情報処理学会 第86回全国大会 会期:2024年3月15日~17日

7ZF-02
能動推論に基づく1対1インタラクションモデルの検討
○木村駿希,中臺一博(東工大),仁科繁明(ホンダRIJ),糸山克寿(東工大/ホンダRIJ)
能動推論は生物が環境内で未知の状態を推定しながら最適な行動を推論し選択するための理論的アプローチである。本研究ではこの能動推論を人と人との言語的インタラクションに基づく他者の情動推定と発話選択のモデルに適用することを試みた。具体的には、親子のインタラクションにおいて、子供に部屋を掃除させたいという意図を持つ親に対して、できるだけ親に叱られないようにしながら最小限の掃除で済ませたい子どもの発話選択が能動推論によってどのように行われるかを検討した。子から見た親の感情状態を未知状態とみなし、その推定が子にとって望ましい状態になるような発話の選択を、能動推論によって行なった。提案した発話選択モデルに基づく親子間のインタラクションを実装し、シミュレーション実験で評価を行ったところ、子が親の状態の推定誤差を減少させながら、親の発言に対して適切な応答を選択し望ましい状態を達成できることを確認した。