4G-05
2つの“計算”―日本における初期のコンピュータサイエンス教育―
○前山和喜(総研大)
コンピュータとは,単に四則演算などの計算(Calculation的な計算)だけを行なうわけではなく,「プログラム」や「主記憶」などの概念を用いた計算(Computation的な計算)といった新しい計算概念を実装することができる計算機器である.日本語には,この2つの計算概念を使い分けるための用語がなく,どちらも「計算」としている.そのため,初期のコンピュータサイエンス教育においては,まずは両者の違いを理解し,サイエンスとしての計算について学んでいく必要があった.本発表では,東京農工大学情報工学系学科における手回し計算キを用いた教育などを分析し,日本の専門教育としての「計算」について論じる.