5ZL-09
フェムテックを通した女性活躍推進政策による新自由主義的母性の拡大
○江連千佳(津田塾大)
本研究では政府および政府が支援するフェムテックの事業を行う企業が発信する情報の計量テキスト分析を通して、日本の女性活躍推進政策の中でフェムテックがどのような役割を担っているかを明らかにしている。「女性のための技術」として賞賛されるフェムテックは、近年日本において経済成長の手段としての女性活躍推進政策に組み込まれてきた。経済成長を目的とした女性活躍推進政策は、女性たちに「働き」「産み」「育てる」という三つの両立、すなわち新自由主義的母性を要求している。そして、新自由主義的母性を求める女性活躍推進政策のなかで、フェムテックは、「労働供給増」「少子化対策」「社会保障費抑制」の三点を共存させる上で、企業に生じる女性の身体という「リスク」を管理しやすくするツールとして取り込まれている。フェムテックは、新自由主義的政策に絡め取られることで、「女性のための技術」から女性に新自由主義を要求することを支える技術に変貌しているのである。