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最終更新日:2003.11.28

役員・代表会員・歴代会長

 

平成13年度役員名簿

※リンクは改選時の会誌会告掲載の略歴・抱負等
留任役員

新任役員

役員名  氏名(所属)

役員名  氏名(所属)

副会長  村岡 洋一(早大)

監 事  米田 英一

理 事  石田 喬也(三菱電機)

理 事  田中 克己(京大)

理 事  田中  譲(北大)

理 事  寺中 勝美(NTT)

理 事  寺岡 文男(慶大)

理 事  徳田 英幸(慶大)

理 事  福井 一夫(NHK)

理 事  松山 隆司(京大)

理 事  和歌森文男(日立)

会 長  鶴保 征城(NTTソフトウェア)

副会長  林   弘(富士通研)

監 事  益田 隆司(電通大)

理 事  天野 真家(東芝)

理 事  荻野 隆彦(鉄道総研)

理 事  加藤 聰彦(KDDI研究所)

理 事  辻井 潤一(東大)

理 事  中島 秀之(産業技術総合研究所)

理 事  東野 輝夫(阪大)

理 事  真名垣昌夫(NEC)

理 事  米田  茂(日立)

■役員区分 

 候補者名(ローマ字)(出身校学部卒年)
 勤務先および役職名(平成13年5月現在)
 略歴・専門分野等
 改選時の会誌掲載抱負

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■会 長

鶴保 征城(TSURUHO, Seishiro)(阪大昭39卒)

NTTソフトウェア(株) 代表取締役社長

[改選時の会誌掲載略歴]  昭和41年阪大・院・電子工学(修士)修了.同年電電公社入社.大型コンピュータ用リアルタイムマルチプロセッサOS方式などの開発・実用化に従事.平成元年NTTソフトウェア研究所長.平成6年NTTデータ通信(株)常務取締役技術開発本部長.平成 9年6月より現職.工学博士(平成3年,大阪大学).本会副会長(平成7〜8年度). 本会フェロー.電子情報通信学会フェロー.

[改選時の会誌掲載抱負] 情報化が高度に進展しつつある現在,情報通信技術,情報処理技術はこれまでのようなソフトウェアやシステムの設計や開発,評価にとどまらず,ビジネスモデルや人間行動学との関連や,人間社会・経済活動とのかかわりまで含めた広い概念である情報学としてとらえることが必要になっています.すなわち,大学で行われている純粋学術研究と企業が事業達成のために行う開発との融合が今ほど求められている時代はないといえます.このような観点でこれまでを振り返ると我が国では,このような広い視野に立った基礎的な手法や評価法を考えたり,新たな開発に携わる人材が十分に養成されなかったのではないかと思います.これらが,新しいコンセプトやソフト開発の分野で米国に遅れをとった一因ではないでしょうか.そこで,上記のような状況に火急的に対応し,政府の目指すIT立国を支える技術基盤を固めるべくさまざまな課題に取り組み,学術的な面から産業界への貢献を果たしたいと思います.

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■副会長

村岡 洋一(MURAOKA, Yoichi)(早大昭40卒)

早稲田大学理工学部 教授

[改選時の会誌掲載略歴] 1965年早稲田大学理工学部卒業.1966〜1971年の間イリノイ大学Illiac-IVプロジェクト参加.同大学Ph.D..1971〜1984年電電公社電気通信研究所にてデータ通信システムDIPSの研究開発に従事.1985年より現職.本会論文誌担当・研究会担当などの理事を歴任.現在,IEEE CiSE誌編集委員,Supercomputing 00プログラム委員などを務める.

[改選時の会誌掲載抱負] 学会では職務上,副会長ができることは限られています.その中で,次の2点に傾注したいと思います.

(1)この変化の激しい世の中,シニア・パーソンが時間をかけて議論して決定をする運営では遅れをとります.たとえば,研究会論文誌の刊行を決めるのに1年近く時間をかける必要があったのでしょうか? 研究会,そして若い会員がやりたいこと(学会ベンチャー活動?)が誰からも邪魔されずに,迅速に採用される環境の構築を目指します.

(2)Supercomputing 99の会場で平木先生(東大)や松岡先生(東工大)なども言っておられましたが,ネットワークを含む研究のインフラ構築という観点から,日本はアメリカに5年は遅れをとったと思います.科学技術基本法施行や国立高等情報科学研究所設立などに継いで,学会として世論の喚起や省庁への働きかけなど何らかの形でこの問題の解決に努力すべきです.

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■副会長

林   弘(HAYASHI, Hiromu)(東大昭42卒)

(株)富士通研究所 常務取締役

[改選時の会誌掲載略歴]  1967年東京大学工学部電気工学科卒業.同年(株)富士通研究所入社.ミリ波通信の研究に従事.その後コンピュータアーキテクチャ,人工知能,第五世代コンピュータの研究に従事.1996年富士通研究所取締役.1999年コンピュータシステム研究所長.本会元理事,元監事.

[改選時の会誌掲載抱負] 21世紀を迎え,日本経済の活性化が強く求められている.この活性化を実現するキーテクノロジとしてインターネット・コンピュータを活用した情報処理技術が大きな脚光を浴びている.情報処理学会は日本のこの分野を代表する学会であり,時代の要請から学界だけでなく,産業界さらには社会全体にわたって大きな役割を果たすことが求められている.学会から社会に対し積極的に情報発信を行い,学会自身も外からの要求に素早く対応することが重要である.現在の学会は必ずしもこれらに柔軟に対応できていない.これらの要求に応えるため,学会活動の活性化を図るとともに,学会自身の組織の簡素化・オープン化を進めることが必要である.

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■監 事

米田 英一(YONEDA, Eiichi)(東大昭34卒)

[改選時の会誌掲載略歴] 昭和34年東大理学部数学科卒業,東京芝浦電気(株)入社,(株)東芝コンピュータ担当技師長,システムインテグレーション開発部長(役員待遇)を経て,現職.理事(平成5〜6年),倫理綱領調査委員会幹事(平成7〜8年),アクレディテーション委員会副委員長(現在).現在の関心事は情報処理と社会,教育,職業倫理;文化全般.

[改選時の会誌掲載抱負] 21世紀を目前に控え,社会のあらゆる問題が情報(通信)技術と密接な関わりをもつようになった現在,情報関連の学問や技術の発展に関する情報処理学会会員の責任は非常に大きい.各分野で世界をリードするような独創的研究;真の意味で人々の生活を豊かにするような優れた商品やシステムの開発;これが会員に課せられた大きな使命である.できれば,世界に変革をもたらすような大論文をも期待したい.一方,昨年は東海村の臨界事故や山陽新幹線のトンネルの壁の剥離事故など,技術者の職業倫理が厳しく問われた年でもあった.情報処理学会は倫理綱領を制定済みではあるが,現代社会における情報技術の重要性を考えるとき,これだけでは到底不十分である.技術者が自己の良心に基づいて行動するための精神的基盤としての学協会の重要性はますます高まるはずであり,情報処理学会をこの方向に変身させる必要があるものと考える.その他,大学の教育の改革や技術者の資格制度等,検討すべき課題は非常に多い.監事就任の暁には,これらの点に微力を尽くしたいと考える.

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■監 事

益田 隆司(MASUDA, Takashi)(東大昭38卒)

電気通信大学電気通信学部 教授

[改選時の会誌掲載略歴]  昭和38年東京大学工学部卒業.昭和40年修士.同年日立製作所.昭和52年筑波大学電子・情報工学系講師,助教授,教授.昭和63年東京大学理学部情報科学科教授.平成7〜9年理学部長,大学院理学系研究科長.平成12年4月より現職.本会論文誌編集委員,研究会主査,理事を歴任.論文賞(5回).専門はオペレーティングシステム.

[改選時の会誌掲載抱負] 本会は,新しい時代へ向けての改革を急速に進めているように思います.研究会活動の自由化をしたこと,会誌を会員の立場から抜本的に見直したこと,アクレディテーション委員会に代表されるような社会的な活動を行っていることなどです.私は,学会の活動を活発化することは,これからの日本社会にとって非常に重要なことだと考えています.日本は縦社会でした.流動性,開放性に富んだ横の構造を持つべき大学も閉鎖的な縦の構造となっています.評価,競い合いの風土が生まれない原因もここにあります.学会は完全に横の構造です.学会が活性化するほど,学会を通して研究者,技術者間の横の交流が盛んになります.大学,社会の流動性,開放性を高めることに貢献します.それが結果として,さらに学会を活性化することになります.本会が関与する分野の重要性を考えますと,社会に対して幅広く発言し,情報化社会を先導することも果たすべき役割です.このような視点から,私は,本会が新しい価値の創造の場となるよう本会の一層の発展に全力を尽くします.

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■理事(総務担当)

徳田 英幸(TOKUDA, Hideyuki)(慶大昭50卒)

慶應義塾大学環境情報学部 教授

[改選時の会誌掲載略歴] 1975年慶應義塾大学工学部卒業.1977年同大学院修士課程修了.1983年カナダ国ウォータールー大学計算機科学科博士課程修了(Ph.D. in Computer Science).米国カーネギーメロン大学計算機科学科Sr. RCS,慶應義塾大学環境情報学部助教授,教授を経て,1997年より現職.この間,ARTS, Real-Time Machなどの分散Real-Time OS,分散マルチメディアシステムなどの研究開発に従事.1998年まで本会SIGOS主査.

[改選時の会誌掲載抱負] 本会の持つ社会的な役割は,21世紀においてますます重要となってきている.情報インフラが高度情報化社会を支える社会基盤として,人々から認知されるだけでなく,重要なライフラインとなってきている.さらなる進化を続けている情報処理技術や情報システムがもたらすさまざまな社会的インパクトに対応できるよう学会そのものが迅速に意思決定ができ,より柔軟な組織になることが求められている.これまで以上に,国内はもとより世界レベルでの貢献が期待されている.特に,本会を国際的に認められた学会にするためには,論文誌,会誌の充実はもとより,若手会員が活躍できる質の高い国際的なワークショップやシンンポジウムを企画し,定着させたいと考えている.このような国際的な交流の場を増やし,21世紀へ向けての研究レベルの向上,会員サービスの質的向上を目指していきたいと考える.

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■理事(総務担当)

荻野 隆彦(OGINO, Takahiko)(名工大昭45卒)

(財)鉄道総合技術研究所 情報・国際部長

[改選時の会誌掲載略歴]  昭和45年名工大卒業,昭和47年京大修士課程修了,昭和53年イリノイ大学コンピュータ科学修士.昭和47年国鉄入社,昭和48年国鉄技研,昭和62年(財)鉄道総研,平成2〜3年英国鉄ダービー研究所客員研究員,平成12年より現職.エキスパートシステム,フォーマルメソッドなどの研究に従事.電通大大学院客員助教授,IEEE-VTS JapanチャプタVice-President,電気学会会員.

[改選時の会誌掲載抱負] 21世紀の社会は,人・もの・情報の移動性を高め,競争力のある経済社会を維持発展させてゆくとともに,生活空間を多様に拡大させ,生き生きとした個人の暮らしを実現することが望まれています.環境の保全を図りつつ,活力ある社会のモビリティを向上させるには,製造・消費の現場のみならず,交通におけるITの積極的な活躍が期待されています.このためには,オープンなシステム構成と,人間系とのインタフェースをはじめ,非常に広範囲な情報処理技術の適用が必要です.21世紀の交通システムであるITS,またその鉄道への拡張であるサイバーレールを実現するよう交通部門からの明快なメッセージの発信と,さまざまなソリューションの返信,ならびに活発な議論の必要性が高まっています.これらの中心となる情報処理学会の位置付けを高め,日本の情報処理応用分野の活性化と発展を図る活動を進めてゆきたいと思います.

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■理事(財務担当)

寺中 勝美(TERANAKA, Katsumi)(京大昭49卒)

日本電信電話(株)サイバーコミュニケーション総合研究所企画部 部長

[改選時の会誌掲載略歴] 昭和51年3月京都大学大学院修士課程修了.同年4月日本電信電話公社(現NTT)に入社.平成11年7月より現職.データベース管理システム,マルチメディア情報検索システム等のデータベース関連の研究開発に従事.

[改選時の会誌掲載抱負] 西暦2000年を迎え,21世紀初めに訪れるであろう情報流通社会に向けて,情報技術の世界は,いくつものパラダイムシフトが起きつつあります.変革が激しいこの世界では,産官学といった従来の垣根は壊すべきであり,その牽引者として,情報処理学会の果たす役割は,これまでに比して重要になってきています.その期待に応えるために,もう一度原点に戻って,本会が情報流通社会にどのような貢献ができるか真剣に考えたいと思います.常に変わっていくことが美徳であるというポリシーの基本として,特にグローバルな動きの中で,本会が取り組むべきテーマを明確にすること,荒波の情報産業界に従事する企業の研究開発者の方々にとって魅力のある学会にすること,また若手研究者の活躍の場である研究会の活性化を積極的に支援すること等を活動の機軸にしたいと考えています.本会の会員の方々から,「学会は変わろうとしている.ぜひその動きに積極的に参画したい」と言われるような環境作りに,微力ながら貢献できれば幸いです.

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■理事(財務担当)

真名垣昌夫(MANAGAKI, Masao)(阪大昭42卒)

日本電気(株)コーポレートラボラトリ研究企画部 エグゼクティブエキスパート

[改選時の会誌掲載略歴]  昭和44年日本電気(株)入社.中央研究所にてデータベース,AI,CAD,ヒューマン インタフェースの研究開発に従事.関西C&C研究所長,ヒューマンメディア研究所長 を経て,平成11年より現職.平成7〜8年本会理事. 

[改選時の会誌掲載抱負] 前回に本会理事のときには出版や電子化推進を担当し,刊行物の電子化の下地を整備,事務局の情報化を推進しました.21世紀における情報社会では多様なコミュニティが組織に頼ることなく容易に形成されます.学問,技術分野においても然りであり,これらのコミュニティにおいては,より新鮮で活発な技術交流が行われます.このような環境下において学会の意義,あり方を明らかにして,ビジョンを掲げて勇気を持っていち早く推進することが必要です.本会が学問,技術の発展に貢献し,会員にどのような利益を与えることができるのか? さらには,社会生活に影響,示唆を与えるという,ある意味でのオピニオンリーダとなり得るのか? 情報発信のあり方,学問・技術交流場提供の仕組み,新生境界領域の認識と取り込み,著作物流通,他学会との活動対象領域のオーバラップ/連携など具体的課題が多く存在していると考えています.従来の活動の枠にとらわれることなく,新たな発想をもって今後の課題に取り組み,本会活動に寄与したいと考えています.

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■理事(会誌担当)

寺岡 文男(TERAOKA, Fumio)(慶大昭57卒)

慶應義塾大学理工学部情報工学科 教授

[改選時の会誌掲載略歴] 1984年慶應義塾大学大学院修士課程修了.同年キヤノン(株)入社.1988年(株)ソニーコンピュータサイエンス研究所入社.工学博士.コンピュータネットワーク,OS,分散システム等の研究に従事.特にVIP (Virtual IP)の開発を通してIETFのMobile IP分科会の活動に貢献.共著に「ワイヤレスLANアーキテクチャ」.共監訳に「詳解 Mobile IP」.

[改選時の会誌掲載抱負] このたび初めて学会理事に立候補させていただいた.平成8〜10年度の3年間はモーバイルコンピューティング研究会(8年度は研究グループ)の幹事を務め,研究会の設立,運営を行った.現在は同研究会連絡員および学会論文誌編集委員を務めている.幹事としての活動を通じて感じたことは研究活動の活性化の難しさである.たとえばインターネットが普及しインターネットにかかわる人は増えたが,インターネットの研究者は実はそれほど多くない.多くのインターネット関連の研究会やワークショップが開催されているが,結局は少ないパイの取り合いとなっている.他の多くの研究分野でも同じような現象があるのではないだろうか.独創的な研究を育成するには,本会に限らず,広い視野で物事を考える必要がある.またIETFにおけるプロトコル標準化活動を通じて,自分の考え方を正しく伝えることの困難さも経験した.このような経験を生かし,本会と関係する国内の他学会とも連携を取りつつ,世界に通用し,また社会の役に立つ研究を生み出すために,本会が何をすべきかを考え,実行していきたい.

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■理事(会誌担当)

天野 真家(AMANO, Shin-ya)(名工大昭46卒)

(株)東芝研究開発センター コンピュータ・ネットワークラボラトリ 技監

[改選時の会誌掲載略歴]  昭和48年京大・院・電気工学修了.同年(株)東芝入社.情報システム研究所勤務.第二研究所長を経て,平成8〜11年コンピュータ・ネットワークプロダクト事業部主幹.平成11年研究開発センター技監.自然言語,人工知能の研究に従事.日本語ワープロで特許庁長官賞,機械翻訳で科学技術庁長官賞.

[改選時の会誌掲載抱負] 私は,自然言語という重厚ゆっくり型の研究分野を本拠地としてきましたが,最近のITのdog yearの潮流を,そのような分野から見据えた運営を考えたいと思っています.学会に所属する意味は,大きく二分されると思います.1つは,最新の技術動向を得る手段.他は,自分の研究成果を発表する場です.後者の意味も非常に重要ですが,大多数の会員にとっては前者に比重があるのではないでしょうか.IT分野の技術解説については出版社の雑誌が大きな役割を担っています.この状況の中で「情報処理」の現状の興味深い編集にますます磨きをかけるには何をしたらよいか,学会全体としてITをどのように見据えるべきかについて考えてみたいと思います.「情報処理」にしても,5〜10年というスパンでの研究レベルでの解説だけでは一般の技術界の需要には到底応えられるとは思えません.しかし,一歩誤れば巷の雑誌と同じレベルになってしまう恐れがあります.学会としての品位を保ちながら,ITの具体的な最新情報を提供するさらなる方法を模索してみたいと思っております.

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■理事(論文誌/教育担当)

田中 克己(TANAKA, Katsumi)(京大昭49卒)

京都大学大学院情報学研究科社会情報学専攻 教授

[改選時の会誌掲載略歴] 昭和51年京大・院・情報工学(修士)修了,53年同博士課程中退,54〜60年神戸大教養部助手,56年工博(京大),57〜58年南カリフォルニア大客員研究員・客員講師,61年神戸大工学部助教授,平成6年神戸大教授,現在,同大学院教授.データベース・マルチメデイア情報システムの研究教育に従事.本会DBS研究会前主査,ACM TODS前Area Editor.ACM,IEEE-CS等会員.

[改選時の会誌掲載抱負] 情報科学分野の拡大,情報技術の進展の早さに対応できるような学会活動,および学会員へのサービスの充実を念頭に置き活動して参りたいと考えております.学会のためのコミュニティではなく,コミュニティのための学会ということを意識した活動が重要かと考えます.本会データベースシステム研究会主査の時期に,研究会論文誌:データベース(IPSJ TOD)の立ち上げをやらせていただきました.多数の方のご尽力により,現在,順調に推移し始めており,この分野の研究論文を毎回多数投稿いただいています.タイムリーなサーベイ論文なども企画し,不十分ながら,学会員へのサービス改善に寄与できたのではと自負しております.論文査読体制などは,以前,ACM TODSのエディタを務めました経験が参考になっております.情報通信分野の重要性がますます増大しつつある現在,本会の果たす役割と責任はきわめて大きいと認識しております.学会の内部改革のみならず,社会に向けた提言やさまざまな社会活動への積極的な参画,国家的な教育研究プロジェクトの提案・実行,新しい産学官連携など,激動の時代に外に向かって活動・アピールできる学会作りのお手伝いをさせていただきたいと考えております.

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■理事(論文誌/教育担当)

辻井 潤一(TSUJII, Junichi)(京大昭46卒)

東京大学大学院理学系研究科情報科学専攻 教授

[改選時の会誌掲載略歴]  1971年京都大学工学部電気工学科卒業.1973年同大工学部助手,1979年同助教授,1988年英国マンチェスタ科学技術大学(UMIST)教授,同計算言語学センター所長,1991年同言語工学科主任教授,1995年より現職.その間,1981〜82年フランスCNRS招 聘研究員.科技庁,ヨーロッパ共同体,NATOなどの機械翻訳プロジェクトに参加.言語処理,人工知能,認知科学に興味を持つ.

[改選時の会誌掲載抱負] 国際的な競争が激化している情報処理分野では,研究から応用へのサイクルをいかに短縮するかが緊急の課題となっています.優れた成果を産業応用へとうまく移行させることは,学会の大きな使命かと思っています.競争の激化は,ともすれば成果の流通・公開の阻害要因となりますが,競争の中での有効な協調をいかに促進させるか,特に,国際的な協調の場で我が国のイニシャティブを確保することの重要性を痛感しています.限られた経験ですが,ヨーロッパでの情報関係のプロジェクトで,各国の研究グループが競争と協調のバランスをいかにとっていくかに努力するさまを経験しました.その経験を学会活動の国際化に生かせれば,と思います.また,研究と応用のサイクルが短いことは,すべての学術研究や教育が即物的な応用だけに収斂するわけでもありません.サイクルが短くなればなるほど,見通しの良い系統的な研究と教育の重要性を痛感しています.学からの理事として,基盤的な理論や技術の持つ将来技術にとっての重要性の認識に寄与したいと思っています.

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■理事(調査研究/教育担当) 

松山 隆司(MATSUYAMA, Takashi)(京大昭49卒)

京都大学情報学研究科知能情報学専攻 教授

[改選時の会誌掲載略歴] 昭和49年京大工学部卒業.京大助手,東北大助教授,岡山大教授を経て平成7年より現職.画像理解,人工知能,分散協調処理の研究に従事.本会創立20周年記念論文賞,平成4年度論文賞,ICCV Marr Prize, IAPR Fellow.コンピュータビジョンとイメージメディア研究会主査(平成6〜8年),フロンティア領域委員長(平成9〜現在).

[改選時の会誌掲載抱負] 現在,会員の大半が所属する企業では,熾烈な国際競争に打ち勝つため,大幅な経営戦略の見直しと組織改革が行われております.また,多くの研究者が所属する国立研究所や大学では独立行政法人化によってその組織・運営形態が大きく変わろうとしており,学術・産業行政を司る中央省庁の再編も秒読み段階に入っています.本会では,会員数の減少を受け,ここ数年多方面に渡る改革が行われてきましたが,学会を支えてきた産官学すべての組織が大きく変わりつつある現状を踏まえると,今後もさらなる改革を継続的に進め,新たな学会へと脱皮する必要があると思われます.こうした中で,平成9年度より委員長を務めさせていただいているフロンティア領域では,それぞれの研究会が,認知科学や人工知能,人文科学,教育,音楽,ゲームといった他学会,他分野との学際的な交流・連携を通じて,より広い立場から「情報の学」を切開くことを目指しており,そうした活動の中から21世紀における本会の展望が開けてくるものと期待しています.

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■理事(調査研究/教育担当)

田中  譲(TANAKA, Yuzuru)(京大昭47卒)

北海道大学工学研究科電子情報工学専攻 教授

[改選時の会誌掲載略歴] 昭和47年京大工学部卒業,昭和49年同大学院修士課程修了,工学博士.北大工学部助手,講師,助教授を経て平成2年より現職.平成8年より北大知識メディア・ラボラトリ長,平成10年より京大情報学研究科併任教授.データベース理論,データベース・マシン,並列処理アーキテクチャ,メディア・アーキテクチャなどの研究に従事.平成6年日経BP技術賞大賞受賞.本会理事(平成7〜8年).

[改選時の会誌掲載抱負] 平成7〜8年は本会論文誌担当理事として,論文査読における評価基準と査読制度にメスを入れた.多様な価値を自ら創出することが学会の使命であり,これに即した評価基準をつくることの重要性を説くとともに,多様な価値観を尊重する質の高い査読を速やかに行う工夫として,査読過程にメタレビューアを導入した.査読制度の改革はそれなりの成果があったと思うが,根本的改革にはやはり「価値と評価」の議論を深めなければならないと感じたのも事実である.学会における「価値と評価」の議論が,我が国における研究者の研究姿勢やテーマ設定に大きな影響を与えると考えるからである.研究や技術開発におけるバブルの崩壊や空洞化が起こらないように,多様な価値の創出を自ら行うとともに,普遍性・基盤性を重視するべき時代が到来しつつあるように思う.近年,他の多様な学問領域を共通の認識法と方法論とによって横断的に繋ぐメタサイエンスとしての情報学も重要性を増しており,その一層の育成に学会がどのように貢献するかも重要な課題と考えている.これも「価値と評価」の議論と無関係ではない.

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■理事(調査研究/教育担当)

中島 秀之(NAKASHIMA, Hideyuki)(東大昭52卒)

独立行政法人 産業技術総合研究所サイバーアシスト研究センター センター長

[改選時の会誌掲載略歴]  1952年生.1971年東京大学理科I類入学.1978年8月〜79年6月MIT留学.1983年東京大 学大学院情報工学専門課程博士修了.工学博士.1983年電子技術総合研究所入所.1998年同情報科学部長.現在,同企画室長.1999年より北陸先端科学技術大学院大学教授(併任).専門分野:人工知能,マルチエージェント.

[改選時の会誌掲載抱負] 現在,さまざまな場面でIT革命が叫ばれてはいますが,場合によっては必ずしも内容の理解と将来設計を伴ったものとはなっていません.学会主導の情報技術研究開発体制の設計と,IT戦略の提示が必要であると感じています.折しも電総研は2001年4月より独立行政法人産業技術総合研究所となり,機動性を増した研究活動が可能となります.産学との連携を保った研究開発体制を保つと同時に,日本や世界の将来を見据えた情報処理イメージの提供を可能とするような学会活動を続けて行きたいと考えています.また,そのような研究者集団のサポートとなることを目的として学会運営に携わりたいと思います.世界に向けてビジョンを発信できる情報処理学会を目指します.

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■理事(事業担当)

和歌森 文男(WAKAMORI, Fumio)(東大昭46卒)

(株)日立製作所情報サービス事業部 事業部長

[改選時の会誌掲載略歴] 昭和46年東京大学工学部卒業.(株)日立製作所入社,システム開発研究所においてシステムのモデリング,シミュレーション解析,マルチメディア処理技術の研究開発に従事,平成10年より現職.昭和62年工学博士.平成6年よりIEEE ICMCS(Int. Conf. on Multimedia Computing and Systems)の組織委員,プログラム委員.

[改選時の会誌掲載抱負] インターネットによるWebベースの情報流通サービス,携帯電話によるモーバイルデータ通信サービスが21世紀に向けて急速に進展し,われわれの経済・社会生活に大きな変革をもたらしつつある.グローバルなデジタル情報社会では,サービスを提供するシステムの利用シーンを明確に描き,社会ニーズにマッチした情報処理技術の開発と迅速な実用化が求められる.このような環境の中で,情報処理学会には,グローバルな社会変革の流れを適確に捉え,基盤となる技術開発を中核となって推進する組織としての活動が期待されている.学会活動という言葉は,ややもすると堅い響きを持って受け取られることもあるが,多様な興味,問題意識を持つメンバの結集を図り,オープンなSocietyとしての活動を強化することが,上記の期待に応えていく上で重要と考えている.企業に身を置くものの立場から,ニーズ指向の発想での企画・提案等を心がけ,微力ながら学会活動の発展に貢献できればと思う次第である.

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■理事(事業担当)

加藤 聰彦(KATO, Toshihiko)(東大昭53卒)

(株)KDD研究所 ワイヤレスエンジニアリンググループ グループリーダ

[改選時の会誌掲載略歴]  1983年東京大学大学院博士課程修了.同年国際電信電話(株)(現KDDI)入社.現在(株)KDD研究所ワイヤレスエンジニアリンググループリーダ.工学博士.1987〜88年,米国カーネギーメロン大学計算機科学科客員研究科学者.1993年より電気通信大学大学院情報システム学研究科客員助教授.この間,ネットワークアーキテクチャ,通信プロトコル,分散処理などの研究開発に従事.

[改選時の会誌掲載抱負] インターネットの普及に伴い,それ自身が,従来からのデータ通信,マルチメディア通信,モバイル通信などを実現する,多数の通信プロトコルの複合体と化しています.このため,その全体像を理解することが非常に困難となっています.しかし,インターネット技術を通信ネットワーク構築の基盤技術とするためには,その特長や限界を正しく理解する必要があります.インターネットをブラックボックス化せず,その詳細を理解できる技術者・研究者を増やしてゆくことが,情報処理学会の1つの課題ではないでしょうか.今ならまだ間に合うと思います.ネットワークの運用やシステム開発に携わる技術者や,研究を開始する若手研究者の方々に対しては,インターネットの原理や最新の研究動向の紹介を,これまで以上に強化してゆきたいと思います.また,研究者の方々に対しては,国内だけではなく広く外国に,研究成果を発表できる機会の増大を図りたいと考えています.微力ながら,このような観点から学会活動に貢献できればと思っております.

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■理事(出版・電子化担当)

福井 一夫(FUKUI, Kazuo)(東工大昭48卒)

日本放送協会放送技術研究所次世代符号化 部長

[改選時の会誌掲載略歴] 昭和48年東京工業大学工学部卒業,昭和50年同大学院修士課程修了,同年日本放送協会,昭和54年日本放送協会放送技術研究所,平成3年同研究所主任研究員,平成10年より現職.コンピュータ・グラフィックスを中心にTV番組制作技術,ISDBアプリケーションの研究に従事,本会グラフィクスとCAD研究連絡会幹事,画像電子学会理事を歴任.

[改選時の会誌掲載抱負] ミレニアムとか世紀末など暦の上の節目にとどまらず,産業界をはじめ社会のいたるところで,着実で大きな変化が進行している.2000年末のサービス開始が予定されている放送衛星を使ったデジタル放送ではハイビジョン映像に加えて,マルチメディアコンテンツの定常的なサービスが日常化しようとしている.また,携帯電話のデータサービスやインターネットのストリーム配信など,コンテンツは放送・通信・コンピュータに共通する産業の中枢として考えられている.著作権問題やアーカイブ,ツールの域を越えたトータルな制作支援,創作作業への知的な支援など,コンテンツに関連する取り組みの基盤を確立する活動を推進したい.一方で,国際的なデファクトスタンダードの活動や,ネットワークによる技術情報の取得,発信など学術研究,技術開発の環境が様変わりしている.学会の活動や運営もこれらの状況に適応して見直すことが求められる.これまで以上に会員の一人一人に役立ち社会に貢献する学会であり続けるために微力ながらその一端を担い,貢献できれば幸いである.

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■理事(出版・電子化担当)

米田  茂(YONEDA, Shigeru)(名工大昭45卒)

(株)日立製作所SANソリューション事業部ストレージソリューション本部  本部長

[改選時の会誌掲載略歴]  昭和45年名古屋工業大学工学部卒業.同年(株)日立製作所入社.システム開発研究所,情報・通信開発本部,ソフトウェア事業部などを経て,平成12年より現職.データベースシステム,OLTP,ディスク制御装置,文書管理システム,ECシステムなどの研究・開発に従事.情報規格調査会SC32専門委員会(データ管理および交換)主査(平成10〜11年),通商産業省/情報処理振興事業協会/日本情報処理開発協会による次世代電子図書館プロジェクトアーキテクチャWG主査(平成7〜11年).

[改選時の会誌掲載抱負] 情報産業界はオープン化,ディファクト化の中で特長技術・新技術・新製品の創造に向けて激しい競争を繰り広げています.また,ウェブ,携帯電話などを媒介としてEC,XSPなどの成長と規制緩和の流れが相まって従来独立していた業界が融合するなど社会の構図が大きく変貌を遂げようとしています.このような大きな構造変化の中で,学校,種々の産業界等の構成員を有する情報処理学会は牽引車の役割を果たすミッションを担っています.実用上の展望がない活動は,その影響力は自ずから限定されたものになります.学会と産業界との関係の強化・連携が不可欠です.学会員に的確な情報を提供すること,その基礎となる技術的バックボーンを動作原理などを含め広範囲に解説することにより深い洞察力を与えることが必要となっています.これをさらに効果的なものにするためには,一方向でなく会員と学会の双方向のオープンなコミュニケーションの実現,会誌など資料の知識ベース化とサービス機能の充実が重要と考えています.また,戦略的なテーマに関し大学関係,産業界などの関連者が連携しプロジェクトの企画,提案をすることも学会のミッションの1つと感じています.微力ですがこのような観点で学会の活動に貢献できればと考えています.

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■理事(国際担当)

石田 喬也(ISHIDA, Takaya)(阪大昭39卒)

三菱電機(株)開発本部 技師長

[改選時の会誌掲載略歴] 昭和41年大阪大学大学院修士課程修了.同年三菱電機に入社.OS,データベース等の開発・研究に従事.平成6年情報システム研究所副所長,平成8年より現職.現在,BIAC(Business and Industry Advisory Committee to the OECD)情報通信政策委員会Vice Chairman,IEEE Software Industry Advisory Board,ACM日本支部評議員.

[改選時の会誌掲載抱負] 最近の情報処理学会は,「情報処理」誌にホット・トピックスの分かりやすい解説記事が多くなっているなど,会員全体に対して有用性がより改善されている点を高く評価しています.次の課題は,学会本来の使命である「知の創造と発信」の強化であると思われます.この点は,しかし,単に本会の問題にとどまらず,日本の情報処理関連の研究においては,世界に対して真にインパクトのある発信が少ないという根本的なところと無関係ではないのでしょう.情報処理の性格上,実アプリケーションと理論の境界的なところにブレークスルーの鍵があると考えられますので,その対策として,産学の交流をより一層強めるべきです.筆者は,ソフトウェア研究に関して国内大学と情報関連企業による産学交流・連携の場であったEAGL事業推進機構に長くかかわり,最後の2年間はその技術委員会副委員長も担当しました.また,その後継の位置付けである産学戦略的研究フォーラム(SSR)にも運営委員として引き続きかかわっています.情報処理学会を真に活発な産学交流の場とすることに貢献できれば幸いです.

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■理事(国際担当)

東野 輝夫(HIGASHINO, Teruo)(阪大昭54卒)

大阪大学大学院基礎工学研究科 教授

[改選時の会誌掲載略歴]  昭和54年大阪大学基礎工学部情報工学科卒業,昭和59年同博士課程修了.工学博士.同年同大助手,平成11年4月より現職.分散システム,通信プロトコルなどの研究に従事.マルチメディア通信と分散処理(DPS)研究会幹事(現在).IFIP WG 6.1委員.いくつかの国際会議のプログラム委員長などを歴任.IEEE シニア会員.

[改選時の会誌掲載抱負] 近年のIT技術の発展や高速ネットワークの普及など,我が国を取り巻く社会基盤は日々変動しております.新しい世紀を迎え,魅力ある日本の情報社会を構築していくうえで,本会に期待される役割もますます重要になってきております.その期待に応えるためには,産官学の研究者,とりわけ,若手研究者が組織の垣根を越えて多くの人と接し,情報収集や意見交換が容易にできることが望ましいと感じております.4年間マルチメディア通信と分散処理研究会幹事を務め,研究会の運営やDICOMOシンポジウムの立ち上げなどをさせていただいた経験を生かして,研究会やシンポジウムなどのコミュニケーションの場の提供を積極的に支援し,若手研究者・技術者の活躍の場を形成できればと考えております.また,社会への提言や技術の普及活動を充実させ,社会に役立つ開かれた学会を目指す必要があると思っております.そのために学会が果たすべき役割を考え,微力ながら学会の発展のお手伝いをさせていただければと考えております.

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