2F-04
欧州市民発案制度を通じての市民参加の検証
○武藏勝宏(同志社大)
欧州市民発案制度(ECI)は、EU加盟国市民の100万人以上の署名収集により、EU委員会に対して、立法化の提案を要求できる市民発案の制度として2012年に導入された。人口4億人を超える27の加盟国からなるEUにおいて、この手続きを可能にしているのは、紙による署名に加えて、電子的に収集する仕組みを取り入れたことである。しかし、2023年までの期間に107件のECIが登録されたが、署名の収集に成功したケースはわずか10件にとどまる。本報告は、ECIが十分に機能してこなかった要因について、オンライン署名収集システムの問題や、署名収集の主催者グループに対する組織的支援の有無などの観点から検証し、積極的な市民参加を高める方策を検討する。