1G-04
なぜ、政府の情報化政策は失敗するのか?費用便益分析による地域医療情報ネットワークの破綻メカニズムの解明
○奥村貴史(北見工大),平井里奈(京都府立大)
我が国では、政府による情報化施策の多くが失敗に終わってきた。そうした施策の一つに、患者情報の医療機関の間でのオンライン共有がある。この政策分野では、20年以上を掛けて全国に地域医療情報ネットワークを構築したが、利用率は国民の1%に留まっている。そこで、情報化に要する各種の費用と得られるメリットを網羅的に定量化する費用便益分析を進めた結果、情報化に要する費用が高いなか得られる便益が極度に低いことが失敗原因と考えられた。政府の情報化政策の政策過程には、客観的、定量的な政策評価が欠如してきた。今後、エビデンスに基づいた政策の改善が情報化政策全体の改善に資する可能性が示唆される。