情報処理学会第85回全国大会 会期:2023年3月2日~4日 会場:電気通信大学

5J-03
粒子法のマルチコア/AVX-512命令による並列処理のための疎行列データ構造
○齊藤大輔,吉田昭正(明大)
粒子法は流体シミュレーション手法の一種であり,界面の複雑な動きのような激しい現象を扱うことができる.本稿では,半陰解法を用いた粒子法(MPS法)を対象としており,マルチコア/AVX-512命令による並列処理を実現するために,圧力勾配計算に用いられる疎行列を考慮したデータ構造を提案する.本手法では,従来の疎行列格納に用いられるELL形式を拡張し,対角要素を各行の先頭に配置する方法をとる.性能評価では,357,120粒子の3次元水柱崩壊問題を取り上げ,拡張ELL形式を用いた粒子法プログラムにおいて,OpenMP/AVX-512 intrinsicsによる並列処理を実現した.Intel Xeon Platinum 8358上での性能評価の結果,高い実効性能が得られ,提案手法の有効性が確認された.