ監査協会会長,国際計算機学会(ACM)日本支部長,など.専門はソフトウェアを中心とした計算機科学および情報セキュリティ.情報処理学会名誉会員.

 

 

パネリスト:林 紘一郎(情報セキュリティ大)
情報セキュリティ大学院大学副学長・教授.元NTTアメリカ社長.経済学博士,博士(法学).専門は,技術標準や知的財産,メディアのあり方などをめぐる法と経済学,インターネットの自由と規律,セキュリティ法など.著書に『ネットワーキングの経済学』(NTT出版),『ユニバーサル・サービス』(共著;中公新書),『電子情報通信産業』(電子情報通信学会),『著作権の法と経済学』(編著,勁草書房),『情報メディア法』(東京大学出版会),など.

 

 

パネリスト:村岡 洋一(早大)
早稲田大学副総長,理工学部教授,COE「プロダクティブICTアカデミアプログラム」拠点リーダー.
1965年早稲田大学理工学部卒業,1971年アメリカイリノイ大学 電子計算機学科博士課程修了(Ph.D.).
同大学 Visiting Research Associate,日本電信電話公社(現NTT)電気通信研究所などを経て,1985年より早稲田大学理工学部教授,2002年11月より早稲田大学副総長.

 

 

パネリスト:安田 浩(東大)
1967年東京大学工学部電子科卒業,1972年同大学院博士課程修了.同年4月日本電信電話公社入社.NTT理事・情報通信研究所所長を経て,1997年3月退社.NTT在職中は,画像符号化,画像信号処理,マルチメディアサービスに関わる研究・開発に従事.
1997年4月東京大学教授,先端科学技術研究センター所属.1998年4月より同大学教授,国際・産学共同研究センター所属.2003年4月〜2005年3月国際・産学共同研究センター長就任.高速通信網およびその応用,インターネットおよびその応用,画像処理・画像符号化・知的財産権保護技術の研究ならびに感性工学研究に取組中.

 
●講演:情報技術と人材育成[12:40 - 13:20]
 

丸山 剛司(文部科学省)
1975年東京工業大学大学院電子工学科(工学修士)1981年ハーバード大学ケネディ行政大学院(公共政策修士),1975年科学技術庁.1991年宇宙国際課長,その後,原子力,宇宙開発行政,科学技術政策などに携わり,2000年科学技術政策局政策課長,2001年文部科学省大臣官房政策課長,2002年文化庁審議官,2005年大臣官房総括審議官などを経て,2005年7月より科学技術・学術政策局長.

 

[講演概要]
政府は,科学技術基本計画,e-Japan戦略などに沿った情報通信技術の振興を図ると同時に,高度情報化社会を支える人材の育成に関し様々な施策を推進している.文部科学省では,教育と科学技術の有機的連携の下に,初等中等教育段階から大学院に至るまで総合的かつきめ細かい人材育成の施策を講じている.また,科学技術基本計画において重点分野とされている情報科学技術については地球シミュレータの運用,次世代機の開発,また産業への利用を含む広範な活用をハード,ソフトの両面から施策を推進している.このような情報技術と人材育成の取り組みについてその狙い,概要を述べる.とりわけ産業界からも要望の強い産学官による高度な情報通信技術人材の育成強化についての現状や今後の取り組みの強化について具体的に述べる.

 
●記念講演:日本国際賞を受賞して[13:20 - 14:00]
 

長尾 真(NICT)
1936年10月4日生.1959年京都大学工学部卒.1966年京都大学工学博士.1961年京都大学工学部助手.1967年京都大学工学部講師.1968年京都大学工学部助教授.1969年フランス・グルノーブル大学客員助教授(1970年10月帰国)1973年京都大学工学部教授.1986年京都大学大型計算機センター長(1990年まで).1992年京都大学評議員(1994年まで).1995年京都大学附属図書館館長(1997年まで).1995年京都大学評議員(1997年まで).1996年京都大学総長特別補佐(1997年まで).1996年京都大学大学院工学研究科教授.1997年京都大学大学院工学研究科長・工学部長.1997年京都大学総長(2003年まで).2001年国立大学協会会長(2003年まで).2004年独立行政法人情報通信研究機構理事長.1997年紫綬褒章,2005年日本国際賞受賞.
情報工学を専門分野とし,文字認識,画像処理の研究に従事し,世界的な業績を挙げる.日・英語の自動翻訳の研究を中心とする自然言語の研究に従事し,機械翻訳技術の分野で世界をリードする.それらの業績により,国内外の関連学会の会長を歴任している.さらに,京都大学の学内要職に就き,総長を満期2期務める他,国立大学法人法策定過程における国立大学協会会長として同協会の運営を行うなど,組織マネージメントにも多大な業績を挙げる.

 

[講演概要]
私がコンピュータを使って人の顔や航空写真の解析・認識の研究をしたり,言葉の解析や自動翻訳の研究を行いましたのは,子供の頃から人間の心,頭脳の働きに不思議を感じ,興味を持っていたからと存じます.人はよく誤まったり,試行錯誤をしますし,過去の経験から多くを学びます.コンピュータに画像を認識させ,言語の翻訳をさせようとすれば,人間の行っているこのような機能をコンピュータで実現しなければならないと考えました.今日画像の認識や機械翻訳,言語情報処理はいろんな形で実現されるようになってきておりますが,子供の頃の夢が実現されつつあることを実感いたします.

 
●パネル討論:情報分野における女性の活躍[14:10 - 15:55]
 

[討論概要]
我々が生きる21世紀は,科学技術の将来にとって女性の積極的関与が鍵を握る時代となる.先進諸国では,すでに女性の人材開発に力が注がれてきているが,我が国では少子高齢化など切迫する事態からようやく1999年に「男女共同参画社会基本法」が制定され,内閣府に男女共同参画局が設置された.
しかしながら,研究者全体に占める女性の割合は依然として11.6%(96,000人,2004年度)と国際的にも低い水準にあり,十分に女性の能力が発揮できる環境が整っているとはいえない.さらに,男女ともに若年層の理工系離れが進む中で,情報は物理と共に女性比率が伸び悩む分野の一つである.創造的かつ調和の取れた社会形成のために,多様性の確保は不可欠であり,そのためにも情報分野で活躍する女性研究者の姿をロールモデルとして発信することは重要な支援策となろう.
パネル討論では,産業界・大学に所属され,活躍されている女性研究者を迎えて,女子の情報分野へのチャレンジ支援,技術者・研究者の生活スタイル,能力発揮・人材育成に必要な事柄などについて討論していただく予定である.

 

 

司会:小舘 香椎子(日本女子大)
1963年日本女子大学家政学部卒業,1966年東京大学工学部電子工学科助手,1988年日本女子大学教授,1992年より同大学理学部教授,2001年4月から4年間同大学院理学研究科委員長.工学博士(東京大学).応用物理学会理事・評議員,電子情報通信学会評議員,男女共同参画学協会連絡会初代委員長,電波監理審議会委員(総務省),総合科学技術会議専門委員(内閣府).専門分野:情報フォトニクス

 

 

パネリスト:今井 桂子(中大)
1976年東京都立三田高等学校卒業.1980年津田塾大学学芸学部数学科卒業.1982年津田塾大学大学院理学研究科数学専攻博士課程前期課程修了.1985年津田塾大学大学院理学研究科数学専攻博士課程後期課程単位取得退学.理学博士(津田塾大学)
1985年〜1988年東京大学工学部計数工学科教務職員.1988年〜1988年東京大学工学部計数工学科助手.1988年〜1990年九州工業大学情報科学センター助手.1990年〜1992年津田塾大学数学科研究助手.
1992年〜1999年中央大学理工学部情報工学科助教授.1999年〜中央大学理工学部情報工学科教授(現在に至る).

 

 

パネリスト:土井 美和子(東芝)
1979年東京大学工学系修士課程修了.同年東京芝浦電気株式会社(現(株)東芝)総合研究所(現研究開発センター)入所.以来,「ヒューマンインタフェース」を専門分野とし,日本語ワープロ,機械翻訳,電子出版,CG,VR,ジェスチャインタフェース,道案内サービス,ウェアラブルコンピュータ,モバイルEC,ネットワークロボットの研究開発に従事.現在,総務省情報通信審議会委員,文部科学省科学技術・学術審議会専門委員(学術分科会,研究計画・評価分科会),NHK放送技術審議会委員,情報処理学会理事,電子情報通信学会理事,慶応義塾大学非常勤講師などを務める.
全国発明表彰発明賞,電子情報通信学会,情報処理学会,ヒューマンインタフェース学会,ACM,IEEE各会員.博士(工学).

 

 

パネリスト:藤本 正代(富士ゼロックス)
情報セキュリティ大学院大学講師,中央大学研究開発機構客員研究員,富士ゼロックス(株)ビジネスイノベーション事業部シニアマネージャー.マサチューセッツ工科大学科学技術政策大学院修士課程修了.東京工業大学社会理工学部経営工学専攻博士課程修了(工学博士).警察庁 ITS技術の安全性に関する調査研究委員会委員,日本能率協会セキュリティ技術シンポジウム企画委員会委員を歴任.情報セキュリティガバナンス,セキュリティマネジメントなど,経営とセキュリティ・リスクに関する研究に従事.

 

 

パネリスト:盛合 志帆(ソニーCE)
1993年京都大学工学部情報工学科卒,同年 日本電信電話株式会社入社.
2003年(株)ソニー・コンピュータエンタテインメントリサーチサイエンティスト.博士(工学).AES候補暗号E2の設計,国際標準暗号Camellia の設計・安全性評価・国際標準化活動,PlayStationプラットフォームのセキュリティメカニズムの設計・開発などに従事.暗号理論,暗号技術の設計と解析,システムセキュリティなどに興味を持つ.
1996年暗号と情報セキュリティシンポジウム論文賞,1997年電子情報通信学会1996年度学術奨励賞,各受賞.CRYPTREC暗号技術調査WG委員.電子情報通信学会,情報処理学会,IACR各会員.

 

海外への情報発信の方法論 -研究成果を世界へ広めよう-

9月7日(水)10:30-12:00[第2イベント会場(5号館3階 5333教室)]

 
 

金谷 健一(岡山大)
1972年東京大学工学部計数工学科(数理工学)卒業.1979年同大大学院博士課程修了.工学博士.群馬大学工学部情報工学科教授を経て,現在,岡山大学大学院自然科学研究科教授.IEEEフェロー.情報処理学会論文賞(1987年),電気通信普及財団賞(1999年),船井情報科学振興賞(2005年),電子情報通信学会論文賞(2005年)受賞.
著書Statistical Optimization for Geometric Computation, Elsevier, 1996他,洋書3冊,和書6冊.

 

[講演概要]
研究はその成果が多くの研究者に認知されて初めて価値を持つ.その意味で,国際論文誌や国際会議などを通じて研究成果を世界に発信することがますます重要性を増す.そして,そのために国際的な舞台で成果を発信する力が要求される.しかし,日本人研究者は従来から国内で日本語で研究発表を行う機会が多数用意されているためか,有力な国際誌や国際会議への投稿がその潜在的な能力に比べてまだまだ少ない.英語の苦手意識による心理的な障壁もある.本講演では,これからの日本人研究者が世界に向けて積極的に成果を発信してゆくための方法論を,講演者の体験を交えて具体的に提示する.具体的には.まず研究というものの考え方を述べ,論文が不採録になった場合の対処法や査読に通りやすい論文の書き方,査読者への研究の意義を訴える方法,投稿する会議や論文誌や選び方,英語の上達への道,研究者の心構え,Webの活用法などについて講演者のアドバイスを与える.

 

最先端医用イメージング技術

9月7日(水)13:00-16:30[第2イベント会場(5号館3階 5333教室)]

 
 

[全体概要]
今日,医用イメージングの技術進歩は日進月歩の状況である.ここでは,「最新の画像再構成問題」,「最新のMRイメージング」,「最新のPETイメージング」について世界的な業績がある3名の講師をお招きして,各講師のチュートリアル講演ならびに合同のパネル討論を開催して最先端イメージング技術について理解を深めるとともに今後の動向について議論する.

 
●講演1:最先端画像再構成[13:00 - 14:00]
 

工藤 博幸(筑波大)
1990年,東北大学大学院博士課程工学研究科電気及通信工学専攻修了.同年,同大工学部助手.1992年,筑波大学電子情報工学系講師.1995年,同助教授.2005年,筑波大学大学院システム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻助教授.現在に至る.CTを中心とする医用イメージング,画像処理,コンピュータビジョン,逆問題の数値解法,などの研究に従事.1990年電子情報通信学会論文賞,1991年医用画像工学会論文賞,2001年医用画像工学会論文賞,各受賞.

 

[講演概要]
画像再構成はCTをはじめとする医用イメージングの根本となる重要な技術であるが,日本は欧米に著しく遅れをとっている分野である.本講演では,画像再構成における最近の進歩や動向を我々のグループの研究を含めて解説する.具体的には,(1)二次元画像再構成における最近の進歩,(2)逐次近似画像再構成,(3)コーンビーム画像再構成,の3つの主テーマについて解説する.難しい数式はあまり使用せずに,最近の研究によってこれまで不可能または困難と思われていた何が可能になったかが分かるように説明する予定である.また,この分野の知識が浅い技術者にも興味が持ってもらえるように工夫する予定である.

 
●講演2:最先端PETイメージング[14:00 - 15:00]
 

村山 秀雄(放射線医学総研)
1971年に埼玉大学理工学部物理学科卒業後,大阪大学大学院理学研究科修士課程において原子核実験物理学を専攻.企業において放射線取扱主任者業務を経験した後の1976年に放射線医学総合研究所物理研究部に入所.核医学イメージングのための計測およびデータ処理に関する研究に従事し,1982年にRIイメージング用シンチレーション検出器系の基礎的研究により工学博士(大阪大学)授与.2001年に同所医学物理部診断システム開発室長となり現在に至る.

 

[講演概要]
陽電子放出断層撮像法(PET)は,生体内組織の形態学的異常に先立つ代謝異常を,生体まるごとの体外計測により高精度に検出できる新しい検査法である.標的となる分子に放射性同位元素を標識して,その標識分子を生体内に探索子(トレーサ)として投与する.放射性同位元素の壊変により発生する高エネルギー放射線が体を突き抜ける現象を利用して,体内に分布するトレーサの位置を知ることができる.さらに,生体活動を制御する微量物質やタンパク質によって標識分子が生化学的な変化を受ける様子が,トレーサ濃度分布の時間的変化を解析することで認知できる.本講演では,電子の反粒子である陽電子を元に透過性の高い1対の放射線が発生することを利用し,生体に影響を与えることなく生体内極微量物質の分子生物学的活動を可視化するPET装置の計測原理について簡単に説明し,トレーサ技術と放射線計測技術,ならびに情報処理技術を組み合わせたPET特有の方法論についても紹介する.

 
●講演3:最先端MRイメージング[15:00 - 16:00]
 

本間 一弘(産総研)
1953年生まれ.1976年工学院大学工学部電気工学科卒業.1978年同大学大学院修士課程修了.現在は独立行政法人産業技術総合研究所から独立行政法人医薬品医療機器総合機構へ出向中.東京大学医学部,茨城県立医療大学などの非常勤講師.専門は医用画像工学(画像再構成,画像処理,画像表示),MRI技術.電子通信情報学会,日本医用画像工学会,日本磁気共鳴医学会,日本医学放射線学会などの会員.

 

[講演概要]
NMR(核磁気共鳴)を原理とするMRI(磁気共鳴イメージング,Magnetic Resonance Imaging)は水素(1H),リン(31P),ナトリウム(23Na)などの元素の生体を含む物質内の密度,化学的な結合状態,時間的および空間的な変化など2次元断面像あるいは3次元画像として描画する.2003年には5600台(国内の医療施設)を超える装置が駆動し,疾患の画像診断および画像誘導下での治療に利用されている.
近年の研究開発は,高感度化および高速化に重点が置かれている.高感度化のためには磁場強度の増大,検出系の高感度化,超偏局磁気共鳴技術などの開発が,他方,高速化のためには,並列データ収集,画像再構成法などの開発が進められている.
今回は,現状におけるこれらのMRI技術を解説し,今後を展望する.

 
●総合討論[16:00 - 16:30]
   

司会:仁木 登(徳島大)

 
 

パネリスト:工藤 博幸(筑波大)
1990年,東北大学大学院博士課程工学研究科電気及通信工学専攻修了.同年,同大工学部助手.1992年,筑波大学電子情報工学系講師.1995年,同助教授.2005年,筑波大学大学院システム情報工学研究科コンピュータサイエンス専攻助教授.現在に至る.CTを中心とする医用イメージング,画像処理,コンピュータビジョン,逆問題の数値解法,などの研究に従事.1990年電子情報通信学会論文賞,1991年医用画像工学会論文賞,2001年医用画像工学会論文賞,各受賞.

 
 

パネリスト:本間 一弘(産総研)
1953年生まれ.1976年工学院大学工学部電気工学科卒業.1978年同大学大学院修士課程修了.現在は独立行政法人産業技術総合研究所から独立行政法人医薬品医療機器総合機構へ出向中.東京大学医学部,茨城県立医療大学などの非常勤講師.専門は医用画像工学(画像再構成,画像処理,画像表示),MRI技術.電子通信情報学会,日本医用画像工学会,日本磁気共鳴医学会,日本医学放射線学会などの会員.

 
 

パネリスト:村山 秀雄(放射線医学総研)
1971年に埼玉大学理工学部物理学科卒業後,大阪大学大学院理学研究科修士課程において原子核実験物理学を専攻.企業において放射線取扱主任者業務を経験した後の1976年に放射線医学総合研究所物理研究部に入所.核医学イメージングのための計測およびデータ処理に関する研究に従事し,1982年にRIイメージング用シンチレーション検出器系の基礎的研究により工学博士(大阪大学)授与.2001年に同所医学物理部診断システム開発室長となり現在に至る.

 

ITベンチャーが拓く新しい未来・社会

9月8日(木)10:00-12:00[第2イベント会場(5号館3階 5333教室)]

 
 

[全体概要]
ベンチャー企業とは,独自の技術やアイディアによって,リスクを恐れずに新しい領域にチャレンジする企業です.ベンチャー企業がもたらす経済面での貢献は計り知れないと言われており,今日までの歴史を見ても,新規産業や雇用の創出のみならず,新しい社会をデザインしてきたのは常にベンチャー企業でした.特に,情報技術(IT)や,バイオテクノロジ,ナノテクノロジなどの研究成果を用いた,大学や研究所からの”スピンアウト起業”に期待が集まっています.こうした背景から,FIT2005の参加者にも,その研究成果を活かしたベンチャー企業や新規産業創出が大いに期待されています.
本企画「パネルディスカション:ITベンチャーが拓く新しい未来・社会」では,特にIT産業におけるベンチャー起業家として成功した方およびITベンチャーに関する専門家をお招きして,交流の場を設けます.FIT2005参加の研究者との積極的なディスカションの場を設けることで,研究者によるベンチャー企業の意義についても議論します.

 
 

司会:武藤 佳恭(慶大)
慶應義塾大学工学部電気工卒(1978),同修士課程修了(1980),同博士課程修了(1983).工学博士(1983).南フロリダ大学コンピュータ学科助教授(1983-1985),南カロライナ大学コンピュータ工学科助教授(1985-1988),ケースウエスターンリザーブ大電気工学科准教授(1988-1996),tenured受賞(1992).慶大環境情報学部助教授(1992-1997),同大教授(1997-現在).研究:ニューラルコンピューティング,セキュリティ.
NSF-RIA賞(1989),IEEE Trans. on NN功労賞(1992),IPSJ論 文(1980),TEPCO賞(1993),KAST賞(1993),高柳賞(1995),KDD賞(1997),NTT tele-education courseware賞(1999).US-AFOSR受賞(2003).国際協力機構 JICA理事長賞(2004),政府顧問:NCC(フィリピン),VITTI(ベトナム),CTTISC(ジョルダン),タイ,スリランカ,マルチメディア大学(マレーシア),22冊の本と200編以上の科学論文.

 
●講演:IT系ベンチャーの現状と動向[10:00 - 10:30]
 

武藤 佳恭(慶大)
慶應義塾大学工学部電気工卒(1978),同修士課程修了(1980),同博士課程修了(1983).工学博士(1983).南フロリダ大学コンピュータ学科助教授(1983-1985),南カロライナ大学コンピュータ工学科助教授(1985-1988),ケースウエスターンリザーブ大電気工学科准教授(1988-1996),tenured受賞(1992).慶大環境情報学部助教授(1992-1997),同大教授(1997-現在).研究:ニューラルコンピューティング,セキュリティ.
NSF-RIA賞(1989),IEEE Trans. on NN功労賞(1992),IPSJ論 文(1980),TEPCO賞(1993),KAST賞(1993),高柳賞(1995),KDD賞(1997),NTT tele-education courseware賞(1999).US-AFOSR受賞(2003).国際協力機構 JICA理事長賞(2004),政府顧問:NCC(フィリピン),VITTI(ベトナム),CTTISC(ジョルダン),タイ,スリランカ,マルチメディア大学(マレーシア),22冊の本と200編以上の科学論文.

 

[講演概要]
本講演では,「パネルディスカション:ITベンチャーが拓く新しい未来・社会」への導入として,IT系ベンチャー企業の現状を解説し,その動向を紹介します.
本講演により,パネルディスカション参加者全員にIT系ベンチャーを取り巻く様々な状況の認識を深めてもらうことで,後に続くディスカションへの積極的な参加を期待します.

 
●パネル討論:ITベンチャーが拓く新しい未来・社会[10:30 - 12:00]
 

司会:武藤 佳恭(慶大)
慶應義塾大学工学部電気工卒(1978),同修士課程修了(1980),同博士課程修了(1983).工学博士(1983).南フロリダ大学コンピュータ学科助教授(1983-1985),南カロライナ大学コンピュータ工学科助教授(1985-1988),ケースウエスターンリザーブ大電気工学科准教授(1988-1996),tenured受賞(1992).慶大環境情報学部助教授(1992-1997),同大教授(1997-現在).研究:ニューラルコンピューティング,セキュリティ.
NSF-RIA賞(1989),IEEE Trans. on NN功労賞(1992),IPSJ論 文(1980),TEPCO賞(1993),KAST賞(1993),高柳賞(1995),KDD賞(1997),NTT tele-education courseware賞(1999).US-AFOSR受賞(2003).国際協力機構 JICA理事長賞(2004),政府顧問:NCC(フィリピン),VITTI(ベトナム),CTTISC(ジョルダン),タイ,スリランカ,マルチメディア大学(マレーシア),22冊の本と200編以上の科学論文.

 
 

パネリスト:家本 賢太郎(クララオンライン)
1981年12月2日,名古屋生まれ.12歳で脳腫瘍を発症し,その除去手術中に起きた医療ミスによって半身不随となり,生涯車椅子での生活を宣告される.入院中にインターネットに関心を持ち,1997年5月20日に15歳でレンタルサーバサービスを提供するクララオンラインを設立.1999年には奇跡的に両脚の運動神経が回復し,車椅子無しでの生活が可能になる.2001年9月慶応義塾大学環境情報学部に入学,同在籍中.

 
 

パネリスト:登 大遊(ソフトイーサ)
筑波大学情報学類3年次に在籍中.情報処理推進機構による2003年度未踏ソフトウェア創造事業未踏ユース部門の支援を受け,VPN通信ソフトウェア「SoftEther VPN」を開発.2004年4月にソフトイーサ株式会社を設立.高校在学中より,FOMA用のメモリ編集ソフトの開発や書籍の執筆を行うなど,精力的に活動している.

 
 

パネリスト:森戸 宏(先端情報工学研)
1953年,東京生まれ,52歳.東京都立大学工学部電子工学科卒業後,日本電気株式会社において半導体集積回路の設計,マーケティングに従事.同時に,半導体産業研究所においてアドバイザリー委員,電子マネー小委員会副主査等を歴任.先端情報工学研究所では創業時より,技術主幹としてNEC在籍のまま事業立ち上げに参加,後に移籍,現在に至る.

 

フェロー&マスターズ特別講演会 「今だから言う,私の失敗体験」
-失敗からの教訓とこれからの若い人たちへの提言-

9月8日(木)15:00-17:25[第2イベント会場(5号館3階 5333教室)]

 
 

[全体概要]
そのとき,私は色を失った.しまった,これが抜けていた!なぜあんな判断をしたのか,だが後の祭!もしあの時こうしていたら,今はこうなっていたに違いない!
長年,研究の修羅場をくぐり抜けてきたフェロー達は,危機や曲がり角を幾つも体験してきた.技術の潮流を読み間違えたり,流れに乗っているつもりがいつの間にかわき道にそれていたり,競争相手からの思わぬ発表で目標がぐらついたり,世の中が思わしくない方向に行くのを止められなかったり.あのとき,もしこうだったら,今ごろ私は・・・,今ごろ世の中は・・・,というような話によって,技術者・研究者の盲点,判断のポイント,迷い過ぎないで一歩前に出るための勇気を,若い人たちに伝えたい.

 
 

司会:江尻 正員(産業技術コンサルタント)
1959年阪大・工・機械卒.同年,日立製作所入社,中央研究所にて制御工学,ロボティクス,パターン認識,画像処理などの研究に従事.工学博士.2003年同社技師長を最後に退任.この間,国際パターン認識連盟(IAPR)の副会長や日本代表理事,日本ロボット学会の会長などを務めてきた.現在は,横断型基幹科学技術研究団体連合副会長,電子情報通信学会フェロー&マスターズ研究会副委員長などを務めている.IEEE,IAPR,電子情報通信学会,日本ロボット学会の各フェロー.

 
 

司会:大田 友一(筑波大)
1977京都大大学院博士課程了.京都大学情報工学科助手,筑波大学電子・情報工学系講師,カーネギーメロン大学計算機科学科客員研究員,筑波大学電子・情報工学系助教授を経て,1992同教授.2004より,同大学大学院システム情報工学研究科教授.工博.コンピュータビジョン,視覚情報メディアの研究に従事.通信学会ISS,パターン認識・メディア理解研究専門委員会委員長,ISS英文論文誌編集委員長,副会長などを歴任.IEICEフェロー.

 
講演1:非凡なる凡研究 -ディジタルメディア革命はいかにして誕生したか-[15:05 - 15:40]
 

吹抜 敬彦(東京工科大)
1959年京大(電子)卒,1961年京大修士修了.
1961年日立中研入社,技師長を経て,1995年東京工科大工学部情報通信工学科教授.現在に至る.
IEEEフェロー,電子情報通信学会(フェロー,業績賞,著述賞),映像情報メディア学会(名誉会員,功績賞,業績賞,論文賞,著述賞),東京都発明研究功労賞,科技庁(現文科省)研究功労賞,発明協会賞,他.著書:画像・メディア工学(信学会教科書),画像のディジタル信号処理,他.研究歴:(1968年〜)画像信号処理,工博(京大).

 

[講演概要]
TV信号符号化効率の飛躍により,ディジタル放送から情報家電や動画像配信などに,広範なディジタルメディア革命が起きた.この発端は1990年6月の米GI社の提案にある.当時「符号化技術は飽和した」との共通認識だったが,同社は,何の技術的飛躍もないのに,一挙に1桁近く向上する仕様を提唱した.多くの日本人は信じなかった.翌春,私はデモを見て「本物かもしれない.本物なら大変なことになる」と直感し,学会で盛んに啓蒙した.しかし,あまり反応はなかった.結果は本物だった.それまでWhat's new? を信条として進めてきた私には研究の基本が崩れた感じだった.研究の先端に立てば立つほど,「現在の研究の成熟度はどの程度か」の認識が重要になる.とかく目標を掲げて整然と研究する日本人には,意識革命が必要だと感じた.いろいろな事情からあまり知られていない「TV技術,空白の10年」の驚きと感動を述べる.

 
講演2:画像処理システムの技術開発と事業開発 -ポイントは人間との勝負-[15:40- 16:15]
 

木戸出 正継(奈良先端大)
1970年京大大学院工学研究科修士課程修了.同年東京芝浦電気(現,東芝)総合研究所入社.
同社総合企画部,関西研究所,東芝アメリカ社を経て,2000年奈良先端科学技術大学院大学情報科学研究科教授.京都大学工学博士.画像処理,ロボット応用,ヒューマンインタフェース,ウェアラブルコンピューティングに関する研究に従事.電子情報通信学会フェロー,情報処理学会フェロー,IAPR(国際パターン認識協会)フェロー,電子情報通信学会業績賞,高柳記念奨励賞,などを受賞.

 

[講演概要]
画像処理の高速化技術を研究開発し,事業化を狙い市場も大きいと思われた目視検査の自動化に取り組みました.その間,単なる2値画像計測から濃淡画像そしてカラー画像計測へ処理機能アップし,装置の小型化・応用アルゴリズムの具体化を行いました.新市場開拓であり,物珍しさも手伝い,小規模ながら新規事業として,販売・次機種開発の事業回転は続き,一時はセールスマンに鞍替えしたように,世に言うベンチャービジネスのはしりをやりました.また,国家レベルでの画像処理関連プロジェクトにも参加し,より賢くを目指した高速ハード(特にLSI化)の開発を続け,市場展開も積極的に行いました.
しかし,思った以上に市場が広がらない,技術開発の更なる継続か,市場拡大の営業強化か,の問題にぶつかりました.世の景気動向と関連しながら成功や失敗を経験しました.

 
講演3:音声研究 -私の反省と提言-[16:15- 16:50]
 

中島 隆之(技術コンサルタント)
東北大学大学院電気及び通信工学専攻(修士課程 1964年修了).工学博士.現在の所属 技術コンサルタント.
1964年〜1991年 旧通産省工技院 電子技術総合研究所にて,音声認識研究室長,パターン情報部長,知能情報部長を歴任.
1991年〜2001年 シャープ(株)技術本部にて旧応用システム研究所長,技監を歴任.
2001年〜2004年末(株)パトリスにて,研究開発室技監.現在に至る.

 

[講演概要]
前半では,筆者が旧電総研で行った音声研究のうち,声道形推定法を基点とする一連の研究,精密な極零分析であるピッチ対同期PSE(パワ・スペクトル包絡)分析,非定常音声波形のスペクトルモデル,零位相インパルス応答重畳形音声波形合成法を取り上げ,テーマの概要と,テーマ変遷の理由・経緯,あるいは何故そのテーマを考えついたのか,また,研究の副産物などに重点をおいて述べる.
後半では,まず,情報技術を社会インフラと捉える,とする2002年米大統領の一般教書の補足資料の内容を紹介し,音声研究の成果を社会インフラとして人類共通の財産に位置付けることで新しい目標の設定と研究開発の仕組みの構築を期待する.そして,万国語共通の音韻認識システムの可能性を指摘して,「(概)国際音声記号抽出システム」原器を人類の財産として国際協力によって作る夢について述べる.

 
講演4:文字認識に取り付かれた楽しい失敗談 -「いい研究者」と「いいマネージャ」の分かれ目-[16:50 - 17:25]
 

萩田 紀博(ATR)
1978年,慶應義塾大学大学院工学研究科電気工学専攻修士課程修了.同年電電公社(現NTT)武蔵野電気通信研究所入所.文字認識,画像認識などの研究に従事.NTT基礎研究所などを経て,現在ATR知能ロボティクス研究所長,ATRメディア情報科学研究所長兼務,工博,IEEE,電子情報通信学会,情報処理学会,人工知能学会,各会員.

 

[講演概要]
一流の研究者をめざして日々の研究活動を行っている方が多いと思うが,20年,30年という将来設計やキャリアパスを聞いてみると1〜2年先の近未来のことしか考えていない方が意外に多い.研究という業務自体かなり長期間にわたって創造性のある成果を出し続けなくてはいけない職業であるために,若いうちから長期な展望をもつことが大切である.自らの経験に照らし合わせてみると,この長期展望がないまま過ごしてしまったという反省がある.30年近い(まだ高々30年だが)研究経験の中で,自分の一生を決める重要な時期は,実はドクターを取る前後であったことに気づく.この時期にちょっとしたボタンの掛け違いをしたために,研究者からマネージャの方にシフトする形になってしまった.講演では,若手研究者が思い通りに伸び伸びと成長していくことを願って,あえて自分の失敗談を述べる.自分のパスをどのように選ぶかを決める場合の参考にして頂ければ幸いである.

 

若い才能と未踏ソフトウェア創造事業

9月9日(金)9:30-12:00[第2イベント会場(5号館3階 5333教室)]

 
 

[全体概要]
2000年から始まった未踏ソフトウェア創造事業は5年計画が延長され,今年度で6年目に入った.これまで多数の開発者が発掘されてきたが,その中で特にどんな若い人達が発掘されて日本のソフトウェアにインパクトを与えてきたのかを検証する.日本にも昔からこの年代で飛び抜けた人は何人もいたと思われるが,その人たちはその後日本の企業社会の中でどうなったのかも含めて,若い才能の発掘と育成・保護・支援のありかたに踏み込んで考えたい.というのも,これは若者たちが情報技術を本格的に学び,探求することに魅力を感じなくなってきているらしいという昨今の状況に喝を入れるという意味もある.
まず,開発当時20歳前後だった何人かの未踏ソフトウェア創造事業 (未踏ユースには限らない) 開発者若干名に,その成果や意義について簡単に発表してもらう.そのあとのパネル討論において,この事業のプロジェクトマネージャ等にも単刀直入に関連した話題を提供してもらい,日本のソフトウェアの活力化の今後を見据えた議論をしてもらう.

 
 

司   会:竹内 郁雄(東大)
1969年東京大学理学部数学科卒,1971年同大学院理学系研究科数学専攻修士課程修了.同年日本電信電話公社武蔵野電気通信研究所.1997年,電気通信大学情報工学科教授.2005年東京大学情報理工学系研究科創造情報学専攻教授.博士(工学).また,2000年より未踏ソフトウェア創造事業のプロジェクトマネージャ.

 
●講演1:軽量型OSとデータ圧縮について[9:30 - 10:00]
 

川合 秀実(OSASK計画)
1998年横浜市立大学文理学部卒業.
2000年横浜市立大学大学院総合理学研究科修士課程修了.
2002年未踏ユースに「新OS,OSASK(おさすく)の開発」で採択される.
2000年からOSASK計画の代表者として,在宅で開発を行う.

 

[講演概要]
2002年の未踏ユースに採択されたPC向けのオープンソース軽量型OS「OSASK(おさすく)」を紹介する.開発計画の無謀性が危惧されていたが,32ビットマルチタスク,GUIオペレーション,1秒での起動,カーネルにドライバやシェルを加えたサイズが100KB未満,FD1枚と33MHzのCPUと8MBのメモリでの快適動作などを実現した.このOSの特徴を支える技術の一つとして独自のデータ圧縮形式があり,非常に高い圧縮率,高速かつ省メモリの展開という特徴をもつ.
また,なぜOS開発者が独自圧縮形式の開発に手を出すことになったのかといういきさつや未踏ユースでの体験も紹介する.

 
●講演2:未踏でのSoftEther VPN開発から現在に至るまで[10:00 - 10:30]
 

登 大遊(ソフトイーサ)
筑波大学情報学類3年次に在籍中.情報処理推進機構による2003年度未踏ソフトウェア創造事業未踏ユース部門の支援を受け,VPN通信ソフトウェア「SoftEther VPN」を開発.2004年4月にソフトイーサ株式会社を設立.高校在学中より,FOMA用のメモリ編集ソフトの開発や書籍の執筆を行うなど,精力的に活動している.

 

[講演概要]
2003年度未踏ソフトウェア創造事業未踏ユース部門で開発したSoftEther VPNについて紹介する.どのようにしてSoftEther VPNのアイデアを思いつき,また未踏ソフトウェア創造事業を知ったのかという経緯を紹介し,未踏ソフトウェア開発期間中の進行状況や公開後に生じたトラブル,そしてSoftEther VPN 2.0へのバージョンアップや今後の展望について,技術的なことと非技術的なことを交えて解説する.

 
●講演3:レーザードローイングツールAfterglowの開発[10:30 - 11:00]
 

田川 欣哉(リーディング・エッジ・デザイン)
1999年東京大学工学部機械情報工学科卒業,2001年英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート修士課程修了,2001年リーディング・エッジ・デザインに参加.現在は主にハイテク製品のデザインプロジェクトを手がけている.最近の活動として,両手親指キーボード「tagtype」,NTTドコモ「OnQプロジェクト」などがある.
iF Prodecut Design Award 2005 (ドイツ)受賞.

 

[講演概要]
Afterglowを使うと,レーザーポインタをひょいと動かすだけで,プレゼンテーションソフトにページ送りを実行させたり,レーザーポインタをマウス代わりにしてPCを操作したり,レーザーポインタの光をペンのように使って画面に直接絵や文字を書き入れたりすることができる.Afterglowは,入力デバイスとして市販のUSBカメラを利用する.入力画面に対する自動ゆがみ補正機能や,環境光のノイズ除去機能を備え,ぱっと置いて,ぱっと使える,セットアップの簡単さも特徴である.
本講演では,開発のモチベーションやビジネス化への展望などについても紹介する.

 
●パネル討論:未踏ソフトウェア創造事業のインパクト[11:00 - 12:00]
 

[討論概要]
未踏ソフトウェア創造事業が,若い人達にどんなインパクトを与えたか,それによって日本のソフトウェアが本当に元気になったのか,もっといい事業スキームはないのだろうか,もっと裾野を広げるにはどうすればいいか,未踏ブランドはなんぼのもんじゃ,など,具体的な事例をベースにいろいろ楽しく議論したい.

 
 

司   会:竹内 郁雄(東大)
1969年東京大学理学部数学科卒,1971年同大学院理学系研究科数学専攻修士課程修了.同年日本電信電話公社武蔵野電気通信研究所.1997年,電気通信大学情報工学科教授.2005年東京大学情報理工学系研究科創造情報学専攻教授.博士(工学).また,2000年より未踏ソフトウェア創造事業のプロジェクトマネージャ.

 
 

パネリスト:池田 正喜(シーカネット)
大阪大学工学部原子力工学科出身.三菱マテリアル (株) で原子力安全設計・解析評価,各種システムの設計開発に従事.IPA/未踏事業並びに未踏ユースにプロジェクト管理組織として参画し,多くの開発者と交流.2005年4月(有)シーカネットを設立,開発者支援に注力.

 
 

パネリスト:川合 秀実(OSASK計画)
1998年横浜市立大学文理学部卒業.
2000年横浜市立大学大学院総合理学研究科修士課程修了.
2002年未踏ユースに「新OS,OSASK(おさすく)の開発」で採択される.
2000年からOSASK計画の代表者として,在宅で開発を行う.

 
 

パネリスト:田川 欣哉(リーディング・エッジ・デザイン)
1999年東京大学工学部機械情報工学科卒業,2001年英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート修士課程修了,2001年リーディング・エッジ・デザインに参加.現在は主にハイテク製品のデザインプロジェクトを手がけている.最近の活動として,両手親指キーボード「tagtype」,NTTドコモ「OnQプロジェクト」などがある.
iF Prodecut Design Award 2005 (ドイツ)受賞.

 
 

パネリスト:中島 秀之(はこだて未来大)
1983年東京大学大学院情報工学専門課程修了(工学博士).同年電子技術総合研究所.人工知能を状況依存性の観点から研究.マルチエージェントならびに複雑系の情報処理とその応用.2001年より産業技術総合研究所サイバーアシスト研究センター長.2004年より公立はこだて未来大学学長.産業技術総合研究所情報技術研究部門研究顧問.情報処理学会フェロー.

 
 

パネリスト:登 大遊(ソフトイーサ)
筑波大学情報学類3年次に在籍中.情報処理推進機構による2003年度未踏ソフトウェア創造事業未踏ユース部門の支援を受け,VPN通信ソフトウェア「SoftEther VPN」を開発.2004年4月にソフトイーサ株式会社を設立.高校在学中より,FOMA用のメモリ編集ソフトの開発や書籍の執筆を行うなど,精力的に活動している.

 

パターン認識・メディア理解アルゴリズムコンテスト

9月9日(金)13:00-15:50[第2イベント会場(5号館3階 5333教室)]

 
 

[企画概要]
本イベントでは,パターン認識・メディア理解(PRMU)研究専門委員会が行っているアルゴリズムコンテストの本年度入賞者の発表・表彰と,入賞者による自身のアルゴリズムの紹介,ならびにコンテストに関連した研究分野に関する特別講演を実施する.
本コンテストは,PRMU研究専門委員会が,当該研究分野における若手研究者の育成と研究会活動の活性化を目的に,1997年度より秋の大会併催事業として毎年実施しているもので,パターン認識・メディア理解分野における代表的な研究テーマを対象に,これに関する具体的な課題を複数の難易度に分けて設定し,各難易度の課題を解決するためのアルゴリズムを募集している.
募集にあたってはWeb上でサンプル画像データを公開してアルゴリズムを実装したプログラムの提出を求め,このプログラムの処理結果や計算時間等を参考に,審査委員会でアルゴリズムの新規性や性能を審査し,優秀なプログラムを選定している.ただし応募対象者が若手研究者や学生であることから,アルゴリズムの完璧さや複雑さよりも,若手研究者や学生ならではの素朴なアイデアを積極的に評価する方針を採っている.

 
 

司   会:角所 考(京大)
1988年名古屋大学工学部電気学科卒業.1993年大阪大学大学院工学研究科通信工学専攻博士課程修了.1992〜94年日本学術振興会特別研究員,1993〜94年スタンフォード大学ロボティクス研究所客員研究員,1994年大阪大学産業科学研究所助手,1997年京都大学総合情報メディアセンター(現 学術情報メディアセンター)助教授.博士(工学).視覚メディア処理,インタラクション,コミュニケーションに関する研究に従事.

 
●開会挨拶[13:00 - 13:05]
 

村瀬 洋(名大)
1980年3月名古屋大学大学院工学研究科修士課程修了.同年 日本電信電話公社(現在NTT)電気通信研究所に入所.1992年6月から1年間米国コロンビア大学客員研究員.その後 NTT基礎研究所特別研究員,同研究所メディア情報研究部長を経て,2002年4月から名古屋大学大学院情報科学研究科メディア科学専攻教授.工学博士.画像認識,マルチメディア情報処理の研究に従事.

 
●招待講演:オブジェクト指向からイベント指向へ
-事例ベースビジョンアルゴリズムの展開-[14:50 - 15:50]
 

和田 俊和(和歌山大)
1990年3月東京工業大学大学院総合理工学研究科電子システム専攻 博士課程修了
1990年4月岡山大学工学部助手
1995年4月岡山大学工学部講師
1997年4月京都大学工学部助教授
2002年9月和歌山大学システム工学部教授現在に至る

 

[講演概要]
コンピュータビジョンではモデルを用いた対象の表現法がよく用いられる.例えば対象の形状をワイヤフレームで,色を反射モデルで表現することが良く行われる.これらは,対象の見えが従うルールを明示的に与える内包的表現と見なすことができる.これに対して,対象をセンスすることによって得られるインスタンス,すなわち我々が観測できるデータそのものを列挙することで対象を表現する外延的表現も考えられる.本講演では,前者をオブジェクト指向,後者をイベント指向と呼び,後者に関してどのような処理がどのようなアルゴリズムによって実現できるのかを述べる.

 

JABEEおよび情報処理学会と日本技術士会の連携

9月7日(水)9:30-12:00[第3イベント会場(5号館3階 5334教室)]

 
 

[全体概要]
JABEE(日本技術者教育認定機構)によって認定された教育プログラムの修了生に対しては技術士一次試験が免除される.またJABEE による認定審査では,企業からの審査員を含めることが要請されている.そのため,技術士がJABEE審査に協力することが期待されている.一方,2000年には技術士法が改正され,情報工学分野については,情報処理学会から推薦された委員が技術士試験の委員を推薦してきた.また,この改正に伴って技術士はCPD(Continuing Professinal Development)を実施することが責務となった.この面での協力を情報処理学会は日本技術士会から求められている.
以上のような状況を踏まえ,本シンポジウムではJABEEおよび情報処理学会と日本技術士会の適切な協力関係について議論することを目的とする.

 
 

司   会:大岩 元(慶大)
1965年,東大理学部物理学科卒.1971年東大大学院理学系研究科博士課程修了,理学博士.東大理学部助手,豊橋技術科学大学講師,同助教授,同教授を経て1992年慶應義塾大学環境情報学部教授.情報教育学,ソフトウェア工学,認知工学の研究に従事している.
情報処理学会(フェロー),CIEC(Council for Improvement of Education through Computers),日本ソフトウェア科学会,電子情報通信学会,教育システム情報学会,日本教育工学会,日本オペレーションズリサーチ学会,人工知能学会.

 
●シンポジウムの趣旨説明[9:30- 9:40]
 

大岩 元(慶大)
1965年,東大理学部物理学科卒.1971年東大大学院理学系研究科博士課程修了,理学博士.東大理学部助手,豊橋技術科学大学講師,同助教授,同教授を経て1992年慶應義塾大学環境情報学部教授.情報教育学,ソフトウェア工学,認知工学の研究に従事している.
情報処理学会(フェロー),CIEC(Council for Improvement of Education through Computers),日本ソフトウェア科学会,電子情報通信学会,教育システム情報学会,日本教育工学会,日本オペレーションズリサーチ学会,人工知能学会.

 
●講演1:日本技術士会 情報工学部会の現状[9:40- 10:00]
 

安田 晃(松下電工)
1969年名古屋大学工学部電子工学科卒後松下電工(株)入社/ビル管理システム等各種IT機器・システムの研究開発に従事/1999年〜2000年:(社)日本技術士会「IT21の会」副会長/2000年:電気科学技術奨励賞(オーム技術賞)/現在:松下電工(株) 新規商品創出技術開発部設備ネットワークシステム開発部所属,ITコーディネータインストラクタ,(社)日本技術士会理事情報工学部会長,東北大学電気通信研究所客員教授,技術士(情報工学,電気・電子,総合技術監理)

 

[講演概要]
最初に技術士とはどのような資格であるかを概説し,法的に定められ54年の歴史を有す母体組織である(社)日本技術士会の概要と現状に関して説明する.そして,21世紀の科学技術創造立国を担うため,科学技術基本法の趣旨を踏まえながら提言されたビジョン:「技術士ビジョン21」のねらい・ポイントについて解説を行う.「技術士ビジョン21」では,「21世紀の国の姿と技術士像」,「科学技術基本法と技術士の位置づけ」,「技術士の職域における役割」,「技術士に求められる基本的要件」に関して,あるべき姿の提言がなされている.さらに技術士情報工学部門に対応する組織である情報工学部会に関して,最近の活動状況や今後の展望について説明を行う.最後に,技術士になるための方法や技術者としてのキャリアプランについて触れ,まとめとする.

 
●講演2:技術士とCPD[10:00 - 10:20]
 

黒澤 兵夫(TAKE国際技術士事務所)
日本電気(株)において,オペレーティングシステム(OS)の開発,東北大学等の大型計算センター,教育システム,図書館システムの設計開発,航空管制システム(ATM)及びD官庁統制デストリビューション管理システムの統括を行う.ODAによるコンピュータトレイニングセンター設計開発と技術協力.
(社)日本技術士会 CPD(継続研鑽)委員会前委員長.現在,TAKE国際技術士研究所代表.

 

[講演概要]
技術士のCPD(継続研鑽)は技術士法で責務として位置付けられ,技術士にとり重要である.(社)日本技術士会におけるCPDの背景,目的,課題・区分,形態,重みファクター,登録,証明書,問題等について述べる.
また,技術士CPD(継続研鑽)は,技術士の立場・環境を考慮して自主的な研修・教育をベースに展開を図っている.更にCPDカリキュラム,プログラム,Web登録システム,情報処理学会を始めとして学協会,大学との連携,JABEEとの関連,技術士第一次試験・第二次試験の課題について述べる.

 
●講演3:技術士試験とCPDに関する情報処理学会の取り組み[10:20 - 10:40]
 

有澤 誠(慶大)
1944年8月生まれ.1967年3月東京大学工学部卒業.
電総研,山梨大工学部を経て,1990年4月慶應義塾大学環境情報学部,現在に至る.
専門は,ソフトウエア工学,コンテンツ工学,交通運輸情報.

 

[講演概要]
学会では今年度から教育委員会の下に技術士委員会を設けて,学会と技術士との連携に関する活動を行うことになった.特に,短期間に技術が陳腐化してしまう情報工学部門では,技術士を取得した後の継続教育プログラムが重要になる.JABEEの方向も含めたCPDをどう進めていくか,これから検討し,実施に移していきたい.

 
●講演4:JABEE認定審査における技術士会との連携[10:40 - 11:00]
 

掛下 哲郎(佐賀大)
九州大学情報工学科卒業.同博士後期課程修了.工学博士.現在,佐賀大学知能情報システム学科助教授.
2001年度より学科のJABEE WG座長として教育システムの構築を進め,同学科の教育プログラムは2003年度にJABEEによる認定を受けた.2004年度より情報処理学会アクレディテーション委員会幹事およびJABEE基準委員.データベースおよびソフトウエア工学を専門とする.情報処理学会,電子情報通信学会等会員.

 

[講演概要]
JABEE(日本技術者教育認定機構)による教育プログラムの認定審査は本格段階を迎え,情報および情報関連分野では2004年度までに8プログラムが認定された.JABEEが定める審査チームの構成基準では,原則として実務経験者を含めることが求められている.また,審査員の資格としては,当該分野に対する適切な専門能力,技術者教育に関する熱意,審査員研修会での訓練,オブザーバ経験などが求められている.JABEE認定審査の審査員は基本的にボランティアベースで審査を行い,審査によって知りえた事項については守秘義務も課されている.以上のような様々な要件を満足する審査員候補者を確保することは,JABEE認定制度を円滑に運用するために不可欠である.本講演では,技術士が審査員を務めるための基本要件について説明するとともに,将来増加することが見込まれるJABEE認定プログラムの審査員を確保するための方策について検討したい.

 
●総合討論[11:00 - 12:00]
 

[討論概要]
2000年には技術士法が改正され,情報工学分野については,情報処理学会から推薦された委員が技術士試験の委員を推薦してきた.また,この改正に伴って技術士はCPD(Continuing Professinal Development)を実施することが責務となった.この面での協力を情報処理学会は日本技術士会から求められている.
技術士に限らず,情報技術者は他分野の技術者とちがって,専門教育を受けずにこの分野の仕事をしている場合が多い.こうした技術者に対するCPDは他分野とは異なる意味を持つ.
JABEE(日本技術者教育認定機構)によって認定された教育プログラムの修了生に対しては技術士一次試験が免除される.またJABEE による認定審査では,企業からの審査員を含めることが要請されている.そのため,技術士がJABEE審査に協力することが期待されている.
以上のような状況を踏まえ,本シンポジウムでは情報処理学会と日本技術士会との適切な協力関係について議論することを目的とする.

 
 

司   会:大岩 元(慶大)
1965年,東大理学部物理学科卒.1971年東大大学院理学系研究科博士課程修了,理学博士.東大理学部助手,豊橋技術科学大学講師,同助教授,同教授を経て1992年慶應義塾大学環境情報学部教授.情報教育学,ソフトウェア工学,認知工学の研究に従事している.
情報処理学会(フェロー),CIEC(Council for Improvement of Education through Computers),日本ソフトウェア科学会,電子情報通信学会,教育システム情報学会,日本教育工学会,日本オペレーションズリサーチ学会,人工知能学会.

 
 

パネリスト:天野 英晴(慶大)
1986年 慶應義塾大学理工学研究科博士課程修了.工学博士.
現在,同大学情報工学科教授.
並列計算機アーキテクチャ,相互結合網,リコンフィギャラブルシステムなどの研究に従事.

 
 

パネリスト:有澤 誠(慶大)
1944年8月生まれ.1967年3月東京大学工学部卒業.
電総研,山梨大工学部を経て,1990年4月慶應義塾大学環境情報学部,現在に至る.
専門は,ソフトウエア工学,コンテンツ工学,交通運輸情報.

 
 

パネリスト:掛下 哲郎(佐賀大)
九州大学情報工学科卒業.同博士後期課程修了.工学博士.現在,佐賀大学知能情報システム学科助教授.
2001年度より学科のJABEE WG座長として教育システムの構築を進め,同学科の教育プログラムは2003年度にJABEEによる認定を受けた.2004年度より情報処理学会アクレディテーション委員会幹事およびJABEE基準委員.データベースおよびソフトウエア工学を専門とする.情報処理学会,電子情報通信学会等会員.

 
 

パネリスト:黒澤 兵夫(TAKE国際技術士事務所)
日本電気(株)において,オペレーティングシステム(OS)の開発,東北大学等の大型計算センター,教育システム,図書館システムの設計開発,航空管制システム(ATM)及びD官庁統制デストリビューション管理システムの統括を行う.ODAによるコンピュータトレイニングセンター設計開発と技術協力.
(社)日本技術士会 CPD(継続研鑽)委員会前委員長.現在,TAKE国際技術士研究所代表.

 
 

パネリスト:児玉 公信(エヌ・ケー・エクサ)
(株)エヌ・ケー・エクサ 第3事業部門SPBOMソリューションオーナ兼技術部担当部長.東京都立大学人文科学部(心理学)卒業,日本石油(株),北海道大学受託研究員などを経て現職,技術士(情報工学),慶應義塾大学講師,情報処理学会技術士委員会幹事,情報処理技術者試験委員.
著書に「実践!ファンクションポイント法」JMAM,1999,「UMLモデリングの本質」,日経BP,2004.他にオブジェクト指向関係の訳書多数.

 
 

パネリスト:安田 晃(松下電工)
1969年名古屋大学工学部電子工学科卒後松下電工(株)入社/ビル管理システム等各種IT機器・システムの研究開発に従事/1999年〜2000年:(社)日本技術士会「IT21の会」副会長/2000年:電気科学技術奨励賞(オーム技術賞)/現在:松下電工(株) 新規商品創出技術開発部設備ネットワークシステム開発部所属,ITコーディネータインストラクタ,(社)日本技術士会理事情報工学部会長,東北大学電気通信研究所客員教授,技術士(情報工学,電気・電子,総合技術監理)

 

3次元ビデオ処理に関するシンポジウム

9月7日(水)13:00-16:10[第3イベント会場(5号館3階 5334教室)]

 
 

[全体概要]
近年,実世界のオブジェクトを高精細に3次元グラフィックオブジェクトとして取得する技術が進展している.この技術は従来のCGによる3次元オブジェクト合成やモーション・キャプチャによる3次元の動き情報取得に比べて,人間や動物など実世界の物体の姿,形,色などを忠実に記録・再現できるばかりでなく,時間変化を追うことができるために新しい映像表現として注目を浴びている.しかし3次元ビデオの取得を始めとし,その利用を促進するためには技術的な課題は多い.そのため,3次元ビデオの取得・圧縮・検索・表示などの新規技術について議論を行う.

 
 

司   会:相澤 清晴(東大)
1983年東京大学工学部電子工学科卒業.1988年東京大学大学院博士課程修了.工博.現在,東京大学大学院新領域創成科学研究科教授.画像,メディア処理に関する研究に従事.最近は,ライフログ,3次元ビデオ,Webの画像処理などの研究に従事.日本IBM科学賞(2002年)等受賞多数.
IEEE Signal Processing Magazine Editorial Board, IEEE Trans. Multimedia, Trans. CSVT Associate Editor. ACM Multimedia2005 Short Paper Track co-chair, 第一回デジタルコンテンツシンポジウム実行委員長(2005)など多くの学術雑誌,会議へ参画.IEICE, ITE, IEEE, ACM等会員.

 
 

司   会:山崎 俊彦(東大)
1999年3月,東京大学工学部電子工学科卒業.2004年3月,東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻博士課程修了.2004年4月より東京大学大学院新領域創成科学研究科基盤情報学専攻助手.主として3次元ビデオの圧縮や検索を中心とした画像・映像処理に関する研究に従事.

 
●講演1:多視点映像からの3次元形状・運動復元のための弾性メッシュモデル[13:10 - 13:30]
 

延原 章平(京大)
2000年 京都大学電気電子工学科卒業.
2002年 京都大学大学院情報学研究科知能情報学専攻修士課程修了.
2005年 同上博士後期課程修了,博士(情報学).
2005年 京都大学大学院情報学研究科特任助手,現在に至る.

 

[講演概要]
能や日本舞踊といった無形文化財を3次元的に記録・保存するためには,対象人物である踊り手の姿勢や動作だけでなく,袖や裾などの微妙な動きが重要な意味を持つと考えられ,その分析・記録のためには,複雑な運動をする対象全体に渡る精密な3次元形状と運動を同時に計測する必要がある.本論文では,多視点ビデオから得られるシルエット,テクスチャをはじめ,対象形状の滑らかさや素材の剛性度,そして局所運動情報など多様な情報を弾性メッシュモデルによって統合し,対象の3次元形状と運動の同時復元を行う手法を提案する.

 
●講演2:圧縮と検索のための3次元ビデオ処理[13:30 - 13:50]
 

山崎 俊彦(東大)
1999年3月,東京大学工学部電子工学科卒業.2004年3月,東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻博士課程修了.2004年4月より東京大学大学院新領域創成科学研究科基盤情報学専攻助手.主として3次元ビデオの圧縮や検索を中心とした画像・映像処理に関する研究に従事.

 

[講演概要]
近年,実世界のオブジェクトを高精細に3次元グラフィックオブジェクトとして取得する技術が進展している.この技術は従来のCGによる3次元オブジェクト合成やモーション・キャプチャによる3次元の動き情報取得に比べて人間や動物など実世界の物体の姿,形,色などを忠実に記録・再現できるばかりでなく,時間変化を追うことができるために新しい映像表現として注目を浴びている.しかし,3次元ビデオは取得アルゴリズムの性質上各フレームが独立に生成されることが多く,3次元モデルの頂点の個数や接続関係はフレーム毎に異なる場合が多いためフレーム間の相関を把握しにくい.そのため,そのような動的3次元モデルに対していかに効率よく圧縮や検索を行うかが大きな課題である.そこで圧縮,検索それぞれの問題について最新の研究成果を報告する.

 
●講演3:3次元映像アーカイブのための動的3次元ビデオの取得・表示技術[13:50- 14:10]
 

岩舘 祐一(NHK放送技研)
1981年同志社大・工・電子卒.同年NHK入局.1985年からNHK放送技術研究所にてHDTV伝送方式,3次元映像処理等の研究に従事.1998年から2000年まで(株)ATR知能映像通信研究所第3研究室長として感性情報処理の研究に従事.現在,放送技術研究所テレビ方式副部長,電気通信大学大学院客員助教授兼任.博士(工学).

 

[講演概要]
NHK放送技術研究所では,複数のカメラを被写体を取り囲むように配置し,その映像から被写体の動的な3次元形状モデルを生成する研究を進めている.動的な3次元形状モデルはCGと同じようなデータ構造をもっているため,既存の映像制作システムとの整合性が高く,映像制作における3次元映像素材として利用価値が高いと考えられる.2004年度には,文部科学省の委託研究を受託し,その課題として「伝統舞踊の3次元映像アーカイブに関する研究」をスタートした.この委託研究の中では,能楽などの伝統舞踊の動的3次元形状モデルを高品質に生成し,アーカイブ化する技術の開発を目指している.本報告では,3次元形状モデリング手法,3次元映像アーカイブのプロトタイプについて述べる.

 
●講演4:自由視点3次元映像スタジアムのインターネットライブ配信[14:10 - 14:30]
 

大田 友一(筑波大)
1977京都大大学院博士課程了.京都大学情報工学科助手,筑波大学電子・情報工学系講師,カーネギーメロン大学計算機科学科客員研究員,筑波大学電子・情報工学系助教授を経て,1992同教授.2004より,同大学大学院システム情報工学研究科教授.工博.コンピュータビジョン,視覚情報メディアの研究に従事.通信学会ISS,パターン認識・メディア理解研究専門委員会委員長,ISS英文論文誌編集委員長,副会長などを歴任.IEICEフェロー.

 

[講演概要]
複数の視聴者が,それぞれ自由に視点を選びながら,スタジアムや体育館で行われるスポーツイベントのライブ中継を,ネットワーク経由で観ることができる技術を紹介する.
大規模な空間に展開する多数の選手を,ライブ中継が可能な速度で3Dモデル化し,そのデータ量をネットワーク配信が可能な程度に小さくするために,我々はプレーヤービルボードと呼ぶユニークな手法によって選手を3Dモデル化している.これは,個々の選手を3D空間中に配置した1枚の平面に貼り付けたライブ映像で表現するものであるが,視聴者の視点に応じて,適切に平面の向きを変化させ,ライブ映像を切り出すカメラを選択することによって,自然で3D性の高い自由視点映像を生成することができる.
ネットワーク遅延に影響されにくいデータ生成と配信方式を開発し,商用ブロードバンド回線経由で,複数ユーザに自由視点映像の配信が可能であることを確認した.

 
●講演5:多視点画像からの自由視点スポーツ映像生成[14:30 - 14:50]
 

稲本 奈穂(慶大)
2002年慶應義塾大学理工学部情報工学科卒業.2003年同大大学院理工学研究科前期博士課程修了.現在,同大学院後期博士課程在学中.2003年より文部科学省21世紀COEプログラム情報・電気・電子分野研究員.2004年より日本学術振興会特別研究員および米カーネギーメロン大学ロボティクス研究所訪問研究員.主として任意視点映像の合成・提示に関する研究,それらの複合現実感技術への応用に関する研究に従事.

 

[講演概要]
近年,放送局と視聴者間での双方向通信が実現され始め,個人の要望に応じた映像配信サービスが期待されている.一方でコンピュータビジョンの分野では,複数台のカメラで対象シーンを撮影し,それらの多視点画像から任意視点の画像を合成する研究が盛んに行われている.本発表では,スタジアムで撮影されるような多視点のスポーツ映像を対象とし,イメージベースドレンダリングの技術を用いて,任意のカメラワークで撮影シーンを再現する手法を紹介する.大規模な空間で行われるイベントのように,カメラの強校正が難しい場合でも,カメラ間の射影幾何的関係を用いることで,シーン全体の再構成を可能にする.さらに,それを複合現実技術に応用し,HMD(Head Mounted Display)を利用した新しいスポーツ映像の提示方法について事例を交えて紹介する.

 
●講演6:自由視点テレビ[14:50 - 15:10]
 

谷本 正幸(名大)
1970年東大・工・電気卒.1976年同大学院博士課程了.工学博士.同年名古屋大学工学部助手.1991年同教授.通信方式,画像情報圧縮,画像処理の研究に従事.新技術開発財団市村賞貢献賞,電気通信普及財団賞,テレビジョン学会丹羽高柳賞論文賞,電子情報通信学会業績賞など受賞.映像情報メディア学会副会長,電子情報通信学会評議員,通信方式研究専門委員会委員長,画像符号化シンポジウム運営委員会委員長など歴任.電子情報通信学会フェロー,映像情報メディア学会,IEEE各会員.

 

[講演概要]
自由視点テレビ(Free viewpoint TV,FTV)は,距離と時間の制約を超えて,あたかもその場にいるかのように自由に視点を変えて3次元シーンを見ることのできる究極のテレビジョンである.私たちはFTVを構築するための技術開発を進め,そのリアルタイム実験に世界で初めて成功した.FTVは動画像の国際標準化会議であるMPEGにおいて新しい3次元映像メディアとして高く評価され,その圧縮符号化の標準化が開始されることとなった.FTVは放送や通信だけでなく,エンターテインメント,自然観察,観光,博物館・美術館,アーカイブ,教育,医療,セキュリティ・保守,交通など幅広い分野への応用が期待される.FTVは画像情報の根元である光線を取得,処理,表示するシステムである.FTVの開発を通して,3次元映像メディアの新しいフレームワークとして,画素ではなく光線を取り扱う新しい光線画像工学を構築している.

 
●講演7:レンズアレイとカメラアレイを用いた全焦点自由視点画像の合成と圧縮[15:10 - 15:30]
 

苗村 健(東大)
1992年,東京大学工学部電子工学科卒業.1997年,同博士課程修了.スタンフォード大学客員助教授(日本学術振興会海外特別研究員)を経て,2002年,東京大学大学院情報学環助教授.実写に基づく画像合成,複合現実感,実世界指向情報環境などの研究に従事.博士(工学).FIT2003論文賞,3次元画像コンファレンス優秀論文賞(2003,1999,1996),映像情報メディア学会丹羽高柳賞論文賞(1997)など各賞受賞.

 

[講演概要]
3次元空間を様々な視点位置から自由に眺める技術を,自由視点画像合成と呼ぶ.立体ディスプレイへの表示のみならず,デジタルアーカイブやコンテンツ作成のための基盤技術として,今後ますます必要性が増す技術分野と考えられる.しかし,実空間や実物体を対象とする場合には,いかに空間の情報をサンプリングするかが重要な課題となる.我々は,自由視点画像合成における焦点ぼけに着目し,すべての領域で焦点のあった自由視点画像合成を実現するための理論的な考察を進めてきた.さらに,この理論に基づき,数千眼のレンズアレイや百眼以上のカメラアレイを用いた空間情報サンプリングシステムを構築し,撮影から画像合成までをすべて実時間で行うことができるインタラクティブな全焦点自由視点画像合成を実現した.また,膨大な空間情報を効率的かつ機能的に扱う情報圧縮手法についても検討を進めている.本講演では,これらの成果を俯瞰的に紹介する.

 
●講演8:Light Field Renderingの鮮鋭化[15:30 - 15:50]
 

久保田 彰(東工大)
1997年大分大・工・電気電子卒.1999年東大大学院修士課程了.2002年同大大学院博士課程了.現在,東京工業大学大学院総合理工学研究科助手.2002年日本学術振興会特別研究員.2003年米国カーネギーメロン大学訪問研究員.
2004年神奈川大学ハイテクリサーチセンターポストドクター研究員.
画像の取得と再構成,イメージベースドレンダリングなどの研究に従事.

 

[講演概要]
Light Field Rendering (LFR) により任意視点画像を合成する場合,被写体の3次元構造を推定する必要はないが,光線を蜜に取得しなければならない.多数のカメラによって光線を取得する場合,カメラ間の距離をできるだけ小さくする必要があるが,ほとんどの場合において現実的に困難である.そこで,本講演では,被写体の3次元構造の推定が不要であるという利点を保ちながら,できるだけ疎な光線群から,品質を損なわない任意視点画像の合成手法の可能性を探る.本手法では,被写体が多層の平面からなると仮定し,各平面に基づいてLFRによって任意視点画像を生成する.このとき,仮定した平面に近い領域は精度よく合成されるが,それ以外の奥行きの領域にはゴーストの劣化が生じる.仮定平面の異なる多数枚の任意視点画像を多数枚の劣化画像と見なし,画像復元手法を応用して,全領域で鮮鋭な任意視点画像の再構成を試みる.

 

暗黒時代の大学に夜明けは来るか -黒船来航!官民連携の大学評価結果公表-

9月8日(木)9:00-12:00[第3イベント会場(5号館3階 5334教室)]

 
 

[全体概要]
1992年に210万人を数えた18歳人口は年を追うごとに減少し,2010年には120万人まで落ち込むと予測される.この動きは大学を直撃し,2007年には大学志願者数が入学定員を下回る,いわゆる「全入時代」に突入するのは必至だ.つまり,大学が入学者を選抜するのでなく,大学が選ばれる側に廻るのである.
90年代初めの大学設置基準大綱化を皮切りとして,「個性輝く大学」のあり方が議論され,大学を研究・教育の内容で選ぼうとする動きが高まったと言われる.学部の改組が進み,情報系の学部が急増したのもこの頃だ.しかし,この間受験生は,実際に学部の教育や研究の内容を見て大学を選んできただろうか.関心が高まったのは学部の内容ではなく,単なる学部のイメージだったのではないか.現に,90年代後半は右肩上がりだった情報系学部の人気は,ITバブルの崩壊がささやかれるとともにあっけなく後退した.学生に人気のあるのはコンテンツ制作やロボットなど,産業の実態とは結びつかないところばかりである.しかし,大学側は受験生を集めるためにこういった講座を揃えようとするため,実際に産業界で必要なネットワークや組込み系,ソフトウエアエンジニアリングなどの人材は不足するばかりだ.教育の内容で見ても,岩手県立大学や静岡大学など,情報分野で「特色ある大学教育プログラム」を取った大学ですら,受験生の減少が続いている.
ITは21世紀の産業の基盤であり,ここを担う人材の質は産業競争力全体に影響すると言っても過言でない.にもかかわらず,大学での教育は,昨年度の報告でも述べたとおり産業界とは乖離した状態にあり,先端をリードするエリート人材も,現場の即戦力となる技術者人材も生み出せていない.このような事態は,欧米のみならず,ITによる産業技術立国を目指して,産業界と大学とが一丸となって人材育成を目指すアジア諸国と比較しても大きく遅れを取っており,今後国際競争力のますますの低下は避けられないとも言える.今こそ,産業界と大学がともに真摯にこの現状と向き合い,人材育成問題に取り組むべきである.
河合塾と三菱総合研究所は,2004年度に経産省の委託事業で「学力プロファイルのミスマッチ実態調査」を行い,産業界の求める知識・技術と大学教育の内容とのミスマッチの存在を明らかにした.今回はこの手法をIT分野にも応用して,昨年度報告したIT分野の大学活動評価の具体的なランキング結果を報告する.さらに,この手法を大学活動の自己診断カルテとして活用する方法も紹介する.また,事業の一環として調査した,海外における産業界と大学とのコラボレーションによる人材育成への取り組みについても報告する.
厳しい時代の中で大学がいかに再生を図るかに資する提言を,産業界・大学の両方の立場から行っていきたいと考える.

 
 

司   会:阪田 史郎(千葉大)
1974年早稲田大学理工学部電子通信修士卒.同年NEC入社,以来同社中央研究所にて,コンピュータネットワーク,マルチメディア通信,インターネット,モバイルコンピューティング,ユビキタスシステム等の通信とコンピュータの統合領域の研究に従事.工学博士.同社パーソナルC&C研究所所長,インターネットシステム研究所所長を経て2004年より千葉大学大学院教授.1997〜1999年奈良先端科学技術大学院大学客員教授.情報処理学会フェロー.現在,電子情報通信学会理事,情報処理学会監事.著書「マルチメディアとネットワークによるグループウェア実現技術」,「マルチメディアシステム」,「モバイルコンピューティング」,「インターネットとQoS制御」,「無線LAN」,「ワイヤレス・ユビキタス」,「ユビキタスセンサネットワーク」,「情報家電プロトコル」他30余.

 
●講演:日本の産業再生のための人材の条件と大学 -東アジアの台頭への対抗は可能か[9:00 - 9:30]
 

中田 研一郎(ソニー)
一橋大学法学部卒業.1973年ソニー株式会社入社.1980年ソニー・アメリカに赴任.1988年法務部次長.1989年通商部統括部長.1992年ソニー・ヨーロッパに赴任.1999年ソニー(株)知的財産部統括部長.2001年ソニー(株)人事センターエレクトロニクス人事戦略部統括部長.2003年ソニー(株)人事センターリソースマネジメント部および東アジア人事戦略部統括部長.2004年ソニー・ヒューマンキャピタル(株)執行役員就任(兼務).

 

[講演概要]
ソニーの採用責任者の観点から
‐企業ではどんな能力が求められているのか
‐社会に出て働くために学生時代に何をしておくべきなのか
というような点について,日本のみならず中国や韓国の新卒採用の経験も含めて国際的な観点から講義をします.特に学生時代から自己実現の助走を始めることができるように,エンジニアの企業におけるキャリアプランを実例を含めて説明をする予定です.一方で企業が求める人材の教育について日本の大学は適切に応えているのかどうか日本のみならず中国,韓国における新卒採用の経験を踏まえて問題提起をしたいと思います.

 
●ポジションステートメント1:大学教育における産業ニーズと教育カリキュラムの乖離をどう縮めるか[9:30 - 9:50]
 

宮本 岩男(経済産業省)
1995年東京大学理学系研究科生物学科動物学教室修了
2002年米国ジョージタウン大学経営学修士修了
1995年通商産業省入省
2002年経済産業省製造産業局生物化学産業課課長補佐
2004年経済産業省産業技術環境局大学連携推進課課長補佐

 

[講演概要]
我が国産業競争力向上の観点から,理工系の大学教育に対する期待は高まりを示している.しかしながら,産業界からは,大学教育が産業界の技術人材養成のニーズに応えていないとの指摘がなされている.一方,大学側としては,大学が実際に教育改革を行っていくには産業界のニーズが抽象的であり,何ら具体的な教育の方向性を示すものではないと指摘されている.また,産業界は自社に必要な人材を育成するため,社内研修やOJTなどによる人材養成を重視してきたが,近年,不況や国際競争の激化により,即戦力となる人材を求めており,従来のような人材養成は方向転換を迫られつつある.
そこで,経済産業省としては,産学間のギャップを明らかにすることにより,具体的な大学教育カリキュラムの改革に繋げうるような手法の開発に取り組んできており,昨年12月,本年6月と手法開発の進捗状況に関してプレス発表を行ってきた.特に,本年6月のプレス発表においては,ITソフトウェア分野のみならずバイオ・光学・自動車・半導体の4分野にも適用範囲を拡大し,それぞれ4分野において,いかなる産学間のギャップが存在するかを明らかにすることに成功したところである.
今後,産業界と大学がこの手法を用い,産業界が必要とする人材像を明らかにするとともに,大学側のカリキュラム,学科構成を当該人材像にマッチしたものに見直すことにより,大学における教育内容が産業界のニーズを反映したものとなっていくことを期待したい.

 
●ポジションステートメント2:カリキュラムデザインの時代の到来 -評価結果の解説と使い方-[9:50 - 10:10]
 

山本 真司(河合塾)
静岡県生れ.1990年学校法人河合塾入塾.高校教員向け雑誌「ガイドライン」編集長に加え,今冬,評価と啓蒙を兼ねた,400人の学者が登場する『わかる!学問 環境・バイオの最前線-大学・研究者ランキング』,1250の学科によるランキング『わかる!学問 理科系の最先端』<共に角川書店刊>を手掛けた.他には,別冊宝島『学問の鉄人-大学教授ランキング<文科系編>』『14才と17才のBOOOKガイド』<メディアファクトリー>等.

 

[講演概要]
現在,世間には様々な大学評価があふれている.それらの多くは格付けやランキングなど, マスコミが大学をネタにして話題になるものではあるが,当の大学は,その結果に一喜一憂しても, 大学自身を何ら変えるものではない. 一方,法的に定められた評価は,大学自身が立てた目標を達成しているかどうかを測るものであって, 大学を管理するための方策とも言える.そのような中で,河合塾と三菱総研が, 2003年から行った大学評価では,初年度に試行的な格付けを公開した後, 評価の意味そのものに対する議論を深め,大学自身が活性化し, 方向性を決めていく手助けとなる評価を模索してきた. 具体的には,産業界の目指す方向を自らの中に取り入れつつ,大学そのもの, ひいては社会全体も活性化することを目指した結果,大学の競争力世界一(2000年IMD調査)を達成した フィンランドのような大学像を想定し,従来の大学の教育に加えて,産業界の発展に貢献するような カリキュラムの設計を支援するような大学評価である. そして,今回私たちは,評価の利用者である大学と産業界が重み付けを変えることで, 教育に関する議論を促すことができる評価手法を公開した(日経新聞6月25日朝刊参照,URLは下記) http://www.univinfo.jp/rating/
今回の発表では,一般の社会人も大学評価に参加できる新たな大学観・評価観に基く評価の, 思想から結果までを解説しつつ,より有効的な利用法を紹介したいと考える.

 
●ポジションステートメント3:IT産業界で真に役立つ実践的で先進的なIT技術教育を目指して
-オープンな標準技術に基づくIT技術者育成の試み[10:10 - 10:30]
 

丸山 不二夫(稚内北星学園大)
1987年から稚内に移住.「最北端は最先端」をモットーに,当時新設された稚内北星学園短大で,UNIX, C, Networkを三本の柱とする新しい情報教育を開始.インターネット,メディア統合,Javaの教育を推進する.1998年,短大学長.2000年,四大移行とともに大学学長に.2004年,東京サテライト校を設置.社会人教育を開始する.

 

[講演概要]
IT技術の急速な革新は,これまでの大学教育では顕在化することのなかったいくつかの新しい問題を浮かび上がらせています.従来の教育システムは,基本的には,学問や技術の教育内容の相対的な不変性・安定性を前提とし,青少年期の一時期を「就学期」としてもっぱら学習に専念することで,世代間の知識・技術の継承が可能であるという想定で構築されています.残念ながら,こうした教育システムは,少なくともIT技術の教育においては,十分な役割を果たすことは出来ません.講演では,社会人IT技術者を対象にした稚内北星大学の東京サテライト校の経験をベースに,新しい時代の新しい大学像を考えてみたいと思います.

 
●ポジションステートメント4:日本再生のための,社会を変える大学像
-入学者選抜から教育・研究,そして就職まで[10:30 - 10:50]
 

船曳 建夫(東大)
1948年,東京生まれ.文化人類学者.東京大学卒.ケンブリッジ大学にて人類学の博士号取得.現在,東京大学大学院総合文化研究科教授.フィールドワークを,太平洋,日本,東アジアで行なう.専門の関心は,人間の自然性と文化性の成り立ち,儀礼と演劇の表現と仕組み,近代化における文化と社会の変化.編著書に,『知の技法』(94年・東京大学出版会),『新たな人間の発見』(97年・岩波書店),『「日本人論」再考』(03年・NHK出版),『大学のエスノグラフィティ』(05年・有斐閣)などがある.

 

[講演概要]
このイベントの中心的問題は,活発に発展を遂げる産業界の人材育成の要請に,大学がよく応えていないところにある,と整理することが出来ます.しかし,この問題は「産業界」と「大学」のあいだの本質的なミスマッチから来る不可避的なものです.「産業界」とは近代の産業文明の,ここ200年の産物です.一方,大学は,農業文明以来の1000年以上の歴史を持つ集合体です.産業界が大学に人材育成や変革を要請することは,短い心拍リズムを持つネズミが,長い心拍リズムの象に,同じテンポで生きることを要求していることに他なりません.不可能ではないが難問です.
この難問にはいくつかの誤解と無理解が絡んでいます.第一に,大学とは,18歳の少年少女を22歳で社会に送り出す制度で,それは子供を大人にするだけで精一杯の期間です.第二に,大学とひとくくりに呼んでも,知的な能力と意欲において「大学生」にはふさわしくない学生を多く擁する大学が,日本の過半を占めています.第三に,大学はこれまで,「現在」よりも「未来」に属する制度として価値がありました.現在に関わる「トレーニング」は,大学人には価値が低いのです.第四に・・・,と,こうした誤解と無理解を明らかにし,その上で,具体的にどのような「大学」制度が,「産業界」という天気の変わりやすい地域で有効たり得るかを考えます.

 
●パネル討論:少子化時代の大学再生の条件[11:00- 12:00]
 

[討論概要]
1990年代以降の少子化の動きは大学を直撃し,2007年には大学志願者数が入学定員を下回る「全入時代」に突入する.90年代後半に増加傾向にあった情報系学部の人気は,ITバブル崩壊とともにあえなく後退し,学生の人気はコンテンツ制作やロボットなど,産業の実態とは結びつかない分野に集中している.大学は受験生を集めるためにこのような講座を揃えようとするため,実際に産業界で必要なネットワークや組込み系,ソフトウエアエンジニアリングなどの人材は益々不足する状況となっている.
ITは21世紀の産業の基盤であり,IT人材の質が産業競争力全体を大きく左右することはいうまでもないが,現在の大学教育は産業界とは乖離し,最先端をリードするエリート人材も,現場の即戦力となる技術者人材も生み出せていない.このような事態は,欧米のみならずアジア諸国と比較しても大きく遅れをとり,今後国際競争力の益々の低下を招く.
本パネルでは,経済産業省が,大学と産業界とのミスマッチを明らかにするために提案したIT分野の大学活動評価について,河合塾と三菱総合研究が実施したランキング結果を報告する.さらにそのもととなる先進的な企業や大学の取り組みを紹介しつつ,日本の大学が再生のために進むべき道を提示する.

 
 

司   会:阪田 史郎(千葉大)
1974年早稲田大学理工学部電子通信修士卒.同年NEC入社,以来同社中央研究所にて,コンピュータネットワーク,マルチメディア通信,インターネット,モバイルコンピューティング,ユビキタスシステム等の通信とコンピュータの統合領域の研究に従事.工学博士.同社パーソナルC&C研究所所長,インターネットシステム研究所所長を経て2004年より千葉大学大学院教授.1997〜1999年奈良先端科学技術大学院大学客員教授.情報処理学会フェロー.現在,電子情報通信学会理事,情報処理学会監事.著書「マルチメディアとネットワークによるグループウェア実現技術」,「マルチメディアシステム」,「モバイルコンピューティング」,「インターネットとQoS制御」,「無線LAN」,「ワイヤレス・ユビキタス」,「ユビキタスセンサネットワーク」,「情報家電プロトコル」他30余.

 
 

パネリスト:中田 研一郎(ソニー)
一橋大学法学部卒業.1973年ソニー株式会社入社.1980年ソニー・アメリカに赴任.1988年法務部次長.1989年通商部統括部長.1992年ソニー・ヨーロッパに赴任.1999年ソニー(株)知的財産部統括部長.2001年ソニー(株)人事センターエレクトロニクス人事戦略部統括部長.2003年ソニー(株)人事センターリソースマネジメント部および東アジア人事戦略部統括部長.2004年ソニー・ヒューマンキャピタル(株)執行役員就任(兼務).

 
 

パネリスト:船曳 建夫(東大)
1948年,東京生まれ.文化人類学者.東京大学卒.ケンブリッジ大学にて人類学の博士号取得.現在,東京大学大学院総合文化研究科教授.フィールドワークを,太平洋,日本,東アジアで行なう.専門の関心は,人間の自然性と文化性の成り立ち,儀礼と演劇の表現と仕組み,近代化における文化と社会の変化.編著書に,『知の技法』(94年・東京大学出版会),『新たな人間の発見』(97年・岩波書店),『「日本人論」再考』(03年・NHK出版),『大学のエスノグラフィティ』(05年・有斐閣)などがある.

 
 

パネリスト:丸山 不二夫(稚内北星学園大)
1987年から稚内に移住.「最北端は最先端」をモットーに,当時新設された稚内北星学園短大で,UNIX, C, Networkを三本の柱とする新しい情報教育を開始.インターネット,メディア統合,Javaの教育を推進する.1998年,短大学長.2000年,四大移行とともに大学学長に.2004年,東京サテライト校を設置.社会人教育を開始する.

 
 

パネリスト:宮本 岩男(経済産業省)
1995年東京大学理学系研究科生物学科動物学教室修了
2002年米国ジョージタウン大学経営学修士修了
1995年通商産業省入省
2002年経済産業省製造産業局生物化学産業課課長補佐
2004年経済産業省産業技術環境局大学連携推進課課長補佐

 
 

パネリスト:山本 真司(河合塾)
静岡県生れ.1990年学校法人河合塾入塾.高校教員向け雑誌「ガイドライン」編集長に加え,今冬,評価と啓蒙を兼ねた,400人の学者が登場する『わかる!学問 環境・バイオの最前線-大学・研究者ランキング』,1250の学科によるランキング『わかる!学問 理科系の最先端』<共に角川書店刊>を手掛けた.他には,別冊宝島『学問の鉄人-大学教授ランキング<文科系編>』『14才と17才のBOOOKガイド』<メディアファクトリー>等.

 

情報システムのブレイクスルー可能性を探れ!
-ベンダとユーザがwin-winで結ばれるための有効なアプローチとは?-

9月8日(木)14:30-17:30[第3イベント会場(5号館3階 5334教室)]

 
 

[全体概要]
情報システムにおいては,UML等の「モデリング技術」が拡がる一方で,パッケージソフトウェアをはじめとした「システムの"型紙化"」も着実に浸透している.いずれも「ユーザが利用"できる"システム」から「利用"したい"システム」への変化を追求するアプローチといえる.しかし現状では,ユーザが情報システムに十分満足している状況とは言い難い部分あり,またベンダにおいてもやはり収益性を確保できず苦しむ状況が見られる.一方,ビジネスの変化はそのスピードを増し,過去の経験を基礎とした「モデリング技術」「システムの"型紙化"」といった単独アプローチだけでは,変化のスピードに対応可能な情報システムを組みにくい状況も生じている.いったいこの先,ベンダとユーザがwin-winで結ばれるような情報システムのブレイクスルーはどういう形でありうるのか?欧米各国の動向も視野に入れつつ,研究者/ベンダ/ユーザの意見のクロスによって,探っていきたい.

 
 

司   会:岩田 祐一(情報通信総研)
1971年生まれ.東京大学経済学部卒業,筑波大学経営・政策科学研究科修了.1995年日本電信電話(株)入社,山梨支店,NTTコミュニケーションズ(株)財務部などを経て現在,(株)情報通信総合研究所経営研究グループ研究員.情報通信ビジネス全般の経営・財務・営業戦略調査分析を中心とした活動を行う.「米国ITビジネス企業の収益性サーベイ」(松本正雄と共著)で,第18回テレコム社会科学学生賞を受賞.

 
●講演1:情報システムのブレイクスルー可能性(1)[14:40 - 15:00]
 

堀内 一(東京国際大)
1968年〜1996年:(株)日立製作所勤務.1996年〜:東京国際大学商学部情報システム学科.2001年〜:中国国立武漢大学客員教授.主な研究・活動分野:データ中心システム設計手法,オブジェクトモデリング,メタデータ標準化,メタモデル標準化.主たる社会活動:ISO/IEC JTC1 SC32/WG2J (Metadata) 主査(1998〜).ISO/IEC JTC1 SC32 & OMG International Liaison(2000〜).情報処理学会・情報技術標準調査会「メタモデル相互運用枠組み」専門委員会主査.(財)日本規格協会「業務モデル共有技術標準化調査研究委員会」委員長(1998〜).(財)日本規格協会,IT標準化戦略会議委員(2003〜).NPO:UMLモデリング推進協議会副会長(2003〜).DOA+コンソーシアム副代表(2003〜).ISO/IEC JTC1SC32 & ebXMLアジア委員会合同プロジェクト「レジストリ連携」議長(2003〜).情報システム学会理事(2005〜).主要著書:オブジェクト共有技術,(共著,オーム社,2003年).データ中心システム設計(オーム社,1990).オブジェクト指向入門(共著,オーム社,1991).データベースシステムの設計と開発(オーム社,1983).オブジェクト指向システム設計(共著,オーム社,1993).情報資源管理ハンドブック(共著,小学館,1992).パターンアナリシス(監修,アジソンウエスレイジャパン,1998).情報システムのコントロール設計(共訳,日経BP,1988)など.

 

[講演概要]
立場:IT関係標準化(ISO SC32委員)モデリング技術普及(UMTP)
主張・論点:モデリングとは,ビジネス連携とモデル共有,ビジネスベストプラクティスのモデル化,ユーザ企業情報システム部門の復権,アウトソーシングとオフショアリングの要件,ソフトウェアビジネスの透明化,ビジネスプロセスの可視化.

 
●講演2:情報システムのブレイクスルー可能性(2)[15:05- 15:25]
 

大根田 秀雄(富士通)
1975年,東京理科大・理・応用数学科卒,同年富士通(株)入社.以来,流通業界における情報システム企画,構築ならびに,同分野におけるコンサルティングビジネスに従事.現在,コンサルティング事業本部プリンシパルコンサルタント(流通統括).
共著「流通ネットワーキング革命」他,中国商報記事連載,電子情報通信学会会報誌VOL. 86, No. 5 執筆など.現繊維ファッションSCM推進協議会システム小委員会委員.

 

[講演概要]
ITが,経営の要のひとつと認知されたことは,昨今の経営者の方々の口から「IT活用」という言葉が普通に出て来られることからも伺えよう.しかしながら,一方では,「IT投資には漠然とした不満」を持たれているとい声も聞こえてくる.そこで,本講演では,その要因について語るとともに,ベンダーとしてどのような取り組みを行おうとしているかについて,その一端を紹介する.具体的には,お客様サイドのトップ,現場,情報システム部門の利害関係の変化や,RFP作成そのものの質の課題などを提示するとともに,ベンダーサイドとしてのSIビジネスモデルの変革への取り組みや,そこでのギャップなどについて言及する.それにより,お客様サイドとベンダーサイドでの課題を浮き彫りにしたいと考えている.そして,その課題に対する取り組みの成否が,今後のWIN-WINの関係構築に大きな影響を与えるであろうことを議論の題材として提供したい.

 
●講演3:情報システムのブレイクスルー可能性(3)[15:30 - 15:50]
 

伊東 暁人(静岡大)
1984年静岡大学人文学部経済学科卒業、1991年 筑波大学大学院経営・政策科学研究科経営システム科学専攻修了.1984-92年 三井情報開発(株)勤務、おもに大規模なDBによる検索システムや会計システムの開発に従事.1992-現在静岡大学人文学部経済学科講師、助教授を経て教授.この間、1996-97年カナダ・アルバータ大学客員研究員.経営情報学会会員(2003-04年度理事).
静岡県デジタルメディアの行政活用と産業振興に関する懇談会委員.

 

[講演概要]
さまざまな調査を見ると,SI企業やSWベンダーの努力にも関わらずユーザーの情報システムに対する満足度は必ずしも高くない.従来から議論されているように,ユーザー側の要求仕様はなかなか定まらず,たとえユーザーの提示した仕様どおりシステムを開発しても高い満足度は得られていないのである.一方で,地方中小企業の調査を見ると,経営戦略として生き残りをかけた差別化を指向しながらも,情報化では効率化さえもなかなか達成しきれていない実態が窺える.ユーザー側の「もどかしさ」と開発側の不満,それらを十分に解決することができていないソフトウェア工学のさまざまな技法...今回は,要求仕様を静的に確定しなければビジネスとしてシステム開発ができないのに対して,現実のビジネス環境が動的に変化していることから発生する問題やユーザーの「学習」という視点を導入した開発方法のありかたなどを議論したい.

 
●講演4:情報システムのブレイクスルー可能性(4) 〜ユーザーの立場:損保ジャパンの場合〜[15:55 - 16:15]
 

黒木 美和(損保ジャパン)
1981年東京工業大学卒業.同年日本電気株式会社に入社.公共システムのSEとして9年間従事.1990年旧安田火災海上株式会社に入社.主にシステム企画業務に従事.現在は,株式会社損害保険ジャパンIT企画部システム調査役.情報処理技術者システム監査,システムアナリスト保有.
以下のシステムのプロジェクトリーダを勤め,常に新技術の採用に取り組んできた.
・コールセンターシステム構築
・コンシューマ向けインターネットサービス基盤構築
・64ビットLINUXを採用した本社EUCシステム構築

 

[講演概要]
ユーザー企業の立場で,情報システムの位置づけ,期待する役割,構築手法について言及する.
保険業界でも自由化・規制緩和及び海外や他業種からの参入等,ビジネス環境が大きく変革しており,厳しい経営環境である.このような中で情報システムに求められる役割は,経営戦略の具現化ツールそのものである.当然コスト削減も同時に要求される厳しいものである.
当社は,これまで以下の取り組みを行ってきた.
・EUCの仕組みの導入と推進
・基幹系へのWindowsの採用
・ビジネスロジックの正規化・部品化
・ITILの導入
ますます多様化するビジネスニーズに対応するためには,さらなるスピード化,効率化が必要である.今後の課題としては,上流工程の可視化,標準化である.モデリング技術がどこまで有効化を見極める必要がある.

 
●パネル討論:情報システムのブレイクスルー可能性を探れ![16:20 - 17:20]
 

[討論概要]
いったいこの先,ベンダとユーザがwin-winで結ばれるような情報システムのブレイクスルーはどういう形でありうるのか?以下を論点の一例としつつ,研究者/ベンダ/ユーザ等,様々な立場からの意見のクロスによって,探っていきたい.
・情報システムに対するユーザの満足度に関する見方
・情報システムベンダーの収益性に対する見方
・ビジネスの変化スピード/状況に対する見方,ならびにそれに対応するシステム構築アプローチの良し悪し/問題点(モデリング,型紙化 etc. その他各種プログラミング技法なども視野に)
・ベンダとユーザのwin-win関係が可能な,情報システム構築アプローチは何か?

 
 

司   会:岩田 祐一(情報通信総研)
1971年生まれ.東京大学経済学部卒業,筑波大学経営・政策科学研究科修了.1995年日本電信電話(株)入社,山梨支店,NTTコミュニケーションズ(株)財務部などを経て現在,(株)情報通信総合研究所経営研究グループ研究員.情報通信ビジネス全般の経営・財務・営業戦略調査分析を中心とした活動を行う.「米国ITビジネス企業の収益性サーベイ」(松本正雄と共著)で,第18回テレコム社会科学学生賞を受賞.

 
 

パネリスト:伊東 暁人(静岡大)
1984年静岡大学人文学部経済学科卒業、1991年 筑波大学大学院経営・政策科学研究科経営システム科学専攻修了.1984-92年 三井情報開発(株)勤務、おもに大規模なDBによる検索システムや会計システムの開発に従事.1992-現在静岡大学人文学部経済学科講師、助教授を経て教授.この間、1996-97年カナダ・アルバータ大学客員研究員.経営情報学会会員(2003-04年度理事).
静岡県デジタルメディアの行政活用と産業振興に関する懇談会委員.

 
 

パネリスト:大根田 秀雄(富士通)
1975年,東京理科大・理・応用数学科卒,同年富士通(株)入社.以来,流通業界における情報システム企画,構築ならびに,同分野におけるコンサルティングビジネスに従事.現在,コンサルティング事業本部プリンシパルコンサルタント(流通統括).
共著「流通ネットワーキング革命」他,中国商報記事連載,電子情報通信学会会報誌VOL. 86, No. 5 執筆など.現繊維ファッションSCM推進協議会システム小委員会委員.

 
 

パネリスト:黒木 美和(損保ジャパン)
1981年東京工業大学卒業.同年日本電気株式会社に入社.公共システムのSEとして9年間従事.1990年旧安田火災海上株式会社に入社.主にシステム企画業務に従事.現在は,株式会社損害保険ジャパンIT企画部システム調査役.情報処理技術者システム監査,システムアナリスト保有.
以下のシステムのプロジェクトリーダを勤め,常に新技術の採用に取り組んできた.
・コールセンターシステム構築
・コンシューマ向けインターネットサービス基盤構築
・64ビットLINUXを採用した本社EUCシステム構築

 
 

パネリスト:堀内 一(東京国際大)
1968年〜1996年:(株)日立製作所勤務.1996年〜:東京国際大学商学部情報システム学科.2001年〜:中国国立武漢大学客員教授.主な研究・活動分野:データ中心システム設計手法,オブジェクトモデリング,メタデータ標準化,メタモデル標準化.主たる社会活動:ISO/IEC JTC1 SC32/WG2J (Metadata) 主査(1998〜).ISO/IEC JTC1 SC32 & OMG International Liaison(2000〜).情報処理学会・情報技術標準調査会「メタモデル相互運用枠組み」専門委員会主査.(財)日本規格協会「業務モデル共有技術標準化調査研究委員会」委員長(1998〜).(財)日本規格協会,IT標準化戦略会議委員(2003〜).NPO:UMLモデリング推進協議会副会長(2003〜).DOA+コンソーシアム副代表(2003〜).ISO/IEC JTC1SC32 & ebXMLアジア委員会合同プロジェクト「レジストリ連携」議長(2003〜).情報システム学会理事(2005〜).主要著書:オブジェクト共有技術,(共著,オーム社,2003年).データ中心システム設計(オーム社,1990).オブジェクト指向入門(共著,オーム社,1991).データベースシステムの設計と開発(オーム社,1983).オブジェクト指向システム設計(共著,オーム社,1993).情報資源管理ハンドブック(共著,小学館,1992).パターンアナリシス(監修,アジソンウエスレイジャパン,1998).情報システムのコントロール設計(共訳,日経BP,1988)など.

 

クラスタコンピュータはどうなってくの?

9月9日(金)9:00-12:00[第3イベント会場(5号館3階 5334教室)]

 
 

[全体概要]
現在,複数台の高性能PCをラックに組み込み,そのラック内,ラック間を高速ネットワークで接続したクラスタシステムが,高性能計算やデータベースサーバとして活用されています.その性能を左右するものとして,ネットワークインタフェースが重要な要素となります.これらのクラスタ間の接続や同フロア,建物内の高速ネットワーク環境は,SAN(System Area Network)と呼ばれています.このパネル討論では,いくつかの主要なネットワークインタフェースベンダー,クラスタユーザ,クラスタコンピューティング研究者や開発者等にお集まりいただき,廉価版からスーパコンピュータクラスまで,クラスタコンピュータの今後の方向性について,ネットワークインタフェースを中心に議論する予定です.

 
 

司   会:中條 拓伯(農工大)
1961年生まれ.1985年神戸大学工学部電気工学科卒業.1987年神戸大学大学院工学研究科修了.1989年神戸大学工学部助手を経て,現在,東京農工大学大学院共生科学技術研究部部助教授.1998年より1年間イリノリ大学アーバナシャンペーン校 Center for Supercomputing Research and Development (CSRD)にて,Visiting Research Assistant Professor.

 
●講演1:クラスタコンピュータ!その魅力[9:00- 9:10]
 

中條 拓伯(農工大)
1961年生まれ.1985年神戸大学工学部電気工学科卒業.1987年神戸大学大学院工学研究科修了.1989年神戸大学工学部助手を経て,現在,東京農工大学大学院共生科学技術研究部部助教授.1998年より1年間イリノリ大学アーバナシャンペーン校 Center for Supercomputing Research and Development (CSRD)にて,Visiting Research Assistant Professor.

 
●講演2:高性能PCクラスタ構築用ハードウェアの近未来像[9:10 - 9:25]
 

田邊 昇(東芝)
1963年生まれ.1985年横浜国立大学工学部電子情報工学科卒業.1987年横浜国立大学大学院工学研究科修士課程修了.同年(株)東芝入社.1998年新情報処理開発機構つくば研究センターに出向.2001年東芝研究開発センター,コンピュータ・ネットワークラボラトリーに帰任し,現在に至る.その間,超並列計算機,PCクラスタ用ネットワークインタフェース,プリフェッチ機能付メモリモジュールの研究開発に従事.博士(工学).

 
●講演3:10Gbit Ethernet の戦略[9:25 - 9:40]
 

住元 真司(富士通研)
1986年同志社大学工学部電子工学科卒業.同年富士通入社.富士通研究所にて並列OS,並列分散OSの研究開発に従事.1997年より新情報処理開発機構に出向.SCoreクラスタシステムソフトウェア上の高速通信機構の研究開発に従事.
2002年より富士通研究所にて高速通信機構の研究開発に従事、理科学研究所クラスタなど大規模PCクラスタの基盤技術開発を担当、情報処理学会2000年度論文賞受賞,工学博士(慶応大学大学院理工学研究科).

 
●講演4:Myrinet の戦略[9:40 - 9:55]
   

柴崎 勝憲(住商エレクトロニクス)
1993年3月大阪電気通信大学工学部卒業.1993年4月住商エレクトロニクス株式会社入社.入社後超並列計算機 nCUBE2 の技術関連業務を担当.1995年頃よりMyrinetやPCクラスタの技術関連業務を担当.現在は主にPCクラスタを中心とするCAE計算サーバの技術関連業務を担当.

 
●講演5:InfiniBandの戦略[9:55- 10:10]
 

Michael Kagen(Mellanox Technologies)
Michael Kagan has over 16 years of experience in leading architecture, design and validation of VLSI products at Intel. In his last position at Intel, as Chief Architect in the Basic Microprocessor Division, he was responsible for the definition of an entire PC platform (microprocessor, chipset, and graphics accelerator) for next-generation products targeted at the low cost market segment. He was responsible for both the architectural definition of next generation Intel products and directing the design team to assure effective implementation. He built and led a highly qualified architecture team of 25 top experts in microprocessors' and system architecture.
Prior to this he led architecture and development of various Intel processors. He managed the design of the Pentium/MMX processor, setting the benchmark for developing clean products and record-fast ramps to production. He was chief architect of i860XP processor and was a key player in major architecture task forces at Intel (i386, i486, Pentium and PentiumPro platforms). He led the definition of i860XP and Pentium system bus. He was a team leader in the 64-bit architecture instruction set definition team, and the definition team of Intel's next generation Massively Parallel Processing computer.
In 1991 he earned the highest distinction award by Intel - the Intel Achievement Award - for the i860XP microprocessor design. He holds 6 patents on processor architecture, micro-architecture and system designs with 4 patents pending. Mr. Kagan holds B.Sc.E.E from the Technion in Israel.

 
●講演6:クラスタコンピュータヘビーユーザとして[10:10 - 10:25]
 

吉瀬 謙二(電通大)
1995年名古屋大学工学部電子工学科卒業.2000年東京大学大学院情報工学専攻博士課程修了.工学博士.
同年電気通信大学大学院情報システム学研究科助手.計算機アーキテクチャ,並列処理に関する研究に従事.

 
●講演7:教育の現場でのクラスタコンピュータ[10:25 - 10:40]
 

廣安 知之(同志社大)
同志社大学工学部知識工学科助教授.1997年早稲田大学理工学研究科後期博士課程終了2003年より現職.
1998年から小規模なPCクラスタの構築を開始し,2003年にはAMD社のOpteronを利用した256ノード,512CPUからなるPCクラスタ,SuperNovaを構築.Super Computing Site Top 500の2003年11月のリストで日本最速のPCクラスタとなる.進化的計算,最適設計,並列処理,設計工学などの研究に従事.

 
●パネル討論:クラスタコンピュータ・・・どう使えばいいの?[10:50 - 12:00]
 
 

司   会:中條 拓伯(農工大)
1961年生まれ.1985年神戸大学工学部電気工学科卒業.1987年神戸大学大学院工学研究科修了.1989年神戸大学工学部助手を経て,現在,東京農工大学大学院共生科学技術研究部部助教授.1998年より1年間イリノリ大学アーバナシャンペーン校 Center for Supercomputing Research and Development (CSRD)にて,Visiting Research Assistant Professor.

 
 

パネリスト:吉瀬 謙二(電通大)
1995年名古屋大学工学部電子工学科卒業.2000年東京大学大学院情報工学専攻博士課程修了.工学博士.
同年電気通信大学大学院情報システム学研究科助手.計算機アーキテクチャ,並列処理に関する研究に従事.

 
   

パネリスト:柴崎 勝憲(住商エレクトロニクス)
1993年3月大阪電気通信大学工学部卒業.1993年4月住商エレクトロニクス株式会社入社.入社後超並列計算機 nCUBE2 の技術関連業務を担当.1995年頃よりMyrinetやPCクラスタの技術関連業務を担当.現在は主にPCクラスタを中心とするCAE計算サーバの技術関連業務を担当.

 
 

パネリスト:住元 真司(富士通研)
1986年同志社大学工学部電子工学科卒業.同年富士通入社.富士通研究所にて並列OS,並列分散OSの研究開発に従事.1997年より新情報処理開発機構に出向.SCoreクラスタシステムソフトウェア上の高速通信機構の研究開発に従事.
2002年より富士通研究所にて高速通信機構の研究開発に従事、理科学研究所クラスタなど大規模PCクラスタの基盤技術開発を担当、情報処理学会2000年度論文賞受賞,工学博士(慶応大学大学院理工学研究科).

 
 

パネリスト:田邊 昇(東芝)
1963年生まれ.1985年横浜国立大学工学部電子情報工学科卒業.1987年横浜国立大学大学院工学研究科修士課程修了.同年(株)東芝入社.1998年新情報処理開発機構つくば研究センターに出向.2001年東芝研究開発センター,コンピュータ・ネットワークラボラトリーに帰任し,現在に至る.その間,超並列計算機,PCクラスタ用ネットワークインタフェース,プリフェッチ機能付メモリモジュールの研究開発に従事.博士(工学).

 
 

パネリスト:廣安 知之(同志社大)
同志社大学工学部知識工学科助教授.1997年早稲田大学理工学研究科後期博士課程終了2003年より現職.
1998年から小規模なPCクラスタの構築を開始し,2003年にはAMD社のOpteronを利用した256ノード,512CPUからなるPCクラスタ,SuperNovaを構築.Super Computing Site Top 500の2003年11月のリストで日本最速のPCクラスタとなる.進化的計算,最適設計,並列処理,設計工学などの研究に従事.

 
 

パネリスト:Michael Kagen(Mellanox Technologies)
Michael Kagan has over 16 years of experience in leading architecture, design and validation of VLSI products at Intel. In his last position at Intel, as Chief Architect in the Basic Microprocessor Division, he was responsible for the definition of an entire PC platform (microprocessor, chipset, and graphics accelerator) for next-generation products targeted at the low cost market segment. He was responsible for both the architectural definition of next generation Intel products and directing the design team to assure effective implementation. He built and led a highly qualified architecture team of 25 top experts in microprocessors' and system architecture.
Prior to this he led architecture and development of various Intel processors. He managed the design of the Pentium/MMX processor, setting the benchmark for developing clean products and record-fast ramps to production. He was chief architect of i860XP processor and was a key player in major architecture task forces at Intel (i386, i486, Pentium and PentiumPro platforms). He led the definition of i860XP and Pentium system bus. He was a team leader in the 64-bit architecture instruction set definition team, and the definition team of Intel's next generation Massively Parallel Processing computer.
In 1991 he earned the highest distinction award by Intel - the Intel Achievement Award - for the i860XP microprocessor design. He holds 6 patents on processor architecture, micro-architecture and system designs with 4 patents pending. Mr. Kagan holds B.Sc.E.E from the Technion in Israel.

 

分子計算のしくみ

9月9日(金)13:00-16:00[第3イベント会場(5号館3階 5334教室)]

 
 

[全体概要]
「分子計算」は,DNA,RNA,タンパク質等の生体分子の形態変化・自己会合・拡散・変異等の化学反応を活用して,並行並列・分散・自己組織化・進化等の情報処理機構を実現することである.1994年にAdlemanがDNA分子を用いたハミルトンパス問題の解法を示してから,分子計算の研究は盛んに行われている.本チュートリアルでは,分子計算の概念や,実現している情報処理機構を解説する.また,生体分子やその化学反応を設計する上での情報科学的な問題についても解説する.さらに,今後の分子計算の方向性として.計算論的ナノテクノロジーおよび構成的生物学の紹介を行う.

 
 

司   会:山下 雅史(九大)
1980年名古屋大学工学研究科博士課程後期単位取得退学,1981年工学博士.1980年豊橋技術科学大学助手,1985年広島大学工学部助教授,1992年同教授,1998年以降九州大学システム情報科学研究院教授.
この間,たびたびSimon Fraser大学やWisconsin大学の客員研究員を勤める.主要な研究テーマは,分散システムの基礎理論.電子情報通信学会,情報処理学会,日本応用数理学会,IEEE,ACMの会員.

 
●講演1:分子コンピューティングと分子プログラミング[13:00 - 14:15]
 

萩谷 昌己(東大)
1982年東京大学大学院理学系研究科情報科学専攻修士課程修了.京都大学数理解析研究所を経て,現在,東京大学大学院情報理工学系研究科教授(コンピュータ科学専攻).検証などプログラミングやソフトウェアの基礎に関する研究を行うかたわら,新しい計算パラダイム,特に分子コンピューティングの研究を行っている.

 

[講演概要]
DNAコンピュータやDNAナノテクノロジーを中心に,最近の分子コンピューティングの研究動向について概観する.分子コンピューティングの研究は「計算論的ナノテクノロジー」と言うべき方向へ展開している.「計算論的」という言葉には二つの意味がある.一つは,分子反応に対して「計算」という視点を与え情報処理機能を持った分子システムを構築することである.もう一つは,分子システムの構築において各種の情報処理技術を活用することである.特に,分子システムのシステマティックな設計論を「分子プログラミング」と呼ぶ.本講演においては、上述した分子コンピューティングの研究動向を概観するととともに,その計算論的な技術を中心に解説を行う.特に,DNAの配列セットやDNAを用いた構造分子の設計方法を紹介する.また,計算論的な技術の基盤となるべき各種の計算モデルについても触れる.

 
●講演2:DNAナノテクノロジー  -DNAタイルによる自己組織的ナノ構造制御-[14:30 - 15:15]
 

山本 雅人(北大)
1968年札幌市生まれ.1991年3月北海道大学工学部情報工学科卒業.1996年3月北海道大学大学院工学研究科システム情報工学専攻博士後期課程修了.博士(工学).日本学術振興会特別研究員(PD),北海道大学大学院工学研究科助手を経て,2000年4月北海道大学大学院工学研究科助教授.2000年から2003年まで科学技術振興事業団さきがけ21協調と制御」領域研究員兼任.2004年11月より2005年3月までデューク大学客員研究員.2003年10月より有限会社ソリューションテクノロジー取締役兼任.2004年4月より現職の北海道大学大学院情報科学研究科助教授.

 

[講演概要]
複数の一本鎖DNAを交叉しながら相補結合させることで,平面的なタイル構造(DNAタイル)を作ることができる.各DNAタイルは複数の粘着末端(一本鎖DNA)を持っており,他のタイルの相補的な粘着末端と特異的に結合することで,より大きな構造を形成することが可能である.粘着末端部を適切に変えて(プログラムして)DNAタイルを自己組織的に反応させることで,さまざまな構造やタイルパターンの生成を制御する試み(DNAナノテクノロジー)が注目されている.本講演では,これまで提案されているいくつかのDNAタイルモデルを取り上げ,特に,2種類のDNAタイルを用いたフラクタルパターンや2進カウンタの形成に関する実験的な試みなどについて,その実現方法,課題や今後の展望について紹介する.

 
●講演3:自律的に動作するDNAコンピュータ=生体高分子を組み合わせた『人工生命』[15:15 - 16:00]
 

木賀 大介(東工大)
1971年生(34歳).1999年3月東京大学大学院理学系研究科博士課程生物化学専攻単位取得の上退学.1999年12月博士(理学)取得(東京大学).1999年4月科学技術振興事業団横山情報分子プロジェクト研究員.2001年10月理化学研究所ゲノム科学総合研究センターリサーチアソシエイト.2003年9月東京大学先端科学技術研究センター科学技術振興特任研究員.2004年9月東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻生命環境科学系陶山研究室助手.2005年4月東京工業大学大学院総合理工学研究科知能システム科学専攻助教授.

 

[講演概要]
DNA計算の研究は,生体高分子が持つ様々な特性を利用する可能性を秘めていたが,当初は,データを超並列的に検索できる点に注目が集められていた.演者らは,この観点にとどまらず,生命という自律的に動作するシステムを構成するDNA・RNA・タンパク質を用いている以上,自律的に動作する演算システムを人工構成できるはずである,という観点から,研究を行ってきた.さらに最近では,入力を生命が生産した分子とし,出力も生命が利用可能な分子とする,自律型演算システムの構築に成功している.このような「天然の生命と親和性を持つ」自律型生体高分子コンピュータの構築は,生命の持つ様々な特性のうち,環境からの情報を処理して反応を行う,という点に特化した「人工生命」を創り出しているともいえる.この構築は,情報科学の研究としての側面を持つと同時に,医学的応用も可能であり,さらには,科学としての生物学研究の新たな分野,「構成的生物学(合成生物学)」の手段ともなっている.

 

FIT2005 論文賞セッション

9月7日(水)10:00-14:30[第4イベント会場(5号館3階 5335教室)]

 
●午前の部[10:00-12:00]
ひとつの高適合文書を高精度に検索するタスクのための評価指標[10:00 - 10:30]
  ○酒井哲也(東芝)
 
テンス・アスペクト・モダリティの翻訳における機械翻訳システムの誤りの調査 [10:30 - 11:00]
  ○村田真樹・内元清貴(NICT)・馬 青(龍谷大/NICT)・金丸敏幸(京大/NICT)・井佐原 均(NICT)
 
携帯電話用プロセッサで動作する大語彙連続音声認識の並列処理[11:00 - 11:30]
  ◎石川晋也・山端 潔・磯谷亮輔・奥村明俊(NEC)
 
仮想音環境のための頭部伝達関数コーパス[11:30 - 12:00]
  ◎渡邉貫治(山梨大)・岩谷幸雄・行場次朗・鈴木陽一(東北大)
 
●午後の部[13:00-14:30]
生成・識別ハイブリッドモデルに基づく半教師あり学習[13:00-13:30]
  ○藤野昭典・上田修功・斉藤和巳(NTT)
 
拡張現実感のための実画像のぼけ推定に基づく画像合成手法[13:30 - 14:00]
  ◎奥村文洋・神原誠之・横矢直和(奈良先端大)
 
表情譜:タイミング構造に基づく表情の記述・生成・認識[14:00 - 14:30]
  ◎川嶋宏彰・西山正紘・松山隆司(京大)
 

安全・安心のための情報技術 -医療,原子力,宇宙航空を題材として-

9月8日(木)9:00-12:00[第4イベント会場(5号館3階 5335教室)]

 
 

[全体概要]
航空機や原子力の世界では,事故の詳細なデータベースを作り,重大事故の解析や予測を行って,安全性を高める試みが活発化してきた.また,デジタル化が更に進んだ医学分野では,予防医学や医療事故の問題から個人レベルでの管理を視野に置いたデータベースが作られ始め,Evidence-based Medicineという考え方も広がりつつある.しかし,貴重な経験がデータベース化によって直ちに産業やサービスの現場に活用できるとは限らず,まだ先見的に未来の予測に役立つ例は極めて少ないと言える.情報科学技術は安全安心社会実現のためのキーテクノロジーであるが,単に解法や技術を提供するだけでなく,安全・安心の問題の根源を深く理解し,真に社会の安全と安心に資する情報技術を構築することが求められる.
本パネル討論では,安全と安心がとりわけ重要なキーワードとなる,医療分野,原子力分野,宇宙航空分野において安全・安心の問題に従事している専門家を招くとともに,広い分野に渡り失敗事例を集め,そこから一般的な教訓を引き出そうという失敗知識データベースの構築,データベースを用いた知の構築とメンテナンス,暗黙知のコミュニケーションなどの先駆的な研究に取り組んでいる情報科学技術者を招き,安全と安心の現場においてどのような問題があるかを具体的に討論し,将来の共同プロジェクトなどへの発展の道を探る.

 
 

司   会:岩田 修一(東大)
1970年東京大学工学部原子力工学科卒,綜合試験所冶金方面研究室,西独FIZ-Karlsruhe客員研究員,原子力工学科,人工物工学研究センター,システム量子工学専攻等を経て,現在,新領域創成科学研究科環境学専攻教授.合金設計,材料設計,設計科学,人工物工学,情報学等の研究に従事.ICSU科学技術データ委員会(CODATA)の会長に就任し,「社会における適正な意志決定」のための国際的活動を展開中である.

 
●講演1:航空機業界におけるヒヤリハット[9:00 - 9:30]
 

河内 啓二(東大)
東京大学大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻教授.
1970年東京大学工学部航空学科卒業.1975年同大学工学系研究科博士課程修了.工学博士.1975年-1981年科学技術庁航空宇宙技術研究所研究員.1981年-1991年東京大学工学部助教授.1991年-東京大学工学部教授.
専門領域:飛行力学,生物の飛行・泳法,ヘリコプタ工学.

 

[講演概要]
民間航空輸送は国際的な基準の世界である.使用する機体も各国共通であるし,操縦士の免許,整備の方法もほとんど同じである.従って,安全のための情報制度も成熟した部分は,各国でよく似ている.このような情報組織として歴史的に古く,かつ最も有効に機能しているのは,事故調査である.事故が起こってしまってからの対策となるが,再発の防止,技術的問題の解明,システムの整備等に大きな貢献をしてきた.また,事故原因の究明課程で危険箇所を認識し,事故原因に直接関係がなくても,予防的に有効な対策がとられたことが多い.
航空機事故の悲惨さから,事故発生前に事故を予測し対策を講じたいという願いは当然生ずる.事故寸前の重大インシデントと呼ばれるケースも,事故に準じて事故調査委員会で取り扱われるようになってきた.さらに近年では,ヒヤリハットと呼ばれる軽度なミスもデータベース化し,事故防止に役立てようとしている.しかし,事象が軽度になればなるほど,その取捨選択,データの取得方法,公開方法等が難しくなり,各国バラバラの特徴を持った組織が試行錯誤を伴って運営されている.本講演では以上のような安全に関する情報組織の有効性と問題点を考察する.

 
●講演2:原子力における安全と安心そのための情報技術[9:30 - 10:00]
 

佐藤 一男(原子力安全研究協会)
1933年福島県生れ.
1957年東京大学工学部電気工学科卒業.日本原子力研究所入所.
1989〜1992年日本原子力研究所理事.1993年原子力安全委員会委員.
1998〜2000年同上委員長.2002年原子力安全研究協会理事長.2003年旭日重光賞受賞.

 

[講演概要]
1990年代後半頃からのわが国の原子力施設の事故やトラブルのほとんどには共通する要因があり,それは組織内の安全意識の風化と倫理の頽廃,すなわち安全文化の欠除である.
一方,安全の問題は基本的には技術的問題であるが,国民が求めているのは技術的解決よりは安心の提供である.安心とはつまりは信頼感ということで,このためには従前以上に優れた安全の実績はもとより,更に情報の提供,意志決定過程の透明化,そして国民の参加の促進が重要である.このためには,多様な形態でのコミュニケ-ションが試みられてきており,例えば原子力委員会,原子力安全委員会,原子力安全・保安院などの決定事項その他の情報は,遅滞なくインタ-ネットなどを通じて広く公表されている.また,電力会社などの事業者も広報紙の頒布など努力を重ねている.しかしこれらの活動のあり方,内容などを含め,更なる見直しと改善が必要であることも認識されている.

 
●講演3:生命科学からの発想による情報科学の医療応用[10:00 - 10:30]
 

辰巳 治之(札幌医大)
1956年生まれ.1982年:山形大学医学部卒.1984年:大阪大学助手医学部解剖学.1989年:札幌医科大学助教授解剖学.1995年:札幌医科大学教授解剖学.医師免許証1982年取得,医学博士(1987年:大阪大学).専門分野:解剖学,情報科学.
NPO 北海道地域ネットワーク協議会(NORTH) 代表.NPO 日本インターネット医療協議会理事長.NPO 日本医療情報ネットワーク協会 副理事長.NPO 札幌シニアネット・小樽しりべしシニアネット顧問.PML研究会会長賞:北海道医師会賞受賞,北海道知事賞,表彰:北海道総合通信局長.

 

[講演概要]
形態学の立場から生命科学の不思議を解明し,その知恵を現代社会,特に医療の分野に応用しようとしている.また,ミクロレベルからマクロレベル(molecularから,人体,社会)まで視野にいれ,複雑なものを解剖し単純化することにより理解を深め,さらにfragmentalな情報を統合化し真理の追究を行っている.人類の発達史をみると,言葉を使うようになり所謂「動物」と区別されるようになった.そして,Cogito ergo sum.細胞が細胞を意識し研究するようになったのである.さらに,文字,紙,活版印刷,交通・通信技術が発達し現在に至っている.これを生命科学の立場から見ると,人類の発達は,脳(神経系)の発達の歴史であり,情報科学の歴史でもある.このような発想から先進的情報技術をフル利活用した究極の医療を実現しようと考えている.即ち,情報薬をつくりタイムリーに処方する「戦略的防衛医療構想」で,これを分かりやすく表現すると「ゼロクリックによる,どこでも逆ナースコール」である.

 
●パネル討論:ノイズとシグナルの違い[10:30 - 12:00]
 

[討論概要]
さまざまな現場の情報のデータベースが急速に進んでいるが,折角の貴重なデータも直ちに産業やサービスの現場に活用された例は少なく,また先見的に未来の予測に役立つ例は極めて少ない.情報科学技術は安全安心社会実現のためのキーテクノロジーであるが,単に解法や技術を提供するだけでなく,安全・安心の問題の根源を深く理解し,真に社会の安全と安心に資する情報技術を構築することが求められる.
本パネル討論では,安全と安心がとりわけ重要なキーワードとなる,医療分野,原子力分野,宇宙航空分野における安全・安心の問題の本質を明らかにしている専門家の講演を受けて,データベースを用いた知の構築とメンテナンス,暗黙知のコミュニケーションなどの先駆的な研究に取り組んでいる情報科学技術者を招き,安全と安心の現場においてどのような問題があるかを具体的に討論し,将来の共同プロジェクトなどへの発展の道を探る.

 
 

司   会:岩田 修一(東大)
1970年東京大学工学部原子力工学科卒,綜合試験所冶金方面研究室,西独FIZ-Karlsruhe客員研究員,原子力工学科,人工物工学研究センター,システム量子工学専攻等を経て,現在,新領域創成科学研究科環境学専攻教授.合金設計,材料設計,設計科学,人工物工学,情報学等の研究に従事.ICSU科学技術データ委員会(CODATA)の会長に就任し,「社会における適正な意志決定」のための国際的活動を展開中である.

 
 

パネリスト:伊関 洋(東京女子医大)
1979年東京大学医学部卒業.1996年東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科講師.2001年東京女子医科大学先端生命医科学研究所(大学院医学研究科先端生命医科学系専攻先端工学外科学分野)助教授,脳神経外科助教授(兼任).医学博士,脳神経外科専門医.脳神経外科学会評議員,コンピュータ外科学会理事,日本バーチャルリアリティー学会,日本エム・イー学会.
コンピュータ外科・精密誘導手術・医療安全工学研究を主体に活動.

 
 

パネリスト:大澤 幸生(筑波大)
1995年東京大学大学院・工学系研究科において博士(工学)取得.大阪大学助手を経て1999年より筑波大学ビジネス科学研究科助教授.この間,科学技術振興事業団研究員,東京大学情報理工学研究科特任助教授,ATR客員研究員など歴任.人工知能の研究・教育を経て,2000年ごろより,人がチャンスを発見するのを支援する手法を研究.ビジネスや医療のプロに仕事上でのチャンス発見をもたらし,成果は実益を生み出している.新しい研究を進めつつ,チャンス発見コンソーシアムなどを通じ,国内外で講演・技術普及活動中.

 
 

パネリスト:西田 豊明(京大)
1977年京都大学工学部卒業.1979同大学院修士課程修了.1999年東京大学大学院工学系研究科教授を経て,2004年4月京都大学大学院情報学研究科教授.学術創成研究費研究「人間同士の自然なコミュニケーションを支援する知能メディア技術」代表者,社会技術研究開発センター「会話型知識プロセス」グループリーダーとして,会話情報学,社会知のデザインの研究に従事.Social Intelligence Design国際ワークショップ創設者.

 
 

パネリスト:古田 一雄(東大)
1986年東京大学大学院工学系研究科博士課程修了(工学博士),同年電力中央研究所入所,1987年東京大学工学部講師,1989年同助教授,1999年東京大学大学院新領域創成科学研究科教授,2004年同工学系研究科教授,現在に至る.専門は認知システム工学.現在,航空管制のHF,緊急時組織行動シミュレーション,合意形成支援環境などの研究に従事.計測自動制御学会,ヒューマンインタフェース学会,日本原子力学会などの会員.

 
 

パネリスト:堀 浩一(東大)
1979年東京大学工学部電子工学科卒業.1984年同大学院博士課程修了.工学博士.1984年国立大学共同利用機関国文学研究資料館助手.1988年東京大学先端科学技術研究センター助教授.1992年同工学系研究科助教授.
1997年東京大学教授,現在に至る.現在,先端学際工学専攻に所属.航空宇宙工学専攻を兼坦.人工知能を中心とした情報処理システムの基礎から応用にわたる広範囲の研究・教育に従事.最近の個人的な興味の中心は創造活動支援システム.

 

オールジャパン体制での情報セキュリティ研究開発
-技術的アプローチと社会的アプローチの融合に向けて-

9月8日(木)14:30-17:30[第4イベント会場(5号館3階 5335教室)]

 
 

[全体概要]
インターネットの社会・経済への浸透に伴い,サイバー攻撃が社会の大きな脅威となってきている.我が国でも,これらの脅威に対する情報セキュリティ対策については,政府の重点施策の一つとして位置づけられ,その取り組みが強化されているところである.しかしながら,サイバー攻撃の多様性,複雑性,急変性などの特性を考慮すると,そのための情報セキュリティ対策への取り組みは,継続的,分野横断的かつ長期的な研究開発の追求であるべきである.そこで,本企画では,情報セキュリティ技術に関連する複数の重要分野を横断的に集結させ,オールジャパン体制にて取り組むべき情報セキュリティ研究開発について議論を行う.具体的には,情報通信網における早期警戒・対策技術,情報セキュリティのためのリスク分析技術,ぜい弱性情報共有・不正再現実験,およびプライバシー関連技術について,社会システムの専門家を交えて現状と展望を議論し,総合的な視野からみた情報セキュリティ研究開発のあり方についてパネル討論を実施する.

 
 

司   会:徳田 英幸(慶大)
1975年慶應義塾大学工学部卒.同大学院工学研究科修士.ウォータールー大学計算機科学科博士(Ph.D. in Computer Science).1983年米国カーネギーメロン大学計算機科学科に勤務,研究准教授を経て,1990年より,慶應義塾大学環境情報学部に勤務.慶應義塾常任理事(1997-2001年)を経て,現職.
主に,オペレーティングシステム,分散システム,ユビキタスコンピューティングシステムに関する研究に従事.現在,情報処理学会ユビキタスコンピューティングシステム研究会顧問,ネットワークロボットフォーラム会長,ユビキタスネットワークフォーラム技術部会長&電子タグ高度利活用部会長,総務省ユビキタスネット社会の実現に向けた基本政策WG副委員長.研究教育業績に関してMotorola Foundation Award, IBM Faculty Award, 経済産業大臣賞,総務大臣賞などを受賞.

 
●講演:我が国における情報セキュリティへの取り組み[14:30 - 15:10]
 

山口 英(内閣官房情報セキュリティセンター)
1990年大阪大学大学院基礎工学研究科情報工学専攻博士後期課程を中退し,大阪大学情報処理教育センター・助手として着任.奈良先端科学技術大学院大学情報科学センター・助教授,同大学情報科学研究科・助教授を経て,2000年4月より同大学情報科学研究科・教授.2004年4月より初代内閣官房情報セキュリティ補佐官を兼務.
WIDE Projectボードメンバ.Asian Internet Interconnection Initiatives(AI3)運営議長.
サイバー関西プロジェクト幹事長.JPCERTコーディネーションセンター理事.JPNIC理事.

 

[講演概要]
わが国の社会経済活動,国民生活において,インターネットに代表される情報通信基盤の積極的活用と,遍在化したコンピュータの日常的利用が始まっている.まさに高度情報通信社会が実現されたと言える.しかし,同時にネットワーク利用犯罪や情報漏洩,重要なサービス停止というような事故が頻発するようになってきた.このために情報セキュリティ対策の強化が必要となっている.本講演では,政府における情報セキュリティへの取り組みとして,2005年からスタートした新体制とそのポイントについて,さらには研究開発コミュニティへの期待を述べる.

 
●パネル討論1:法制度からみた情報セキュリティ[15:10 - 16:10]
 

[討論概要]
情報セキュリティ研究開発への取り組みに伴い,技術的アプローチと社会的なアプローチを融合させる統合的な視野にたった取り組みが必要となる.本パネルでは,法制度に関する有識者にご参画いただき,情報セキュリティを法制度の観点から眺め,情報セキュリティにおける法の役割,法との関連付けを明確にし,社会的なアプローチとの融合点を探ることとする.具体的な話題としては,情報セキュリティマネジメント/リスク管理と法制度との関係,通信の秘密や個人情報保護と情報セキュリティの関係などの視点を切り口に,専門家の観点からご議論をいただくこととする.

 
 

司   会:中尾 康二(KDDI)
1979年,早稲田大学教育学部数学科卒.同年,KDD(株)入社.以来,通信プロトコル,情報セキュリティ技術などの研究開発に従事.現KDDI(株)に在籍.1987年度情報処理学会研究賞受賞.ISO/SC27国内委員会主査,Telecom-ISAC Japan 副委員長,日本ISMSユーザグループ理事長,セキュリティ対策推進協議会 代表幹事,早稲田大学非常勤講師などを担務.

 
 

パネリスト:稲垣 隆一(稲垣隆一法律事務所)
弁護士(第二東京弁護士会)・ISMS主任審査員・システム監査学会個人情報保護専門監査人.
弁護士会委員等:日本弁護士連合会.コンピュータ委員会副委員長・情報問題対策委員会委員・消費者問題対策委員会(電子商取引・ネットワーク部会)ほか.
学会等:法とコンピューター学会・情報ネットワーク法学会・日本刑法学会・システム監査学会ほか.
公務:法制審議会刑事法部会(ハイテク犯罪関連)幹事,警察庁「総合セキュリティ対策会議」,同警察大学校サイバー犯罪教養専科講師,経済産業省「情報セキュリティ監査研究会」・「情報セキュリティ教育研究会」,JIPDEC「システム監査基準検討委員会」「ISMS運営委員会」,総務省「地方公共団体におけるシステム監査のあり方に関する調査研究会」,内閣官房「IT戦略本部情報セキュリティ基本問題委員会第1,第2分科会」各委員ほかを歴任.
著書・論文:サイバースペースと法規制(日本経済新聞社・1997年),持株制度の運用と実務(新日本法規出版・1998年),情報ネットワークの法律実務(第一法規出版・1999年),法律実務のためのコンピュータ徹底活用ブック(トール・1999年),ビジネスマンのためのインターネット法律辞典(日経BP社・2001年),個人情報保護法Q&A(中央経済社・2001年),情報セキュリティ監査と管理の法的問題(日本内部監査協会),個人情報保護法と企業対応(清文社・2003年 新版・2004年),いやでもわかる法律(日経ビジネス人文庫)ほか.
業務:企業の業務上組織上のリスク対策・法規適合性監査・ISMS構築・プライバシーマーク取得支援・システム監査・セキュリティ監査・個人情報保護法適合性監査・顧問業務・一般民商事.

 
   

パネリスト:岡田 仁志(国立情報学研)
1988年東京大学法学部第一類卒業,1989年東京大学法学部第二類卒業.1998年大阪大学大学院国際公共政策研究科博士前期課程修了,1999年3月同研究科博士後期課程中退.1999年4月同研究科個人金融サービス寄附講座助手就任.2000年10月同寄附講座助手退職.2000年11月博士(国際公共政策,大阪大学).
2000年11月国立情報学研究所人間・社会情報研究系情報制度論研究部門助教授着任,現在に至る.2005年4月-総合研究大学院大学情報学専攻助教授併任.

 
 

パネリスト:佐々木 良一(電機大)
1971年3月東京大学卒業.同年4月日立製作所入所.システム開発研究所にてシステム高信頼化技術,セキュリティ技術,ネットワーク管理システム等の研究開発に従事.2001年4月より東京電機大学工学部教授.工学博士(東京大学).2002年情報処理学会論文賞受賞など.著書に,「インターネットセキュリティ」オーム社1996年等.
情報処理学会フェロー.日本セキュリティ・マネージメント学会常任理事,IFIP TC11 日本代表.

 
●パネル討論2:情報セキュリティ研究開発の社会的インパクト[16:20 - 17:30]
 

[討論概要]
社会基盤としての情報システムの普及にともない,従来の情報セキュリティへの情報理論からのアプローチとは異なる取り組みがひろく求められるようになってきている.本パネルセッションでは,社会的インパクトを考慮した情報セキュリティ研究開発の現状と将来像について,セキュリティサービス企業,製品ベンダ,大学・研究機関の立場から議論をおこなう.

 
 

司   会:門林 雄基(奈良先端大)
1996年大阪大学大型計算機センター助手.2000年7月より現職.博士(工学).
2004年7月より情報通信研究機構セキュリティ高度化グループ短期専攻研究員兼任.
WIDEプロジェクトボードメンバー.

 
 

パネリスト:伊藤 良孝(三井物産セキュアディレクション)
1988年国内ネットワークSI企業入社.伝送系エンジニアを経て,セキュリティ事業の立上げを行う.その後米国系プロバイダーのデータセンターの運用管理業務に従事.2001年三井物産のセキュリティビジネス立上げプロジェクトに参画し,セキュリティサービスの立上げを行う.同プロジェクトは2004年7月に三井物産セキュアディレクションとして独立,現在に至る(Ph.D.).

 
 

パネリスト:岩井 博樹(ラック)
2000年株式会社ラック入社.セキュアサーバの構築,侵入検知システムの導入設計,運用業務やセキュリティ事件への緊急対応等の業務に携わる.その後,沖縄サミット等を始めとした監視業務(JSOC:Japan Security Operation Center)を経て,現在はコンピュータセキュリティ研究所に勤務.

 
 

パネリスト:高木 浩光(産総研)
1994年,名古屋工業大学大学院博士後期課程修了.博士(工学).同大助手を経て,1998年,通商産業省工業技術院電子技術総合研究所に転任.2001年,独立行政法人産業技術総合研究所グリッド研究センターセキュアプログラミングチーム長.2005年より現職.専門は,並列分散コンピューティング,プログラミング言語処理系,コンピュータセキュリティ.近年は,Webアプリケーションのセキュリティ脆弱性を排除するための仕組みづくりに取り組む.

 
 

パネリスト:土井 洋(情報セキュリティ大)
1988年岡山大学理学部数学科卒.1988年-1996年日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社勤務.1994年北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科修了,2000年9月岡山大学大学院自然科学研究科修了.博士(理学).中央大学研究開発機構助教授を経て,2004年より情報セキュリティ大学院大学教授.情報セキュリティ(電子署名,電子投票,プライバシ保護等)の研究,教育に従事.情報処理学会コンピュータセキュリティ研究運営委員会運営委員,同論文誌編集委員.電子情報通信学会情報セキュリティ研究専門委員会幹事.

 
 

パネリスト:福澤 淳二(情報処理推進機構)
1980年慶應義塾大学工学部計測工学科卒業,1982年同大学院工学研究科修士課程修了.同年(株)日立製作所入社.システム開発研究所においてネットワークシステム,分散環境等に関する研究開発に従事.2004年1月より独立行政法人情報処理推進機構に出向.同セキュリティセンターにおいて,脆弱性関連情報の届出・調整・公表を行なう情報セキュリティ早期警戒パートナーシップの立上げ・運用,情報システムの脆弱性対策に従事.

 
 

パネリスト:山村 元昭(セキュアブレイン)
(株)山田洋行にてアンチウイルスソフトの製品責任者を経て,1997年に(株)シマンテックに入社.シマンテックセキュリティレスポンスの日本と米国における責任者を歴任し,ウイルス解析のみならず,様々な脅威の解析・その対策手法の開発におけるマネージメントに従事する.2005年10月(株)セキュアブレインの設立に参加,CTOとして同社の製品開発・技術開発の責任者を努める.

 

マルチメディア・バーチャルリアリティ ビデオセッション
-あの研究室のあの成果,全部見せます-

9月9日(金)9:00-12:00[第4イベント会場(5号館3階 5335教室)]

 
 

[全体概要]
マルチメディアおよびバーチャルリアリティの領域では,視覚的に訴えることが非常に重要かつ効果的であり,学会等のプレゼンテーションのみならず国際会議の投稿時にもビデオ素材が多用される.本イベント企画では,当該技術領域のビデオ素材を集め,本セッションに参加すればこの領域の動向がわかるようにする.イメージとしては,SIGGRAPHにおけるElectronic Theaterのようなものである.各ビデオは2分〜3分程度の短いものとし,発表者は口頭で説明を行わず,ビデオのみで研究内容を理解できるよう工夫を促すものとする.技術的な内容は既発表のものを含んでもよく,研究室紹介のようなものでもよい.ただし,少なくとも本セッション用に編集されたものであることを条件とする.セッション参加者と発表者の間で短い質疑応答の機会を設けることも検討する.

 

スパコン日本の時代は取り戻せるか

9月9日(金)13:00-16:00[第4イベント会場(5号館3階 5335教室)]

 
 

[討論概要]
Top500に占める日本製コンピュータの割合は,90年代中頃までは目覚ましかったが,アメリカがASCIに力を入れてからはじり貧で,02年には地球シミュレーが首位を奪還したものの,これに続くマシンがなくその後凋落の一途を辿っている.Top500で用いられるLINPACK性能は単なる目安ではあるが,実際的なアプリから見ても日本製のコンピュータの活躍は少ない.HPCではデバイスやアーキテクチャが計算を規定するので,日本製に拘らず何でも輸入して計算科学技術を発展させればよいということにはならない.世界一位をとるかどうかはどうでもいいが,十分な数の日本製のコンピュータが上位を占めることが重要である.アメリカのHPCはベンチャから始まったが,かつて日本製で上位を占めたコンピュータは公的なプロジェクトで開発されたものであり,その技術はベンダにより商用化されて日本や世界の研究開発インフラで重要な役割を果たした.しかし近年アメリカがこのモデルを採用し日本を完璧に追い抜いた.今後日本はどのような戦略を取ればよいのか.

 
 

司   会:小柳 義夫(東大)
1943年生.1966年,東京大学理学部物理学科卒業.1971年,同大学院理学系研究科物理学専門課程修了,理学博士.同年同大学助手.高エネルギー物理学研究所理論部門助手,筑波大学電子情報工学系講師,助教授,教授を経て,1991年東京大学理学部情報科学科教授,2001年情報理工学系研究科教授.並列処理,数値解析,計算物理学に関する研究に従事.とくに,偏微分方程式の高速並列解法,最小二乗法の数値計算,乱数やモンテカルロ法に興味をもつ.

 
 

パネリスト:秋山 泰(産総研)
1990年慶大院理工学研究科博士課程修了.同年工業技術院電子技術総合研究所研究官.1992年京大化学研究所助教授.1996年新情報処理開発機構研究室長.2000年工業技術院電子技術総合研究所主任研究官.2001年産業技術総合研究所生命情報科学研究センター研究センター長となり現在に至る.東京医歯大客員教授,慶大客員教授,早大ITバイオ研究所客員研究員,並列生物情報処理イニシアティブ副理事長,日本バイオインフォマティクス学会評議員,日本人工知能学会理事.専門分野:生命情報科学、並列処理応用.

 
 

パネリスト:奥田 基(富士通)
1976年3月名古屋大学大学院工学研究科原子核工学専攻修士課程卒.1977年4月富士通株式会社入社.
以降,科学技術計算プログラムの開発(原子力,流体解析,計算化学,衝突解析等),CG/人工知能/自動翻訳/超並列計算機/グリッド/HPCマシン等の研究開発及びビジネス推進に従事.
現在は科学ソリューション事業本部)計算科学ソリューションセンターに所属.
(株)富士通研究所ペタスケールコンピューティング推進室長を兼任.

 
 

パネリスト:菊池 純男(日立)
1978年(株)日立製作所入社.中央研究所,システム開発研究所にてコンパイラ,プロセッサアーキテクチャ,オペレーティングシステムなどの研究開発,取り纏めに従事.2001年からソフトウェア事業部にてスーパーコンピュータ,グリッドコンピューティングの企画,製品開発に従事.2005年4月から研究開発本部HPC開発推進室長を兼務し,現在に至る.2003-2004年度情報処理学会理事.

 
 

パネリスト:住 明正(東大)
1967年3月岐阜県立岐阜高校卒業.1967年4月東京大学教育学部理科I類入学.1971年6月東京大学理学部物理学科卒業.1973年3月東京大学大学院理学系研究科物理学専門課程修士課程修了.1973年4月気象庁東京管区気象台調査課.1975年4月気象庁予報部電子計算室で数値予報業務に従事.1979年2月ハワイ大学物理部気象学教室助手.1981年5月気象庁予報部電子計算室.1985年4月東京大学理学部地球物理学科助教授.1991年7月東京大学気候システム研究センター教授.1994年7月-2004年3月東京大学気候システム研究センター長.2004年4月大学の法人化に伴い,東大全学の新しい動きとしてのAGS(Alliance for Global Sustainability)の推進を図るAGS推進室長を務める.主たる研究分野:熱帯気象や気候モデルの開発,地球温暖化問題など.日本気象学会「山本賞」1983年受賞.日本気象学会「藤原賞」1994年受賞.著書:地球温暖化の真実(ウェッジ選書:1999).岩波講座地球惑星科学(岩波書店:1996)第2巻地球システム科学(共著),第9巻気候変動論(編著).

 
 

パネリスト:姫野 龍太郎(理化学研)
1955年生まれ,京都大学工学部卒業後,同大学院修士課程修了.
その後日産自動車株式会社に勤務.主に車の空力特性の数値解析の研究を担当.フェアレディーZなどの空力解析も行った.現在,(独)理化学研究所情報基盤センター長.野球の変化球の解析と,人体の血流シミュレーションが現在の主要な研究テーマ.2005年,理化学研究所に導入したRIKEN Super Conbined Clusterが日刊工業新聞第34回日本産業技術大賞・文部科学大臣賞を受賞.著書に「魔球をつくる」(岩波科学ライブラリー)など.

 
 

パネリスト:パネリスト:平木 敬(東大)
東京大学理学部物理学科,東京大学理学系研究科物理学専門課程博士課程退学,理学博士.
工業技術院電子技術総合研究所,米国IBM社T. J. Watson研究センターをへて現在東京大学大学院情報理工学系研究科勤務.数式処理計算機FLATS,データフロースーパーコンピュータSIGMA-1,大規模共有メモリ計算機JUMP-1など多くのコンピュータシステムの研究開発に従事,現在は超高速ネットワークを用いる遠隔データ共有システムData Reservoirシステムの研究,超高速計算システムGRAPE-DRの研究を行っている.

 
 

パネリスト:渡辺 貞(NEC)
1968年東京大学大学院工学系研究科修士課程修了.同年NEC入社.メインフレームコンピュータの開発に従事.
1980年初め頃から,スーパーコンピュータの開発,製品計画,マーケティングを経て,コンピュータプラットフォームBU支配人.
電子情報通信学会,情報処理学会各会員.IEEE SM. 日本計算工学会副会長.

 

サイバーワールド(デモ展示あり)

9月9日(金)10:00-16:00[第5イベント会場(5号館1階 5133教室)]

 
 

[全体概要]
サイバーワールド時限研究専門委員会では,CG,VRなどの映像生成やヒューマンインターフェース分野から,暗号化,セキュリティなどの情報処理分野,さらにWebサービス技術,ネット銀行,などのネット応用各分野に至る最新の成果をCyber Worldsの観点から縦方向に俯瞰することにより,不足技術の抽出,新研究領域の発見など,各分野の相互連環の方法を明らかにし,サイバーワールドの発展と学際的な展望を得ることを目的としています.そこで,今回の企画においては,サイバーワールドを俯瞰することが可能な,サイバーワールドフィールドマップを作成します.これは,サイバーワールドに関係する様々な研究要素を1枚の大きな用紙(フィールド)上に付箋紙等を利用して,発表者や見学者にキーワードや各関連研究分野についてを貼付して頂き,各研究の位置付け,そしてサイバーワールドという研究分野自体の位置付けについても可視化できるような取り組みです.また,同時に関連するポスターセッションや,展示を交え,それそれの発表がサイバーワールドの概念の中のどこに位置するのかをブレインストーミング的な形で検討していくことを想定しております.

 
 

司   会:羽鳥 好律(東工大)
1971年東大・工・電気工学科卒.同年国際電信電話(株)入社.映像信号の高能率符号化,映像通信サービスの研究・開発に従事.2003年東京工業大学大学院総合理工学研究科教授.電子情報通信学会フェロー,CW研究会副委員長,HCGアドバイザリー委員.画像電子学会副会長,映像情報メディア学会,情報処理学会,IEEE会員.工学博士.

 
●招待講演1:サイバーワールドが拓く新しい分野[10:00 - 10:30]
 

杉山 知之(デジハリ学校)
1954年東京都生まれ.1987年より,MITメディア・ラボ客員研究員として3年間活動.1990年,国際メディア研究財団・主任研究員,1993年,日本大学短期大学部専任講師を経て,1994年10月,デジタルハリウッド設立.以来,クリエイターの育成,インターネットビジネスの発展に力を注いでいる.2004年,構造改革特区を活用した日本初の株式会社立大学院「デジタルハリウッド大学院」を開学.2005年,IT×英語&留学×クリエイティブの「デジタルハリウッド大学」を,秋葉原を拠点に開学する.
【委員】デジタルラジオ推進協会・番組審議会委員その他,CG-ARTS協会,デジタルコンテンツ協会などの委員を歴任.また,毎年,多くのデジタルコンテンツのコンテストの審査員を務めている.
【著書】「デジタル書斎の知的活用術」(岩波アクティブ新書),「ポストITは日本が勝つ!」(アスキー出版),「デジタル・ストリーム・未来のリ・デザイニング」(NTT出版).

 
●招待講演2:価値創造に向けたコンテンツとモノの融合[10:30 - 11:00]
 

市川 晴久(NTT)
1976年東京大学工学研究科修士課程修了.同年,日本電信電話公社に入社.通信ソフトウェアの基礎研究に従事.BTRLとの共同研究プロジェクトを立ち上げ,通信ソフトウェア作成支援システムを実用化.94年より約3年,マルチメディア情報流通ビジネスの事業化に従事.ソフトウェア研究所に戻り,光伝送研究者と共同してギガビットネットワークを実用化.2002年情報流通プラットフォーム研究所長.2003年未来ねっと研究所長.2005年より現職.工学博士.電子情報通信学会,情報処理学会,IEEE会員.

 
●パネル討論:サイバーワールドフィールドマップを作る -今後の発展領域と研究分野-[13:00 - 14:30]
 

[討論概要]
今後の情報システムで実現される世界をサイバーワールドと呼ぶことにすると,その世界では,今後どのような新しい応用や利用形態が考えられるのか?そして,そのようなサイバーワールドを実の在るものにするためには,今,何が不足しているのか?我々,研究者,技術者が解決すべき課題は何か?コンピュータグラフィックス,ヴァーチャルリアリティ,ヒューマンインターフェース,暗号,セキュリティなどの要素技術から,Webサービス,ホームネットワークなどの応用に至る幅広い分野における検討は,個々の技術的側面からみる限り,近年著しい発展を遂げている.一方で,サイバーワールドのニーズ的側面からの相互連環は,必ずしも明確に目標が設定され,考察されているとは言い難い.本セッションでは,この点について実際にサイバーワールドに係っている立場から問題提議していただき,サイバーワールド実現のための必要技術・研究の曼荼羅図を作成する.

 
 

司   会:井原 雅行(NTT)
1994年東工大・修士了.同年,NTTヒューマンインタフェース研究所入所.人間の好みのモデル化,仮想空間共有コミュニケーション,価値観共有の研究等に従事.2002-2003加国New Media Innovation Centerおよびブリティッシュコロンビア大学にて客員研究員.現在NTTサイバーソリューション研究所主任研究員.ACM,電子情報通信学会,情報処理学会,映像情報メディア学会,画像電子学会各会員.

 
 

パネリスト:中嶋 正之(東工大)
1975年東京工業大学大学院博士課程修了.同年同大勤務.1983年同大情報工学研究施設助教授,1992年同大電気電子工学専攻教授.1994年同大大学院情報理工学研究科教授.現在に至る.コンピュータグラフィックス,コンピュータアニメーション,画像処理の研究に従事.電子情報通信学会情報・システムソサイエティ前会長,現在同学会総務理事,フェロー,国際会議CW2004 Chair, CW2005 Workshop Chair.

 
 

パネリスト:國井 利泰(金沢工大)
東京大学理学系研究科化学専攻博士課程修了.東京大学名誉教授,ジュネーブ大学客員教授,会津大学学長兼教授,カリフォルニア大学バークレー校客員教授,法政大学教授,金沢工業大学教授(現在に至る).IEEE フェロー,IEEE Taylor L. Booth 賞受賞,情報処理学会フェロー.

 
 

パネリスト:田中 英彦(情報セキュリティ大)
1970年東京大学工学系研究科電気工学専門博士課程修了.工学博士.東京大学工学部,工学系研究科にて,計算機アーキテクチャ,並列処理,分散処理,メディア処理などの教育・研究に従事.東京大学大学院情報理工学系研究科長を経て,2004年4月情報セキュリティ大学院大学研究科長・教授に就任.IEEE Fellow,日本学術会議会員.

 
●デモ展示[11:00 - 12:00,14:30 - 16:00]
 

展示1:遠隔教育システムWeb-Com(PC版+携帯電話版)
 平木和輝(茨城大),新堀道信(ラーニングアイ),米倉達広,鎌田宗尚(茨城大)

 

展示2:対話型アニメ簡易作成環境
 岡本秀輔(成蹊大),山本瑞秋,下村達也,中川昌幸(茨城大),鎌田 賢(茨城大/ラーニングアイ)

 

展示3:ニュース番組の収録音声を利用した音声合成〜TVMLと連動したデータ放送自動読み上げ〜
 世木寛之,都木 徹,浜口斉周,道家 守(NHK技研)

 

展示4:価値観相違可視化シミュレータ
 井原雅行,小林 稔(NTT)

 

展示5:VRに基づいた視覚および触覚提示技術の応用
 橋本直己,赤羽 歩,佐藤 誠(東工大)

 

展示6:ネットワークを活用したロボットサービスの実証実験
 成田雅彦,鈴木純二(ロボット・サービス・イニシアチブ)